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第11話

「オメェな…! ロクスリー…ッ!

 ホントにスペシャルなんじゃ無かったのかよ…ッ‼」

 と、G(ギア)デッキでの衆目しゅうもくなか

 ケビンさんがコメカミをかせながら怒鳴ってらっしゃる…!




「いや…そうは言うっスけどっスね…。

 オイラとしても…出来できるだけ頑張がんばってコレなワケで…。」

 と、シュタイガーンバオアーの中で、

 38(さんぱち)かかえて、

 必死ひっし弁明べんめいをするオイラに…。




「と、言いますけどね、ロクスリー君…。」




「ちょぉ~っと…、

 コレは酷過ひどすぎるんじゃないかなぁ…?」

 と、マカロニさんとユリンさんも、

 すさまじくしぶかおをし、




『このシミュレーターでのマスターの弱さは、

 …異常過いじょうすぎると判断します…。』

 と、38(さんぱち)すら、

 歯切はぎれわるく、

 非難ひなんして始末しまつ…。








 レッドバイソンの捨てて行った機体たちを拾ってから、

 ただちにミケさんが、近くの町に、




 レッドバイソンの機体たちを詰め込んだ、

 レッドバイソンたちのGS(ギアシップ)に、

 オートパイロットを仕込み、




 いつもならケビンさんのラーゼンレーヴェに、

 護衛ごえいまかせるところだけど、




 負傷ふしょうした、

 ケビンさんのラーゼンレーヴェをけ、




 移動力の関係で、

 自らタイニーダンサーで護衛ごえいけず、

 速攻そっこうで売りに行き、




 そのあいだに、マカロニさんが、

 速攻そっこうでシュタイガーンバオアーと、ラーゼンレーヴェを、

 いつも通りの凄まじく素早いうでで、修理を完了し、




 ミケさんが売って戻って来て、




 オイラたちG(ギア)パイロットぐみ

 全員の衆目しゅうもくなか

 もう一度、オイラとシュタイガーンバオアーが、

 本当にスペシャルな相性か見ようという事になり、

 シミュレーターを起動したんだけど…。






「オメェな!

 ちゃんとシュタイガーンバオアーに乗っても、

 気分も悪くならねぇ上に、頭痛もしなくて、

 CAPAS(カパース)とかいう特殊プログラムが、

 ドライブとかいう発動状態にはなるんだろ…ッ⁉」

 と、完璧に撃墜され、

 悲惨ひさんな状態になってる、

 オイラの乗ったシュタイガーンバオアーの、

 シミュレーター画面をうつしたあと




 シュタイガーンバオアーのコックピットないで、

 項垂うなだれてるオイラをうつしてる、

 G(ギア)デッキのモニターの外枠そとわくを、

 小突こづくケビンさん…。








「いや! そうなんスけど!

 ただのドライブだと、

 操縦しなくてもオイラの思う通りに動くだけで…!」

 と、説明するオイラに、




「思う通りに動くんなら、

 もっとうまく動かせるんじゃないの…?

 何で、思う通りに動くのに、この結果なの…?」

 と、しぶかおのユリンさん…。




 そう…シュタイガーンバオアーに乗って…。

 皆さんが訴える、

 頭痛や、気分が悪いという状態に成らない上に、

 CAPAS(カパース)とかいう特殊プログラムが、

 ドライブとかいう発動状態にはなるんだけど…。




 なるんだけど……。










KG(ナイトギア)の、

 この機体で、ゲズ1機と戦って、



 いきなりコケて倒れた上、

 その後の戦闘でも、

 何をやっても攻撃を外すだけじゃなく、



 何度、相手の攻撃からの回避行動で移動しても、

 さらにコケて、攻撃が、ほぼ全弾命中…。」

 と、淡々《たんたん》と、

 シミュレーターの結果をべるマカロニさんに、







「っスけど…!

 なんスけど……!



 ただのドライブの状態だと、

 オイラの思う通りに動くってのがダメみたいで、



 動きが過敏かびんになって、

 逆に移動や回避でコケたり、

 攻撃を外したりしちゃうんスよ!」

 と、ありのままをうったえるオイラなんだけど…。




「でも、

 シュメル戦や、レッドバイソン戦の時は、

 機体が損傷したら、

 CAPAS(カパース)のフルドライブって状態になって、

 大パワーアップしたんでしょ?



 それが、何で、

 シミュレーターなら発動しないの?



 38(さんぱち)ちゃんが、

 確かにCAPAS(カパース)が、

 シュメルたちの時は、

 フルドライブって状態になったって、

 証言しょうげんしてるし、



 それ自体は、私たちも、

 ロクスリー君の超絶的なパワーアップを見たから、

 信じはするけどさぁ…。」

 と、相変あいかわらず、

 しぶかおのユリンさん……。








 そう、シミュレーターなのが悪いのか謎だけど、

 他の方々がシュタイガーンバオアーに乗ると、

 ミケさん含みで、皆さん、頭痛と、

 気分の悪さをうったえるのと、

 オイラだと、それが起こらない事。




 また、オイラとミケさん以外が乗ると、

 CAPAS(カパース)がドライブにならない事。




 オイラや、ミケさんが、シュタイガーンバオアーに乗ったら

 シミュレーターでも、

 CAPAS(カパース)のドライブ状態には、

 何故かなる事。




 その上で、オイラと同じで、

 CAPAS(カパース)のドライブになるミケさんでも、

  何故か、頭痛と、気分の悪さが発生する事。





 その上で、ミケさんでは、

CAPAS(カパース)フルドライブに成らない事。










 また、オイラの他は、

 ミケさんだけは、何故か、

 CAPAS(カパース)ドライブになるのに、




 シミュレーターだからか、

 シュタイガーンバオアーを損傷状態に設定しても、

 ミケさんどころか、オイラでも、

 CAPAS(カパース)フルドラウイブにならない上に、




 他の人が乗った場合だと、

 そもそもCAPAS(カパース)ドライブすら発生しない上、

 CAPAS(カパース)ドライブにはなるミケさん含めで、

 謎の頭痛と、気分の悪さを、

 オイラ以外の、皆さんが、訴える事。




 その為か、皆さん、操縦が妨げられ、

 ちゃんと動けない事までは確認できたんだよね。












 で、オイラが乗った場合は、

 頭痛と、気分の悪さは、全然、起こらないし、




 CAPAS(カパース)ドライブの状態なだけでも、

 相手の動きが『見え』、

 相手の動きに先んじて、

 動くことができる……、








 上に…!




 脳波の初期サンプリング、ていう、

 操者パイロットの脳波を測定し、

 その測定された脳波を基に、

 機体を脳波で思った通りに、

 動かすことが出来る!









 んだけど……。




 脳波で思った通りに動かす、

 という状態が、

 オイラでは、オイラが、色々と、

 無駄な動きを考えてしまって、

 逆に、動かし難くなり、戦力ダウンする事。




 で、

 他のCAPAS(カパース)ドライブになるメンバーの、

 ミケさんでも、オイラの時と同じ様に、

 動かす時に、考え過ぎるせいか、

 やっぱり、動かし難くなるみたいで、

ミケさんでも戦力ダウンする事。














 その上で、CAPAS(カパース)に、

 



