夜
山の麓までフーガ達がたどり着いた頃には、陽は沈みすっかり夜になっていた。
「今日はここで野宿をしよう」
洞穴を見て、フーガは言った。
小さい洞穴だが、二人くらいならば多少窮屈でも入ることができる。
雨風も凌げ、人からも見つかりにくい。
休むには格好の場所だった。
「……かなり歩いたね」
「そうだな」
「怪我は大丈夫?」
「これくらい平気だ」
野宿の準備をしながら、二人は言葉を交わす。
あらかじめ持ってきていたもので火をつけ、暖を取る。
フーガは食料と着替えをサーシャに渡した。
「これは……?」
「いつまでもその格好じゃ不味いだろ。変装にもなるし今のうちに着替えておいた方がいい」
「分かった。……ちょっと後ろ向いててね」
「も、もちろん分かってるよ」
フーガはサーシャを視界に入れないように後ろを向いた。
衣擦れの音がフーガの耳に届く。
フーガは、そちらに気を取られないようにしながら自らも着替え始めた。
「……終わったよ」
「あ、ああ」
「あれ? フーガも着替えたんだ?」
「一応な。僕も姿を見られたかもしれないし」
「そっか、そうだよね」
互いに動きやすく、それでいて体のラインや顔が隠れる服装になった。
フーガとサーシャは、言葉少なに食事を取る。
一日中動き続けたため、どちらも疲労困憊だった。
黙々と食事を食べ終え、簡素な寝床で体を横にして休む。
「明日、早朝から移動しよう」
「うん」
「また動き続けることになるから、しっかり休んでおいてくれ」
「分かった。フーガもね」
明日のことを簡単に話し、二人は眠りについた。




