第15話
「頭部にバルカン。
右外腕部に、
巨大パイルバンカーのブラストスティンガー。
左外腕部に、
盾に、ジェネレーターと、
レーザーランチャーを内蔵したアームドランチャー。
左腰部にレーザーソード。
右腰部に大型バズーカ。
右肩部に大型レーザーバズーカ。
左肩部にパルスレーザー砲。
両外脚部に、
グレネードランチャーを2基ずつ。
背部に、
短距離誘導垂直ミサイルポッド。
前回のKD研究所襲撃戦では、
格闘戦しかしてなかった様ですが、
相当な重武装ですね。
その上、
エンジェルシード程ではないですが、
フェストゥング並みの装甲と、
Aフィールドもあります。
流石は新統合の最新鋭機…。
ボクたちのKGに匹敵するほどの、
相当なハイスペック機ですね、これは…。」
と、マカロニさんが、Gデッキに、
オイラたちトロイメンカッツェメンバーと、ライさん、
更に、セイントフォースの面々《めんめん》と、レフィル君を集めて、
前回、ちゃんとした武装を使わず戦闘していた為、
謎のベールに包まれていた、ロボの、その戦闘能力を、
余すところなく解説してくれる!
前回の戦闘の後、
オイラたちに休暇が与えられる事になったんだけど、
ライさんや、セイントフォースの面々《めんめん》を、
カルナダやコーダの戦艦に、
それぞれ帰して休暇を与えるより、
どうせ、戦闘が起これば、
それぞれの勢力のKGを、
同時展開で出撃させる事が多いだろうし、
それなら、今までの流れで、ソルファージュで、
ライさんや、セイントフォースの面々《めんめん》も預かって、
ソルファージュで、それぞれが休暇を受けよう、
という流れになって、
せっかくだから、休暇前に、
前回の戦闘で手に入ったロボの戦力的データの解析を、
みんなの前で、マカロニさんにして貰って、
ロボの性能を、みんなで知った方が、
これからの戦闘の為になるんじゃないか?という話になり、
今に至る感じなんだよね。
「ふへぇ~…。」
と、そのマカロニさんのロボの機体解説に、
驚嘆するしかないオイラ…。
「へぇ~!
良いじゃん! 良いじゃん!
オレのロボが強ぇぇのが分かって良かったぜ!
これで、オレを甚振った、
新統合の奴らも、
ボッコボコにしてやるぜ! へへへ!」
と、喜び、意気込むレフィル君!
「あんま調子に飲って、
せっかくのKDを壊すんじゃねぇぞ、レフィル!」
と、ケビンさんが釘を刺すが、
「ヘッ!
大丈夫! 大丈夫!
何たって、
さっきマカロニって奴が言った様に、
ロボは超高性能なんだから、
そう簡単には、やられねぇんだろ?
それに、どうせオレは戦艦の中からロボを操縦するだけ、
オレは危険な目に逢わねぇんだから、
壊れても良いんだよ!
もしロボが壊れても、オレ、痛くねぇし!」
と、涼しい顔で、
被りを振る動作をするレフィル君⁉
「オメェな!
責任感ってもんがねぇのかよ、オメェは⁉」
と、シャルさんが激高するが、
「責任感?
そんなもんで飯が食えるかよ⁉
オレはな、
今までソロでTSして、
稼いできたんだよ!
だから、危険な事も多少はしてきたつもりだ!
だから、分かる。
人間、身体が、
資本なワケよ!
仕事で怪我したり、体調を崩せば、
途端に飯が、
食えなくなる!
オレは、せっかく、
こんな超絶強いらしく、
便利な機体が手に入ったんだから、
もう、そんな目に逢うのはゴメンなんだよ!
だから、オレはオレの好きにやるぜ!
どうせ、このDコンは、もう外れねぇみてぇだし、
オレはロボと一蓮托生だしな!」
と、捲し立てるレフィル君。
「でも、それだよね…。」
と、ライさんが言い、
「ああ。こんな無粋な子供に、
KDを委ねるのもと思い、
皆の前で、公開で、
コイツのDコンを外そうとしたが…。」
と、マリーさんも言い、
「ホンマに、全く外れんかったからなぁ…。
仕方ないから、
ホンマにレフィル君に、
ロボを預ける事になったけど、
正直、先が思いやられる感じやしね…。」
と、心配で、額に手を当てて思い悩むミケさん…。
「まあ、ヒーローのオレがヒーローになったのと同じで、
レフィルがロボのパイロットで決まったのも、
きっと運命って奴さ!」
と、相変わらずのガンツさん…。
「このバカ!
そういう無責任な事を言うんじゃねぇよ!」
と、怒るシャルさんと、
「バカは、己の尺度で、
何でも図ろうとするからな…。
全く……付き合わされる身にもなって欲しいが…。」
と、こちらも、静かにだが、怒気を発するマリーさん。
「まあまあ、ガンツなりに、この事態を、
収拾しようとしての発言だと思うし。」
と、相変わらず、
纏めるのが上手いルイリーさん。
「でもでも!
これで、レフィル君も、うちに正式加入なんだし!
ここは一発! レフィル君の加入記念で!
レフィル君と、マカロニとの、
リアルギシアンタイムを、私に見せてくれる、
私へのレフィル君からのファンサービスとか、
有っても良いんじゃない⁉
どう⁉ どう⁉」
と、こちらも相変わらずの、ユリンさんに、
「テメェな! 舐めてんのか⁉
もう寄ってくんなって言っただろうが…ッ⁉」
と、切れ切れのレフィル君に、
「良いよ! 良いよぉ!
