第9話
救急室からセリアが現れた。
疲れた身振りながら、
落ち着いた眼差しをし、
「安静状態に入りました。」
と、皆に話し掛けて来た。
『ありがとうございます、セリアさん‼ よ…良かったです…‼』
もう、他の言葉など無いと言わんばかりに、大きく喜ぶ38と。
「野郎、勝手にくたばるのだけは、
何とか回避できやがったか…。」
心底、これが回避できて良かったという身振りで、
呟くケビン。
「もう、素直じゃないなケビンは。
ロクスリー君が無事で嬉しいなら、
38ちゃんみたく、素直に、そう言えば良いのに。」
と、核心を突いてユリンが話すが、
「違うっての! 勝手にくたばられちゃ寝覚め悪りぃからだよ!」
尚も、典型的で分かり易いツンデレ具合を見せるケビン。
「ケビンのツンデレ具合、
きっと、世の、お姉様方に、
ご飯3杯や5杯どころか、
10杯くらいの熱狂的な人気になるよ!」
自信たっぷりに、そう、笑顔で、のたまうユリン。
「いらねぇっての! そんなの!」
テメェみたいなのばっかりに好かれてたまるかと、
ユリンの近くから身を避け、
付近から身を離すケビン。
そのユリンとケビンを尻目に、
「でも、ロクスリー君が無事で居てくれて、ホンマ良かった…。」
ロクスリーの無事に、
心底ホッとしたと言わんばかりの大きな安堵を見せるミケ。
そこに、艦の修繕作業を任せていたマカロニが顔を出す。
「ふぅ…。
相変わらず、完全に修理するには部品が足りませんが、
部品が無くても直せる所は修理して来ました。」
直せない所があった割に明るい口調で話して来るマカロニ。
そのマカロニに、
「おお! 助かるで、マカロニ!」
大喜びで、ミケが声を掛ける。
「と言っても、エンジン系の部品が、丸で足りず、
非常用エンジンすら動かず、航行不能です。
戦闘は、まず無理ですね。」
口調は、先ほどの明るい口調のままだが、
少し表情が翳るマカロニ。
「部品が無い中で、ここまで出来たら充分だよ!
後は、ザインやシュメルたちを迎撃する番だね!」
リッドの、その言葉に、皆が頷く。
「セリア!
手術が終わって直ぐだが、
ブリッジに上がって、レーダーでラフィンスカルの機体反応チェック!」
バーダックの、その指示に、
「了解です! 艦長!」
ミケたちと急ぎブリッジに向かうセリア。
ブリッジに上がり、
早速、レーダーをチェックし出すが…。
「今のところ、特に反応は…。…うん?
こ…これは!? リーダー!
ラフィンスカルと思われる部隊の反応!
北東に8機ほど、ゲズが現れました!」
今、調べたばかりの割に、詳しく調べ上げて報告するセリア。
その報告に、
「来たか‼」
バーダックだけでなく、
トロイメンカッツェ各自が、
戦闘態勢に入る。
パイロットメンバー全員でGデッキに望み、
「クッ…。
ケビン! 頼む!
で、殲滅し次第、帰還や!
まずは、手数を確保して、何が来ても、大丈夫な様にしとく!」
まずは、ケビンに指示を出すミケ!
「了解だぜ、姐さん!
ケビン=ブロッサム! ラーゼンレーヴェ! 行くぜ、相棒ッ!」
指示を聞く前から出撃する気マンマンだったらしく、
すぐさま出撃が完了する!
「出たな、ラーゼンレーヴェ!」
ゲズたちが、ラーゼンレーヴェに気付く。
「オマエはオレたちが、撃墜させて貰うぜ! へへへ!」
下卑た笑みを浮かべ、
こちらに迫って来るゲズたち。
しかし、8機のゲズが居るだけで、
ザヌスやガトナス等の、
他のGが丸で居ない⁉
なのに、
このラーゼンレーヴェを待った挙句、
狙って来てる⁉
「アン⁉
頭沸いてんじゃねぇか、テメェら⁉
ゲズばかりで、
オレのラーゼンレーヴェが落ちるとでも本気で思ってるんだったら、
すぐさま、その儚ねぇ夢、覚ましてやるから、
全機で、一斉に掛かって来な!」
右腰からAトライバレルを抜き、
レーザーソードにして、右手で構え、左手でクイクイとゲズたちを呼ぶ!
「舐めやがって! 行くぞ! オマエら!」
余裕の動きのケビンに、
一気に、8機全機一斉に、
挑み掛かるラフィンスカルたち!
「良し! せめて、そのくらいは来て貰うぜ!
行くぜ! アリーエルスラスター!」
まず、アリーエルスラスターで、加速し、
その加速の中で、ミサイルポッドの弾幕を張り、
その弾幕の中から、左腕のレーザーガトリング砲で、
迫るゲズ1機のツインアイを破砕!
返す刀と言わんばかりに、新たなゲズに、
Aトライバレルのレーザーソードを突き刺し、
振り抜き、両肩のパルスレーザーガンを射出!
更に、Aトライバレルを、
レーザー射撃モードにし、レーザーを放ち、
アリーエルスラスターで加速しながら、
左手の甲からスタンアンカーを放ち、
スタンした相手を更にアリーエルスラスターを使用し、
超加速で、蹴り飛ばす!
「ヒッ⁉ ヒッー⁉ こ…この動きが、アリーエルスラスターか⁉」
残ったゲズたちが、ほうほうのていで逃げ始めるが!
「逃げれると思うなよ、ザコ共!
こうなったら、
全機仕留める為に大盤振る舞いだ!
アリーエルスラスター! 行くぜ、オサフネ!」
確実に、自機1機だろうと、
全機仕留めると言わんばかりの全力全開の動きに、
「まあ、あっちはアイツに任せりゃ何とかなんだろ!
セリア! 他にラフィンスカルの奴らは、こっちに向かってないか⁉」
そこはケビンに任せた!という風のバーダックが、
セリアに他の箇所のラフィンスカルの状況を聞く!
「今のところ、レーダーに反応は……。
うん⁉ これは⁉
艦長! リーダー! レーダーに反応アリ!
艦の南の方から、4機ほど、ゲズが来てます!」
急ぎ、レーダーの反応の報告をし、
4機のゲズの進入の報告を直ぐさま行うセリア!
「ゲズで4機のみ…。
しかし、相手は、あのスナッチャーザインの部隊…!
どうする、ミケ⁉」
いくらゲズ4機のみとはいえ、
スナッチャーザインのラフィンスカルの部隊を侮るのは危険過ぎる!
しかし、あまり味方部隊を戦局序盤から大っぴらに使うワケにもいかない!
そんな事をして、戦局中後半で、
味方部隊の人員が、まるで足りない中で、
各所で、多量の敵に一度に挑まれる事になれば、
まず、こちらの戦力が足りなくなる恐れがある!
「ユリン! エンジェルシード!
4機の敵を抑えて来てや!」
殲滅ではなく、抑えろとのミケの指示に、
「おっまかせー!
よーし! ユリン=エメラルド!
今日は、ロクスリー君の仇で、
抑えろって言われたけど、
徹底的に撃ち込んで叩きのめしちゃうんだから!」
Lトライバレルをバレットで構え、
手前の相手に撃ち込み、
直ぐレーザーに変えて、
良く当てれる様にする為に、
先に相手のゲズのバズーカを、
そのスーパー重装甲なボディーで受け切り、
Lトライバレルのレーザーで、
1つ後ろのゲズの頭部を撃ち抜く!
「こ…こんなにバズーカをぶつけて無傷⁉」
「その上、砲撃戦で、こっちがボコられてる⁉」
「あれが、エンジェルシードか⁉」
残ったゲズたちから、悲鳴の声が上がる!
「南も、ユリンだけで抑えられそうか!
セリア! 他の箇所からは、まだ進入なしか⁉」
南のユリンの活躍に、そこはユリンに任せ、
他からの敵の進撃が無いか聞くバーダック。
「南東に新たな部隊!
ゲズとジーナの部隊です!
ザイン機とシュメル機の反応は、まだありません!」
ザインとシュメルが居ないとはいえ、
相手は、仮にもラフィンスカルの部隊!
