表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日の華琳さん家  作者: 黒崎黒子
3/121

新たな出逢いと新たな世界

笑い声が聞こえる

多くの人が互いを思い

同じ思いで過ごす時間

寂しがり屋の少女は

多くの仲間を得られた


なのに俺をまだ覚えてくれている

ありがとう。愛する人。


寂しそうな顔を一瞬した少女の

頬を優しく撫でる


『ほら、君は一人じゃない』


前にいる少女の新しい仲間を見つめる


『そうね…』


傍らの少女が小さく笑い、呟いた


『はいはい、わかったわよ!桃香、雪蓮!』


待っていてくれた友の名前を呼び、歩き出す少女を見つめ、俺も微笑む


『…………ふぅ』


しかし、少女はふと立ち止まると…小さくため息を吐くと空を見上げる


『じゃあね!また会いましょう、一刀!』


あの夜と同じ…

彼女の背中しか見えなかったが…

心に愛する者の声が伝わってきた…


『あぁ…』


友の元へ歩き出した少女の背中を見つめ、俺は小さく頷く


『必ず、また会おう、華琳!』


朝焼けのように、眩しく世界が白んでいく中、少女の背中だけを見つめ、俺は再開を誓った


ゆっくりと、目を覚ます

掛けられていた布団を除け

ゆっくりと上体を起こす


「眠ってた…?ここは?」


周囲を見回すと驚いた

ここは…純日本の和室…?


「あ、起きた?」


黒髪のポニーテールの

可愛い少女が障子を

開けて中に入ってくる

身長は150cm

年は華琳と同じくらいかな?


「あ…」


一刀は女性の可愛いさに惚けてしまう


「…?なに?人の顔を見るなり惚けて

 あ、私の顔に何かついてる!?」


長い黒髪を揺らし真っ赤になりながら

顔をぺたぺた触り、わたわたする


「いや、顔には何もついてないよ。

 君があまりに可愛くてさ。惚けてた。」


手を振りながら答える


「そ、そう?良かった。

 って可愛い!?私が!?

 ばっ、ばか言わないでよ~///」


さらに顔を真っ赤に両手を頬にあて

首を振っていやいやする


「ははは…それで俺は何でここに?」


「あ…んと、昼間に星が流れて

 裏の山に落ちたんだ!びっくりだよ!

 それで、山に行ってみると

 君が倒れてたから拾ってきたの♪」


拾ってきたの♪って…

物か猫みたいに言うな…

いや。どうだ~♪って胸張られても…

って…胸あるな…


「そ、そうか…ここは君の家?」


「うん、私の家♪誰もいないし

 私一人だから、ゆっくりしてね!」


少女はにこにこと黒髪を尻尾のように

揺らして一刀を見つめる

何か…子犬みたいだな


「ありがとう、本当に助かるよ。

 あ、君の名前を教えてもらっても

 いいかな?俺の名前は…」 


そこで少女は俺の口に指を当て

にこにこする


「北郷一刀くん」


「え!?俺のこと知ってるのか?」



しまった、知り合いか…どうしよう


見覚えがない、相手に失礼だよな


「ううん、初めて会ったよ。」


少女は首を横に振り

一刀の言葉を否定した

知り合いじゃない、じゃあ誰?


「さっき、君を持ち帰る時に 

 "熊"に出会ってね。夕食もあるし

 捕まえてみたんだ♪そしたらね……」


…夕食か…もう、そんな時間…くま?


熊の手って、美味しいらしいよね

そうか…今日の夕飯は…熊…


「って熊!?危ないよ!大丈夫?

 怪我はないの?」


一刀は少女の身体を引き寄せ

全身をぺたぺたと触り

怪我がないか、くまなく確認する


「大丈夫だっ…て…ひゃん!?

 こら、どこ触って…ひゃ!

 …あん!…らめぇ!」


"ポカ!ポカ!"


真っ赤になった少女が一刀の胸を叩く


「あ、あぁ!ごめん!」


いつの間にか、布団に少女を

押し倒したような形になっていた

着物が乱れてほんのり染まった

胸元が見えてしまっている


「はぁ、はぁ、ばかぁ……」


乱れを直して布団から出た少女は

布団の横にちょこんと座る


「いや、本当にごめん。」


「もぅ……大丈夫だって。

 私、こう見えても凄いんだよ

 昔は生徒に武を教えてた人間なんだ♪」

えっへんと胸を張る

身長のわりに胸でかい…

身長は150

着物の間から覗く四肢はすらりとしてるが

胸もお尻もしっかり女の子している

胸はデラックスのD

確かに凄かったな……


「こ、こら!手をワキワキしないのー///

 思い出すな!恥ずかしいから!

 あれは事故なんでしょ!?

 ま、まさか、ワザと…」


大剣を抜き出す少女…

て!?どこから出した!?


「違う!事故!うん!事故だ!