 でも、いざシミュレーターを起動し、

 ゲズ1機だけと戦闘シミュレートしても、




 前述の通りの惨状の上、

 シミュレーター内で、シュタイガーンバオアーが、

 機体が損傷そんしょうした状態にしたら、

 CAPAS(カパース)フルドライブになるかと思ったら、




 それが全然、発動せず、

 ただ単にオイラがゲズ1機にボコられて撃墜げきつい…。

 という凄惨ひさんな結果になったんだよね……。









「まあ、アレやね。

 逆に考えたら、

 多分、実戦やないと発動せん何かを、

 前回のシュメル戦と、レッドバイソン戦で、

 偶然見ぐうぜんみれたってことで、

 結果的には良かった…とおもおうや。」

 と、この惨状さんじょうの中でも冷静なミケさん。




「まあ、そうかも知れねぇですけど、

 実際の詳しい状況が把握できねぇってのは、

 やつへの報告に、いろけるっつっても、

 しぶい報告しかできねぇんじゃないです?」

 と、ケビンさんもしぶかおでミケさんにたずねる。








「まあ、ボクも、先生には、

 シュタイガーンバオアーの外装の修理はする様に命じられましたが、

 内装はいじるなとのめいですからね。

 シュタイガーンバオアーの詳しい状況は調べようがありませんね。」

 と、両手を上げ、お手上げのポーズをするマカロニさん。




「とりあえず、実際に外部接続がいぶせつぞくした、

 量子りょうしコンピュータっていう話の38(さんぱち)ちゃんでも、



 シュタイガーンバオアーのCAPAS(カパース)ってのは、

 前にシュメルが言った様に、



 複数の高性能プログラムが同時起動してる代わりに、

 一気に高性能プログラムを同時起動してる影響でバグってて、



 その上で、

 CAPAS(カパース)の、その実態が、ほぼほぼ分からなくて、



 更に、

 そのバグり方が、ある意味、奇跡的で、

 このプログラムを外部からいじると、

 逆に起動しなくなりそうだし、



 ロクスリー君や38(さんぱち)ちゃんが経験したっていう、

 CAPAS(カパース)のフルドライブっていう状態になると、

 量子コンピュータのはずの38(さんぱち)ちゃんですら、

 全く予測不能の完全なバグ状態になって、

 これまた、38(さんぱち)ちゃんですら、

 全く予測不能の大パワーアップ状態に、

 ロクスリー君をパワーアップさせてるらしい…。



 ってのまではかったけど…。



 それって、

 現状げんじょう、ロクスリー君しかマトモま適正が無い上、



 そのロクスリー君でも、

 シミュレーターじゃパワーアップが計測不能。



 その上、多分、ロクスリー君が搭乗した上で、

 実戦で、だいぶ危険な程、損傷しないと発動しない…。

 ってんでしょ?



 あの人、こんな汎用性ない機体を、どうして欲しいのかな?」

 と、さらに頭にハテナマークを浮かべるユリンさんと、

 その話を聞いて、同じく、ハテナマークを浮かべる、皆さんとオイラ…。




 ホント、どうして、

 ミケさんたちのクライアントさんだっていう、その方、

 こんな面倒な機体が欲しいんだろ?




「まあ、アイツとの合流地点も、ホンマぐやし、

 シュタイガーンバオアーは、アイツに渡したら、

 後は、アイツ次第しだいやしな。

 多少は、報告に、いろけれただけでしとしようか。」

 と、相変わらず冷静なミケさん…。














 だったんだけど…⁉

 ソルファージュないに、またアラートが鳴り始める…⁉




「どうした、セリア⁉」

 と、ミケさんが通信を繋ぐが、




「リーダー!

 未確認の機体が3機、

 そのうち1機は、かなりの巨大な機体で…、

 それらがコチラの前方に居り…!



 その中の巨大な機体のパイロットと思われ人物が、



『クズTSトレジャースティーラーたち、

 オマエたちを、この機体1機で撃墜げきついしてやるので、

 無駄むだ足掻あがきをする為に、

 G(ギア)に乗って現れて来るのであ~る‼



 《つ》れの部隊の皆さん2機は、

 吾輩わがはい記録係きろくがかりで居るだけなので、

 戦闘は行わないハンデをやるので、



 吾輩わがはいの華々《はなばな》しい戦果の為に、

 この機体1機にボコられる栄誉えいよを、

 お前たちクズTSトレジャースティーラーたちには与えてやるので、



 感謝しつつ、この機体の恐ろしさに震えながら、

 出撃して来るが良いのであ~る‼』

 と、挑発の暗号通信の伝言を我が艦に送って来ました…!」

 と、げてる……⁉










『ハァ…ッ⁉』

 と、その場の全員が、逆に凍り付く…。




「未確認の機体というのもオカシイですが…。」

 と、歯切はぎれのわるいマカロニさんに、




「たった3機だけで、

 その上、実際に戦うって言ってるのは、

 謎の機体で巨大って言っても、たった1機で、

 それで私たちトロイメンカッツェと一戦やろうなんて、

 どういう人なの…⁉」

 と、ユリンさんもてんになっている!




「まあ、どういうやつかはらんけど、

 売られた喧嘩は買う主義や!

 この喧嘩、買ったる!

 


 シュタイガーンバオアーは、まだ謎が多い!

 もしもの時の為にロクスリー君は、

 シュタイガーンバオアーでデッキ内で待機!

 


 他は、総員、出撃!」

 と、指示を出すミケさん!




『ハイ…ッ‼』

 と、答えを返す皆さん!








 次々に、ソルファージュから、

 ミケさんたちKG(ナイトギア)部隊が出撃する中、

 少し離れた場所に、超巨大なG(ギア)




 足が無く、脚部にはブースターが付いている。

 腕も無く、左右腕部当たる場所にレールキャノン砲を装備。目がゴーグル。

 紫と白のカラーリング。




 ちょっと安定感の無い不格好な感じで地面にたたずんでいるが、

 さっき聞いた挑発文を、ミケさんたちに送るくらいなんだから、

 恐らく、あんな巨大G(ギア)を持ってる事を加味かみしても、

 うちをトロイメンカッツェと認識した上での、

 えての襲撃しゅうげきのはず…。




 その戦力は未知数だけど、あなどれない…!









 って…ッ⁉

 ああァ……ッ⁉

 



 あのおともって言われてる2機のG(ギア)って…⁉







「み…みみ…ッ! ミケさん…ッ‼

 あの記録係きろくがかりのおともって言ってる機体たち、

 新統合しんとうごうの、

 ダギナスってSG(ソルジャーギア)たちですよ…ッ⁉」

 驚愕きょうがくと恐ろしさで、

 早口でまくくしてたオイラの発言に、




『し…新統合しんとうごう…⁉』

 と、皆さんが驚愕きょうがくの声を出す!




新統合しんとうごうSG(ソルジャーギア)…ッ⁉

 新統合しんとうごうが独自に開発してるらしいっちゅう、

 新機軸しんきじくの分類のG(ギア)って言われとる奴か⁉



 って、そんな、

 うちらも見た事ないG(ギア)が分かるやなんて、

 また、ロクスリー君の既視感デジャヴュか…ッ⁉」

 と、おののくミケさん!








「ほ~う。



 部外ぶがいのモノには、

 SG(ソルジャーギア)であ~るダギナスの開発及び、その存在は、

 まだ秘匿ひとくされているはずであ~るが、

 流石さすがは、れた、

 TSトレジャースティーラーたち、

 そういう情報も握っているのであ~るか…。



 悪名轟あくめいとどろく、

 うてのTSトレジャースティーラーチームであ~る、

 オマエたちトロイメンカッツェなら、

 後腐あとくされ無く、

 この試験機であ~るヴァルロスの、

 稼働テストの試験運転のために、

 殲滅せんめつできると思って、ここで待ってはいたが、



 うむ。

 やはりこれは、上層部の情報の秘匿ひとくをしてやるためにも、

 この吾輩わはがい、プロフェッサー=キョクトウの、

 再現さいげん生成せいせいした、

 CG(チャリオットギア)、ヴァルロスの性能テストの為にも、

 ここで、消してしまうのが良いであ~るな!



 お前たちには、吾輩わがはいたち、

 新統合しんとうごう情報機密じょうほうきみつため



 そして、吾輩わがはいの、

 G(ギア)精製技術せいせいぎじゅつの、

 偉業いぎょうを上層部に伝え、

 その功績こうせきから、

 さらなる開発費を、

 この非常道試験部隊ひじょうどうしけんぶたいに、

 れるようにし、



 さらなる高性能機体の開発を、

 吾輩わがはいができるようにするための、

 いしずえにしてやるのであ~る‼」

 と、ヴァルロスと呼ばれた、

 巨大CG(チャリオットギア)のパイロットさんが、

 その自信に満ちた言葉をつむぐ…!








「ヴァ…ヴァルロスですって…ッ⁉」

 と、このキョクトウとかいうパイロットさんの言葉に、

 マカロニさんが大きな動揺の声をらす⁉




「何や、マカロニ⁉

 そんなに驚くっちゅう事は、あのヴァルロスっちゅうのは、

 そんなヤバい奴なんか…⁉」

 と、ミケさんがマカロニさんに、

 こたえをただなか




「過去の時代に、

 CG(チャリオットギア)でありながら、

 その凄まじい性能の為、

 (ジェネラルギア)として分類された、

 という経緯けいいを持つ、超性能機です!