「できれば温存しておきたかったけど、しゃあない!
マカロニ! 南東の敵部隊を迎撃!
殲滅でき次第、ユリンと合流や!」
ザインとシュメルなしで、ゲズとジーナだけの部隊!
油断は出来ないが、時間さえ掛ければ、
マカロニだけでも、
十分殲滅できる機体構成!
「了解です!
ザインたちは、まだ出てませんが、任されました!
ロクスリー君の敵討ちの為にも!
ロイド=ノーマン! 南東の部隊を! 徹底的に、叩いて来ます!」
出撃し、敵部隊から2キロほど離れた場所で、
背部から右肩にマウントして、
遠距離用大型レーザーキャノンを展開し、
相手を良く狙い澄ませてから解き放つ!
「な…何て砲撃だ⁉」
「キロ単位の距離から正確に届かせて来る砲撃だと⁉」
遠距離用大型レーザーキャノンの一方的なレンジに、
悲鳴を上げるゲズやジーナのパイロットたち!
「リーダー!
シュメルは、まだですが、
北西にザインのブッサルト率いるラフィンスカルの本隊が出現!」
急ぎ伝えた、そのセリアの報告に、
「シュメルは、まだやけど、ザインを自由にするのは危険や!
…こんな時…ロクスリー君が居てくれたら…!
クッ…! ミケ=スターライト! タイニーダンサー! 出るで!」
シュメルは、まだでも、
ザインをまず抑える!と、
ミケが直々に、ザイン本隊を抑えに、北西に出撃する!
「来てやったぜ! アヴァドン!」
本隊の後部側に陣取り、
ゲズやジーナやガトナスやザヌスだけでなく、
ザヌスとガトナスを足して良い所取りした様な、
FGの中でも発掘数が少なく、希少で、
その分、高性能なFGである、
ディルグという機体たちまでも従え、
多数の部下に囲まれ、悠然とミケを迎えるザイン!
「ザイン!」
トライバレルを抜き、
「ロクスリー君の仇!」
多大なレーザーマガジンの残存ENを使い、
レーザーをチャージし、チャージレーザーを、
ディルグやザヌスの混じったラフィンスカル本隊に放つ!
「アリーエルスラスター! 行くぜ、オサフネ!」
超加速で、
Aトライバレルすら凌駕する出力の、
オサフネで斬り付けるケビン!
「まるでギシアン成分ないけど!
今日は、徹底的に撃ち込んじゃうんだから!
いっくよー! バレット!」
相手のバズーカの砲撃を、
そのスーパー重装甲ボディーで受け切り、
お返しと言わんばかりに、
Lトライバレルのバレット弾を、
撃ち込むユリン!
「おやおや、遠距離用大型レーザーキャノンを嫌って、
急ぎ、近付いて来ますね。
しかし、近付いてくれれば、
バズーカやレーザーランチャーの射程に入ってくれて、
助かる部分もあるんですよね。」
左手でレーザーランチャーを支え、
右手でグリップを握り、
急ぎ近付いて来たゲズとジーナたちに、
この距離も、ボクの撃ち込み易い距離ですよ、
と教えるマカロニ!
「数は、ようさん揃えたけど、
数だけ揃えただけで、うちらが有利みたいやで?」
浮遊し、敵の砲撃をかわしながら、
トライバレルのバレットを撃ち込みつつ、
ザインたちに、自身たちの有利を告げるミケ。
「単細胞なんだよ、テメェら! 野郎共! 今だ!」
そのザインの掛け声を合図に!
「な…⁉ 増援⁉」
アリーエルスラスターとオサフネの併用で、
一気に敵を仕留めようとしていたラーゼンレーヴェに、
増援で、ディルグが8機⁉
「弾薬もENも、もうヤベェっての!」
とにかく、
アリーエルスラスターを切り、
オサフネを鞘に戻す!
「突撃小僧のラーゼンレーヴェは、強襲型で燃費が悪ぃ!
連戦は、できんよな⁉」
ニヤリ、という音がしそうなほど、
ねめつける様にザインが笑みを浮かべ、
「待ってて、ケビン!
ユリンちゃんが、今、補給に…って!
ユリンちゃんの方にも、いっぱい来た⁉」
南のゲズたちを殲滅し、
ラーゼンレーヴェの支援に赴こうとしたエンジェルシードに、
前後左右から、レーザーガトリングと、
90mmパラベラム機銃が、
迫り来ながら、降り注ぐ!
「ちょッ⁉ な…なにこれ⁉
四方囲まれて、
ガトリングとパラベラムを前後左右から掃射されて、
こっちがLトライバレルを構えれる余裕が無いんだけど⁉
こうなったら、バルカンの掃射で…ッて⁉
相手、ゲズアーマード⁉
相手も装甲厚くて全然、バルカンが効いていない⁉」
ゲズを、回避行動を取るという選択肢を排除し、
徹底的に重装甲にしたCFGのゲズアーマード!
それらに四方を囲まれ、
前後左右からガトリングとパラベラムを掃射される⁉
しかも、こっちの攻撃は、丸で効いてない⁉
「小娘のエンジェルシードは、
装甲はバカみてぇに堅てぇが、武装が貧弱で決定力に欠ける!
こっちも、重装型のCFGで、
四方から囲んじまえば、どうにもなんねぇだろ!?」
更に、ニヤニヤと、ユリンもねめつけ!
その上!
「増援⁉ ゲズアサルト⁉」
フェストゥングが相手をしていたゲズとジーナの混成部隊の後ろから、
ゲズを燃費度外視で、武装と装甲と機動性の全ての性能を上げた、
強襲型のCFGのゲズアサルトが現れ!
「しかも、ただのゲズアサルトじゃねぇ!
レーザーソードや、レーザーガトリング、パルスレーザー砲などの、
レーザー兵器を搭載しない代わりに…ッ‼」
ザインが眼力を強める中!
「前面のゲズやジーナを盾にして接近して来る⁉」
味方を盾にしながら急速に近付き!
「ですが…ッ‼」
フェストゥングが遠距離用大型レーザーキャノンを放つ…がッ⁉
「レーザーシールド装備ッ⁉」
ゲズアサルトが左外腕部に、
レーザーシールドを形成し、
遠距離用大型レーザーキャノンを相殺しッ⁉
「レーザーシールド装備で、
敵陣への突撃も楽勝ッ‼」
更に、そこから、
短距離誘導垂直ミサイルポッドを、
展開しつつ!
フェストゥングから300メートルの地点に到達し!
そこで足を止め!
大型バズーカを放ちながら!
両外脚部の、
グレネードランチャーをも連弾で放ってくる⁉
だが、
重装甲KGのフェストゥングと、
歴戦のパイロットのマカロニなら、
この程度、受け切って、反撃で二倍返しッ……できない…ッ⁉
「クッ…!
まさか、その位置から来るとは…⁉」
何故か、フェストゥングの反撃が全く行われず…ッ⁉
「アアァァァ…ッ⁉」
相手の砲撃を全弾モロに受け続けるだけで、
どうにもならない…ッ⁉
「その上、砲撃小僧のフェストゥングは、
武装が遠距離用にカスタマイズされていて、
砲撃用に射線をOSが補正している!
だから、遠距離戦の命中率はピカイチで、
パラベラム等で近距離も多少できる…。
だが! OSの補正が逆に仇になって、
丁度、機体から300メートルの地点が死角!」
更に、嫌らしいニヤニヤとした声で、ザインが話す中!
「し…しかも…盾として使われていたゲズやジーナがッ⁉」
ゲズアサルトに気を取らていた隙に、
さっきのゲズやジーナたちまで、
フェストゥングから300メートルの位置に合流し、
その位置から実弾攻撃を放ってくるッ⁉
「それに、どれだけAフィールドバリアが有ったり、
装甲が硬かろうがなぁッ‼」
眼力を強めるザイン!
更に、その、絶望的な防戦で身動きが取れない中ッ‼
「ゲ…ゲズアサルトが…ッ⁉」
ゲズやジーナ達からの砲撃に、
防戦のままのフェストゥングにゲズアサルトが近付き‼
スタンアンカーを放ってきたッ⁉
「死角から甚振りながら近付いて、
アンカーでスタンさせれば、
ただの大きな的だぜ‼」
アンカーをモロに食らうフェストゥングを尻目に、
ギロリ、と、ザインが睨みつけるッ!
