2.アメリア視点
週一投稿になります(-_-;)すいません!
私はエトランゼ王国出身の踊り子。
母と双子の妹と共に、ある旅芸人の隊で私は踊り子、妹は楽師、母は料理人として働いている。
父は誰だかわからない。
母は、父や私たちが生まれる前の話をしたがらず、聞いても曖昧に微笑むだけで何も言わない。
でも、私たちは幸せだった。
父がなくとも兄や姉、弟妹のような存在の子がいたから。
ある日、わたしたちは隣国であるジルディアス帝国の建国祭に参加した。
この国は最近皇帝が変わったばかりの国で、これが今の皇帝になって初めての建国祭だった。
だからかとても盛大で、王都に入った時は柄にもなくはしゃいでしまった。
公演の準備をしていると、買い出しに行っていた妹たちが帰ってきた。
「おかえり」
「・・・ただいまぁ・・・」
妹に声をかけると、妹はどこか夢見心地のほわほわした顔で返してきた。
行った先で何かあったのかと思い、ほかの仲間に顔を向けると遠くのほうを見てため息をついていた。
「何かあったの?」
「・・・いや、聞かないほうがいい」
「?」
とりあえず何かあったことは間違いないので、妹のキアラに聞くことにした。
「キアラ、どうしたの?」
「さっきね、変な男たちにかどわかされかけたの。その時に助けてくれた人がいたんだけど、その人がすごくかっこよくて」
「へ、へぇ・・・」
「騎士様っぽい人だったんだけど、すごく優しくて強かったの」
(拝啓、神様・・・ナイスタイミングッジョブです・・・っ!)
というのも、キアラはエトランゼ王国の好色ドスケベ色狂い男爵に美貌と楽師としての腕を見初められ、建国祭の後28番目の妾として嫁ぐ予定だったのだ。
この男爵も見目が良ければいいのに、小太りでハゲかけた頭の、脂ギットギトの中年だから、大分キアラも嫌がった。
もちろん私や母、仲間たちも反対したのだが、脅されて何も言えなかった。
でも、これで少しは状況が改善されるかもしれない。
「良かったわね、キアラ。その人の心を掴めば、あなたはヤツのところに行かなくて済むのよ。頑張って!」
「うん!」
嬉しそうに応えた後、あっと表情を曇らせ、
「でも、そしたらアメリアが行かないといけなくなる・・・」
と、つぶやいた。なんて優しい子なんだろう、こんな優しい子なら嫁の貰い手などいくらでもあるだろう。
何としてもこの子だけは守らなければ。
でも、そうだったわね。
忘れていたわ、キアラがダメなら私を、私がダメなら母を、という話だったのだ。
(まぁ、何とかなるだろう)
と思っていると夕飯の鐘が鳴った。
「わ、もうこんな時間!今日は公演なんだから、その顔、何とかしなさいよ」
「え、そんなひどい顔してる?」
「頬がゆるみすぎ」
母のところに向かいながら話すアメリアの頭には、もう公演のことしかなかった。
それから数時間後、私は舞台に立っていた。
全体的に透けた薄い生地をまとい、かがり火をたいた広場の台の真ん中で演奏の始まりを待つ。
その時ふと、一人の男が目に入った。
王侯貴族のような立ち居振る舞いをしているのに、貴族にしては粗末な見た目をしている男。
麗しい顔に寂しげな、それでいて悲しげな表情を浮かべた人。
たくさんの人々の中で、やけに目についていた。
でも、音楽が始まったので目をそらし、いつもの慣れ親しんだ曲を踊りだした。
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