 頭部バルカン。

 左右腕部さゆうわんぶに当たる場所に、

 レールキャノンを1もんずつ装備。



 両腰部りょうようぶにアクセラレートレーザーライフルを装備。

 胸部きょうぶにパルスレーザーほうを装備。



 右肩部うけんぶに、

 レーザーガトリングほうを、

 機体本体のENも使う様にした代わりに、

 威力と集弾性能を高めたガトリングスマッシャーを装備。



 左肩部さけんぶに240mm連装ロケットランチャーを装備。



 最大の特徴は、

 本体の背部はいぶに設置されており、

 射出される、レーザーリフレクトビット。



 まるみをびた形状けいじょうの、

 小型こがたCG(チャリオットギア)で、脳波コントロールで動き、



 複数射出ふくすうしゃしゅつし、

 戦場に分散展開ぶんさんてんかいし、



 自機や、味方機のレーザーや、

 敵機のレーザーを多角的たかくてきに反射して、



 オールレンジの攻撃と、同時に、敵機からのレーザーの防御をも行うという、

 攻防にすきうえ

 展開射撃てんかいしゃげきされるほうからすれば、

 いつ、何処どこから攻撃をされるか分からないという、

 恐怖を与えられる装備であり、



 その能力にり、

 恐るべき脅威きょういと言える、

 超性能のG(ギア)です…ッ‼」

 と、おおきなあせりのいろにじませながら、

 マカロニさんが説明する…ッ⁉







「ちょ…

 (ジェネラルギア)に分類される、

 CG(チャリオットギア)…ですってッ⁉」

 と、驚愕きょうがくの声を出すユリンさんと!




(ジェネラルギア)なんて、

 フェアタイディゲンの時で、相当ヤバかったのに、

 それが、CG(チャリオットギア)とかの巨大サイズで、

 オールレンジとかで攻撃してくるってのか…ッ⁉」

 と、ケビンさんもおどろく! 




「クッ…。

 語尾ごびで、いちいち、

 『あ~る』とか言い出すアホっぽいパイロットやけど、

 そんな凄い(ジェネラルギア)っちゅうのは、

 たとえ相手が、

 SG(ソルジャーギア)っちゅう他の2機が、

 記録係きろくがかりとかで挑んで来んらしくて、

 その(ジェネラルギア)が、

 1機だけで挑んでくるっちゅうても…相当…ヤバい…‼」

 と、ミケさんも、

 はげしいあせりのいろにじませる‼









「ど…どど…どうするんすか…ミケさん…ッ⁉」

 と、驚天動地きょうてんどうちのオイラが聞く中、



「とにかく、KG(ナイトギア)部隊展開!

 まずは相手の出方でかたさぐる!



 ソルファージュは後退!



 今日は、相手が相手やから、うちもケビンも、

 ユリンとマカロニと一緒に、

 この場で、相手の出方でかたを見てから動くで‼」

 と、指示を出すミケさん!




「了解です!

 とりあえず今日は、突撃とつげきしですね!」

 と、ケビンさん!




「まずは、相手の出方でかたを見ないと、

 どれくらい危険か分からないもんね、

 ユリンちゃんも了解だよ、リーダー!」

 と、ユリンさん!




「しかし、ヴァルロスが敵として現れる脅威はすさまじいですが、

 ヴァルロスほどの恐ろしい機体を復元する腕……。



 いえ…今は戦闘に集中ですね…!

 ロイド=ノーマン! 了解しました!」

 と、なに怪訝けげんこといながらも、

 了承りょうしょうべるマカロニさん!



「フッ…!

 吾輩わがはいが再現したヴァルロスの大いなる力!

 存分に味わうが良いのであ~る!

 行くぞ…ッ‼」

 と、突貫とっかんかまえをせるヴァルロス…‼

















 だったんだけど…ッ‼




「う…動けん…ッ⁉」

 キョクトウさんが、

 ある意味、ヴァルロスの説明を聞いた時以上の、

 驚愕きょうがくの発言をらす…ッ⁉












『ハァ~~~~…ッ⁉』

 と、一斉いっせいに、ぎゃくに、

 超驚ちょうおどろきのこえらしてしまうオイラたち‼















「す…推佐すいさ…ッ⁉」



「ど…どういう事ですか…ッ⁉

 ど…どうするんです…ッ⁉」

 と、記録係きろくがかりと言われた、

 SG(ソルジャーギア)部隊の、

 新統合しんとうごうの部下の、

 お二人も驚きの声を上げる…ッ⁉







「クッ…これは…!

 できるだけもとのヴァルロスの戦闘力のままに、

 完璧に再現する事を追求したがゆえきてしまった、

 不慮ふりょの事故であ~るな…ッ‼



 クッ…あまりに完璧に再現してしまえる腕を持つ、

 吾輩わがはいの、天才ゆえのごうなのであ~るな…ッ‼」

 と、何か良く分からない事をべつつ、

 困りながらも自己陶酔じことうすいして行くキョクトウさん…。








「な…何だぁ…⁉」

 と、ケビンさんがあきれながらもおどろき、




「何や助かったみたいやけど…どういう事やねん…ッ⁉」

 と、ミケさんも目が点で、




「え…?

 え~っと…どういう事…?

 ちょっと…あの相手のG(ギア)の説明よろしく…マカロニ…。」

 と、説明をうながすユリンさん。




「え…。

 え~っとですね…。



 ヴァルロスは、前述の通り、凄まじい能力の機体なのですが、

 基本的に、宇宙戦闘うちゅうせんとうを想定して作られた、

 宇宙戦闘用うちゅうせんとうようの機体でですね、



 ボクとしては、

 何かホバー走行機能そうこうきのう搭載とうさいや、

 ブースターを空戦用くうせんようにカスタム等、

 が、してあると思ってたのですが、



 どうも、

 もとのヴァルロスの、

 宇宙戦闘用うちゅうせんとうようとしての能力を、

 そのまま、忠実ちゅうじつに再現してしまっているらしく、



 この目の前のヴァルロスには、

 現在、地上戦ちじょうせんや、

 空中戦くうちゅうせんえるだけの、

 地形適正ちけいてきせいが無く、

 戦えないようだという事ですね…。」

 と、

 自身もおどろきながらも、

 現状げんじょうを解説してくれるマカロニさん…。










「完璧にヴァルロスのもとの性能を再現してしまった、

 吾輩わがはいの天才過ぎる腕が、こんなところでたたるとは…‼



 クゥ~~~~…ッ‼

 天才過ぎるというのは…なんというごうであ~るのか…ッ⁉」

 と、さら自己陶酔じことうすいすすめるキョクトウさん。








「い…いや…推佐すいさ…⁉

 それで…ここからどうするんですか…⁉」




「ヴァルロスが動かない今、

 代わりに、このダギナスで継投けいとうするにも、

 我らは記録係きろくがかりめいじられたゆえ

 この我らのダギナス2機には、

 最低限の戦闘用装備せんとうようそうびしかいのですよ…ッ⁉」

 と、部下のお二人もあわてふためく…⁉









「バカね。」




「バカだな。」




「バカやね。」

 と、うちのKG(ナイトギア)隊メンバーさんたちが、

 こぞってあきれた声を出す。








「ハァ……。

 もとが、

 宇宙戦用うちゅうせんように作られているうえに、

 脚部きゃくぶいヴァルロスを、

 空戦用くうせんようや、陸戦用りくせんように、

 改装かいそうせずに、

 ティアナの重力下じゅうりょくかで使おうとすれば、

 それはそうなりますが…。



 むしろ、ヴァルロスを復元できる腕があるのに、

 それらの適性を付けていない事に、

 こちらがおどろきますよ……。」

 と、溜息ためいきすららして、

 おどろきをげるマカロニさん…。










「絶対この人、凄い事しているんでしょうけど、

 一周半いっしゅうはんまわってバカよね。」




「だな。」




「そうやね。」




「っスね、

 一周半いっしゅうはんしてバカっスね。」

 と、オイラふくめ、

 トロイメンカッツェメンバーに、

 口々《くちぐち》にわれるキョクトウさん。







「えーい!

 だが、移動はできんとはいえ、攻撃は出来る!

 このヴァルロスのレーザーリフレクトビットによる、

 オールレンジ攻撃の脅威きょういを見るのであ~る…ッ‼」

 と、キョクトウさんがいさむ!