「ケビン! ユリン! マカロニ!
クッ…! こっちを研究して来とる⁉
でも! 大将首さえ取ってまえば!」
全体を一気に叩くより、
大将首さをまず叩いて、
相手を崩す!
奥に陣取って構えてるザインのブッサルトに、
トライバレルのバレットを叩き込み!
更に、回避軌道で、
逃げる位置に、レーザーを打ち込む!
その会心の射撃を!
「レーザーラウンドバックラー!」
見慣れないCFGっぽいGが、
ザインのブッサルトの横から、いきなり現れ、
レーザーシールドにしては大きめな盾で、
普通のレーザーライフルのレーザーならともかく、
トライバレルのレーザーを相殺した⁉
「なッ⁉ トライバレルの一撃を防ぐやと⁉」
「アヴァドン!
オマエのタイニーダンサーは、
機動、攻撃、共に優れたGだ。
オマエ自身にも、特に弱点はねぇ。
だがだ。オマエの本当の強みは、仲間との連携攻撃だ。
どうだ? 逆に連携されて攻撃を防がれた気分は?」
「クッ…なら、チャージレーザーで‼」
ミケのタイニーダンサーが滑空し、
攻撃をかわしながらチャージし、
チャージレーザーをザインのブッサルト周辺に、
叩き込もうとするが!
「いくらチャージしようが!」
さっきのCFGが、
さっきの盾を構えて、
こっちに特攻して来て、
チャージレーザーを拡散前に相殺した⁉
「拡散前に、
チャージレーザーを相殺しに突貫しに来るやと⁉」
「そのジーナシールドナーは、
武装は、丸っきり何も無しだがなぁ!
代わりに、徹底して盾に、
ENを廻せる様に改造してて、
シールド出力は、アヴァドン!
オマエのタイニーダンサーのPBLH並みの出力で、
シールドカバー範囲は、ラウンドシールド並み!」
ギラ付いた目でミケを睨みつつ、
「その上、パイロットも、
選びに選んだ、シールドガードの得意な玄人で、
攻撃行動は、からっきしだが、
盾でのガード行動なら、
見ての通り、アヴァドン!
オマエの攻撃だろうと、余裕で防ぐ!
ラーゼンレーヴェは、補給切れ!
エンジェルシードは囲まれてボコられてる!
フェストゥングは、死角からアンカーを撃たれてボロボロ!
頼みのテメェも、ジーナシールドナーに防がれて、手も足も出ねぇ!」
そう言ってから舌なめずりをし、
更に、そのギラ付いた目を強め、
「良し! 野郎共!
アヴァドンに向けてミサイル一斉射撃!
一斉に四方から撃たれりゃ、
タイニーダンサーだって避けれるものかよ!」
部下たちに指示を送るザイン!
タイニーダンサーへの、
その四方からの雨の様なミサイルを、
回避軌道で避わせるか、
まず試みるが、数が多過ぎる!
「クッ……。
PBLHで防ぎ切れるか⁉」
PBLHの出力なら、防げるが、
ミサイルの数が多過ぎて、全て防ぐには、
展開時間が足りない⁉
「ああぁぁぁッ⁉」
そのPBLHの、
展開時間の切れた、
タイニーダンサーへのミサイルの残弾を、
「斬!」
下方から1機の白いザヌスが現れ、
白いレーザーセイバーを閃かせ、
瞬く間に、全て斬り払った!
「な…なんだ⁉」
「誰だ、テメェ⁉」
ザインの部下たちが、
口々に驚きの声を上げ、
ザヌスのパイロットに問う!
「男共に名乗る舌は持たん!」
ザヌス……。
いや…ウンターザーゲン……。
そのパイロットがオープンチャンネルで答える!
オープンチャンネルに映る、
その上下白一色で、
ポニーテールの長い白髪のその姿は!
「レナスの兄ちゃん‼」
白の魔剣士レナス=アラインその人!
「あちらのお嬢様も大変な中ではありますが、
こちらのお嬢様が、余りにも大変でしたので、
急ぎ、駆け付けさせて頂きました。」
ユリンも大変だが、
ミケが余りにも危なかったから、
急いで助けたとのレナスと、
「ホンマ、助かったで、レナスの兄ちゃん!」
駆け付けてくれた、
頼もし過ぎる味方に、
大喜びのミケ!
「出たな! 奇術師野郎!
テメェが出んのも想定済みなんだよ!
野郎共!
奇術師野郎は、ワザワザ狙うな!
そいつは、アヴァドンを狙えば、勝手に自滅する!
アヴァドンに向けて、ミサイル、一斉射撃!
ミサイルを回避し切れなくなったタイニーダンサーは、
PBLHで防ごうとするだろうが、
そこに、レーザーライフルを掃射してやれ!
PBLHは、出力は高けぇが、
展開できる展開時間が短けぇ!
それに、いくら奇術師野郎でも、
レーザーは連続で何発もは、防ぎ切れねぇだろ‼」
「了解だ、ボス!」
「へへ…そういう事なら、
アヴァドンを狙って、
奇術師野郎も、
アヴァドン共々、ボコってやるぜ!」
ザインの部下たちが、
タイニーダンサーに向けて、
ミサイルを掃射し、
回避し切れなくなって、
PBLHで防ぐミケに、
レーザーライフルを更に撃ち込む⁉
「て…展開時間が⁉」
そこに、ウンターザーゲンが、
レーザーシールドじゃない普通の盾を構え、
防御に現れるが、数が多いため、
全弾防ぎ切れず、
タイニーダンサーも、ウンターザーゲンも、
何発かライフルを受ける‼
「クッ…下賎な下男共が‼」
自身を狙って来るならともかく、
こう、お嬢様を徹底狙いで、
集中的に攻撃されては…‼
「オマエら、止めは刺すなよ?
止めは1機ずつオレが刺すんだからな!
へへ……。
ラーゼンレーヴェも、エンジェルシードも、
フェストゥングも、ボロボロ!
頼みのオマエの攻撃は、
チャージレーザーすら防がれ、
助っ人の奇術師野郎も、
オマエを庇ってボッコボコ!
へへへ………。
そして、ここで!
オマエたちの憎き裏切り者!
ザ・パーフェクトのシュメル=ウェイン様の登場なワケよ!」
ザインのその言葉と共に!
ソルファージュの東500メートル先に、
CGが現れ、
KGに変化する!
「シュメル…!」
静かな怒りに燃えるミケ!
「テメェ…! よくもまた顔見せやがったな!」
自分たちの前に、良くも現れたと、
ケビンが、大きく怒りを燃やし!
「いくらネコやらせるのに最適な顔と姿してても!
ここまでの酷さが、
実はタチやらせるのに、
最適っぽい逸材でも!
ロクスリー君を、あそこまでイジメたのは!
ユリンちゃん! 絶対、許さないんだから!」
ユリンですら、大きく怒りを燃やし!
「ユリンの発言は、ともかく、
怒りは、ユリンもボクも皆も、
相当高まってますよ!」
マカロニも、大きな怒りを燃やす!
「吠えたところで、手も足も出まい。
更にな、そうやって手も足も出ず、
吠えるしか無い中で、
オマエたちの目の前での、
戦艦撃墜ショーを行ってやろう!」
シュメルのグラオザームリヒターが、
背部から右肩に、アクセラレートレーザーキャノンをジョイントする!
「艦の東、500メートルから、グラオザームリヒター!
アクセラレートレーザーキャノン! 砲撃の構えです!」
急ぎ、報告を行うセリア!
「クッ…!」
焦りの声を上げるバーダック!
「あぁぁぁぁぁぁ…ッ⁉」
大きく、悲鳴の様な焦り声を上げるリッド!
「最悪野郎が! 好き放題やりやがって‼」
焦りながらも、大きく怒りを燃やすケビン!
「クッ…! ユリンちゃんが身動き取れないから…ッ!
この場が何とかなるなら!
いっそ! ザインがネコで!
シュメルがタチってパターンで!