その強気なところが、
逆に、ガッツリ、猫やらせれそうで!
ユリンちゃん! も…もう…‼ 堪らんですよ…ッ‼」
と、早くも、
辛抱堪らない様子の、ユリンさん…⁉
ヤバイ!
ユリンさんの琴線に、
またもや触れちゃった模様!
出るぞ! アレが⁉
3倍の赤い奴…‼
もう止め処なく……出ちゃう…ッ‼
ブバッ!
ユリンさんの鼻腔から、
通常の3倍以上の勢いで、
赤い本流が、
レフィル君の顔面目掛けて噴き付けた!
「ぎゃぁぁぁぁーーーーッ⁉」
昨日に引く続きの、再度の、
顔面への、ユリンさんの鼻血に、
レフィル君が、断末魔の声を上げる⁉
「え~い!
昨日の今日でも、同じ子に、
何度も、何度も‼
いい加減、オマエの、
お花畑な脳は治らんのかッ⁉」
スパコンと、
相変わらず、
どこから出したのか分らないハリセンで、
ユリンさんを張り倒すミケさん。
「はわっ⁉」
ミケさんのハリセンの一撃で、
頭に上った血の循環が、
正常に戻ったのか、
ピタッと、ユリンさんの鼻からの、
飛沫が止まった。
「ハッ⁉
出してない! 出してないよ⁉
花も恥らう純情乙女のユリンちゃんが、
鼻血なんて出してないよッ⁉」
相変わらず、言い繕うユリンさん。
いや、その本流は、
もう全てを隠せませんよ⁉
もう丸分かりですよ…ッ⁉
「ああ! もう!
コイツ嫌い! コイツ最悪…ッ‼」
と、レフィル君が、
服の袖で、
顔面の血を拭いながら、
ユリンさんへ、
怒髪の声を上げる!
「やっぱ、ユリンは恐ろしいな…。」
と、シャルさんが恐怖の表情で言い、
「あ…ああ……。」
と、マリーさんも言葉を濁す…。
「ちょっと、コイツは…。
ヒーローのオレでも……引くっていうか…。
オレで同じ事は…するなよと言いたいっていうか……。」
と、あのガンツさんすら、
歯切れが悪くなる有様……。
「あ~。あはは~。」
と、乾いた声を上げるしかできないルイリーさん。
「まあ、とにかく、
服の裾で拭うのもあれだし。
ボクのだけど…。」
と、自分のハンカチを、
レフィル君に渡すライさん。
「お…おぅ…。」
と、受け取り、
顔面を拭くレフィル君に、
「あ~。こればっかりは、うちが悪かった、レフィル…。」
と、ユリンさんの痴態に、
素直に、自分たちの非を認めるケビンさん。
「まあ、ユリンの病気と思って、
何とか、矛を収めて下さい。
すみませんね、レフィル君…。」
と、マカロニさんも言い、
ここで…‼
「よし!
レフィル君の顔面も、もっと綺麗に洗いたいし、
それに、これまで、みんなが頑張って来てくれたお礼と、
正直、レフィル君は、昨日、会ったばかりで、
まだ戦果は、ほぼ上がってないけど、
昨日、今日のレフィル君への、ユリン絡みの詫びもしたいし、
今日は、せっかくの休暇やし!
ここは、うちも、ドカンと一発、大奮発して、
みんなに、ブリッジに上がってでの昼ごはんで、
幻のシャケ弁を、ごちそうするで!」
あの金に煩いミケさんが、
まさかの大奮発発言をしてくれた…ッ⁉
「ま…マジっスか⁉ ミケさん…⁉」
と、詰め寄るオイラと、
「スゲェ! スゲェですよ! 姐さん‼」
と、大喜びのケビンさんに、
「キャァー!
超濃密ギシアンの後に、
更に、幻のシャケ弁⁉
それ、ホント、リーダー⁉
凄い! 凄いよ‼」
と、妄想の熱狂から、
幻のシャケ弁を食べれる熱狂にシフトするユリンさん!
「ほ…本当に…ボクら全員が…、
ご相伴に預かって良いのですか⁉」
と、驚きの声しか上げれないマカロニさん!
「え…? この艦、のり弁、以外もあったの⁉」
と、驚くライさんと、
「え…? な…何だ…?」
と、事態について行けず、
ポカ~ンとした表情のシャルさんと、
「確かに、この艦に来てから、
毎食のり弁ではあったが…。」
と、言うマリーさんと、
「あの、のり弁、スゲェうめぇけど、
確かに、毎食じゃ飽きるし、
たまにはシャケ弁も良いよな!」
と、幻のシャケ弁の凄さと、
この艦の、のり弁率、
ほぼ100%な酷過ぎる状態が、
全然分かってないガンツさん。
「う~ん…。
でも、そんな凄そうなの、
ホントに、私たちも食べて良いの?」
と、聞くルイリーさんと、
「オレ食う! オレ食う!
このユリンって最悪女のせいで、
こっちは酷い目に、
逢い続けなんだから、
ミケの言う様に、
詫びで食わしてもらうかんな!」
と、言い切るレフィル君。
「OK! OK!
とにかく、みんな、
ブリッジに上がるで!