「そ…そうだ…ッ⁉

 そ…それがあるっスよ…⁉



 いくら本体が動けなくても…、

 縦横無尽じゅうおうむじんのオールレンジ攻撃なんて…⁉

 ど…どうするんスか…ミケさん…⁉」

 と、

 あらたな脅威きょういに、

 戦々恐々《せんせんきょうきょう》とするオイラ…‼




「そ…そうだったよ…⁉

 本体が…ちゃんと地上で動かないポンコツ仕様しようでも…⁉」




「ああ…。

 オールレンジの攻撃ってのは…。

 一体…どれほどヤベェのか…。」




「クッ…。

 パイロットは…ただのアホでも…、

 モノが厄介過やっかいすぎる…‼」

 と、警戒けいかいつよめるミケさんたち…。








流石さすがです! 推佐すいさ…!」




「例え本体が動けずとも、

 やはり推佐すいさの復元されたヴァルロスは、

 素晴らしいんですね‼」

 と、

 おどろきから一転いってんして、

 キョクトウさんをめちぎる部下の方々!








「よし! 行くのであ~る!

 ヴァルロス…! レーザーリフレクトビット起動…ッ‼」



「クッ…!

 来るで…みんな…ッ‼」

 と、語気を荒げ、皆さんに注意をうながし、

 ヴァルロスの出方でかた慎重しんちょううかがうミケさん…‼











 …。

 ……。

 ………。

 …………。




「り…リフレクトビットが稼働かどうしない…ッ⁉」

 と、

 ある意味での、

 さらなる驚愕きょうがく事実じじつを、

 べるキョクトウさん…⁉









「あ~…。

 アハハハ~……。」




「もう…ダメなだけだなコイツ……。」




「いくら敵にしても…これはあわぎるやろ……。」




 緊張からの一挙いっきょ脱力だつりょくで、

 あきてるミケさんたち…。









「そりゃ、レーザーリフレクトビットも、

 ヴァルロスを、

 宇宙戦闘用うちゅうせんとうようのままで再現して、



空中適性(くうちゅうてきせい)を、

 あたえていなければ、そうもなりますよ…。



 というかですね…。

 それほど、忠実に再現できる素晴らしい腕があって、

 どうして、本体やリフレクトビットに、

 空中適性くうちゅうてきせいを付けていないのか、

 ボクでは認識が追いつきません…。



 それほどの腕がありながら…本当に…勿体もったいない……。」

 と、

 メガネをクイっと上げて、

 問題点を指摘してきするマカロニさん…。













「す…推佐すいさァァ~~~…ッ⁉」




「も…もうどうしようも無いんですか…⁉

 ど…どうするんです…推佐すいさァァ~~…⁉」

 と、涙声なみだごえで、

 キョクトウさんにすがく部下の方たち…。












「え~い!

 例え、本体が動けず、リフレクトビットも動けず、

 オールレンジ攻撃もできないとしても…!

 ヴァルロスの射程距離しゃていきょりは長い!



 部下のSG(ソルジャーギア)部隊の皆さんに、

 オマエたちを一人ずつあぶしてもらって、

 オマエたちが射程内に入れば一機ずつ撃墜してやるのであ~る…‼



 SG(ソルジャーギア)部隊の皆さん!

 や~って、くださいであ~る…ッ!」

 と、キョクトウさんがめいじる…‼




「クッ…。

 かりました…。

 現状はそれしかないですね…推佐すいさ…‼」




「ですね…!

 たと最低限さいていげんの、

 汎用装備はんようそうびでも…。


 このSG(ソルジャーギア)…ダギナスで…‼

 推佐すいさのお役に立ってみせます…‼」

 と、SG(ソルジャーギア)部隊のお二人が、

 こちらにせまってる…⁉









「みんな…‼ ここはさらがるで…‼

 ソルファージュも…‼ もっと後方こうほうがってや…‼

 そのうえで、向かって来るダギナスとかいう、

 SG(ソルジャーギア)とかいう機体たちをむかつで…‼」




『了解ッ‼』

 と、おたがいの部隊が、ついに動きを見せ始める…ッ‼




「クッ…オレは…推佐すいさの役に立つんだ…‼」

 と、先行せんこうするほうのダギナスが、

 背部はいぶミサイルを展開てんかいしてる…‼




「その程度…ッ‼

 行くぜ…! アリーエルスラスター…ッ‼」

 アリーエルスラスターを使って回避しつつ、

 他の味方に流れない様にガトリングで残りを落として行くケビンさん‼




「凄まじい動きだ…‼

 だが…その動きをしたところを…だ…‼」

 と、ラーゼンレーヴェが動く中、

 その動きで視界がふさがったユリンさんのエンジェルシードに、

 あのトライバレルみの出力のレーザーを、

 後方こうほうのもう一機がはなった…⁉




「あぅ…ッ⁉

 右肩部うけんぶが…ッ⁉

 エンジェルシードが…こんなにれるなんて…ッ⁉」

 と…被弾ひだんするモノの…、

 思ったほど損害そんがいが多くないエンジェルシード…。




標準型ひょうじゅんがたとは言え、

 このSG(ソルジャーギア)

 ダギナスのレーザーライフルを受けて、

 その程度の損傷そんしょうだと…⁉」

 と、

 驚愕きょうがくの、

 SG(ソルジャーギア)部隊ぶたいの方々《かたがた》…。







 前のトライバレルみの

 やつとは違う…。




 こっちが汎用型はんようがたで…、

 前のが強襲型きょうしゅうがただったんだ…!





 でも、たった2機で、

 歴戦れきせんのパイロットのユリンさんの、

 きょくなんて…⁉







「クッ…。

 記録係きろくがかりとかわりに…、

 中々《なかなか》やる…‼」

 油断無ゆだんなく、

 戦況せんきょう見据みすえ、

 トライバレルで牽制けんせいするミケさん…‼




 と…そのなかで…ッ‼

推佐すいさ…!

 オレたちが相手をしてる間に…狙い撃って下さい…!」




「そうです! 推佐すいさ…!

 オレたちがかきまわしてるうちに…ッ‼」

 と、キョクトウさんに、援護射撃を願う部下の方々《かたがた》…!




 更に…その中で…!

「よ~し…!

 SG(ソルジャーギア)部隊の皆さん…!

 今…吾輩わがはいが援護射撃を…ッ‼」

 と、キョクトウさんがミケさんたちを狙って来た…ッ⁉



 んだけど…。

 そうなんだけど……。


「って…ッ‼

 本体が動かないせいで…⁉

 敵に射軸しゃじくわせられないではないか…ッ⁉」

 と、またもダメダメぎるキョクトウさん…⁉









「す…推佐すいさァァァ~~~…ッ⁉」




「そ…そんなァァァ~~…ッ⁉

 このレベルの相手は…、

 このままでは…、

 我等われらだけではァァ~~…ッ⁉」

 と、悲しいたけびを上げながらも、

 動き続ける部下の方々《かたがた》…!


 



「ヴァルロスの射程が長くても、

 ヴァルロス自身が動けなければ攻撃時の細かい修正ができないでしょうが……。



 そんななかで、

 縦横無尽じゅうおうむじんに動くボクたちのKG(ナイトギア)を、

 ねらてるワケがないでしょうが……。



 それに、残念ながら、

 ボクのフェストゥングの大型レーザーレールキャノンの射程距離の方が、

 ヴァルロスの最大射程より長いです…。



 ですから、一方的に攻撃させてもらいますよ…?」

 と、無情むじょうげるマカロニさん…。




「クッ……だが…。



 見た所…オマエたちのG(ギア)の中でヴァルロスの最大射程を超えるのは、

 今の男の機体のみと見た!



 そして、本来なら射程距離の長いはずのGS(ギアシップ)の主砲も、

 ここまでえて、

 その長射程のGS(ギアシップ)の主砲を使わない事から、

 GS(ギアシップ)が、不調ふちょうようで、

 使用不可しようふかと見た!



 流石に(ジェネラルギア)せたヴァルロスが、

 その射程が届く機体の残弾ざんだんだけでは、

 ちんのであ~る…‼」

 と、おもいのほか、冷静に、

 こちらを分析して話して来るキョクトウさん…⁉








 だったんだけど…。

「私のエンジェルシードが、

 いくらでも残弾ざんだん補給ほきゅうするから、

 いくらでも撃っちゃってマカロニ!」

 と、ウィンクを送るユリンさん…‼




「アンタら鬼ですかッ⁉

 こんな産まれ立ての小鹿こじかように、

 かよわ吾輩わがはいを、

 ってたかっていじめてどうするなのッ⁉」

 と、さけぶキョクトウさんに、







「誰であれボクたちの敵に回るのであれば、

 ボクたちには手加減や容赦をする様な、

 綺麗事きれいごとをしていられないワケがあるのですよ!」

 とい、背部はいぶから右肩みぎかたにマウントして使う、

 フェストゥングの最大射程武器の、

 大型レーザーレールキャノンをヴァルロスに発射するマカロニさん…‼



 

 モノが(ジェネラルギア)という事で、

 数発ではしずまない堅牢けんろうな装甲のようだが、

 少なからず装甲をいためてく‼




「クッ……。

 なんう、

 鬼畜極きちくきわまりないやからなのか……。



 ハッ⁉ いま気付いたが!

