于禁 愛用・二天
「今まで、反魔、手甲、偃月刀、刀を
説明しました。それでは次に参ります
十字の頭に、中央と同じく髑髏の装飾が
あります。それを右に回してください」
頭の髑髏を右に回すと†の左右が開き
二本の柄が飛び出す
引き抜いて見ると二本一対の中華剣だった
髑髏の瞳は左右片方ずつ黄光が灯っている
「双剣か…元のものより短くて
厚みがあるね。重さも在るし
弾き、斬りが容易にできそうだ」
二本を思うように振ってみると
「あ…」
手から、すっぽ抜けてしまう
双剣の片割れは蓮に向かってまっしぐら
「ちょっ!?ハッ!!っ!?しまった!」
蓮は愛刀で片割れを弾く
弾かれた双剣は空に向かっていく
しかし…空はニコニコと
見ているだけだった
「空!避けろ!!!」
一刀は駆け出そうとするが
空は手でそれを征する
「!?」
空の前に来た刀は"グン"と
その軌道を変えてくるくると回りながら
一刀の方に戻ってくる
「何の冗談だよ!?くっ!」
突然、自分に剣が飛んでくるのだ
反応できず、多少の傷を覚悟で頭を守る
"パシ"
痛みはない…
恐る恐る目を開けると
飛んできた双剣は手に収まっていた
「えっ…何で…」
混乱している一刀に
笑顔の空が近付いてくる
「その子達は中華剣の中でも特殊でした
共に戦場を切り抜け
太平を謳歌し、長い時を過ごしために
二本一対の剣は
古く伝わる夫婦剣の域まで
独自に到達したんです」
「夫婦剣?春秋時代の
"干将・莫耶"のことかしら?」
刀を収めながら蓮が近付いてくる
何か恨みがあるのかしら?と見てくる
のも忘れていない
すまん、詫びは後で、とジェスチャー
蓮は途端に笑顔になる…後が怖いな…
「はい♪しかし…その子たちはどちらも
"雌剣"なんです。その点でいえば
姉妹剣と言っていいでしょう」
「姉妹剣…」
俺は両手の中華剣を見る
"キン♪"と肯定するように鳴いた
「その姉妹…恋してますよ…」
空の言葉に"ブルッ"と姉妹剣が震える
「恋する相手の元へ必ず帰って来ますし
持ち手の傷つけたくない相手は
絶対に傷つけないんです
恋する方の悲しむ顔を
見たくありませんものね♪」
「そうか…ありがとう…
頑張って君たちを使えるように
なるから…これから宜しくな」
と誓いを口にすれば
"キィン…///"と姉妹剣が小さく応えた
「ふふ♪それでは次に行きますよ☆」
空の言葉に頷いて俺は
姉妹剣を†にしまった