徹底的にギシアンさせるのに! こ…このままじゃ…ッ⁉」
ユリンですら、大きく焦りの声を上げ、
「こ…このままでは、ボクたちの母艦が…⁉」
マカロニも、焦りの声を上げる!
「クッ…多寡が下賎な下男共に、
ここまで好きな様に荒らされるとは⁉」
レナスすら、焦りの声を上げ、
「あぁぁ…ッ⁉ ウチらの…ウチらのソルファージュが…ッ⁉」
大きく悲鳴と、焦りの声を上げるミケ!
「へへへ…!
何もできず、ただ母艦が、
やられるのを眺めるだけ
どうだ! 悔しいか、アヴァドン!
ハハハ! さあ! やれ! シュメル‼」
「OK! クライアント!
さあ、トロイメンカッツェ共!
オレの完璧な経歴を汚した報いだ!
目の前で自分たちの母艦が墜ちる様を、
解くと見ろ!」
グラオザームリヒターの背部から右肩に、
ジョイントしたアクセラレートレーザーキャノンが、
ソルファージュの機関部目掛けて射出される!
「あぁぁぁ…ッ⁉」
戦慄にミケが瞼を閉じた、その瞬間ッ‼
「させるかッ‼」
射出され、ソルファージュの機関部に向かって、
襲い来る、
アクセラレートレーザーキャノンのレーザーを!
1機のGが出撃し、
左手のPBLHで、弾いた⁉
レーザーが太過ぎた為、
レーザーの全ては弾けず、
ソルファージュは被弾したが、
メインのレーザーの軌道は、
逸らせた為、
致命傷を避ける事ができたッ⁉
それを行った…その機体は……シュタイガーンバオアー…ッ⁉
「な…なんだと⁉」
いきなりのシュタイガーンバオアーの出現に、
驚愕の声を上げるシュメル!
「だ…誰だってんだ⁉」
ザインも、
突然のイレギュラーに驚きふためく!
「シュタイガーンバオアーだと⁉」
現れたのがシュタイガーンバオアーな事に、
ケビンも驚きの声を上げる!
「まさか、乗っているのは⁉」
そのマカロニの声に!
「ハイ! シュタイガーンバオアーは!
ロック=ロクスリーで、出撃しました!」
シュタイガーンバオアーみたいな難しい機体を、
ちゃんと扱えた嬉しさに、全力で答えるオイラ!
シュタイガーンバオアーは、
出撃直前に38に、
オイラ用の操作で動けるようにチューニングして貰ってある!
グラオザームリヒターの、
アクセラレートレーザーキャノンを、
PBLHで逸らすなんて超難度の動きも、
複数掃射されたレーザーを、
PBLHで、連続相殺、
なんて事をするのに比べれば、
単発的な動きで済んだ為と、
ソルファージュという、
大きな的を、
狙い撃ちしてくれたお陰もあって、
狙いが分かりやすかった為もあって、
超ド下手のオイラでも、ギリギリ、何とか対応できた!
「もう動いて大丈夫なんか、ロクスリー君⁉」
ミケさんが、驚きつつも、
優しい声をかけてくれて、
「身体の方は、セリアさんのお陰で、
普通に動く分には、どう動いても問題なしっスよ!」
セリアさんの有り難さを称えるオイラに、
「ちょッ⁉
何で、よりによって、その機体なのよ⁉」
何故、それなのと、
大きく驚きの声を上げるユリンさんと、
「それは、ボクたちはおろか、
ミケさんですら扱えなかった機体ですよ⁉」
自分たちどころか、
ミケさんでも扱えなかった機体なんですよと、
大きく疑問の声を上げるマカロニさんと、
「ド下手のオマエに、ちゃんと扱えんのかよ⁉」
一番の疑問点だろう、
確信の疑問点を聞いて来るケビンさん!
「ひどいッスよ!
ポートティリアでFGを全部売ったせいで、
ソルファージュの中にある機体が、
この機体しかなかったから、
これに乗るしかなかったんスよ!」
散々に言われながらも、経緯を説明するオイラに、
「良い! 良いんや!
今、ソルファージュを守れるのは、君しかいいひん!
やから、ロクスリー君…! ソルファージュを…頼んだで!」
ソルファージュを任せるとの、信頼の言葉をミケさんが、掛けてくれる!
「ハイ!
オイラで、どこまで出来るかは、
出たとこ勝負っスけど、
何とかシュメルを抑えれるように、
やれるとこまでやってみます!」
そう答え、右腰からレーザーライフルを抜くオイラに、
「オレを抑えるだと⁉ クズのキサマが⁉」
すかさず、ミサイルを射出して来るシュメル!
「ッ…! PBLHッ!」
何とかガードしようとするが、
操縦が追いつかず、そこら中に被弾⁉
「クッ…! ゥゥゥ…!」
全身、被弾するも、流石KG!
FGとは比べ物にならない装甲だ!
けど! オイラの腕で、どこまで行ける⁉
と、そこで…ッ!
『マスター。
シュタイガーンバオアー内で、
CAPAZという特殊プログラムが起動しており、
現在、CAPAZドライブという状態になって、
マスターの脳波の初期サンプリングの許可を求めて来ています。』
38が、事前にミケさんから聞いていた、
CAPAZドライブという状態に、
シュタイガーンバオアーがなった事、
そして、ミケさんが操縦時に発生したらしい、
脳波の初期サンプリングとかいう状態が、
発生したらしいんだけど…ッ!
「何か、
ミケさんたちの報告と違って、
頭痛とかがしない!
オイラに適性があるかは分からないし、
あんまり変な状態になったりしたら怖いけど、
普通にWAの宗寿方法で、
操縦するだけより、
良く分かんないけど、
脳波で、考えるだけで4動く様になるなら、そっちに賭ける!
だから、とにかく、早くしてくれ!」
とにかく、何でも良いから、早くさせる!
「フン!
アクセラレートレーザーキャノンを、
PBLHで防ぎながら現れるから、驚いたが、
只のマグレか! やはりクズだな!」
そう唾棄してから、
「クライアント!
コイツもトロイメンカッツェのKGですが、
コイツだけは譲ってくれるなら、今日の契約の依頼料はナシで良いです!
だから! だから、このクズは!
クズの分際で、
このオレのザ・パーフェクトの称号を汚した、このクズだけは!
このオレにッ! クライアントッ‼」
オイラへの余りの怒りに、
目を血走らせながらザインさんに懇願するシュメル!
「へ……仕方ねぇ!
その代わり、ホントに依頼料はナシだぜ?」
ザインさんがGOサインを出すと同時に、
「OK、クライアント!
さぁ! 踊れ! クズが!」
怒りを募らせながら、
ミサイルを掃射し、
アサルトレーザーライフルを、
撃ち込んで来るシュメル!
その怒りの篭ったミサイルと、
ライフルの掃射をッ!
「あれ…⁉ 何だ…ッ⁉」
掠りながらだけど、回避できた…ッ⁉
な…何だ……ッ⁉
シュメルの攻撃の……軌道が…、
頭の中に流れ込んできて…ッ⁉
「な…何だ、一体⁉
あのクズが、オレのミサイルやライフルを回避しただと⁉」
カスリながらでも自分の攻撃が、
オイラに回避されるのが、
よっぽど悔しいのか、
ミサイルの射出数を増やし、
オイラのミサイルの回避位置に、
すかさずライフルを撃ち込むシュメル!
「み…見えるぞ…ッ⁉」
撃ち込まれたライフルを
PBLHで、すかさず防ぐッ‼
な…何なんだ…ッ⁉
脳裏に……何か…、
シュメルの攻撃の軌道の情報が……、
誰かに囁かれる様に…、
流れ込む様な…ッ⁉
まるで…見える様な……ッ⁉
「PBLHで受け切るだと⁉
あのクズのロクスリーが⁉」
カスリながらだが、
オイラが、PBLHでレーザーを受け切った事に、
驚愕の面持ちのシュメル!
だけど、ミサイルや、他の箇所のレーザーは、
相変わらず、機体にカスッているっていう、
超プレッシャーのオイラっていう!
『マスター。
CAPAZの、
マスターの脳波の初期サンプリング、完了しました。』
その38の報告に、
「行けたか!
何か、さっきから、相手の攻撃が見える様な感触がして、
ギリギリなんとか戦えているけるけど!
