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過去編3


 


 私の学園生活について説明しよう。


 


 ゴティス魔導学園は国1番の生徒数をほこるだけあり広いキャンパスが存在している。コレは先先代くらい前の王様が学業を重視していた為、予算が投じられたからだとか。次代の愚王様に爪の垢でも煎じて飲ませてみたいものだ。


 周囲には学生の修行兼小遣い稼ぎの場のダンジョンも存在している。またそれらの顧客やダンジョンから出るアイテム目当ての商人も集まり大きな街を形成している。


 


 カリキュラムは座学をメインに据えているが、危険な世の中である、実戦形式の武術や魔術の講座なんかもある。授業の受け方は前世の小中高の様にクラス単位に分かれて授業を受けるのではなく大学の様に授業を選択して単位を取っていく形だ。


 つまり、上手く授業予定を組めば時間を結構作れるのだ。その時間を使いダンジョンに潜り、レベル上げとアイテム収集に性を出し、残りの時間でアルバイト(ネズミ講)をして来たわけだ。因みにレベル上げと言っているが実際にレベルやステータスが見れたりはしない。世間一般でも認識されてはいない。だが、戦闘を繰り返す事で明らかに能力の向上を感じるのだ。UI等実装されていない不親切設計なのだろう。


 


 そうして学生生活を送っていたある日ふと気付いたのだ


 


 


「あれ、私、友達いなくね?」


 


 


 先日、この1年間で出来た最も親しい間柄の人間を切り捨てたばかりである。他には顔見知り程度の間柄の人間しかいない。


 


「不味いですね、これは、えぇ本当に」


 


 何が不味いか?


 まず、効率が悪い。今後ダンジョンを攻略するにあたって固定パーティーが作れないのは不便だ。


 今の様に1人ではいつか限界がくる。いずれ集団行動をしなくてはいけなくなるだろう。その度に臨時でメンバー募集をかけるのは面倒極まり無い。


 


 2つ目に私のプライドである。世間にボッチとして見られるのは気分が悪い。


 


 最後に、いざと言う時のスケープゴートが無いことだ。


 先日のラ、ラー、えーっと、ラ何たらさんの様にピンチの時に責任を押し付け、逃げる準備を普段から仕込めないのは大問題だ。


 


 以上3つの理由から是非とも友人を作っておきたいのだがいかんせん時期が悪い。入学から1年以上、親しい者でグループは作り終わっている。そこに今更入って行くのは難しい。


 何かきっかけが必要だ。自然に、それでいて強い結び付きが作れる。そんなきっかけが。


 そうして悩みに悩んで私が出した結論が


 


「そうだ、スタンピードを起こそう」


 


 である。


 


 ダンジョンでは極々稀にスタンピードと言う魔物が溢れてダンジョンから出て来て周囲の人々を襲いはじめる現象が存在している。発生原因は様々だか不明なものも多く、全てのダンジョンで何時発生してもおかしくないとされているのだ。


 無論、この地を任される領主も対策を取っている。入り口の周りに堀を作り見張りの兵士も派遣している。しかし、起きるかどうかも分からないモノにそこまで大金も人手も常にかけ続けられない。一度起きてしまえば時間稼ぎにしかならないだろう。


 大事なのはこの際、ダンジョンを管理するダンジョン協会と呼ばれる組織は全ての協会に属する、所謂冒険者と呼ばれる人達に招集をかけ対処に当たらせるのだ。私もダンジョンに潜っているので当然所属している。


 そしてパーティーに属していない者は臨時のパーティーを強制的に作らされて対処にあたるのだ。この際メンバーは近しい年齢や実力で組まされる。


 


 そう私の考えはスタンピードを起こし、パーティーを組み、共に命をかけ戦い絆を作り、友人になろう!と言う物である。最悪また一緒に冒険しようぜ!と連絡先を交換出来ればOKである。


 


 そうと決まれば早速行動だ。確かゲームではダンジョンに強制的にスタンピードを引き起こすと言うマジックアイテムが存在していた。手に入る場所も覚えている。ココから北に1週間ほど行った山の中にある隠し遺跡にあった筈だ。


 


 犠牲になる市民や冒険者の方々には申し訳ないがコレも私のプライドと保身の為。どうか怨みを残さず死んでいただきたい。



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