残された可能性
「確かに一刀は人じゃないわね♪」
もぐもぐとしながら蓮が話に参加してくる
どうやら唐揚げ争奪戦は
蓮の勝利で幕を下ろしたようだ
最後はやっぱり発育の差よね~♪と
畳に突っ伏した桜を蓮はニヤリと見る
話の片手間に見ていたが
桜と蓮の戦いは酷いものだった
唐揚げを死守していた桜だが
空の膝枕に不意を突かれて
唐揚げを奪われてしまった
あとは蓮の独壇場
身長差を利用し唐揚げを高く掲げたのだ
必死にぴょんぴょん跳ねる桜の頭を
軽く押さえてペロリ♪
それはイジメだよ…蓮
桜にはあとでデザートを用意しておこう
「あはは…あんたは鬼だけどね…」
と突っ伏したまま桜がボソッと言う
うん、デザート増量決定
「ははは、敗者にかける
言葉なんてないわね~♪」
と蓮は勝者の余裕を見せる
完全敗北の桜は
嗚呼…部屋の隅で小さくなってしまった
何やらボソボソと壁と対話している
「それは置いておいて
ご主人様、あの世界での通り名を
思い出してみてちょうだい」
貂蝉に言われ、魏で言われ続けた
通り名を思い出す
通り名?…………『魏の種馬』
ショ (´・ω・`) ボーンとなり
部屋の隅で桜と一緒に壁とお話する
桜は卑屈な笑顔で『いらっしゃい』と
言ってくれた。優しい子だね…桜…
「ご、ご主人様!そっちじゃないわよ!
暗黒面なんかに墜ちちゃダメよ!」
はは…今なら彼の気持ち分かるよ
あのマスク、俺も着けようかな…
二人をどす黒いオーラが優しく包む
「もう…一刀、こっち向きなさいよ」
蓮が俺を壁から引き離して向き直させる
「あなたは"天の御使い様"
私たちの希望よ?魏の皆も同じ想い
じゃないのかしら?」
と蓮は優しい言葉で俺を諭す
ぁ、そういえば俺、御使いだっけ?
完全に忘れてたな
「そうだったな、忘れてたよ」
蓮の胸に顔を埋めながら
魏の皆を思い出す
"キュ"と蓮の抱きしめる腕の力が
少し強くなった
「一刀…」
蓮の声に顔を上げると真っ赤な顔の蓮が
目をキラキラ…息をハァハァ…
ヨダレを垂らして見つめていた
「本当に惜しいヤツだよな!お前は!」
スルリと蓮の腕から脱出し
桜を抱えて席に戻る
桜を膝に乗せると機嫌が
戻ったのか俺の湯のみで
茶を楽しみ始めた
「あぅ~そんな~」
「がるるる…!!!」
ちなみに桜は番犬役
蓮の魔の手に睨みを利かせていた
「まぁ、その"御使い"と今回の件は
関係があるのか?」
と貂蝉に向き直った
「ふふ…そこが今回の要なのよん☆」
と人指差しを立てウインクした
「要?」
「ご主人様は人の型ではなく
"天の御使い"という型に
填められているわ。つまり
全てに置いて、上限が未知数なのよ」
Lv.??? 北郷一刀
CLASS 天の御使い
武器 八岐大蛇(八武一盾)
力???/防???/速???/知???
ということか?
おお!意味不明!
「勿論、努力は必要よ?」
今のところはこんなところね
Lv.45 北郷一刀
CLASS 天の御使い
武器 八岐大蛇(八武一盾)
力/350 防/350 速/250 知/450
やっぱりここ2年の修行が
よく出てるわね♪
「ちなみに私が」
Lv.60 貂蝉
CLASS 傾国の美女
武器 魅惑の肉体
力/1 防/1 速/10 知/250
女の子だものね♪と、くねくねする
「ヤレ…桜」
「うん♪」
「ひゃ!ウソ!うそよん!!」
狂犬桜の攻撃9999のダメージ!
貂蝉は倒れた…
「はい…修正します…」
シクシクと泣きながら
修正を加えた
Lv.89 貂蝉
CLASS 傾国の美女
武器 鋼の肉体/魅惑の水着
力/850 防/999 速/750 知/750
「ケタが違うな…」
防御/999ってどおりで何しても
効かないわけだ
「ご主人様もなれるわよ」
「はい!はーい!私は?」
と膝の上で桜が元気に手を上げる
「ダメよ…千葉周作…」
蓮が桜の肩に手を置いて
真面目な顔で首を振った
「あ…そうだね」
桜はごめんごめんと頭をかいて
お茶を飲んだ
もういいらしい
「?」
「女の子には秘密が
多いんですよ一刀様♪」
と空が新しい湯のみを手渡してくれる
「秘密ね…ズズ…」
「……というワケでご主人様。
少なくともあと2年はここで
修行して私たちを軽く超えるのよん♪」
「ちなみに呂布はどれくらいなんだ?」
「言わずもがな」
Lv.99 呂布奉先
CLASS 優しき天下無双
武器 方天画戟
力/999 防/999 速/999 知/500
(戦闘での知識直感/999)
…9のオンパレードって
「これを超えるのか?いや本当に人外…」
「だから、ご主人様には
人間を捨ててもらうのよ」
残酷なことをさらりと言うなよ…
不安を胸に千葉の夜は更けていった…




