表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/17

城からの脱出

 薄暗く、二人が並んでギリギリ通れるくらいの道をフーガ達は進んでいく。



「このまま、誰もいないといいんだが」

「……いない、よね?」

「分からない。だが、いてもなんとかするよ」

「フーガ……」



 コツコツと靴と地面が擦れる音が響く。


 この空間と緊張感の中では、より不気味さを醸し出していた。


 数分とも数時間とも感じる時間、フーガ達は抜け道を歩いていた。



「……誰とも出会わなかったな」

「良かった……これで……」



 抜け道の出口付近で二人は話していた。


 様子を伺って外に出る。


 兵士はいない。



「……まだ、城の中を探してる……のか?」



 フーガはぼそりと呟く。


 流石にここまで出会わないのはおかしい。


 作戦が上手くいっているだけ?


 実は既に罠に嵌められている?


 間違っていないだろうか。このまま進んでも良いのだろうか。


 フーガは不安でいっぱいだった。思考がごちゃごちゃとまとまりなく、色んな可能性が頭をよぎる。



「……フーガ? 大丈夫?」

「あ、ああ」



 不安を感じたまま、フーガはサーシャへ返事を返した。


 サーシャに心配をかけてはいけない。


 大丈夫だ。


 きっと、作戦は成功する。


 フーガは自分に言い聞かせる。確証がなくともたとえ罠だとしても、戻るなんて道はない。


 フーガはサーシャの青い瞳を見た。瞳には不安そうな色が滲んでいた。



「行こう。大丈夫だよ、サーシャ」

「うん。……ありがとうフーガ」



 人気のない街の裏路地を二人は駆けていく。


 数人、人とすれ違ったがフーガ達を気にかけるものはいなかった。


 周りは静かで、空は薄らと白んでいた。


 夜が明ける。


 フーガとサーシャはひたすら国境を抜けるために、街の端へ走っていた。


 どうか、どうかこのまま無事に逃げられますように。


 二人はそう心で祈りながら、不安も心配も相手には悟られないように、平気なフリをして進んでいった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