各自の部屋で食ってもええけど、
せっかくやから、今日は、
おっさんや、セリアや、リッドにも振舞いたいし、
みんなで、ブリッジで、幻のシャケ弁を味わうで!」
と、ミケさんが音頭を取り、
『おーーーッ‼』
と、皆さんで、
一斉に、ブリッジに上がった!
「り…リーダー…ッ⁉」
「ほ…ホントなの…⁉ リーダー…⁉」
「い…良いのか…⁉ ミケ…⁉」
と、それぞれ、
ガタッと、自分たちの席から離れ、
ミケさんに詰め寄り、聞いて来る、
セリアさん、リッドさん、バーダック艦長!
「ええねん! ええねん!
うちもトロイメンカッツェのリーダーや!
ここぞという時は、奮発したるんや!
ほな、解凍して、順次、
みんなに渡して行くで!」
と、ミケさんが主導で、
ついに、あの、幻のシャケ弁が、
温められ、配られて行く!
「こ…コレが…あの…幻のシャケ弁…⁉」
包装は、至ってシンプル!
黄土色のプラスチックの容器で、
上蓋も透明では無く、
下蓋と同じ色のプラスチックの蓋!
特に、これと言った特徴が無い!
しかし、その飾らないシンプルさが、
高過ぎて、中の具材が込み入り過ぎ、
逆に食べ辛い弁当より、
素朴な安心感を、
蓋を開ける前から与えてくれる!
「さあ、蓋を開けるぞ!」
パカッと蓋を開けると、
まず、その中にある、
主役のシャケに目を奪われた!
素朴でありながら、
新鮮さが伝わる、
瑞々《みずみず》しい色!
そして、
圧倒的な光沢を称える艶!
更に、
その香りは、
極上の天のハープを奏で、
嗅ぐモノを魅了する!
色、艶、香り、
そのどれもが素晴らし過ぎる!
更に、
弁当の大半の面積を占める、ご飯も、
凄まじいテカリの艶!
そして、どう見ても、
超絶的に、
ふっくらと炊き上がっている!
「さ…サラダや……そ…惣菜まで…ッ⁉」
弁当の一角を担う、
サラダと惣菜…。
サラダは、レタスとトマトとキュウリの、
極シンプルなサラダで、
乗ってるドレッシングは、
このシャケ弁という、
和風弁当に準えて、
安定の、ごまドレッシング!
もちろん、その色は、瑞々《みずみず》しく、
艶の光沢も、
他の具材と、変わる所が無く素晴らしい!
更に、一角に、卵焼き…。
に見せて…だし巻きだ…!
嗅ぐと、
ダシの穂のかな甘い香りが漂い、
益々《ますます》、食欲が、そそられる!
もちろん、これも、色も香りも、
素敵過ぎる!
更に一角に、
鶏のカラアゲが…って…⁉
ち…違う⁉ 違うぞ…⁉
この具材…鶏のカラアゲとは明らかに違う…‼
まず違うのが、衣で、
カラアゲと違って、
衣が片栗粉などではなく、
他の何かを使って揚げられてる⁉
更に、
カラアゲなら、付いたまま、そのまま使われる、
鶏肉の皮が。全部、取り除かれている!
そして、
揚げた感じの、
見た目だけでも伝わる、
揚げ方の上手さ、
サクサクさが、桁違いだ!
分かった…!
分かったぞ…ッ!
これ、てんぷら粉で揚げられてるんだ…‼
これ…鶏天ぷらなんだ…ッ‼
しかも、もちろん、
この鶏天ぷらも、
色、艶、香り、
共に、極上も、極上に、
仕上がっている!
具材の内容は、以上!
ここまで見てきた通り、
その具材たちは素朴な内容でありながら、
そのどれもが見ただけで超ハイスペック‼
故に‼
「では! いざ! 参る!」
まずは、メインのシャケに箸を進める!
すんなり通る箸。
シャケが、簡単に分断できる!
何て凄い柔らかさなんだ⁉
そして、その分断されたシャケを口に入れた瞬間!
「な…何ィィィ~~~…ッ⁉」
美味い! 美味過ぎる‼
シャケの柔らかさ、
香りも、素晴らしいが、
その塩梅が、
余りにも素晴らし過ぎる‼
こ…これは…ッ⁉
思わず、箸が、
まるでフルオートメイションの、
機械か何かになった様に、
自動的に、ご飯に進む‼
「ば…バカな……ッ⁉」
まず、そのご飯の、
ふっくらとした炊き加減、
そして、穂のかな甘味溢れる、
米の味に、舌を奪われ!
「こ…こんなァ……ッ⁉」
それらが、さっきから食べているシャケと、
口の中でコラボする事で、
凄まじいハーモニーが、
激しい化学反応が起きた様に広がる…ッ⁉
「何なんだ…⁉
何なんだ…コレは…ッ⁉」
もう、言葉が出ない…。
余りの美味さに、
オイラの脳は、もう、
失神寸前になっている…ッ‼
そして!
「やっぱ! うめぇ!」
「あーッ! コレコレ‼ コレなのよ‼」
「うんうん!
相変わらずの美味さやね!
流石、幻のシャケ弁当やで…‼」
「ボクは僥倖です‼
また…! また…! これを味わえて‼」
と、トロイメンカッツェのKGメンバーが、
歓喜の声を上げ!
「ホントだよ!
もうボク…この子と会えないと、
諦めていたんだ…。
でも…。また…会えた…!
ボクは…幸せ者だよ…‼」
「本当です…!
