7.母の思い2
夏休みに入りましたので、なるべく週3投稿を目指します!
そして妃はまた話し始めた。
「記憶として覚えていなくても、心の深いところでは覚えているんでしょうね。 キアラが不利益を被りかけたら、全部自分が代わりになろうとするの。 本当に、困った子。」
苦しそうに笑う妃を見て、俺は確信した。
「何か・・・あったんですね。」
妃はなおも笑おうと努めていたが、こらえられなくなったのか、とうとう泣き出してしまった。
「あなたたちに言うべきことじゃないって、わかってる。 でも・・・私が、私が守れなかったせいであの子たちは、ベント男爵に汚されてしまう・・・! あんな人でなしにっ、女をモノとしか認識していないような人間に・・・っ! あぁ・・・っ、ごめんなさい、アメリア! ごめんなさい、キアラ! ごめんなさい、陛下ぁ! もう私一人ではどうすることもできない・・・! ごめんなさい・・・」
声を抑えて静かに泣く、妃の悲痛な叫びが、心にひどく突き刺さる。
母も亡くなる直前、妃のように俺を守れなかったことを悔やみ、泣き叫んでいたからだ。
俺の魔法の力が発現してから、自らも王妃に嫌がらせと言えないレベルの辱めを受けていたはずなのに、子どもの前では明るく努めることがどれほどつらいことか。
母は強いなと、唐突にそう思った。
どこの母も子を守る気持ちは同じなのだなと。
・・・しかし、他人が目の前でこんなに泣くのを見ていると、さすがに心が痛んでくる。
ラインハルトも同じことを思っていたらしく、困ったように眉を下げて、口を開けたり閉じたりを繰り返し、かける言葉を探しているようだ。
目を閉じてどうするべきか悩んでいると、瞼の裏に焼き付いた、明かりに照らされ金に輝いた白銀の髪と、煌めく赤い瞳が脳裏にちらついた。
その瞬間、数度しか見ていない彼女の表情、仕草、そして瞳の奥の強い光が鮮明に浮かんできた。
そして、今までに見たことがないはずの彼女の幸せそうな笑顔、あなたのことを愛していますと言わんばかりの美しい笑顔の数々。
所々に不安そうな顔や、怒ったような顔・・・泣いている顔などがあり、最後に見えたのは、今までで一番美しい綺麗な笑顔で微笑んでいた。
何だこれはと思ったとき、不意に思い出した。
先見夢
ジルディアス帝国の皇族、つまり、ギアパンタスの名を持つ者だけが見るという夢。
寝ている間に見る者もいるし、白昼夢のように見る者もいるという。
どちらにしろ皇家特有のものであるため、これを持つ者は皇帝になるという決まりがある厄介なもの。
一瞬の出来事だったが、これは先見夢だろうと理解した。
・・・・・・マズいことになった。
先見夢を見ると、目の中に淡く光る魔法陣が刻まれる。(この目を先見眼という)
これは死ぬまで一生消えない。
これだけだとどうってことはないのだが、この先見眼を持つ者は皇帝になるという決まりがあるじゃないか!
父が亡くなった当時、兄も俺も先見眼を持っていなかったので兄が即位した。
しかし、だ。
俺が今、先見眼に目覚めてしまった。
つまり、俺が皇帝になる条件を満たしてしまったのだ。
兄よりも皇帝にふさわしくなった、と。
よって・・・
「・・・あぁ。」
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