 吾輩わがはい指揮下しきかの、

 地上用ちじょうようGS(ギアシップ)の、

 スレイプニルをヴァルロスの足に使えば良いのではないかッ⁉



 SG(ソルジャーギア)の皆さん、

 スレイプニルは何処いずこに?」

 と、

 キョクトウさんが、

 さらなる足掻あがきの一手いってを、

 部下のお二人に聞く…ッ‼















 んだけど…。

 そうなんだけど……。




「ハッ!

 ヴァルロスの試験運用しけんうんようの、

 データ取りの邪魔になるとの事で、

 撤退命令てったいめいれいにより、

 12:00(ひとふたまるまる)撤退てったいしており、

 このフィールドには12:30(ひとふたさんまる)まで、帰って来ません!」

 と、キョクトウの部下のかたの一人が進言する⁉




 その答えに、

「誰だッ⁉ そんな迂闊うかつな命令を出したのはッ⁉」

 と、キョクトウさんが怒鳴るが、




「ハッ! 推佐すいさご自身です!」

 と、部下のかたが、

 相変わらずのおどろきの答えを返す…⁉




「あんですとッ⁉」

 と、叫ぶ、キョクトウさん!












「ハァ……。



 そもそもGS(ギアシップ)からヴァルロスを出撃させて、

 今のその場所に配置した時点で、



 普通なら、

 ヴァルロスが宇宙用の機体性能のままで、

 動かない事に気付くはずなのに、   

 何故、気付かなかったのですか……?」

 と、溜息交ためいきまじりにいただす、マカロニさん…。




吾輩わがはいは、

 この部隊の司令官なので、

 G(ギア)キャリアーで運搬うんぱんさせて、

 あとは司令官らしくドンと構えていただけだったのが悪かったか!」

 と、さらに、

 無茶苦茶な答えを述べるキョクトウさん…⁉




「いえ……例えそうだったとしても、

 普通、分かるでしょうに……。」

 と、相手がダメな敵ながら、

 あまりのひどさに、

 声も小さくなっていくマカロニさん…。







「やっぱりバカね。」




「だな。」




「そやね。」




「っスね。」

 と、またもオイラ含め、

 トロイメンカッツェメンバーに口々に言われるキョクトウさん。














「クッ……!

 SG(ソルジャーギア)部隊の皆さんに任すのも厳しい相手…ッ!

 このままヴァルロスを落とされ部分パーツを、

 こんなTSトレジャースティーラーに渡せば、

 我が軍の機密をさらす事に…ッ‼



 っとなればであ~る…ッ‼



 部下の皆さん‼

 被弾をけつつヴァルロスに寄り…‼

 吾輩わがはいを脱出させて下さいなのであ~る‼」

 と、SG(ソルジャーギア)部隊の方々《かたがた》に、

 指示しじするキョクトウさん…!








「ハッ…!」




「了解です…!

 ぐに御傍おんそばに…ッ‼」

 と、こっちへの牽制けんせいのミサイルをちつつ、

 がるダギナスたち!




「目の前に、美味しそうなモノをぶらげられて、

 そのまま逃がすかっての!」

 と、ダギナスたちに、

 A(アサルト)トライバレルのバレットをはなつケビンさん!







 なんとかシールドをかまえるが…。

「クゥ…!

 なんという破壊力…ッ⁉」

 シールドごと左手を破砕はさいする!




「そういう事や…‼」




「こっちだって逃がさないんだから…ッ!」

 と、2機で、

 トライバレルと、L(ライト)トライバレルのレーザーを、

 交互こうごはなつミケさんとユリンさん!




「グッ…ダギナスの装甲で…これだと…⁉」




「クゥ…ッ⁉」




 少なからず被弾ひだんして、

 1機はトライバレルのレーザーで、

 頭部とうぶうしない、

 1機は、手持ちのレーザーライフルを撃墜されるダギナスたち!




SG(ソルジャーギア)部隊の皆さん!



 今から吾輩わがはいは、この機体から脱出するので、

 上手く受け止めてくださいであ~る!



 受け止めてくれさえすれば、突破口は、何とか開くのであ~る!」

 と、キョクトウさんが、

 ヴァルロスのコックピットから出て、




 フライングリフト……。

 人が、単身たんしんで、空中を飛ぶ事ができる、

 小型エンジンきのはねのある装置を装備して、

 ダギナスの皆さんのほうに飛んでいき、

 見事にキャッチされる!




「よし!

 バカがヴァルロスを出ましたよ、(あね)さん!」




SG(ソルジャーギア)っていうのも欲しいけど、

 ここは見逃しよね! それより何より…‼」




「ああ!

 地上戦能力ちじょうせんのうりょくくても…、

 (ジェネラルギア)やで…(ジェネラルギア)……‼

 こんな美味おいしいおたからが、

 はいるやなんて……って…ッ⁉」

 と、ミケさんたちが、

 (ジェネラルギア)のヴァルロスを手に入れれる喜びに、

 ヴァルロスにむらがったところで…⁉







 ヴァルロスが、

 オートパイロットを仕込しこんでいたのか、

 地上適正ちじょうてきせいいって言われてた、

 下半身のブースターをかして、




 でも、地上適正ちじょうてきせいいせいで、

 無軌道むきどううごきで、

 こっちにすごいきおいで、

 んでたかとおもうと…ッ⁉









 ドカン…ッ‼ ボカン…ッ‼ バカァァァン~~~……ッ‼

 じ…自爆した…ッ⁉





「あ…アァァァァ…ッ⁉」




「ク…ッ⁉」




「そ…そんな…事をやるやなんて…ッ⁉」




「こ…これは…ッ⁉」

 ミケさんたちKG(ナイトギア)部隊が、

 急遽きゅうきょ、突撃して、

 自爆したヴァルロスの爆風にまれる…⁉




 な…なんとか…、

 エンジェルシードとフェストゥングが…、

 ラゼンレーヴェとタイニーダンサーの壁になって…、

 損傷を少しおさえたけど…。




 全機…かなりの被弾ひだんをした…ッ⁉









「ここは引くであ~るが、

 今日のオマエたちの勝利は、

 たまたま性能の良いKG(ナイトギア)たちを、

 オマエたちが持っていたから勝っただけで、

 機体性能のお陰だけで勝ったと心にきざむがい!」

 と、ダギナスの手の中で、キョクトウさんがえる!




「クッ…味な真似をしやがって…!

 


 だがなぁ!

 確かにオレたちのKG(ナイトギア)は、

 特別製とくべつせいらしいが!



 この4機を、

 オレたち一人一人に合う様に、

 カスタマイズしたのはマカロニだぞ…!」

 と、(ジェネラルギア)に自爆され、

 自機たちもダメージを負わされ、

 くやしい中でも、

 ケビンさんがはなつ!







「あんですと…ッ⁉

 オマエたちのそのKG(ナイトギア)たちをカスタマイズしたのは、

 そのマカロニとかいうKG(ナイトギア)壮者パイロットですと…ッ⁉」

 と、おどろきをかくせないらしいキョクトウさん!




「まあ、ボクの担当の仕事でしたからね。」

 と、ダメージを負った中でも、

 ケビンさんの発言を認めるマカロニさん!




 そんな中…、

「クッ……良いだろう! マカロニとやら!

 貴様を吾輩わがはいのライバルと定めてやる…ッ‼」

 と、一方的にマカロニさんにライバル宣言をするキョクトウさん…⁉




 その一方的な敵視にもたじろがず、

「どう思われようと構いませんが、

 一つアナタに聞きたい事があります。

 カルマ=ウォーセという名前に聞き覚えはありませんか?」

 と、マカロニさんが、謎の質問をキョクトウさんに聞くが、








「カルマだか坊やだか知らんが、そんな奴は知らないのであ~る!



 吾輩わがはいの部下の皆さん!

 コイツらは鬼畜外道きちくげどう悪魔あくまですよ!



 こんな悪魔野郎共デビルやろうどもの言う事を聞いちゃダメですよ!

