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プロローグ


 なんて無様な最期を迎えるんだ。体の複数の箇所から、ジクジクと痛みの波が私の意識を攫おうとする。もう意識を保っていたって、動けないのだから意味が無いと言うのに。生暖かい液体がどこかへ伝っていく。雨音のようにポタリ、ポタリと小さな音を立てていた。もう分かっていた。自分が悪い。誰にも告げずに危険な場所へ立ち入ったのだから。趣味で命を落とすことなんて、もしかしたら本望なのか? だとしたら無様ではないのか。いや、このまま私の体が見つからないまま朽ちていくとしたら、結局無様なことに変わりは無い。


 ただ、趣味で廃墟を巡っていたのだ。動画投稿サイトで見かけた場所を狂ったように情報収集し、その場所へ赴き、その雰囲気を楽しむ。危険はつきものだということも理解していた。が、まさか、その危険が今、こうして私の命を奪おうとしている。否、奪うのだ。まだ行ってない場所もあるのに、とか、そういえば明日の晩御飯は、とか、一通り在り来りなことを考えた末に出た答えは、まだ生きたいという意思である。現状意味の無い意思である。掠れた声しか出ず、呼吸もゆっくりとしかできなくなった。あとは待つだけだ。意思はあるというのに、どうしてこんなに受け入れているのだろう。いつの間にか、暗闇が目の端からやってくる。目を閉じていないのに。その暗闇は、とうとう私の目を覆った時、私の体は脱力したのだった。そのはずだったのだ。


 今までは、この世界にいた私の記録だ。そしてこれからは、次の私の記録である。

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