ああ神様…。
またこの子と会えた事…感謝します…‼」
「まさか、この歳で、
オレが、またコイツに出会えるとはな…。
まあ…人生…捨てたもんじゃねぇってこったな…‼」
と、艦長たち、ブリッジメンバーも、大喜びで、
「な…何なんだ…コレ…⁉
凄い…‼
凄過ぎて、
脳の処理が追いつかない感じだ…‼」
と、ライさんが、目を、とろんとさせて行き、
「うめぇ! うめぇぜ‼
メチャクチャな美味さじゃねぇか⁉
コレ‼」
と、レフィル君も、
舌鼓を打ち、
「マジだ⁉ スゲェ⁉
どうなってんの⁉ コイツ⁉」
「これは…。
もはや…神の御業の領域だな…。」
「くぅ~!
これには、ヒーローのオレでも、
流石に負けを認めるぜ!
オレは負けた…!
完全敗北って奴だ…!
今日から…オマエが……!
真の…真の…ヒーローだ…‼」
「もう凄過ぎて…、
お箸が止まらない…‼
私…もう…、
他のモノが食べれない身体になっちゃう…‼」
と、セイントフォースの面々《めんめん》も、
この幻のシャケ弁を、存分に味わっている、ご様子‼
「皆さん、
味わい倒してるっスね!
これはオイラも負けてられない…!」
と、叫ぶオイラに、
『ええ…私も…、
食を得れる身なら、
これ程の料理…、
頂きたい限りです!
ですから…!
ご推進下さい……、
マスター…ッ‼』
と、38も、
賛同してくれる!
「ああ…! 38…ッ!
よし!
きっと、サラダや、惣菜たちも、
凄い威力のはず!
だから…オイラも…オイラだって…!
この幻のシャケ弁を!
パーフェクトスケールで…、
味わい尽くしてやるっス……‼」
と、意気込み、口内に、ご飯を掻き込むスピードを上げた時…ッ‼
その悲劇は起こった…‼
ビィー…! ビィー…! ビィー…! ビィー…!
この他の生きる意味より、
何よりも大事な、
この時、この瞬間に…‼
ソルファージュの、アラート音だと…ッ⁉
「な…何でさ…⁉
何でさ…ッ⁉
クソったれぇぇぇーーーッ‼」
と、叫ぶオイラ!
「そ…そんな…⁉」
「どうしてこんな時に…⁉」
と、セリアさんと、リッドさんが、
悲しみの声を上げ、
「神は我々を見捨てたのか…⁉
だが…クッ…!
艦長として…、
皆の安全は最優先…‼
セリア! リッド!
悪いがオレと一蓮托生だ!
ブリッジに着いて貰う!
パイロットメンバーたちもだ!
敵かどうかの確認が終われば、
オマエたちの出撃も有り得る…!
みんな…済まんが…オマエたちの命をオレにくれ…!」
と、辛そうに、
言葉を詰まらせながらも、
オイラたちに頼むバーダック艦長…‼
「あぁぁぁぁーーーッ⁉」
「何で…何でなのよ…ッ⁉
ユリンちゃん…何も悪い事してないよ…?
ユリンちゃん…‼
どうして神様に見捨てられちゃったの…⁉」
「ここで…。
ここで…うちらを見捨てるんか…⁉
あんまりやで…! あんまりやんか…‼
神さん…‼」
「まさかの…このタイミング…。
ああ…神よ…酷いです…。
何故…ボクらを…お見捨てになるのです…⁉」
と、トロイメンカッツェの、
KGメンバーが呻き、
「あんまりだよね…神様…?
どうして…どうして…このタイミングなの…?
アナタは…そんなにボクたちが嫌いなの…⁉」
と、ライさんも、
言葉を詰まらせ、
「誰だか知らねぇが、ふざけるなよ!
こうなったら徹底的だ…!
徹底的に…ブチのめしてやる…ッ!」
「ああ…ここまでの怒りを感じた事は…。
今までに…無い…!」
「オレを負かせた、コイツを、
もっと知る機会を奪うなんて…!
許せねぇ!
ヒーローのオレでも…ぜってぇー許せねぇ…ッ‼」
「そうだね…。
今日だけは…私も怒ったよ…。
私も…絶対に許せない…‼」
と、セイントフォースの面々《めんめん》も、
口々《くちぐち》に、怨嗟の声を上げ、
「ちくしょう…!
ちくしょう……‼
許さねぇ…!
この時…この瞬間を奪った奴…!
誰だか知らねぇが…!
ぜってぇ許さねぇ…ッ‼」
と、レフィル君も、怒気を強める!
「……ククク……! フフフ…! ハァァ…! ハッハッハ…!」
と、ミケさんが壊れ、
「セリア! 索敵、早く!
相手は、どこのどいつや⁉
分かり次第、地獄見せたる…!
地獄見せたるで…!」
と、咆哮する!
「索敵、出ました!
前方に非常道試験部隊の反応!
前回、見られなかった、GS!
スレイプニルという地上用戦艦と見られるモノが、
何か巨大な機体を積んで、
2機の一般装備ダギナスと、
4機のヘリと共に、こちらに向かって居ます!
あ…あの巨体は…ヴァ…ヴァルロス…⁉」
と、セリアさんが、
驚愕の報告をして来る⁉
「非常道試験部隊で、ヴァルロス⁉」
と、ケビンさんが驚き、
「え…あの機体⁉ もう直っちゃったの⁉」
と、ユリンさんも、
驚きの声を上げ、
「直るどころか、前回、完全自爆したのですから、
あれは前回のヴァルロスと別物!