 忘れる!すぐに忘れるから!」


手をブンブン振って無実を訴える

ここに来ても女難はSクラスかよ…


「もぅ…お願いね?一刀。

 と…で何だったかな…あぁ、そうだ」


少女は手をポン!と合わせて、表に出る

come!come!と一刀を呼ぶので

一刀も少女の後について行くことに


庭に出るとそこには


猿ぐつわをされ、両手両足を縛られ

逆さまに木に吊り下げられた

"熊"もとい"筋肉達磨"がいた


「もご…モゴ…ハァ…ハァ…モゴゴ…」


何かハァハァ言ってるし!

しかも、何か嬉しいそうだし!

少女は熊に近づくと竹刀を手にとり


"バチン!"


その肌を叩いた


「モゴゴ!」


ヒイィィ!何かビクビクしてる!!


「こら、熊、五月蠅いよ!」


"バチン!"


少女はまたも熊?に竹刀を叩きつけた


「もごーーーーー!…クテ」


あ、イった。だから、何でそんな

気持ち良さそうに!キモいから!


「静かになったね。さて、この熊が…」


「いやいやいや!熊じゃないから!

 むしろ妖怪だから!」


"きゅぴーん!"


さっきまで果てていた化け物が

目を光らせ暴れ出す!


"ブチ!ブチ!ブチ!!"


拘束具(縄)が妖怪の力に耐えきれず

音を立てて切れる

宙吊りの状態から妖怪は華麗に身を翻し

音も立てずに地面へ着地する


「だーれが、熊も逃げ出すような

 変態淫乱ドM妖怪ですって!?」


目を光らせて俺を睨んでくる


「そこまでいってない!」


「て!ご主人様じゃないのん!

 や~っと見つけたわよん☆」


ドドドドドド…!

うわ!こっち来た!

ハグ!Please!

グリポのオッサンみたいなムキムキ

マッチョがハグをせがんで走り

そして、飛んだ!


『会いたかったわん!ご主人様!

 さぁ!誓いのキスを~!』


「誓い!?そんなもの、お断りだー!!」

"さっ!さっ!"

あつ~い包容を、ひらりとかわすと

少女の後ろに隠れる


「あ、こら!一刀!?ひゃ!?また!

 どこ触って!あん!む、胸だめぇ!」


必死に少女に抱きつくために

揉みくちゃになる


「アイツ!本気だ!苦手だ!嫌だー!」


一刀は必死


「わっ、分かったから!離れてぇ!

 んん…!きゃん!うぅ…はぁ…あん!」


少女も必死


「ああん!ご主人様!そんな女と

 シッポリ、ズッポリ

 イチャつくなんて!私も混ぜてぇ!」


妖怪も必死


「誰が混ぜるか!この子は俺のもんだ!

 渡すもんか!」


一刀は混乱している


「な!?一刀!?そんな…私まだ、心の

 準備が…あの…優しく…してね?」


少女は覚悟している


「なら、奪い取るまでよん!御主人の

 ヴァージンは私が貰うわよん!!

 とおぉぉーーーう!!!」


妖怪は暴走している

結局、三人は日が暮れるまで

揉みくちゃになっていた……


「はぁ、はぁ、はぁ……」


少女は肩を上下させて、簀巻きにされた

二人を睨みつけていた


「一刀?」


「はい…」


なんということだ…冷や汗が止まらん!


「熊?」


「えぇ…」


妖怪も笑顔がひきつってるし


「落ち着いた?猛省した?」


にこにこと木に宙吊りになった二人を見る


「「はい…(えぇ…)」」


二人はコクコクと頷いた


「うん!良かった♪それでね、熊が…」


少女は吊した二人をそのままに話を始める

「いやいや、まずは下ろしてくれぇ~!」

縄の痕をさすりながら

一刀はことの経緯を聞いた

少女は星を追いかけ、山に入ったのだが

そこで俺を見つけたために拾って帰ろうと

したところ"この熊"が出てきたらしい


("熊"は何故か俺を探しており

 拉致られる俺を見つけたために

 少女に襲いかかったらしい)


少女は軽々と現れた"熊"を倒して

俺と熊を抱えて山を降りたらしい


「こんな小さい身体のどこに

 そんな力があるんだ?

 やっぱりあの胸に秘密が…」


「一刀…心の声が口からでてるよ♪」


にこにこと刀の切っ先を向ける

だから!どこから出した!


「"熊"が君の知り合いだって言ってね?

 沢山の事を教えてくれたの。

 半信半疑だったけど、君の反応で

 本当だって分かったよ♪」


えらいね~と筋肉妖怪の頭をぺちぺち叩く

少女よ、恐ろしいことをしてくれるな…

一刀は内心ヒヤヒヤである


「ぬっふん♪アナタが悪い奴じゃないって

 一発で分かったからよ

 だから、全てを明かしたまでよ☆」


「うそつけ!最初から見抜いていたら

 襲いかかったりしてないだろうが!」


「違うわよん…ご主人様…

 "一発で"って…言ったで…しょ…」


妖怪は手を地に付け"ズーン"と沈み込んだ

武力行使で全てを吐かされたのか…コイツ

そして、少女…お前はどんだけ強いんだ…

「昔から鍛錬してきたからね

 当たり前だよ~♪」


少女は照れる

いやいやいや!心読んだよ!?この子!