 といわけで、撤退てったいであ~る…ッ‼」

 と、

 SG(ソルジャーギア)部隊の方々《かたがた》にめいじ、




「ハッ…!」




「了解です…!

 撤退てったいします…ッ‼」

 と、ってくキョクトウさんたち!








「マカロニとやら!

 次に会う時は絶対に、

 貴様たちを地獄のどん底に突き落としてやるので、

 その時を指折ゆびおり数えて、

 震えながら待っているが良いのであ~る…ッ‼」

 と、捨てゼリフをいて、遠くなってくキョクトウさんたち…!








 だけど、まさかの自爆によって手傷を負い過ぎて、

 それを見逃すしかないミケさんたち…‼




「う~ん……考えすぎでしたかね?

 ボクの考え通りの方が納得は行ったのですが、

 まあ、良いでしょう。」

 と、一人ごちるマカロニさん。









「クッ…ただのバカかと思ったが…味な真似をしやがる…‼」

 と、くやしがるケビンさん。




「ホント…たった3機に…凄い被害だよね…。」

 と、呆気あっけられたかおをするユリンさん。




「うちらに機密の(ジェネラルギア)を渡さんようにした上で、

 脱出のためのダメージを与える…。



 イザという時は使う様に事前に自爆装置を用意しといて…、

 本当にイザとなったら躊躇ちゅうちょなく使う…。

 敵ながら良い判断や…。



 ああいう…アホと天才は紙一重な奴は、

 実は結構…侮れんっちゅう事やな…。」

 と、珍しく敵を褒めるミケさん…。







「で…でも…!

 被害は甚大じんだいっしたけど、

 地上適正ちじょうてきせいの無い、

 ダメな相手っしたのにっスけど、

 あの未知のSG(ソルジャーギア)のダギナスたちや、

 (ジェネラルギア)を相手に生き残れたミケさんたちは、

 流石さすがっスよ!」

 と、冷えた場の空気を何とかげようとしたオイラの言葉に、




「ま…あんな相手も居るって事で、

 オレたちも、そうそうは調子に乗ってられないってこったな。

 ま、いい勉強になったと思う事にするぜ。」

 と、こっちもめずしく謙虚けんきょなケビンさんと、




「バカとハサミは使い様って言うけど、

 今日で、ホントだってのは分かったわね。」

 と、お手上げのポーズをするユリンさんと、




「まあ、マカロニをライバルって言ったからには、

 今まで、新統合しんとうごうとのいざこざは、

 アイツが注文するから避けてたうちらやけど、

 こら、本格的に新統合しんとうごうに狙われるな。

 まあ、ハクが付いたと思う事にするけどな。」

 と、あきらめの表情のミケさん。




「って…そうっした…‼

 こ…これで…新統合しんとうごうに…完全に狙われる事に…⁉」

 と、戦々恐々《せんせんきょうきょう》とするオイラに、




「まあ、これも先生の筋書すじがき通りで、

 先生には、何か思う所があると思いますけどね。」

 と、マカロニさんが、謎のつぶやきをする。




「え…⁉ え…ッ⁉

 ど…どういう事っすか…⁉」

 と、聞くオイラに、




「今回のアイツらとのバッティングは、

 私たちのクライアントが、意図的に、

 私たちが、ここを通る事を、

 アイツらに情報を流したからだろうって事よ。」

 と、ユリンさんがかたした…⁉




「え…⁉ ちょ…⁉

 そ…それこそ…どういう事っすか…⁉」

 と、狼狽うろたえるオイラに、




「オレらのソルファージュが、この場所を通るなんて情報を、

 新統合しんとうごうとはいえ、

 あんな試験部隊が、そうそうつかめねぇだろ?」

 と、ケビンさん。




げたがってた、

 スナッチャーザインや、レッドバイソンたちや、

 ザインから依頼を受けたシュメルとか、

 こっちに他意たいがあるやつならともかく、



 アルセカーナの一件いっけんがあるにしても、

 うちらがけてたことで、

 新統合しんとうごうは、

 そんなに躍起やっきになって、

 うちらをワザワザせまでして、

 狙う必要はかったいう事や。」

 と、ミケさん。








「つまり、誰かが、意図的に、

 あの非常道試験部隊ひじょうどうしけんぶたいというところに、

 情報をリークしたというわけであり、



 その人は、この場所を通る様に指示していて、

 ボクたちに、出来る限り戦闘をして、

 ボクたちのKG(ナイトギア)の戦闘データをより多く取り、

 そのデータを定期帰投時ていききとうじに、

 わたすようにというめいくだしている先生……。



 ボクたちのクライアントであろう…という事です…。」

 と、肩をすぼめて話すマカロニさん。







「え…ッ⁉

 えぇぇぇぇ~~~…ッ⁉」

 正に、目が点のオイラ…⁉




 ど…どど…どうして…そんな事に…⁉

 っていうか…その事前じぜんに、

 くだされてたって命令って…なんなの…ッ⁉








「チッ…!

 またぞろ、野郎のワケわかんねぇ行動ってワケだ…!」

 と、悪態あくたいくケビンさんと、




「でも、あの人は、本当に、

 いつもいつも、何考えてるか分かんないし…。」

 と、さらにお手上げのポーズを見せるユリンさん。




「で、もう直ぐそこに、

 そのクラアントとの合流地点があるっちゅう、

 ほぼ計算ずくの進行具合ってワケや…。

 ハァ……。」

 と、溜息ためいきくミケさん。






「まあ、とにかく、機体たちの修繕しゅうぜんも必要ですし、

 先生の艦にある備蓄品をもらって、

 ソルファージュのメインエンジンの、

 修繕しゅうぜんもしなくちゃですしね。

 このあとも…、

 重要じゅうようイベントたちは、

 してるようですね…。」

 と、マカロニさんも、また肩をすぼめた…。




 そして…。




 …。

 ……。

 ………。

 …………。




「これがミケさんたちの、

 クライアントさんのGS(ギアシップ)…ッ⁉」




 当初の予定より遅れたが、

 ミケさんのクライアントさんの、GS(ギアシップ)

 というモノの前に着くオイラたち…。

 なんだけど…。







「ちょ…ッ⁉ ソルファージュの時点で、

 無茶苦茶なデカさだと思ってたのに、これはムチャ過ぎじゃないっスか⁉」

 そのGS(ギアシップ)の圧倒的な大きさに、

 恐れおののくオイラ…。

 その大きさ、実に、

 ソルファージュの5倍ほど…ッ‼









「まあ、見ただけで、そうも驚くやろうけど、

 それだけ、ヤバい奴が乗ってるのは覚悟し。



 これが、うちらのクライアントのカルマ=ウォーセの、

 移動要塞空母GS(ギアシップ)のガルガンチュアや。」

 と、淡々と解説するミケさん。






「とりあえず、

 先生との約束の品の、

 シュタイガーンバオアーは、

 ガルガンチュアに持って行きましょう。



 ロクスリー君、運搬、任せます。

 キミじゃないと、適合性の問題で、

 不測ふそく事態じたいが起きると困りますので。」

 と、マカロニさんが、うながす。


 


「仕方ないっスけど、

 何か、オイラ、いつの間にか、

 シュタイガーンバオアーとニコイチあつかいになってるっスけど、

 ここで、クライアントさんにシュタイガーンバオアーを渡せば、

 もう、会う事の無い機体なんスね。



 適正が合うって事で、前線とかに出されると怖いので、

 このまま居なくなってくれると嬉しくもあるっスけど、

 せっかくのオイラの適合機体てきごうきたいっぽい機体が、

 どっかに行くのは、さみしくもあるっスね。」

 と、しみじみと言うオイラに。




「まあ、

 シュタイガーンバオアーは、

 ややこしい機体みたいやし、

 野郎が引き取る分には良いんじゃねぇか?