いわば、2号機です!
この短期間での作成とは…!
プロフェッサー=キョクトウ…。
やはり…あの人は…ッ‼」
と、驚きながらも、
何かを悟ったようなマカロニさん‼
「ヴァルロスより、オープン通信、来ました!
我がライバル、マカロニとやらの仲間たち!
今日こそは、
この非常道試験部隊のリーダー、
プロフェッサー=キョクトウの吾輩が、
この新たに制作し直したヴァルロスで、
オマエたちをケチョンケチョンにしてやるので!
恐怖に身震いしながらも、
やられに来るが良いのであ~る!」
との事です!
「前回の仕返しに来たか…。
クッ…相変わらず…頭はパーやけど、
ヴァルロスを、こんな短期間で、
新たに作り直す腕…。
それに…前回の判断能力…。
アイツは侮れん…‼」
と、叫ぶミケさん!
「何? どういう奴らなの?」
と、ライさんが聞き、
「非常道試験部隊とか、
ヴァルロスとかって、
オマエら、みんな、驚いてるけど、
アイツら、そんなヤベェ奴らなのか?」
と、シャルさんが、ハテナという感じで聞いて来て、
「軽く説明すると、
新統合の機体開発の為に、
自分たちで試験機を開発して、
その開発した機体の運用試験をする為の、
独自権限を持たされた独立部隊で、
リーダーのプロフェッサー=キョクトウって奴は、
普段は、頭はパーっぽいダメな奴に見せかけて、
その判断力は、相当ヤバい!
更に、
凄まじいメカニックの腕や!
それに、あのヴァルロスってのは、
前回に、うちらが1号機を追い込んで、
完全自爆させたのに、
1週間と経たん今日で、
キョクトウが新たに作り直したみたいや!
更に、あのヴァルロスは、
過去の時代で名を馳せた機体の複製で、
CGでありながら、
G²の種別を与えられた宇宙用機体で、
あの巨体で、オールレンジ攻撃を搭載した超性能機!
前回は、アイツの普段の頭がパーやから、
地上適正や、空中適性が付けられてなくて、
何とかなったけど、
今回は、もう、
その点は直ってると思った方が、ええ!
更に、部下のダギナスは、
キョクトウの、こだわりで、
キョクトウが1人で、ヴァルロスで、
うちらを殲滅したいみたいで、
記録係装備ばっかしやったし、
今回もみたいやけど、
その操縦テクは、
歴戦の強者って感じや!
つまり、総合して、
相当、侮れん相手やけど!
やるで! みんな!
Gデッキに移動して、
各機、出撃や!」
と、ミケさんが、
説明の上で、捲し立てる!
『ハイ!』
と、みんなが答え、
「行け! ロボ!
今日の…今日の食い物の恨みだけは…!
絶対に晴らすと示してやれ!
出撃だ!」
と、レフィル君だけは、
ソルファージュのブリッジで、
ロボに命じ向かわせつつ、
「各機、出撃したら、
まずは、ソルファージュ近辺で、
みんな、いったん待機!
相手の様子を見る!
相手は強敵やけど…今日の恨みだけは…、
深い事を、教えたるんやで‼
行くで! みんな!
ミケ=スターライト! タイニーダンサー!
出るで!」
と、ミケさんが、
出撃しながら、
号令を出し戦地に向かい、
『ハイ』
と、他のオイラたち、
KGパイロットメンバーも、
総じて出撃して行く!
次々と、
ソルファージュ周辺に、
展開するオイラたちの部隊!
「良し、良し!
出て来たであ~るな!
この、吾輩の力で、
今回こそ、空戦能力を得たヴァルロスなら、
オマエたちなど、物の数ではないと、
上層部にも、示してやるのであ~る‼」
と、キョクトウさんが意気込むが、
「し…しかし…推佐…。」
「ほ…本当に…これでよろしいので…?」
と、相変わらず、
記録係にされてるっぽく、
あの歴戦の2名の、
ダギナスのパイロットさんたちが、
また、勿体ない事に、
一般装備ダギナスで出ながら、
何か、不安そうに、キョクトウさんに聞く、
それもそのはず…!
「え…えぇぇーーーッ⁉」
「な…何だ…⁉」
「な…何あれ…⁉」
「まさかとは思いましたが…。
よもや…こんな…⁉」
「こ…これは…ヒーローのオレでも…流石に…予想外だぜ…⁉」
「な…何かの作戦なの…⁉」
と、オイラたちが、
口々《くちぐち》に驚きの声を上げる!
だって…! だって…⁉
「いや! それ!
4機のヘリコプターから垂れたロープで、
ヴァルロスを、空中に吊ってるだけやん…⁉」
と、鋭いツッコミを入れるミケさん!
「っスよね…?
アレ…ヘリのロープで吊ってるだけっスよね…?」
と、驚きのあまり、
いちいち聞き返してしまうオイラ!
「やっぱ、だよなぁ…。」
と、シャルさんが言い、
「何かの狙いが有ってなのか…?
しかし…解せん…。」
と、オイラたちと同じ、
ハテナマークを浮かべるマリーさん。
「良いのであ~る!
