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今日の華琳さん家  作者: 黒崎黒子
20/121

江戸は一歩先に開花した!

俺がしたのは極て簡単なこと

民の願いを聞いてその願い成就のために

必要な知識を与えていく、これだけだ


俺は神じゃないから一斉に願いを聞いて

一気に知識を与えるなんてできるわけなく

今はこうして3日に1回

皆を集めて対話していくしかないわけだ


民を奮い立せた日から半年…

遂に俺たちの元に吉報が訪れた

それも続々と…

様々な知識を与えてきた半年…

ようやくその芽が出始めたんだ


「御使い様!今日も大漁だったと!

 お父たち、目玉ひんむいて

 腰抜かしてるよ!

 あとでお礼に魚、届けさせるね!」


「あぁ、そりゃ有り難い!」


「御使い様!海もそうだが…

 畑も好調みたいですぜ!

 いや~『合成肥料』てのは

 大したもんだ!痩せてた土地でも

 芽が出てきやがる!これは

 今年の、収穫は期待できますぜ!』


「やったじゃないか!収穫の1割は

 畑に残すんだよ?それが積もれば

 痩せた土地も、肥えていくから」


「御使い様~!出来ましたよ~!

 御使いが教えてくれた『杏仁豆腐』!

 それと『ラーメン』『チャーハン』!」

「御使い様!こっちも出来ました!

 『ハンバーグ』『唐揚げ』『牛鍋』!」

「よし!それを!江戸の名物にするぞ!」


「こちらは衣装組!生地から織り直して

 御使い様の着てる生地に近づけました!

 さらには御使い様の考えた衣裳を再現!

 『セーラー服!』『ナース服!』

 『チャイナ服!』『ゴスロリ!』

 仕上がりました!」


「「「…おぉ!?何だいそりゃ?」」」


「試しに来て貰おうか…桜くん…蓮くん」


「か、一刀!?」

「え?何?今、ラーメンの試食を…!?」


"ぱん!ぱん!"


「はい、只今!移動式更衣室をこちらへ!

 さあ!周作様!弥九郎様!こちらへ!」


「か、一刀~~~!!!」

「ししょく~~~!!!」


程なくして、お着替え完了!!!

さあご覧ください!皆様!


「ど…どうかな…?」

「あはは♪これ、着心地いいわー!」


「「「ぉお…おおおおぉぉぉ!!!」」」


セーラー服を着た…桜……いい…♪

ナース服を着た…蓮……よいの…♪


"ぱんぱん!"


「はい、只今!二着目行きますよ~!」


刮目してみよ!!


「何かしっくりくるわね~」

「ふりふりして可愛いな…♪」


「「「オオオオオォォォ!!!!」」」


チャイナを着た…蓮…更に…誰かに似たな

ゴスロリを着た…桜…可愛いのは貴女です


「完璧だ!衣装組!!大義であった!!」


「「「お前たち、よくやった!!!」」」


俺の周りには皆の笑い声が響く


「懐かしいな…」


ポツリと一刀は呟いた


「…何が?」


ゴスロリの桜が小首を傾げて見上げてくる


「あぁ…魏に居た頃も同じように

 民や兵、将が毎日のように

 こうやって笑い合っていたんだよ」


一刀は民を見つめながら…

遠く魏での日々に思いを馳せる


「…江戸も…魏も…一刀が居たから

 みんなが笑える街になったんだよ」


「そうよ、一刀。貴方の知識で多くの人が

 生きる力を手に入れられたわ…

 貴方がこの笑顔を生み出しのよ…」


あぁ…ありがとう…蓮…。でも…

ラーメン片手に真面目に語られても、な

本当に…いつも惜しいな…お前


一刀が苦笑しながら2人に向けていた

目を民に向けると


民が皆…笑顔でこちらを見ていた


「あぁ、そうだ!御使い様のお陰だ!

 俺たちは覚悟と力の使い方を教わって

 願いを手にすることができた!

 必ず返すぜ…江戸の魂にかけて!」


「「「「ありがとう!御使い様!」」」」


「はは…いや…此方こそ、ありがとう」


一刀は頭を下げた


「やっぱり…お優しい方ね…」

「そこがいいところじゃないのさ」

「ふふ…違いないわ…」


「そうだ!旦那!話は変わりますが…」


「ん?どうした?」

「虎徹さんも手込めにしたって話

 本当ですかい?」


「ブッ!」


"キッ!"と予想される噂の発信元を睨む


「ずるずるず……さっ!」


見えたぞ。明らかに目を反らしたな、お前


「おい蓮」


「ず…ずるずる…あ、替え玉1つ!」


"バシーーーン"


「いったーい!乙女の頭を叩かないでよ!

