三年後
王子は王となり、聖女ルミナは王妃となっていた。
フーガとサーシャを見つけることはできなかったが、二人はそのことに気がついてはいなかった。
フーガとサーシャは自分たちの死を偽装したからである。
バレないように脱ぎ捨てた服を用いて、名も無い身元不明の死体に着せて身代わりにしたのだ。
王子はそれを見つけ、悪女は死んだと判断した。ルミナは偽装を疑っていたものの、王子の判断に従った。
邪魔をされなければ問題は無い。どうせサーシャがこの国に戻ってくることは無い。ルミナの思惑は成功していたからだ。
二人は国民から厚い信頼を得た。素晴らしき指導者と称えられ、麗しき王と麗しき王妃と囁かれた。
そして、二人の間には可憐な王女が生まれていた。
一方、フーガとサーシャは慎ましく、だけれども幸せに暮らしていた。
小さな小さな村はいつしか栄えて一つの街になっていた。
街の住人達はフーガとサーシャの素性を知ることは無かった。知ろうと詮索することも無かった。
ただただ何も無い平凡で理想的な日々を二人は過ごしていた。
「……ねぇ」
「なんだ?」
「……助けてくれてありがとう。一緒に逃げてくれてありがとう」
「急にお礼なんてどうしたんだよ……」
「前に約束したでしょ?」
「え? ああ、うん……」
「これからも、よろしくね」
「ああ。こちらこそ」
青く、澄み切った空だった。木々の緑の葉が風で微かに揺れていた。
そんなのどかな日々の中で、そんな会話が緑と青の中に溶けていった。
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