良いのであ~る…‼
これで、空戦能力を得た、
この吾輩のヴァルロスは、
無敵となったのであ~る!」
と、大仰に手を広げ、
話すキョクトウさん……だったが…⁉
ズキュゥーン‼
マカロニさんのフェストゥングの大型レーザーレールキャノンが、
この、かなりの距離が離れた戦域の中で、
4機のヘリからの一本のロープを冷静に射貫く!
「あんですと…ッ⁉」
と、4本のロープの一本を切っただけで、
ヴァルロスが余りにも巨体過ぎて、
体制を崩し、スレイプニルに、
不安定に不時着してしまう⁉
『す…推佐ァァァ…ッ‼』
と、ダギナスのパイロットさんたちが嘆く中、
「例え、
何かの特殊な判断が有ったとしても、
大型レーザーレールキャノンなら、
超長距離から射貫け、
こちらへの被害が抑えれると思い、
撃ちましたが…。
アナタという人は…!
本当に救いようが無いですね、普段のアナタは!
ヘリコプターで無理矢理にヴァルロスを空に飛ばす頭があるなら、
ヴァルロス自身にローターを付けて、
自力飛行できる様にすれば良かったでしょうが!」
と、捲し立てるマカロニさん!
「え…何…コイツ…?
強敵…なんじゃなかったのか…?」
と、ソルファージュから、
皆に通信するレフィル君に、
「いやぁ…。
普段は…こう…頭パーなんやわぁ…。」
と、ミケさんが歯切れ悪く言い、
「まあ…、
いざって時は…、
良い判断する奴だと思ってたんだが…。」
と、渋い顔のケビンさんと、
「あ~。あはは…。
これは…何ていうか…酷いよね…?」
と、乾いた笑いのユリンさん!
その中で、
「クッ…! だが…!
今日は、ヴァルロスの足にできる、
スレイプニルが居るのであ~る!
このスレイプニルをヴァルロスの足に使えば、
ヴァルロスの長距離砲で、
近寄る敵を殲滅であ~る!
吾輩は、
オマエたちを、このヴァルロスで倒す事で、
上層部の評価を得て、
部下の皆さんたちに、
もっと良い暮らしを、
させてやりたいのであ~る!」
と、キョクトウさんが吠える!
「おお! 推佐!」
「流石です! 推佐!」
と、キョクトウさんを称える、
ダギナスのパイロットさんたちだったが…。
ズキューン‼
またもや、
マカロニさんのフェストゥングの、
大型レーザーレールキャノンが火を噴き、
今度は、ヴァルロスの、
胴体部に着弾し、
相変わらず堅牢な、
ヴァルロスの装甲ながらも、
少なからぬダメージを与える!
「本当にバカですね、アナタは!
GSにヴァルロスを乗せても、
そんな状態では、
ヴァルロスの武器の射線軸が固定されるのですから、
縦横無尽に動くボクらを、
捉えられるワケがないですし!
そもそもに、
このフェストゥングの大型レーザーレールキャノンより、
ヴァルロスは射程が短いのですから、
一方的に攻撃されるでしょうが!」
と、捲し立てるマカロニさん!
「な…⁉
吾輩が、
ヴァルロスとスレイプニルの体制を、
立て直す前に、
そんな超長距離から、
一方的にヴァルロスを砲撃してくるなど…⁉
なんという鬼畜外道な、
悪魔野郎なのか…⁉」
と、驚愕の声を上げる、
キョクトウさん!
『す…推佐ァァァァーーッ⁉』
と、ダギナスのパイロットさんたちが、
嘆く中、
「何とでも言って頂いて、結構!
こちらには…今日という日には…、
拭えぬ恨みがあるのです‼」
と、幻のシャケ弁を、
味わっている最中の至高の時、
悟りでも開けた様な賢者タイムを邪魔された、
恨みに濡れ、
キョクトウさんを睨みつけるマカロニさん!
それに対して、
「こ…こうなれば…ヴァルロスを乗せて…、
スレイプニルで撤退であ~る!
行きますよ! スレイプニルの皆さん…!」
と、スレイプニルの乗組員に命じる、キョクトウさん!
そこで更に…‼
ズキューン‼
今度は、
スレイプニルの船首に着弾する、
大型レーザーレールキャノン‼
「なぁ…ッ⁉」
と、更に驚くキョクトウさん!
「今、撤退する…と言いましたね?
オールレンジ攻撃があるはずのヴァルロスを使いながら!
オールレンジ攻撃のあるヴァルロスを使うなら、
そのオールレンジ攻撃で、
遠距離から、ボクらを狙い打てば、
良いだけの事…。
なのに、それを使おうともせず、
いきなり逃げの一手を、
選ぶという事は、
そのヴァルロスも、前回のヴァルロスと同じで、
何かの理由で、オールレンジ攻撃が使えないはず!
もしやと思い、
この一手で、
そちらの状態を、
確かめさせて頂きました。」
と、その驚愕のロジックを、
淡々《たんたん》と述べるマカロニさん!
『す…推佐ァァァァーッ⁉』
と、ダギナスのパイロットたちが、
更に慌てる中、
「クッ…。
前回の出撃で、
潤沢に貰った資金で、
完全再現したヴァルロスを使ったのに、
オマエたちに負けたせいで、
上層部から、予算を削られ、
地上戦対応のオールレンジ攻撃が付けれなかった事が、
ここまで響くとは…!
空戦能力を得たヴァルロスの長距離砲でなら、
オマエたちをケチョンケチョンにできるはずが…!
吾輩の…うっかりミスで…、
ヘリのロープでヴァルロスを、
空中に、
吊るすだけにしてしまったせいで…!」
と、わざわざ説明してくれる、
律儀なキョクトウさん!