 ていうか…それなに?」


「対・弥九郎用ハリセン」


"バシン!バシン!"と手を

叩きながら威嚇する


「破離旋…何て恐ろしい字面…あ、でも

 私専用なんだー。何か嬉しいなー♪」


と浮かれた声を出しながらも顔は引きつる

ゴクリと喉を鳴らし、冷や汗を流して

じりじりと間合いを計る


下手に動けば…ヤラれるわね………ん?


"にま~っ"と丼を片手に蓮笑う


「あ、でも…残念~♪受けて立ちたいけど

 先客いるわね~♪ほら♪ほら♪」


"ちょいちょい"と箸で俺の後ろを指す


「は!そんな見え透いた手に…引っか…」


待て…誰か忘れないか…?

ここで手を出したと知られたら…

いや、空とは未遂で終わったんだけど…

取り敢えず…バレたらヤバい人が…

確か…名前を…"嫉妬神!千葉周作!"


"ヒュン!"


後ろから殺気を感じて、迷わず前に跳ぶ


"すぱーん!"


「あた!!?」


その際に、ちゃっかりと蓮の頭に

ハリセンは叩き込んでおいた


間合いを離して後ろを振り返り

少女の名を呼ぶ


「さ、桜!誤解だ!話せばわかる!」


「一刀…虎徹ちゃんの話は本当かな?」


にこにこ


「いや!違う!」


「問答無用!!」


"シュッ!"


「聞いてください!」


刀をギリギリでかわすと近くの

民家の衝立を手にする


「一刀…ヤル気なんだ…へぇ…

 じゃあ…師範に楯突けばどうなるか…

 その身に教えて上げる…――――」


瞬間…声だけを残して周作は消える


「いや!結構です…よ!っと!」


右に跳ぶとさっきまでいた場所に周作が

刀を突き立ていた


「…避けたね…一刀……」


ゆらりと立ち上がって…消えた…


"シュ!ヒュ!ブン!"


「避けない…と!死ぬ…!…からな!」


首…脚…腹と立て続けの斬撃を棒で去なす

棒が斬れてないってことは…逆刃…

一応、手は抜いてくれてるのか


「むー!大人く…やられなさい!一刀!」


"ヒュン!ヒュン!"


「無理だね!"窮地でも諦めちゃだめ!"

 これ、俺の愛する人の言葉なんでな!」


"ピタッ"


「それ…私が言ったやつだ…わわー///」


桜は頬に手をあて真っ赤になる

その拍子に刀を落とす

刀は地面に刺さり主を失った


「…ふ。隙あり…」


桜を引き寄せて力いっぱい抱きしめる


「わ…わわわー///」


桜は腕の中でわたわた


「桜…俺は虎徹とは何もない…

 この世界では、桜としかしてないよ」


抱きしめ…桜の背中を撫でる


「一刀…うん…信じる。あ、でもね…

 蓮や虎徹ちゃんとも…シテいいんだよ?

 ただ、さっきは知らなかった話で…

 隠されてたのが…なんか…悲しかった」


「分かった。行為に及んだら…

 ちゃんと言う…桜もちゃんと愛す

 約束するよ」


「…うん///」


「桜…服…凄く似合ってるよ…可愛い」


「ありがと…///」


「はいはい…あんた達…終わった?

 周りを見て見なさいよ…」


赤くなった額をさすりながら蓮は

二人の横に立つ


「ん?…あ///」

「え?…わわわ!///」


民が周りをぐるりと囲んで固まっていた


「「「「お……」」」」


「「お?」」


二人は首を傾げる


「「「オオオオオォォォ…!!!!」」」

民たちから歓声が上がる


「「ひ!?」」


二人は突然のことに驚くしかなかった


「すげーな!おい!」

「あんな太刀捌き、見たことねぇ!」

「周作様!やっぱ、すげーな!」

「いやいや!御使い様もなかなかの腕だ」

「何にしても、面白い!

 いい土産話になりそうだ!」等々


二人の太刀捌きを賞賛する声が

あちらこちらから投げかけられた


二人はぺこぺこと周りに会釈する

しかなかった…


民は二人のそんな姿を見て

『やっぱ、出来る人は違うな!』

と更に関心するのであった




これは後の話だけど

江戸にある(卒門生が開いた)

北辰一刀流の道場には入門希望者

が殺到し道場主は歓喜したらしい

入門者に理由を聞くと皆、口を揃えて

『周作、恋慕の太刀回り』を語ったとか


この報告を受けた桜は顔を真っ赤にして

『もうやだぁ…///』とか言っていたな


あ、そうそう。民家から拝借したあの棒。太刀合いに使った為に

所々凹んでいたので弁償しようとしたら、家主は断固として

首を縦に振らなかった。そのままの状態でください!と言うので

その場は、渋々承諾した。が、後に聞いた話では

あの棒は『天の御使いの神器』としてあの家の家宝になったらしい


はは…んなバカな…


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