もっと好転してくれたら!」
とにかく、何とか、オイラで、今の状態を打破しないと!
そう考えた瞬間に、
38のコントローラーを動かしてないのに、
シュタイガーンバオアーが動いた⁉
「こ…これが…ッ⁉」
本当に…操縦しなくても……、
お……オイラの思った通りに動いてるッ⁉
その上で、報告の頭痛とかもしない!
これが、ミケさんの言っていた、
脳波サンプリングなのか!
このシュタイガーンバオアー、
本当に、オイラの考えた通りに動くぞ…ッ⁉
驚愕の中、
シュメルの放った、
迫り来るミサイルを、
オイラの考えた通りに動いて、
見事に、回避したい様に、
全弾、回避した!
…とかだったらカッコイイのに‼
「アアァァァァ…ッ⁉」
オイラの考えた通りに動いてくれる!
オイラの考えた通りに動いてくれるんだけど‼
「こ…こんな…ッ⁉」
オイラの考えた通りの動きってのがダメっぽくて、
さっきまでの38のコントローラーで、
オイラ用の動きで何とか動かすって時より、
今の、コントローラーとか動かさずとも、
オイラの考えたまま、オイラの考えた通りに動く方が、
逆に、動きが大きくなって…ッ⁉
「アァァ……ッ⁉」
動き過ぎて振り返った瞬間、
胴体部に、モロにミサイルを浴びる…ッ⁉
ぎゃ…逆に……、
被弾しやすくなって、
…ダメージが増えてる…ッ⁉
「さっきのは、やはりマグレか!
その程度の動きしかできないなど、
所詮キサマはクズなんだよ!」
シュメルが、更に、
ミサイルを射出し、ライフルを撃つ!
が、明後日の方向に、
ライフルが撃たれる!
が、
オイラ、相手の動きは、
今でも、何故か見える…んだけど…、
さっきまでのコントローラーでのオイラ用の動きから、
考えただけで考えたままに動く今の動きに慣れず、
逆にミサイルに被弾する!
「ミサイルの回避位置を、
予測してライフルを撃つ必要も無いとは!
このクズがッ‼」
さっきの明後日の方向のライフルは、
回避位置を予測しての射撃だったらしい!
「その機体は、トラップを仕掛けた時に、
どういう機体か多少調べたが、
脳波フィードバック操縦プログラムや、
未来演算によるパイロット補助プログラム、
攻防に長けた過去の伝説的なパイロットたちの、
操縦思考を搭乗者にフィードバックし補助するプログラムなどの、
複数の高性能プログラムを複合したという、
CAPAZという、
パイロットサポートプラグラムが搭載されていたが、
そんな超性能のプログラムを複合しようとしたせいかバグっていた!」
ミサイルを更に発射しつつ、
CGモードに変形し、こちらに突撃して来るッ‼
「クゥ……ッ‼ 動き過ぎて…ッ⁉」
動き過ぎて、
逆に被弾しまくるシュタイガーンバオアーにッ‼
「その結果、
搭乗パイロット能力を上げるどころか、
逆に下げるクズプログラムになった!」
CGモードのまま近付きつつ、
バルカンを掃射して来るグラオザームリヒターッ‼
「見えるのに…ッ⁉ 見えるのにィ……ッ⁉ アァァ……ッ⁉」
バルカンの掃射で、胴体部に被弾し、機体が揺れる…ッ‼
「その上、機体の製作当時に、
パイロットが、本当に、
エースパイロット並みになったかを、
試す為に、
と扱いの難しいPBLHだけは、
試験的に搭載されたが、
CAPAZの性能を試し易くする為にと、
基本の機体性能と兵装は、
KGとしては、
汎用を通り越して平凡以下にされたクズッ‼」
シュタイガーンバオアーの目の前まで迫り、
CGモードから、
KGモードに変形しつつ、
すかさず回し蹴りを入れて来てッ‼
「クァァ…ッ⁉」
もろに食らい、吹き飛ばされるオイラ…ッ‼
そこに更に…。
「そんなクズ機体のシュタイガーンバオアーに、
クズパイロットのオマエが乗って、
オレに勝てるはずが無いだろうが!
マイナスにマイナスを足してもマイナスなんだよッ‼」
蹴り飛ばし、距離を離した、
オイラのシュタイガーンバオアーに、
更にミサイルの掃射と、
左外腕部のアサルトレーザーライフルを、
胸部に向かってシュメルが放つ!
「アァ…アァァ……ッ⁉」
何とか、PBLHで、
アサルトレーザーライフルの胸部の、
コックピット部の致命傷だけは防げたけどッ‼
避けれない…ッ⁉
避けようとしてるのに、
動き過ぎて、どうやっても被弾する…ッ⁉
ミサイルの連弾で、
全身が、もう、ボロボロに被弾してる⁉
「姐さん!
やっぱアイツじゃ無理だ!」
焦りの面持ちで、
ケビンさんが、そう叫び!
「うちは信じる! ロクスリー君を!」
母の様な、
想いのこもった眼差しで、
ミケさんがそう叫ぶ!
背部から右肩に、キャノンをジョイントさせ、
いちいち回避位置を予測する必要すらないと、
胸部に向かって…ッ‼
「疾く逝け…ッ‼」
シュメルが、トドメとばかりに、
アクセラレートレーザーキャノンを放つ…ッ‼
『CAPAZ、フルドライブ』
その38の声が聞こえてから…ッ!
アクセラレートレーザーキャノンのレーザーに、
PBLHで乗っかって横転し、
レーザーの軌道を避けて、回避しきる…ッ‼
「クッ…マグレが!」
乗って軌道を逸らすという、
突然の突飛な回避方法に、
驚きつつも、ミサイルを射出し、
アサルトレーザーライフルを掃射するシュメル!
そのシュメルのライフルを、
PBLHで、
尽く軌道を曲げて回避し、
自分のライフルを右腰に戻し、
ミサイルの掃射を、
バトルアックスを取り出して、全て斬り払う!
「な…なに!?」
驚愕の面持ちのシュメル!
いや、オイラも驚いてる‼
何か、シュメルの動きが、さっきまでの、
相手の攻撃の軌道が、
囁かれる様に、
脳裏によぎって『見える』というのだけじゃなく、
『読める』…ッ⁉
『見える』のだけでも凄いのに、
更に、
シュタイガーンバオアーを動かす為の動かし方が、
『こう動いたら、こうなるから、
それを何とかする為に、
更に、こう動いて!』という風に、
『次、どう動いたら、どうなる』ってのが、
ほんの一瞬先までだけど分かって…ッ⁉
『も…もっと見える……ッ⁉』
戦闘の展開を『読んで』、
次の行動を取るという動きができる様になったッ⁉
しかも、一瞬先が分かり、
『どう動いたらどうなる』というのが分かる為、
さっきまでの『こう動こうと思ったら動き過ぎた!』という、
無駄な動きをする事も無くなって、
動き過ぎて被弾したとかも無しで、
動けるようになってるッ⁉
自分でも驚きつつも、
更に、左腰にアックスを置き、
ライフルを抜き、ミサイルを射出し、
シュメルが回避して移動する位置が、
目に映るように分かる上、
その後、どう回避するか、
その回避地点が読めたので、
分かった瞬間に、そこに直ぐさま、
ライフルを撃ち込む!
「ば…バカな⁉」
腹部を被弾しながら、
何故、回避地点が分かったと言わんばかりに、
驚きの声を上げるシュメル!
そこに、更に、ライフルを掃射し!
「何だか…何だか分からないけど!」
ダッシュで近付き!
PBLHで、
グラオザームリヒターの右肩の、
アクセラレートレーザーキャノンを握り潰し!
「今のオイラは…! オマエに勝てる…ッ!」
間近に迫った、
グラオザームリヒターの頭部にバルカンを撃ち込み!
胸にヒザ蹴りを入れ!
更に、右でエルボーを食らわし!
回し蹴りで、吹き飛ばしながら、
ミサイルを掃射しつつ、
被弾しながら転がるグラオザームリヒターに、
追い打ちでライフルを放つ!
