─再逢!─
晴天の大空を眺めて曹操が目を瞑り
頬を撫でる風を感じていた
『華琳さん!』
『ごきげんよう、華琳』
二人の女の子が曹操(華琳)を
見つけて呼び掛ける
彼女たちは
蜀の王・劉備と呉の王・孫策
今日は年に一度の祭りの日
魏を会場にして
三国同盟記念を祝う日であった
『久しいわね、二人とも。』
華琳は振り返り
久しぶりに会う二人の王を笑顔で迎える
『調子はどう?』
『あのね、こんど国で私塾を
作ることになったの。
他の国からも勉強したい人を
たくさん集めて、色んな事を教えて
いければ良いなって思ってるんだ!』
顔の前で指を絡め、照れた顔で
劉備こと"桃香"は答える
『へぇ、面白いこと考えるわね』
『だから華琳さんの所からも、いろんな
技術を教えられる人を、何人か派遣して
欲しいんだけど…』
指を絡めたまま…だめ?っと様子を伺う
『こちらからも学びたい者を寄越して
構わないなら考えてあげても良いわよ』
華琳は笑顔を浮かべて快く頷く
『もちろん大歓迎だよ!』
"ぱーー"と満開の笑顔を咲かせる桃香
『けれど、桃香…公に運営するなら
もはや私塾ではないわよ?』
"むーーん"と唸り、孫策こと
"雪蓮"が指摘をする
『うーん、だけど公塾っていうのも
何か違うなぁ…って思うんだけど…。
なんか良い名前ないかなぁ…?』
眉をよせ、頬に指を当てて
"むーーん"と桃香も唸り始める
『そうね、それなら"学校"とでも
名付けたらどう?』
と華琳が提案する
『学校…?』
桃香はコクン?と首をひねる
『学ぶところ…か。
良いかもしれないわね』
雪蓮は納得がいったのか
"うんうん"と頷いた
『学校…。うん、いいかも!
朱里ちゃんにも話してみますね!』
『そうだ、華琳。このあいだ、例の
工作設備が完成したわよ。
真桜には随分世話になったから、
よろしく伝えておいて。』
ありがとう♪と雪蓮も頭を下げる
『あぁ。あれは真桜がやりたいって
言い出したことだから…まぁ、
一応、伝えておきましょう』
二人の会話を聞いていた桃香が
口に手を当て、ふふふ…と不適に笑う
『ねえねえ、雪蓮さん。鍛冶の研究を
するなら、いい鉱石の出る山が
あるんだけど……』
『…抜け目ないわね。いいわ。
後で話を聞かせてくれる?
こちらも相談しようと思っていたし』
『ふふっ。任せてください♪』
桃香は手を"パン!"と合わせ笑顔で頷いた
『…大陸の女王たちが揃って何の話を
しているかと思えば。
なに?その面白みのない話題は』
『そうだぞ。そういうのは、会議場か
もっと公式の場でやれよ』
そんな三人に声をかける人物がいた
周瑜と公孫賛の二人である
『ま、たまにはこういうのも
良いんじゃない?』
二人の言葉に雪蓮は笑いながら答える
『今はそんな事にうつつを
抜かしている暇、私たちにはないわね』
華琳は頷き答える
『はい♪』
『そうね』
『ふっ、それもそうか』
華琳の言葉に、皆も微笑み頷いた
『だけど……
そろそろ話は終わりにしましょう
……今日の宴は桃香
あなたの主催でしょう?』
『はい♪それじゃ皆さん行きましょう♪』
桃香は先導して皆を会場へと誘う
『……ええ!』
華琳も頷き、皆の後を歩み出す
その時、歩き出す華琳の頬を
ふと風が撫でる立ち止まり風を追うように
空を見上げる
『素晴らしい国を作ってくれ…』
その時、いまだ忘れえぬ
彼の言葉を華琳は思い出した
『一刀…』
空を見上げ、愛する彼の名を呼ぶ
『一刀…私は私の物語でうまく主役を
しているわ。あなたは……どう?
うまくやっている?
次に会えたときは……別れてからの話、 たくさん聞かせてもらうわよ……
だから……いつかまた会えるときまで、
私も胸を張って生きるわ。私らしく……
あなたに笑われないようにね……』
『華琳さーん!なにやってるんですかー、
置いていっちゃいますよー!』
先を歩いていた桃香が手を振り呼んでいる
『ちょっと華琳、春蘭が変な料理
持ってきてるわよ。
なんとかしてくれない?』
雪蓮が呆れながらも、笑顔で待っている
皆が振り返り、華琳を優しい目で
見つめていた
『ほら、君はもう一人じゃない』
一刀の笑い声がふと聞こえた…気がした
『そうね…』
ふふ…と華琳は小さく笑い
『はいはい、わかったわよ!桃香、雪蓮!』
と、待っていてくれた仲間の名前を呼んだ
『…………ふぅ』
そして、小さくため息を吐くと
空をまた見上げ
『じゃあね!また会いましょう、一刀!』
心で愛する者へ再会を誓い
友の元へ歩き出した