表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日の華琳さん家  作者: 黒崎黒子
15/121

再会

「凄いな…」


工房へ入ると目に飛び込んできたのは

壁に備え付けられた武器の数々


「少し見てもいいかな?」


「ええ♪」


好奇心に駆られて部屋中を見ていく


刀…剣…弓…槍…斧…鎌…鉄球…ヨーヨー

ヨーヨー?


この巨大なヨーヨーは…


「ねぇ…コレって本物?」


「はい♪これは今は亡き魏の武将が

 使っていた武器です

 武器研究の為に取り寄せたんですよ♪」


「他にも魏の遺産って…あるかな?」


「はい!ありますよ!」


空は部屋中を回り集めて来てくれる


「これで全てですね」


槍:飛龍偃月刀ひりゅうえんげつとう

双剣:二天にてん

ドリル槍:螺旋槍らせんそう

ナックル付き手甲:閻王えんおう

巨大ヨーヨー:伝磁葉々(でんじようよう)


大鉄球:岩打武反魔いわだむはんま

弓:餓狼爪がろうそう

幅広の刀:七星餓狼しちせいがろう

そして…死神鎌:ぜつ


1つひとつ名を呼びながら

使い手だった少女たちを思い出し

愛おしげに撫でていく


「不思議ですね…武器たちが

 喜んでいるんです…凄く…凄く…

 一刀様…この武器たちをご存知

 なのですか?」


「ああ…よく知ってる…。そうか…再会を

 喜んでくれてるのか…」


懐かしき者たちとの再会を果たした一刀…


「一刀様…?」

「一刀…?」

「どうしたのよ…涙なんか流して」


3人は不思議そうに一刀を見つめる


「え?」


顔に手をやると指先が濡れた

泣いているのか…俺…


「はは…自分でも分からないけど…

 感情が高ぶってたみたいだ…

 この武器たちさ…俺の大切な人たちの

 使っていた物なんだ…」


"キィン…キィン…キィン…"


「…あら…」

「武器たちが…」

「泣いていますね…」


「っ………」


彼女たちの手前

一刀は涙が溢れそうに必死に耐える



そんな様子を見た桜が

一刀の頭を抱きしめた


「堪えないで…泣いていいよ…一刀」

「そうよ…私たちが隠してあげるから…」

「その方が…武器たちも喜びます…」


3人が一刀を優しく包む


「すま…ない…っ…うっ…ぐす…くっ…」


関を切ったように一刀は泣き出す


武器と一刀の泣き声を聞きながら

3人は静かに抱きしめ続けた



涙を拭い立ち上がる一刀…

少女達はその背中を見つめた


「空…この武器たちを大切に

 保管していてくれてありがとう…」


「ええ…この子たちを引き取って

 本当に良かったと心から思います。

 でも…こうなってはもう、手元には…」


空は寂しさが滲む笑顔を一刀に向けた


「え…!?」

まさか、破棄するのか!?と

驚いて空を見ると"いいえ"と首を振る


「武器たちは一刀様とまた会える日を

 願い…こうして一つも欠けることなく

 共に時を超え…貴方様に再会した

 それをまた引き離しては

 この子たちがあまりに

 不憫でしょう…?ね…?一刀様…」


だから…と愛おしげに武器を撫で

名前を呼びながら集めだす


「手伝うよ…虎徹ちゃん…」

「私も手伝うわ…一刀…少し待ってね…」

「今は虎徹と名乗っていますが

 私の旧名は、時をかける一刀様なら

 きっと、ご存知でしょう?

 旧名"古鉄"…古の鉄を使わせれば

 右に出る者は居ない… 

 そう、自負しておりますわ

 大丈夫…お任せください…」


空はそう言うと礼をして奥の部屋へ

入っていく


九つの武器が三人の手で運ばれていく


しばらくすると中から二人が出てきた


「一刀。刀は虎徹の腕を持ってしても

 半年はかかるわ…今日は帰りましょう」


蓮は手を取り笑顔で促してくれ


「一刀…大丈夫だよ!虎徹ちゃんの腕は

 本物だもの♪果報は寝て待て、だよ☆」

ごはん♪ごはん♪と桜は手を引いてくれた

結局…手を繋ぐのな…はは…!


一刀は二人の笑顔に励まされながら

しばしの別れを惜しみつつも

ゆっくりと帰宅するのだった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