「す…スゴイ…!」
リッドさんが、感嘆の声を上げ、
「何アレ⁉
いつも通りネコの話し振りなのに、
ロクスリー君、行動がタチの行動で、
あの、ザ・パーフェクトのシュメルを完全に圧倒して受けさせてるよ!」
相変わらずの謎の言葉を羅列させつつ、
ユリンさんが、驚きの声を上げ、
「マジで、あのロクスリーが⁉」
ケビンさんが、驚愕の声を上げ、
「下賎の下男にしては、マシな動きか。」
いつもの女尊男卑の言葉の中にも、
称賛が込められたレナスさんの言葉と、
「リーダーだって、あそこまでは動けませんよ⁉」
ミケさんと比べてもスゴイと、
称賛を込めて、
驚いてくれるセリアさんと、
「やっぱ、アイツ、何かあんじゃねぇか⁉」
オイラに、何か、
特殊な何かがあるんじゃないか、
と、言い出すバーダック艦長。
『本当に素晴らしいです、マスター‼』
と、大いに喜び、
オイラへの称賛の言葉を掛ける38。
「あのクズ野郎が、
この動きをしてるってのか⁉
ど…どうなってやがる⁉」
あのロクスリーが、この動きをするのかと、
理解が追い付かないザインさん!
「ロクスリー君…君は一体…⁉」
何者なんだと、
驚きを込めて、
マカロニさんが呟き、
「ロクスリー君! やっぱり君は…!」
母の様な、
温かい想いのこもった、
優しい眼差しで、
ミケさんが、オイラを見詰める。
その最中ッ!
レーザーライフルを掃射するディルグたちに、
レーザーガトリングと、
背部垂直ミサイルを、
牽制で放ちながら、
レーザーを弾丸に纏わせない、
Aトライバレルのノーマルバレットを、
ディルグたちの前の地面に放ち、
それにより土砂の粉塵を巻き上がらせ視界を奪い、
その隙に、アリーエルスラスターなしだが、
ダッシュで近付き、
Aトライバレルのレーザーソードを出し、
1機の首を刎ね、
横のもう1機の腹部を刺し貫き、
更に、横のもう1機の足を斬り払う、ラーゼンレーヴェ!
「へへへ…!
Aトライバレルのレーザーは、
レーザーマガジンだけじゃなく、
機体ENも大量に使うから、
今は使えねぇし、チャージレーザーは、もっとダメ。
オサフネは、もっと大量にENを使うから、
もちろんダメだし、アリーエルスラスターも今は使ってらんねぇ。
だがな!
レーザーガトリングなら、
本体ENも使わず、
レーザーマガジンが尽きるまで使えるし、
ミサイルだって問題ねぇ!
それにAトライバレルも、
バレットは、レーザーを纏わせないノーマルバレットなら、
弾が切れるまで機体ENを使わず問題無く使えるし、
オリジナルラジエールエンジンの性能のお蔭で、
Aトライバレルのレーザーソード程度なら、
アリーエルスラスターと併用とかしないなら、問題無く使える程、
機体の余剰ENも確保できた!
地味な戦い方しかできねぇが、
ラーゼンレーヴェは、
戦える様に復帰したぜ!」
アリーエルスラスター在りの時よりは落ちるなりに、
素早いダッシュ力で、
ディルグたちにレーザーソードを振るいつつ、
ケビンさんが叫ぶ!
四方に陣取り、
エンジェルシードに向けて、
前後左右から徹底的に、レーザーガトリングと、
90mmパラベラム機銃を、
掃射していたゲズアーマードだったが、
左側、後ろ側、前面側、右側、と、
次々にガトリングとパラベラムの掃射が止まる!
そこで、エンジェルシードが、
Lトライバレルのレーザーを、
目の前のゲズアーマードの腹部に撃ち込み!
右側のゲズアーマードの頭部に、
バレットを叩き込み、ブッ潰す!
「へっへ~ん!
四方囲まれて、
ガトリングとパラベラム掃射されて、
ユリンちゃんも、ちょっと困ったけど、
これだけ撃たれても、
ユリンちゃんのエンジェルシードは、
スーパー重装甲で、まだまだ問題無く戦えるんだから!
そっちも重装甲で、バルカンとか効かなかったけど、
そっちは、そろそろガトリングもパラベラムも、
流石に、マガジンの弾切れで、
撃ち止め!
四方からの掃射が止んで、
Lトライバレルを構える余裕ができて、
ユリンちゃん、そろそろ本領発揮!
ユリンちゃん、近接格闘は苦手だけど、
近接射撃なら結構できちゃうんだもんね!
さぁ、徹底的に叩いちゃうんだから!
持久戦なら、こっちが上よ!」
後ろのゲズアーマードにも、
レーザーを撃ち込み!
更に、左のゲズアーマードの頭部にも、
バレットを叩き込み、叫ぶユリンさん!
ジェネレーターが死に、
一方的にバズーカやミサイルの攻撃を受け、
ボッコボコにされていたフェストゥングの、
頭部メインカメラに光が戻り!
「ジェネレーターが回復しました! これなら!」
虚を突き、ブーストダッシュで前にダッシュし、
近辺で、唯一スタンアンカーを持っている、
ゲズアサルトに、レーザーシールドを構えさせる暇も与えず、
バルカンとパラベラムを撃ち込みながら、
ダッシュで近付き!
更に、
間近まで近付きながら、掃射し!
ダッシュでゲズアサルトの胸部にレーザーバズーカを突き付け!
0距離発射‼
そして!
0距離射撃で破損したバズーカを捨て!
「良し!
アンカーを持っていたゲズアサルトを仕留めました!
後は、他の敵も、死角に移動されない様に、
ボクのレンジで仕留めさせて貰います!」
こちらも虚を突かれ動けないでいたゲズやジーナたちに!
急ぎ、急速にブースターで距離を取り!
レーザーランチャーを構え、
ランチャーの射程を維持して、
ゲズとジーナたちに、
ランチャーを叩き込む、マカロニさん‼
そして、
迫り来るレーザーライフルの嵐を、
今までの様に、
お嬢様へ向かう攻撃だからという事で、
盾で援護防御するのではなく!
ミサイルやバズーカを斬り払う様に!
白の剣で斬り払い、
攻撃の軌道を逸らす、レナスさん!
「レ…レーザーを斬り払って、
軌道を逸らすだと⁉」
ラフィンスカルたちが、
驚き戸惑い、
動きが乱れる中で、更に!
「アライン流G殺人剣術、白夜!」
あの地鏡という、
敵からすれば、当てた筈の攻撃が、
すり抜けられた様に見える、
間合いを見誤らせる、
独特な足捌きの体術を応用した様に、
間合いを計り辛く、
回避し辛くした斬撃を、
放つ技の白夜を、
間合いが分からないなりに、
レーザーラウンドバックラーで防ごうとする、
ジーナシールドナーの動きを圧倒し、
胴体に当てる…ッ!
…っていう一連の、レナスさんの動きも……、
CAPAZとかの、
フルドライブとかのお陰なのか…、
今のオイラには…解る……ッ⁉
「レーザーラウンドバックラー以外、
貧弱なのが、ジーナシールドナーなのに!
攻撃を、こんなに完全に当てられたら⁉」
ジーナシールドナーの腹部が上下に二つに裂かれ、
上半身が地面に転がる!
「よっしゃ!
盾の奴が、
居いひん様になったんやったら!」
トライバレルのレーザーをチャージし!
チャージしきったチャージレーザーを、
ザインさんのブッサルト周辺に叩き込み!
ラフィンスカル本隊を、次々に被弾させて行く、ミケさん!
そこに!
「アライン流G殺人剣術、
張白刃!」
地鏡を使いながら、
ダッシュしつつ白の剣で斬り込む事で、
刀身の射程を、
伸ばす技の、
張白刃を使い、
ラフィンスカル本隊の中のディルグの腹部を、
横から斬り込み! 斬り払い!
ディルグも、腹部から上下に二つに裂き、撃墜するレナスさんッ‼
「どうやら、風は、うちらに吹いて来たみたいやで?」
と、戦局は自分たちが有利になって来たと話すミケさん!
しかし、
「クッ…! ここまで来て!
ここまで来て、引き下がれるかッ‼」
どうしても、
ここまで来て引き下がれないザインさんが、
ブッサルトのミサイルポッドを撃ちながら、
右肩のレーザーランチャーを撃ち込み!
