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女子とかつての女子たちに

夏の終わりの海に

作者: 薄雪草



海辺にはすっかり人気がなくなって

流木がいくつか

寂しく転がっている


砂浜には角の取れた小石に混じって

磨りガラスになった青いかけら



あ、うみねこ

どこから来たの



波が打ち寄せる

誰もいない砂浜に降りてみた



ねえ



海に問いかけると

波が静かに応えてくれる

ただ、静かに



何て言っているのか

風が邪魔して聞こえない


目を閉じれば

風の音、波が打ち寄せる音


遠くから、話している声

もっと遠くから

何か、懐かしいような


いつか、どこかで聞いていたような──





今年の夏は終わり

何も なんにも

変化はなかったよ


少しは期待していたのに…



何を期待していたの?

夏の恋、それとも?



そういうんじゃない

でも何か、劇的な



劇的な?



新しくて、すがすがしくて

青空のなかを走りたくなるような



そういう、キラキラしたとき

毎日が楽しくてしかたないような



そういうのが、欲しかったな





ねえ、目を開けてみよう



瞼が暖かいような気がして

そっと目を開けてみた



視界に広がる水平線


ちょうど太陽が雲から顔を覗かせて

キラキラと海面が光っていて


なんとなく気分がいい



もうすっかり秋の風



なーんにも劇的なことはなし

おかしくないのに

なんか、おかしい


でも

これはこれで

悪くないかもしれない、かな






うみねこ、どこに飛んでいくの


犬が追いかけているよ

遊んでいるの、ねえ



高いね


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― 新着の感想 ―
何度も通った海岸通りには、「また来るね」「また来たよ」の繰り返しで、何十年と足が止まり久方に最近「また来たよ」。以前より綺麗になり、静かになっていました。海に話しかける私がいました。 今日も心穏やかに…
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