「いや! そこ!
うっかりミスのレベル、
明らかに超えてるっしょ⁉」
と、思わずツッコんでしまうオイラ!
『キョクトウさんの、うっかり度は、
余りにも異常過ぎると、
判断します…。』
と、38も、
驚愕を隠せない…。
「ほな!
今日のメインイベントと行こうか?
そのヴァルロスと、戦艦!
鹵獲させて貰う!
ダギナスたちも、同上や!
撃墜したろう思って、
出撃して来たけど、
G²も、戦艦も、
全機含めて鹵獲される事で、
オマエたちに、更に、
新統合の上層部からの信頼を無くさせて、
職を失わせたる!
アヴァドンのミケの名が、
伊達や酔狂で、
付けられたアダナや無い事、
オマエらに、キッチリ教えたる!
戦艦ごと、
マカロニに撃墜されたくなかったら、
今すぐ、全機、投降し!」
と、ミケさんが言い、
マカロニさんのフェストゥングも、
再度、
大型レーザーレールキャノンを、
撃つ構えを取る!
それに対し、
「クッ…!
スレイプニルの皆さん!
ダギナスの皆さん!
吾輩が、
必ず状況を打破するので、
ここは、吾輩の命を聞き、
皆さんの命を欲しい!
悪いが、ここは、ダギナス部隊、
スレイプニル共に、
神風特攻‼」
と、無茶苦茶な事を、
言い出すキョクトウさん…⁉
だが…⁉
「それが推佐の命であれば!」
「ええ、推佐が願うなら!」
「我々《われわれ》は、
推佐に賭けます!」
と、何故か、
そんな無茶な命の中でも、
士気の高い、
非常道試験部隊の皆さん…⁉
「行くぞ! 皆のモノ!」
と、キョクトウさんが命を下し、
『オー!』
と、ダギナス2機を両サイドに、
スレイプニルが、ヴァルロスを乗せたまま、
本当に突貫して来る…ッ⁉
「マジで…⁉」
「本気かよ…⁉」
「正気の沙汰とは思えん…。」
と、オイラたちが慄く中、
「撃ちますか⁉ ミケさん⁉」
と、マカロニさんが聞き、
「突貫なんかして来ても、
相手は、あの数で、うちらは、この数!
戦力は、うちらが圧倒的や!
ここは全機で迎え撃って、
全機で、威嚇射撃や!
フェストゥングの大型レーザーレールキャノンは威力がデカい!
できるだけ、相手への損傷を抑えて、
向かって来るアイツらを全機、囲んで鹵獲するで!」
と、ミケさんが命じ、
『ハイ!』
と、答えるオイラたち!
「行くであ~る!
行くであ~る…!
行くのであ~る…‼」
と、迫り来る、スレイプニル!
「全機、威嚇射撃!」
と、ミケさんの号令の下、
KG部隊と、
ロボの威嚇射撃が行われるが…⁉
「よし! ここであ~る!」
と、キョクトウさんが、
いきなりヴァルロスを降りる…ッ⁉
「ま…まさか…ッ⁉」
「こ…これって…ッ⁉」
「またやりやがるのか…ッ⁉」
と、トロイメンカッツェメンバーが、
戦々恐々《せんせんきょうきょう》とする中!
ドカーン! ボカーン! バカーン!
また、ヴァルロスが、
トロイメンカッツェメンバーたちに、
その巨体をオートパイロットでブツけて来ながら…、
自爆して来た…ッ⁉
「ちょ…⁉ マジで…ッ⁉」
と、呻くオイラや、
「マジかよ…⁉」
「こ…コレ…二度目なんだよ…⁉」
「な…何て威力だ…⁉」
「空を飛んでたスザクですら、
装甲が小破した…⁉」
「おい!
ロボの装甲も。
何かやられてねぇか⁉
ロボは、装甲は、
固いんじゃなかったのかよ⁉」
「ゲンブですら、小破だぜ…‼」
「クッ…!
まさか…ソルファージュの眼前に、
迫るまで突貫して来ての、
ヴァルロスの、再度の自爆やなんて!」
と、驚愕の皆さん!
「クッ…こっちも小破くらいか…!
まだマシなダメージだけど、
逆にダメージが中途半端で、
CAPASがフルドライブにならない…⁉
でも、フルドライブで、もっと見える状態で無くても、
見えるだけの、ドライブだけの状態でも、何とか!」
と、意気込み、
「戦艦の足止めくらい!
だから…相手の戦艦を鹵獲してやって…!」
スレイプニルに走るオイラだった…が…ッ⁉
「今であ~る!」
と、スレイプニルの甲板に居る、
キョクトウさんが命じたかと思うと、
スレイプニルの両サイドのダギナスが、
シュタイガーンバオアーに、
牽制射撃をしつつ、
スレイプニルに帰投!