それらの攻撃の回避予測地点に、
レーザーバズーカを叩き込み!
更に、
バズーカの回避予測地点に、
240mmの、
多連装ロケットランチャーを、
叩き込む!
だけど、それらのザインさんの必死の攻撃を!
まず、ミサイルを、白の剣で斬り払い!
レーザーランチャーとレーザーバズーカをも、
ミサイルやバズーカを斬り払う様に、
白の剣で斬り付け、攻撃の軌道を逸らし!
更に、
240mmの、
多連装ロケットランチャーすら、
全て白の剣でレナスさんが斬り払うッ!
「クッ…! こ…この!
奇術師野郎が!」
どうしても、まだ引き下がれないザインさんがッ!
「クソ…ッ‼ アヴァドン…ッ‼」
最後の意地とばかりに、
タイニーダンサーに向かって、
ブースターを噴かせてジャンプし、
レーザーソードを振るうッ!
「なら! レーザーソードで!」
トライバレルのレーザーソードで、
ザインさんのレーザーソードを、
ミケさんが斬り払うッ!
「ほんなら、そろそろトドメや!」
タイニーダンサーが、トライバレルを左腰部にマウントし、
「フランメ! 二刀流や!」
タイニーダンサーの内腕部から、
短剣の柄だけのモノ、
フランメと呼ばれた短剣型レーザーセイバーと思われるモノを、
左右で1本ずつ出し、両手に1本ずつ握る。
「必殺! 剣の舞や!」
タイニーダンサーが、
短剣の柄を両手にそれぞれ逆手に持ち、
空を飛びつつ、機体の両腰の位置に添えて、
時計で言う2時の方角より突撃し、
反時計回りに回りつつ、
下方8時の方角に右手で横周りに斬る!
「ほうらッ!」
更に、地上に降りてステップを踏み、
フランメを両腰に添えた逆手持ちのままで、
踊る様に、そのまま反時計回りに回転して、
更に左手で横周りに斬り!
「そらそらぁーッ‼」
今度は回転方向を反対に変えて、
左腰に添えた左の逆手に構えたフランメで、
時計回りに回りつつ左下から右上に斬り!
「これが…ッ!」
更に踊る様に回転して斬っている途中で、
右手のフランメを腰に添えるのを辞め、
右手をブッサルトの居る方角に持って行き!
ブッサルトを真正面に見据える位置まで回転し、
そこから左手のフランメも腰に添えるのを辞め、
下に潜らせる様に、6時の方角に回し、
更に3時の方角…右方向に回して、右中央に配置し!
「ホンマの…ッ!」
そこから右手を逆手のまま、
左下から右上に、斬り上げ!
同時に、左手も逆手のままで、
右中央から左中央に、斬るッ!
剣の舞のフランメの連撃で、
ブッサルトの身体が、
大ダメージに悲鳴を上げる様に、よろけッ‼
「ドヤ顔や…ッ‼」
最後に、上方から、逆手のまま両手で、
下方に×の字に斬り抜く!
そして、その斬撃の嵐の後に、
ドヤッ!と言わんばかりに、決まったという顔をする‼
「こんな…こんな事でぇぇぇーッ‼」
ザインさんのブッサルトが、バラバラに分解され、
脱出ポッドが起動し、脱出ポッドが射出される。
「こ…こんな……こんな…ッ⁉
クズのロクスリーが、本当は強かったというのかッ⁉
クズ機体のシュタイガーンバオアーのバグプログラムが、
急に正常起動したとでもッ⁉
マイナスとマイナスを、
足し算じゃなく、掛け算したとでも言うのかッ⁉
これじゃ、出来の悪い演劇の、
ご都合主義の機械仕掛けの神、
じゃないかッ⁉
こんなクズにッ‼ こんなクズにッッ‼
こんなクズにィィィーーッッ‼」
頭部はバルカンで潰され、
右肩のアクセラレートレーザーキャノンは、
PBLHで、握り潰され、
CGモードへの変形が不能、
その上、全身は、
ミサイルとレーザーライフルで、
ボロカスに被弾してボロボロ、
という理不尽な展開に、
大きく吠えるシュメル!
そのシュメルに!
「行くぞ、シュメル!
これが、ミケさんたちを欺いた報いだ!」
ライフルを右腰に置き、
左腰からバトルアックスを抜き、
一気にダッシュで近付く‼
「絶対に…! 絶対に……ッ‼
こんなクズに…‼ やらせてなるものか……ッ‼」
グラオザームリヒターが、
残った武器であるアサルトレーザーライフルを掃射しつつ、
シュタイガーンバオアーの近接装備が、
アクセラレートレールキャノンを握りつぶしたという、
無茶苦茶な用途で使われたPBLHの他は、
バトルアックスとバルカンだけの為、
不得意距離に見えるクロスレンジに繋げる為、
レーザーソードを振り上げる‼
しかし…ッ‼
アサルトレーザーライフルを
尽くPBLHで弾かれた挙句、
レーザーソードを振るう腕にバルカンを掃射され、
レーザーソードを落としてしまう…ッ⁉
「バカな…ッ⁉」
呻くシュメル…ッ‼
その隙を突き、バトルアックスで、
股間部から空中に、下から打ち上げる!
落ちて来るグラオザームリヒターに、
背部垂直ミサイルを在るだけ全弾撃ち込み!
バトルアックスを、左腰に直しつつ、
右腰からライフルを抜き、レーザーライフルを撃てるだけ撃って、
グラオザームリヒターの腹部に大きく傷を付け!
最後の一発をチャージしながら、
頭部バルカンを繋ぎで撃ち!
更に腹部の傷を広げ!
「喰らえッ‼
オイラの全身全霊の一撃…ッ‼」
降って来たグラオザームリヒターの、
今広げた腹部の傷口に、
チャージしたレーザーライフルの銃口を突っ込み!
「これが…ッ!」
0距離射撃どころか!
「オイラの…ッ!」
相手の機体の内部! マイナス距離での‼
「ラストシューティングだ…ッ‼」
渾身の、
レーザーライフルのチャージショットの、
マイナス距離射撃…ッ‼
「吹き飛べ…ッ‼」
トライバレルの様に、
ワイドショットになるのではなく、
強烈なパワーショットになった一撃で、
ライフルが内部で破損しつつも、
グラオザームリヒターの腹部を内部から貫き、貫通する…ッ‼
「そ…そんなバカなァァァーーッ⁉」
腹部に大穴を空け、
全身ボロッカスに被弾した中、
胸部脱出ポッドが自動的に起動し、
脱出しながらも、理不尽な展開に、
吠えるシュメル!
脱出ポッドが射出された先で、
ザインが、モソモソと這い出て、
「クッ…クソがッ!
覚えていろよ、アヴァドン!
野郎共! 撤退だ! ずらかるぞ!」
と、吠えながら、部下と共に逃げて行く。
更に、シュメルも、
脱出ポッドから這い出て、
「オレの完璧な経歴を、
よくも、ここまでズタズタに引き裂いてくれたな!
オレの美学に掛けて……ロック=ロクスリーッ!
貴様の存在を、この世界から、絶対に抹殺してやるッ‼」
と、恨みが籠った捨て台詞を残して敗走して行く。
「おーおー、
逃げながら、吠える、吠える!」
と、負けても恨み言の捨て台詞を吐く、
ザインやシュメルたちに、
負けた事で、
『もう、コイツらには敵わないから避けて行動する』、
とか言い出す奴らより、骨があってよっぽど良いと、喜ぶケビン。
「つ~か~れ~た~。
ユリンちゃん、もう、今日はクタクタ~。
だけど、ザインもシュメルも、
二人共、あの捨てゼリフ的に、
結構、どっちも、
ネコやらせても大丈夫そうなのが分かって、
良い収獲かな!」
相変わらず、
余り理解しない方が良さそうな話をしながら、
ユリンも、喜びの声を上げ、
「そちらのお嬢様。
貴方様をお助けに行けず、
誠に申し訳ありませんでした。
ですが、良くぞ、ご無事で居てくれました。
見目麗しい方々よ。」
深く謝罪を述べてから、
キラキラの笑顔を見せて喜ぶレナス。
「うわ!?
また見目麗しいとか、
本当の事を言われちゃったよ!?
嬉しいけど、ユリンちゃん、
テレちゃうなぁ、これは。」
「やから、上手言われたからって、ふやけんな言うてんのに!
まあ、でも、ありがとうな、レナスの兄ちゃん!
レナスの兄ちゃんが来てくれてへんかったら、
今ごろ、撃墜されてるところやったわ。ホンマ、助かったで。」
レナスに、感謝の意を述べ、喜びの声を上げるミケ。
「いえ、無事で誠に恐悦です。
見目麗しい御方。」
と、とってもキラキラの笑顔で喜びの声を上げてから、
「では、お嬢様方、私は、これで。
お嬢様方に精霊の御加護が有ります様に。
男共は、命を賭してでも、
お嬢様方を御守りしろ!」
そう言って、
ウンターザーゲンのブースターを噴かせて、
ダッシュで離れて行くレナス。
「ホンマ、
いつもメチャクチャ助かるところで助けてくれて、
ホンマ助かるわ、レナスの兄ちゃんは!」
感謝を込めて、レナスを見送るミケ。
「はい! 本当に、いつも助かります!」
セリアも、レナスへの感謝を込めて見送る。
「ええ、本当に、いつも、ありがたい限りですね。
しかし、今日の戦いは、今までになく、厳しい戦いでしたが、
何とか乗り越えられましたね!」
レナスへの感謝を述べ、
厳しい戦いを乗り越えられた事に、
喜び勇むマカロニ。
「何にしても、
オレたちの母艦が撃墜されなくて良かったぜ!」
ソルファージュの無事をバーダック艦長が喜び、
「うん‼ うん‼
ボクたちのソルファージュが無事で、
本当に良かったよ!」
リッドも、
心から、ソルファージュの無事を喜ぶ。
「まあ、でも、
今日のヒーロー賞は、誰も文句無いよな?
ロクスリー君に決定や!
さあ、ロクスリー君!
ヒーローの凱旋や!
一番先に、
ソルファージュに帰還や!」
と、大喜びでロクスリーに告げるミケ。
しかし……。
『大変です! マスターが…‼
腹部の傷が再度開き、
再度、気絶しました…ッ‼』
と、急ぎ、38が報告して来る!
「か…回収や‼
今すぐ、ロクスリー君を回収して、
直ぐに救急室に連れて行って手当てや‼」
焦りながらも指示を出し、
ロクスリーをシュタイガーンバオアーと共に、
ソルファージュ内に回収するミケ!
ミケたちのKGが、
シュタイガーンバオアー込みで、
ソルファージュに帰還し、
ロクスリーは、直ぐに救急室に運ばれ、
セリアに、急ぎ手当てされる事になった。
そして……。
「安静状態に戻りました!」
救急室から出て来て、ロクスリーの安静を報告するセリア。
「良かった~!」
と、安堵と喜びの声を上げるユリン。
「ええ……本当に!」
マカロニも、安堵の声を上げ、
「フン。
一応、あんな奴でも、
まあ、死ななくて良かったか。」
と、相変わらずのツンデレ具合のケビンと、
「ホント、良かったよね!」
と、喜びの声を上げるリッドと、
「まあ、何とか助かって良かったぜ!」
バーダックも、無事を喜ぶ声を上げ、
「ホンマ、良かったで! ありがとうな、セリア!」
38を抱えながら、
満面の笑顔で、喜んで、セリアに礼を言うミケ。
『セリアさん‼
マスターを救って頂き、
本当に、ありがとうございます‼』
余程、ロクスリーが助かったのが嬉しいらしく、
3Dアバターを出し、
珍しく語気を荒める38。
「重体なのに、無理して出撃したせいで、傷口が開いていました。
恐らく、その時の痛みのショックで気絶したんだと思います。」
と、診断結果をセリアが報告する。
「無理してガンバって……良い子や…。」
ロクスリーの健気なガンバリに、
感嘆の声を上げるミケ。
「それにしても、今日のロクスリー君、凄かったよね!
もう、御飯3杯とか5杯とか、軽く通り越して、
御飯20杯くらいのスッゴイ濃厚さだったよ!」
相変わらずの謎発言をしつつも、大いにロクスリーを称えるユリンと、
「ユリンの、御飯などの発言は、ともかく、
ボクもユリンと同意見です。
本当に、今日のロクスリー君の動きは、
凄まじいモノがありました!」
ユリンに同意し、
今日のロクスリーの動きを称えるマカロニ。
『ええ!
今日のマスターは、本当に素晴らしかったです!
本当に健闘されました‼』
ユリンとマカロニに同意し、
ロクスリーを称え、
ロクスリーの健闘に大喜びの38。
「今日のロクスリーは、序盤から良い動きしてたが、
途中から動きが落ちて、やっぱダメかとも思ったが、
終盤からマカロニが言う様に、凄まじい動きしてたよな!」
終盤からのロクスリーの動きの凄まじさを称えるバーダックと、
「あれ、
シュタイガーンバオアーが、
ピンチになってからだったよね?」
リッドの、この発言に、
「もしかしてロクスリー君は、
危険を感じると既視感を感じて危険を見抜く、
危機を回避する特異体質なだけやなく!
ピンチになったら強くなる特異体質でもあるんかもやね!」
と、大喜びで話すミケ。
しかし…。
「あんなのは、機体性能が良かっただけですよ!」
特異体質ではなく、
機体性能のお陰なだけだと、
怒りを募らせつつ、ケビンが叫ぶ。
その、怒り一杯のケビンに、
「でもケビン。
シュタイガーンバオアーは、
ケビンにも、私にも、マカロニにも、
リーダーにすら扱えなかったクセのある機体なのよ?」
なだめる様に、
シュタイガーンバオアーの扱いづらさを指摘するユリンと、
「それに、ロクスリー君は、
シュタイガーンバオアーの、
本来想定されていた戦法を超えた戦い方をしていました。
そこは彼のパイロット能力の高さの為としか思えませんね。」
と、ロクスリーのパイロット能力の高さを指摘するマカロニ。
「何だよ!
ユリンもマカロニも、少し前まで、アイツに怒ってたじゃねぇか!
それが何だよ! みんなアイツに甘すぎんだよ!
アイツは、結局、最低のクズ野郎でしかねぇんだよ!
チッ…! オレは部屋に戻るぜ!」
未だに、前回、ロクスリーが、
ミケを危険な目に遭わせた事が引っ掛かり、
怒りを募らせつつ、自室に戻って行くケビン。
「ケビン…。」
心配そうな表情でケビンを見送るリッド。
「まあ、ケビンは、
うちの事を想い過ぎて、
今は、ちょっと怒ってくれてるだけやねん。
しばらくしたら、また、ロクスリー君とも、仲良しに戻るよ。」
ケビンの怒りも時が消してくれると語るミケ。
「まあ、あんだけ怒ってても、
アイツも根は良い奴な上に、単純でもあるからな。
何か、切っ掛けがありゃ、直ぐに仲直りするだろうぜ。」
と、皆を安心させる言葉を紡ぐバーダック。
「ケビンも、内心では、
ロクスリー君を案じていましたしね。」
と、
心の中では、ロクスリーを心配しているケビンの事を指摘するマカロニと、
「だね!
あ~あ、ケビンったら素直じゃないんだから!
でも、ケビンのああいう感じは、
結構、ネコもガッツリ任せられそうかな!」
ケビンの素直じゃない優しさに喜ぶユリン。
「まあ、ケビンも、
ホンマ、根は、スゴイ優しいからね!」
と、ミケも、ケビンの根の優しさに、本当に、とても喜び、
「よし、ほな、そろそろうちは、
今日のヒーロー賞のロクスリー君に、
御褒美のキスをしてこようかな!」
と、いきなり唐突な事を言い出す!
「ちょッ⁉ ミケさん⁉」
いきなりのミケの突拍子もない言葉に、
慌てふためくマカロニ!
「キャー! リーダー! 大胆!」
大喜びのユリン!
『マスターも喜ばれますッ‼』
38も大いに喜ぶ。
……………………………………
……天国の父さん…母さん……
……オイラ…なんか…気持ち良いです……。