 まあ、とにかく、ガルガンチュアの中に行こうぜ」

 と、ケビンさんが促し、




「だね、あの人と会わないと、私たちの問題は解決しないしね」

 と、ユリンさんが、何か意味深いみしんな発言をする。




 それに、オイラが反応する前に、

「まあ、とにかく、ガルガンチュアにこか。

 ロクスリー君、シュタイガーンバオアーの運搬、

 安生あんじょう、頼むで!」

 と、ミケさんがくくり、

 シュタイガーンバオアーの運搬をし、

 ガリュガンチュア内で、

 ミケさんとの合流を果たしたオイラは、

 そのGS(ギアシップ)の、

 ブリーフィングルームにおもむことになった。








 そこには、初老しょろう…というには若く…、

 青年…とはがた姿すがたの男性が、一人、待っていた。




「ご苦労。トロイメンカッツェ諸君しょくん。」

 と、ねぎらいの言葉をまずける、その人物。








「注文の品は、ご覧の通りや。

 データも事前に送った通りや。



 で、最近の、

 ロクスリー君の搭乗した時のデータがこれや。



 で、ロクスリー君のシミュレータでの結果がこれ。」

 と、シュタイガーンバオアーの、

 運搬うんぱんほうと、

 搭乗時とうじょうじのデータの、

 細かなデータの報告をするミケさん。




 その報告に、クライアントさんのカルマさんが、

 一瞬、おどろいた様な表情を見せたものの、

 冷静な表情に戻り、

「中々《なかなか》に、

 興味深きょうみぶかい結果だ。」

 と、ひとりごちたかと思うと、




「では、まずは、

 ソルファージュのメインエンジン|の、

 修復素材しゅうふくそざい提供ていきょうはしよう。



 素材はソルファージュないに、

 今直いますおくろう。

 ロイドなら、その素材があれば数時間で修復は可能だと保証しよう。」

 と、

 ソルファージュのメインエンジンの、

 修復素材しゅうふくそざい提供ていきょうを、

 いきなり約束した上で、




「その上でだ。

 ミケ、クライアントとして、

 君たちの協力要請事項きょうりょくようせいとして、

 以下の協力を要請ようせいする。



 ロック=ロクスリーを、

 正式にシュタイガーンバオアーの専属パイロットとし、

 その戦闘と運用データを定期的に提示ていじの要請を頼む」

 と、協力要請きょうりょくようせいとか言って、

 何か、いきなり、

 ムチャ過ぎる事を言い出してるんですけど、この人⁉







「ちょッ…⁉

 いきなり何言なにいってるんスか、

 クライアントさん…ッ⁉」

 おののくオイラ。




「シュタイガーンバオアーは、

 アナタが強奪ごうだつするように、

 めいじてた機体じゃなかったの…ッ⁉



 ロクスリー君を専属パイロットにして、

 トロイメンカッツェない運用うんようしろなんて、

 一体アナタは何がしたいのよ…ッ⁉」

 と、ユリンさんが当然のツッコミを入れるが、




「無駄だ、ユリン。コイツの言う事なんてどうせ決まっている。」

 と、バーダックさんが言い、




「良く理解しているじゃないかバーダック。

 私はけのものは好きだ。

 そう、君たちがその理由を知る必要はない。」

 と、カルマさんが告げる…ッ⁉




「い…いや…ッ⁉



 理由も聞けずに、

 死地しちいやられるのは、

 勘弁かんべんっスよ…ッ⁉



 確かにシュタイガーンバオアーは、

 オイラと適合てきごうする機体、

 っぽい予感はあるですが、



 専属パイロットなんて、

 危険過きけんすぎっしょ…ッ⁉」

 と、さらおののくオイラを尻目しりめに、







「チッ……テメェが盗んで持って来いって言っときながら、

 そんな依頼を出すくらい大事な機体をロクスリーに乗らせて、

 オレらで使えとか、

 ワケ分かんねぇ事を言い出しやがった挙句あげくに、

 理由は教えねぇだと…ッ⁉



 だからコイツとはソリが合わねぇんだ!

 (あね)さんや兄弟たちの為だけに、

 テメェに口聞くちきいてやっているだけだって覚えとけよッ‼」

 と悪態あくたいくケビンさん。







「相変わらず青いな、ケビン。」




「何だとテメェッ⁉」

 と、カルマさんとケビンさんの空気が、どんどん悪くなる中、




「ケビン、無駄だ。

 コイツは言いたい事は言い抜くし、

 大事な事でも言わないと決めたら言わない奴だ。

 まともに相手をするだけバカを見るだけだ。」

 と、大人の対応のバーダック艦長。 


  


流石さすがにバーダックは、

 分別ふんべついているじゃないか。

 ケビンも彼を見習みならううがい。」

 と、すずしいかおのカルマさん。




「クッ……コイツッ!!」

 それにたいし、怒りをあらわにするケビンさん。




「まあ良い。

 では、これからのプランを話そう。」

 と、めくくりの言葉を発するカルマさん。




「フン。

 初めから、早よ、それを話せば良いだけや。」

 と、バーダック艦長並かんちょうなみに、冷静なミケさん。




「このシュタイガーンバオアーの強奪と運搬の作業の終了で、

 約束通り君たちのむらの人々の生命維持をいつも通りと、

 更に症状の解析作業は行おう。」

 と、何やら、聞きなれない情報が入って来る…ッ⁉




「最初から、早く、そうしてれば良いのに!

 でも、やったね、みんな!

 これで、むらのみんなが助かるよ!」

 と、カルマさんに怒るそぶりを見せつつも、

 むら…の…みんな?という方々《かたがた》が、

 良くなるっぽいのに喜ぶユリンさん。








「だが、

 私は生命維持と症状の解析作業はするとは言ったが、

 症状を改善する治療を行うとは言ってはいない。



 それを求めるのなら、

 これから私が命じるいくつかの指令をこなしてもらう。



 それを行えば君たちのむら…、

 リンガルむらの人々の症状の治療にも着手しよう。」

 と、カルマさんが何か、ムチャっぽい事を言い放つ…ッ⁉




「テメェッ!!

 ここまでさせといて、

 足許見あしもとみやがるかッ!?」

 と、ケビンさんが怒りをあらわにするが、








「ケビン、良い。

 これは、うちらとコイツとの因縁いんねんや。

 うちらはコイツに未来を買われたんや。

 うちらだけやったら、

 リンガルむらの人たちの生命維持すらできんかったはずや。

 確かにくやしいけど、うちらはコイツの言う事を聞くしかないんや」

 と、冷静に言うミケさん。




「けど、(あね)さんッ!!」

 とケビンさんがとがめるが、




「そうだ、ミケ。

 君たちの未来はリンガルむらの人々のために私に買われたのだ。

 私は物分かりの良い者は好きだ。」

 とカルマさんが言って来る…ッ⁉








「そんで何や、オマエの要求は?

 うちらはオマエの要求を飲まざるを得ん。

 早い事、うちらに伝えて実行させたらどうやねん?」

 とミケさんが、さらに冷静に言う。






「さすがだな、ミケ。

 よろしい。ではげよう。



 まずは今からスクリーンに出す地点に向かい、

 現地でカルナダという反新ティアナ統合軍のレジスタンスと、

 共闘きょうとうしてもらおう。」

 と、げるカルマさん…ッ⁉








「ハァ…ッ⁉」

 と、目が点、過ぎるオイラ…ッ‼




反新はんしんティアナ統合軍とうごうぐんの、

 レジスタンスと共闘きょうとうしろだとッ⁉



 つまり、オレたちに新統合しんとうごうに、

 自分たちからえて弓引ゆみひけとでもうのか…ッ⁉」

 と、流石さすがのバーダック艦長もあせりながら聞く…ッ‼







「そうだバーダック。

 該当時刻、該当地にて、

 新統合しんとうごうの小規模な演習が終了する。



 演習を終えて帰還する、

 しんティアナ統合軍とうごうぐんの1部隊……。



 ジノ=ザイル少佐率いるザイル部隊を、

 カルナダに南から強襲きょうしゅうしてもらい、

 君たちには時間差じかんさで北から、

 挟撃きょうげきじんいて、

 ザイル部隊をたたいてもらう」

 と、淡々《たんたん》とげるカルマさん…ッ⁉




「カルマさん。



 私たちはTSトレジャースティーラーを、

 稼業なりわいにして来たから、

 世間に悪名がとどろいているし、

 実際にさっきもしんティアナ統合軍とうごうぐんに、

 『たおしても後腐あとくさ悪人あくにん』として、

 新統合しんとうごうの、

 実験機体のテスト運用のためなんていう、

 つまらない理由で襲われるほどだから、

 どうせ遅かれ早かれ新統合しんとうごうには狙われていたとは思うよ。



 そもそも、報告したアルセカーナの一件でも、

 すでに指名手配されていたと思うしね。



 でも、いま、この時に、

 レジスタンスと共闘きょうとうして、

 えてこちらから、

 本格的に新統合しんとうごうゆみいて、

 ケンカを売って完全に敵対てきたいさせてどうする気なの?