「ていうか…お前は何だ?

 お前は俺のこと知ってるみたいだけど」


くねくね、品を作りながら踊る

妖怪に問いかける


「どぅふふ…☆やっとこっちを

 向いてくれたのね~ご主人様☆」


謎の踊りがより激しくなる


"ビキ"


一刀の額に血管が浮き出た




「……で、何だお前は!」


額に血管が浮き上がる


「あ、振り出しに戻った…」


少女は後ろ髪を揺らしてクスクス笑う


「つれないわねぇ…まぁ、いいわん

 私は、しがない踊り子よん☆

 名を"貂蝉"あっちの世界から来たわ」


「…ビキ!…貂蝉だ…と…?

 お前が…国を傾けたほどの美女…貂蝉」


さらに血管が浮き上がる


「そうよん☆見事な踊りでしょ?」


くねくねくねくねくねくねくねくね


「ブチ!!」


「はい♪一刀くん☆」


一刀の様子に気づいた少女は

懐から刀を取り出し一刀に渡す

「感謝する…。おい、妖怪。お前は

 踊りという名の公共猥褻罪で斬首

 準備できてるな、よし!

 心おきなく逝けよ!テメェ!」


刀を脇に差す

右手を柄に、左手を鞘に

貂蝉に向かい駆け出す


「ぶるあぁぁ!!!誰が地球外から

 仲間を呼びそうな踊りを踊る

 妖怪ですってぇぇ!?

 しどい、しどいわ!ご主人様には

 教育が必要ねぇ~ん☆」


"きゅぴーん!!"


目を光らせ両手を広げて一刀を迎え入れる


一刀が貂蝉に迫り、抜刀

右腕のみで切り上げの一線を放つ!


紙一重で貂蝉はかわすと

右腕を突き出して一刀の頭を狙う!


一刀はそれを予測していたのか

鞘を脇から左手で抜き

貂蝉の頭を狙った


「もらった!!」


一刀は勝利を確信し貂蝉の顔を確認する


"ニヤリ"


貂蝉は笑っていた


「甘いわよん☆」


右腕を引き寄せ頭を守る

さらに右腕を引き寄せる反動で

左腕をカウンターで繰り出す


「まずっ!ぐは!?」


腹に鈍い衝撃を受け一刀は倒れた


「そこまで!」


手を挙げ少女は貂蝉の勝利を告げた


「いっ!本気で殴ったな!お前!」


一刀は腹を押さえて

よろよろと立ち上がる


「仕方ないわん、初めはちょっと

 揉んであげるだけのつもりだったけど

 ご主人様…予測以上にやるじゃない?

 あなたも思うでしょ?ねぇ?」


額の汗を拭い、貂蝉は少女に問いかける


「そうね……あ、一刀、一つ

 聞いてもいいかな?」


とことこ…!と一刀の元に走って来て

一刀の服の袖を"キュッ"と握る


「あ、うん。」


一刀は自然と少女の頭を撫でた


「一刀、流派はどこ?」


少女は真剣な顔で聞いてくる


「ん?俺のは爺ちゃんに習ったものだよ

 ていっても、かじった程度だけど。」



「じいちゃんが言ってたのは…たしか…」


「北辰一刀流」


一刀が思い出せないでいると少女は

小さい声ながらもはっきりと言った


「それだ!あれ?何で君が知ってるの?」

【北辰一刀流】

剣術と長刀兵法(薙刀術)を主とする流派

北辰夢想流と、中西派一刀流を統合して

北辰一刀流が創始された


北辰一刀流の組太刀(形)は

中西派一刀流のものとあまり違いはない


その剣術には一切の神秘性はなく

ひたすら技術のみを追求したもので

教授方法も極めて合理的

他の道場においては10年かかる修行が

この流派で修行すれば5年で

完成してしまうと言われる


「……そうなんだ。

 一刀、ウチで修行してみない?

 筋は良いし、身体も良くできてる。

 上達すれば、貂蝉にも勝てるように

 なるかもしれない。だから、ね?

 一刀、いっしょに…しよ?///」


うるうると真っ赤な顔で見つめてくる

少女は貂蝉を倒したほどだ

実力は十分にあるし

生徒も取るほどだから

その指導力も十分にあるのだろう


「え?いいのか?ありがたい!

 よろしく頼むよ!!」


少女の手をとりブンブンと握手を交わす


「あうあう…か、かずと…激しいよぉ!」

ブンブン振られて少女が目を回す


「あぁ、悪い!すごく嬉しくて、つい!」


「あうぅ………あ、そうだ

 私の名前がまだだったね!」


「あ、そういえば…」


タッ♪タッ♪と数歩ほど下がってから

全身が一刀に見えるように"くるり"と回る


「私の名前は"千葉 周作"

 よろしくね♪一刀☆」


少女はにこにこと笑った


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