己の手―そのとき女性たちは―
─畏れ(おそれ)─
その一言に尽きる感情が皆を支配していた
それは彼の護衛のために隣に立つ
私たちも例外ではなかった
"絶対に抗えない…抗ってはいけない力"
私たちの『闘気』とは違う
全く別の力…それを発するのは
隣に立つ、この世で最も愛する人
額に汗が浮かぶ…身体が震える
すぐにでも膝を着きたくなる重圧…
でも…身動きが取れない…
愛する人の顔を見れない…
見れば…確実に倒れてしまう…
『っ…一刀ぉ…怖いよぉ
…私…どうしちゃったの…?』
『くっ…凄いわね…私も上に立つ側…
だけど…ここまでの力…簡単には…
お目に掛かれないわよ…』
『本当に…一刀なの?…あの…優しい
一刀?いつも…頭を…撫でてくれる…
抱きしめてくれる…一刀?
笑顔を向けてくれる…一刀なの?』
『ぁ…意識朦朧としてきた…
参ったわね…正直…ナメてたわ…
見直したわよ…惚れ直したわよ…
だから…少し…休憩…っ!?』
『ぁっ…くっ…また…重圧が重く…』
『ちょ!冗談でしょ、これ!?
人間の域、 軽く超えてるわよ!
それこそ…神や仏…って…
あ、一刀、天界人でしたー!!』
『あれ?…何か…ふわふわしてきた…』
『あら?…何か…アレ…みたい…で…』
『『気持ちいい…かも…』』
『『ていうか…イッちゃう…かも///』』
『『っ!待って!今、叫ばれたら!』』
『『ダメ!もう!っ~~~~~!!!』』
『はぁ…はぁ…かずとぉ…』
『っ…はぁ…かずと…すご…い…』
「お疲れ様!2人共!…って、えぇ!?」
民の意識改革を終えて振り返ると
何か色っぽい女性が2人も立っていました
「ど、どうしたんだ?2人共…
顔真っ赤だぞ?」
2人の額に手を当てると
「「ひゃん!」」
変な声が聞こえました
「やっぱり、熱い…
悪いな…無理させちゃて…
帰りに果物を買って行こう…」
反応の鈍い2人の手を取り…帰宅を促すが
2人はもじもじとして、横に首を振る
「ちょっと…厠…」
「あ、桜…私も…」
そう言って名残惜しそうに手を離すと
そそくさと近くの店に入っていく
「あ…俺、やっぱり…
気を回すの下手かも…みんな…」
2人の姿を見ていたが結局、何も分からず
かつて、魏のみんなに
言われてきた事を思い出した一刀は
ポリポリと頬をかき、苦笑した