更に、スレイプニルが、
こちらにミサイルの雨を降らしながら、
急速後退して行く…ッ⁉
「オイラは、今、『見える』んだぞ…ッ⁉」
と、突然の攻撃にも、
通常ドライブの『見える』状態の為に、
ダギナスのライフルはPBLHで、
難なく防ぎ、
ミサイルも、レーザーバトルアックスで、
難なく斬り払うが、
その防御動作で、後の動作に遅れが発生し、
スレイプニルを見逃してしまう…⁉
「クッ…そんな……見す見す……ッ⁉」
と、叫ぶオイラだったが、
後の祭り…。
CAPASのフルドライブでの、
『もっと見える』状態では、
相手の動きが見えるだけでなく、
戦闘の1秒先が見える様な状態で、
相手の先手を打てたりしたんだけど、
CAPASの通常状態の、
ドライブの状態なだけだと、
相手の動きと、自分の動きに対する、
有効な動き方みたいなのが、
何かに囁かれる様に分かるんだけど、
CAPASのフルドライブと違って、
1秒先が見えない為、
より緻密で正確な動きが取れないみたいで、
CAPASなら、
通常状態のドライブでも行けると過信していた、
オイラの失態だった…。
「アレやね…。あの早い動作…。
アイツ…暗号通信で…事前に味方に…、
さっきの動きをする事を命じてて、
アイツらは、演技してたって事やね…。」
と、疲弊した表情のミケさん…。
「テメェ! ふざけんなよ⁉
アヴァドンのミケの名を、
知らしめるんじゃなかったのかよ⁉
オマエの命令のせいで、
オレのロボが傷付いちまっただろうが⁉」
と、理不尽に、
怒り心頭のレフィル君だが、
「いや、アレは仕方ねぇぜ!
このヒーローのオレでも予測できねぇ動きだったし!」
と、相変わらずの弁なりに、
仲裁に入るガンツさんと、
「バカは、ともかく、
本当に、アレは仕方ない。
まさか、あそこで、ああ来るとは、
私にも予想が出来なかった、
オマエも、それが出来なかったから、
素直にミケの指示に従ったのだろう?
ならば、アレは、あの相手が、
オマエや我々《われわれ》より、
一枚上手だったという事だ。
もう過ぎた事だ、
仕方ないと諦めろ。」
と、相変わらずのクールビューティーなマリーさんと、
「ま、ガンツはバカで、
マリーの言い方は、ちょっとキツかったが、
ホント、仕方なかったって。
マリーじゃないけど、ここは諦めようぜ?」
と、シャルさんが諭し、
「そうだよ。
あのダメな、
ヘリのロープの一件の後に、
あの動きなんて、誰も予想できないよ!」
と、ルイリーさんも諭してくる。
「チッ!
ハイハイ!
分かった、分かった!
じゃあ、ロボの修理、きっちりしろよ、
マカロニって奴!」
と、キレながらに言うレフィル君。
「でも、ホント、バカな人なのに、
突発的な判断能力だけは怖いよね、あの人!」
と、ユリンさんが言い、
「だなぁ、あの判断能力は、正直、
敵に回すと、
厄介だよなぁ…。」
と、言葉を濁すケビンさんと、
「判断能力だけでなく、
メカニック能力も、群を抜いています。
この短期間でのヴァルロスの作成…。
例え、オールレンジ攻撃を付けなかったからにしろ、
異常だと判断しますね…。」
と、マカロニさんが、身震いする。
「まあ、とにかく、ソルファージュに戻ろう。
被害が大きすぎるよ…。」
と、ライさんも、
声が掠れ気味になっている…。
「やね。
今回は、うちの判断ミスもあったかもやけど、
相手が一枚上やった…。
相手を侮った事…みんな…ごめんやで…。
ほな、とにかく、ブリッジに戻るで!」
と、ミケさんが詫びつつ言い、
『ハイ!』
と、みんなが答えた!
そして…。
「酷い被害状況ですね…。」
と、ブリッジに上がって来たオイラたちに、
セリアさんが言い、
「ソルファージュも、
装甲の一部が損傷しちゃったよ…。」
と、リッドさん…。
「その上で、KG部隊とロボは、
ほぼ全機が小破……、
痛い戦闘だったな…。」
と、バーダック艦長…。
「まあ! とにかくや!
可哀そうやけど、
今後に、敵がまた攻めて来た時の事を考えて、
マカロニには、いったん、
飯の続きは後にして貰って、
フル稼働でKGたちと、ロボと、
ソルファージュを修復して貰う!
ゴメンな…マカロニ…。」
と、マカロニさんに頭を下げるミケさん。
「いえ、これがボクの仕事ですからね。
それに、メカニック作業は大好きですしね。
ただ…幻のシャケ弁の続きが遅れるのは…。
正直…あのキョクトウさんに…怒りが湧きますね…。」
と、怒気を孕むマカロニさんが、
「決めました!
あの人が、ボクを、勝手にライバルと思う様になった様に、
ボクも、あの人を、ライバルと定めようと思います!
それに、きっと、あの人は…。」
と、言い掛けるも、
「いえ、それは良いですね…。
とにかく、修復作業!
任されましたよ!」
と言って、矛を収めて、
Gデッキに向かってくれる。
「マカロニ…。」
それを、可哀そうに見送るミケさん…。
ああ、天国の父さん、母さん、
せっかくの幻のシャケ弁を味わえる…この日に…。
オイラたち…引き分けながらも…。
内容的に…ほぼ黒星が付いたです…。
オイラも、幻のシャケ弁を味わう続きが遅れたせいで、
幻のシャケ弁の味が落ちたのが悔しいですが…。
あのキョクトウさんは、本当に強敵です…。
マカロニさんが、怒りに燃え、
キョクトウさんをライバル認定し返しましたが、
次に相まみえる時は、
このシャケ弁の借り…。
オイラも…必ず…返します…!
天国の父さん、母さん、
そちらで…見守っていて下さい…ッ‼