 それに、アナタ、

 今日の非常道試験部隊ひじょうどうしけんぶたいとかいうのに、

 情報をリークしたりして、

 ワザワザ私たちをえてねらわせたでしょ?



 ホント、意味わかんないのよ!



 そもそも、私たちがTSトレジャースティーラーし続けたのって、

 カルマさん、アナタの依頼通りにした結果なのよ?



 アナタが、

 『出来得できえかぎり最大限に、

 G(ギア)を強奪し続けろ、

 その結果、奪った機体は好きにしろ』

 なんて変な指令を送ったからこうなっただけなのよ?



 それに、新統合しんとうごうは、

 将軍のグランヴァルニア=エルスタークの、

 洗脳染せんのうじみた言動げんどうと、

 武力ぶりょくによる恐怖政治きょうふせいじおこなって、

 着実ちゃくじつにティアナを支配し出しているところ。



 そんな危ない火の中に自分たちから飛び込めなんて命令、

 聞けるモノじゃないわよ…ッ‼



 せめてどういう意図で、やれというのか、

 納得行なっとくいこたえをしめしてよ…ッ‼」

 と、ユリンさんが、語調を強めてまくてるが、








「だから無駄だ、ユリン。

 コイツの言う事なんて決まり切っているんだよ。」

 と、バーダック艦長が言い、




「そう、オマエはあきまえているな、バーダック。

 その通り。君たちが理由を知る必要は無い。」

 と、それまで通り、淡々《たんたん》とげるカルマさん…ッ⁉




「クッ……野郎…ッ‼

 ひとめるのも体外たいがいにしろよ…ッ‼」

 と、いかりをあらわにするケビンさんだが、




うてるやろ、ケビン。

 気持ちは分かるけど悪いけど今はおさえ。」

 と、ここに来ても、冷静にげるミケさん。







「クッ……。

 (あね)さんや兄弟たちの事が無かったら、

 オレは、ぜってーテメェをぶん殴っているかんな…ッ‼」

 と、悪態あくたいくケビンさん。




「それでカルマのオッサン。



 アンタが提示ていじする指令しれいってことは、

 このカルナダ言うレジスタンスとの共闘きょうとうでの、

 新統合軍襲撃戦しんとうごうぐんしゅうげきせんの、

 勝算しょうさんはあるんやろ?



 どうせうちらは、

 アンタの指令しれいまざるをん立場や、

 ハッキリ、クッキリ、

 うちらになにをさせたいか伝えてもらおうか?」

 と、うミケさん。








「カルナダには、

 旗印はたじるしとなるKG(ナイトギア)が1機ある。



 まずは、カルナダに南からザイル部隊を強襲きょうしゅうしてもらい、

 カルナダのKG(ナイトギア)を前面に押し出し、

 FG(ファイターギア)部隊を展開し、

 彼らの目を釘付くぎづけにしてもらう。



 そこに、北から君たちに強襲きょうしゅうしてもらう。



 普通の神経の部隊長ならKG(ナイトギア)を持ち、

 かつ小規模とはいえ、

 部隊をひきいてあらがってるなら、

 大将の部隊長たるザイル少佐を北側に陣取じんどらせ、

 南側の戦線を強化し、北側の戦力も南側に送るはずだ。



 だから、君たちがそうなった北側から攻めれば、

 いきなりザイル少佐の喉元のどもとに、

 きばてられるというワケだ。



 そう言うワケで、

 君たちにはそのように行動してもらう。



 異存いぞんわせん。」

 と、カルマさんが、

 その尊大そんだいさが当然と思えるほど

 頭の回転が早そうな戦術プランをげる…ッ⁉




「OKや。

 あとは、

 無駄やと思うが一応聞いちおうきいとく。



 えて、

 ロクスリー君をシュタイガーンバオアーに乗せて、

 その戦闘データを見たいって事は、

 どっちのデータが取りたいんや?」

 と、ミケさんが、

 一応いちおうと、そんな話題をただす。







かりったことを、

 ようでは、まだまだか。

 君たちが理由を知る必要は無い。



 ミケ、無駄な事はしないほうが、

 労力ろうりょくを効率的に使えるぞ。



 君たちは、ただシュタイガーンバオアーと、

 ロクスリー君の戦闘データを取って、

 定期的てきてきおくればい。」

 と、カルマさんが、相変わらず、尊大そんだいこたえる。




「フン。

 逆にその言い方でだいたい分かったわ。

 どっちも必要って事やねんな。



 まあロクスリー君とシュタイガーンバオアーは、

 相性が良いみたいやから、

 何にしろ、うちらの仕事が戦闘になるなら、

 下手に他の機体に乗せるよりは良いやろう。



 他の注文は無いんか?」

 と、ミケさんが、

 相変わらずの頭の切れを見せた上で、

 他の注文の有無うむう。








「フッ……あざといじゃないかミケ。

 さかしいのも少しなら、

 野良猫の様な自然の可愛さを感じさせるな。



 今のところ注文は以上だ。

 定時連絡ていじれんらくには、

 最寄もよりのキャリアーをこす。



 データのりと、

 補給物資ほきゅうぶっしは、

 それでまかなえるだろう。

 あとってつたえよう。



 さあ、ソルファージュにシュタイガーンバオアーを運び直して帰り、

 自分たちの与えられた仕事に没頭ぼっとうしてもらおうか。」

 と、淡々《たんたん》と指令しれいげるカルマさん。




かった。ほないつものぶんや」

 と、言ってミケさんが、

 カルマさんに、金袋かねぶくろわたす…?




「君たちも義理固いモノだな。

 分かった。確かに受け取った。

 この資金もリンガルむらのモノたちのために使おう。」

 と、言って、カルマさんがそれを受け取る…⁉




 金にうるさいミケさんが、

 金袋かねぶくろわたす…ッ⁉




 それも、さっきから話してる、

 リンガルむらってとこの人達用ひとたちよう…ッ⁉








 何…⁉

 ミケさんたちの故郷とかっぽいけど、

 ミケさんがワザワザ、

 そこよう金袋かねぶくろわたすなんて、

 どういう状態なの、そこ…ッ⁉



 

 とか、考えている内に、

「ほな、撤収てっしゅうや!」

 と、ミケさんにうながされ、

 色々ありぎて、混乱してる脳のまま、

 ガルガンチュアをオイラはあとにした……。













 そして…。



 …。

 ……。

 ………。

 …………。








 シュタイガーンバオアーとオイラを、

 相変あいかわらず、どころか、

 本格的にニコイチ扱いにされ、

 ソルファージュに運んでからブリッジへ上がり、

新統合しんとうごうに、

 喧嘩けんかけるとか、

 大丈夫なんしょうか……?

 まあ、故郷の人たちに指名手配されているオイラに、

 選択権せんたくけんいんすけどね……。」

 と、色々と問いたい問題は多いけど、

 まず、聞いときたいてんを聞くオイラ。







「まあ、そこは大丈夫ちゃうか?

 カルマのオッサンは、

 命令の意図いとはワケからんけど、

 勝算のい命令を出すタイプやい。」




「だと良いっスけどね。

 でも、あのカルマってクライアントさん、

 確かに何考えているのか良く分からない人っしたね。」




「あの野郎は、いつもああなんだよ!

 いちいち上から目線でワケの分からねぇ指令しれいを出してくる!

 正直、(あね)さんや兄弟たちが、

 世話になっているってとこが無かったら、

 ぜってーブッ飛ばしてやっているぜ!」

 と、いかりをあらわにするげるケビンさん、




「そこ! そこなんスよ…ッ‼



 ミケさんたちが、リンガルむらという所が、

 どうとか言ってたっスけど、

 いったい何なんスかッ⁉



 そこが一番良く分からなかったんスよ…ッ‼」

 と、今日の一番の疑問点を聞くオイラ。








「どーすんだよ、ミケ? 良いのか?」

 と、バーダック艦長がミケさんに問い、




「良い。

 ロクスリー君は、もう、うちらのファミリーも同然や。

 ケビンの時みたいに言うべき時が来ただけや。」

 と、ミケさんが言い、




「オマエが決めたんなら、オレが言う事は何もねぇ。

 オマエの話したい様に話せば良い。」

 と、バーダック艦長が言い含める。




「そのつもりや。

 さてロクスリー君。どこから話そうかね。



 そうやね。

 まずはトロイメンカッツェメンバーのケビン以外の全員が、

 リンガルむらってとこが故郷こきょうの、

 同族どうