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脱走

 フーガとサーシャははぐれないように手を繋いだまま外へと走り出した。


 あらかじめフーガが考えていたルートで、できるだけ素早くされど見つからないように城の内部を駆けていく。



「おい! 女が脱走したぞ!」



 フーガ達が抜け出してきた地下室の方向から怒号が響いてきた。


 地下室を見に来た警備員が、異変に気がついたのだ。


 その声に反応して、警備員以外にも使用人たちが続々と飛び出してきた。



「……サーシャ、こっちだ」



 フーガはサーシャの手を引いて、別のルートを使おうと試みる。



「探せ! まだ近くにいるはずだ!」

「お前はあっちだ! 俺はこっちを探す!」

「絶対に逃がすんじゃないぞ!」



 人の少ない時間とルートを選んだにも関わらず、フーガ達の行く手を数多の人が遮る。


 フーガはサーシャを近くに引き寄せ、隠れられそうなところに身を潜めた。


 二人が身を潜めている横を、バタバタと慌ただしく人が走っていく。



「……くそっ……人が多いな」

「フーガ……」

「大丈夫だ」

 


 焦った様子で小さく毒づくフーガに、サーシャは不安そうな顔をする。


 それに気がついたフーガは、サーシャを安心させるように強い口調で断言した。


 周りの様子を伺い、外に出るタイミングを図る。


 しかし、待てば待つほど、脱出は厳しくなっていた。人は多くなり、いつここに隠れていることがバレるかも分からない。



「もう少し先まで行けば、抜け道がある。……そこまで走れるか?」



 サーシャにだけ聞こえるよう、耳元でフーガは囁く。


 サーシャはフーガの目を見て頷いた。



「あいつがここを右に通り過ぎたら、反対方向へ走るぞ」



 再び頷いたサーシャ。


 フーガは隙間から様子を伺い、その時を待って……飛び出した。



「……なっ!? おい! こっちにいたぞ!」



 背後で音がした男は振り向き、声を張り上げた。


 フーガとサーシャはその声を聞きながらも、振り向かずに走り続ける。



「待て!」



 目の前に使用人と思わしき男が現れた。



「……退けっ!」



 フーガはその男を蹴り飛ばした。


 男は腹に蹴りを喰らいよろめいた。


 その隙にサーシャの手を引き、フーガは前へ進む。



「……ぐっ……ここに脱走者がいるぞー!」



 取り逃した男は、声の限り叫び援軍を呼んだ。


 次から次へ行く手を遮る者が現れる。


 フーガはその都度、彼らを攻撃し道を作る。



「邪魔……すんな……っ!」



 走り回り、何人もの相手をしたフーガはかなり疲れた様子だ。


 サーシャも息を切らして辛そうにしていた。

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