国境越え
「……兵士が……」
上手く人目をかいくぐり国境沿いへとたどり着いたフーガ達は、そこで立ち往生していた。
国境を越えられる場所に多くの……あまりに多くの兵士がいたからである。
「フーガ……どうしよう」
「……サーシャ……」
不安そうな顔をするサーシャ。フーガとは大丈夫だ、と言いたかったが状況がそれを許さなかった。
フーガはサーシャと共に身を隠し、様子を伺いながら考える。
正面突破は無理だ。あまりにも敵が多過ぎる。サーシャを守りつつ突破するのはできない。
しかし、このまま街に留まり身を隠していてもいつかはバレる。
むしろ、街の監視は強くなる一方だろう。国境の兵士も増えていくだろう。国境を超えるのは早い方がいい。
だから今が最も動くのに適している。あそこを抜ければ山や森で視界が悪い。身を隠しながら隣町へ行き、そこから更に遠くへ逃げられる。
だが、どうやって? どんな手を使ってあそこを抜ける? 兵士を出し抜くにはどうすればいい?
焦り、不安、緊張……たくさんの感情がフーガを追い込む。
息があがり、心臓が痛いほどに激しくフーガの胸を打つ。汗が背中を流れ落ちる。
サーシャはそんなフーガの様子を横で見ていた。
私が、頑張らなきゃ。いつまでもフーガを頼っているわけにはいかない。なにか、なにか考えよう。フーガと一緒に逃げるために。
サーシャはそう考え、周りに目を凝らした。なにか使えるものがないか探す。
辺にあるのは薄汚い空き箱や空き瓶、ネズミの死骸に昆虫の死骸。破れて中からカビの生えた小麦粉が漏れている袋。
「……フーガ! 私、考えがあるの」
「えっ……?」
サーシャはフーガに耳打ちする。
フーガは話を聞き、目を丸くした。
「どう……?」
フーガは一瞬考える素振りを見せた後、大きく頷いた。
「やろう。それで……どうにかしよう」
フーガ達は急いで必要なものを周りからかき集めた。
そして、即席で国境を越えるための道具を準備した。




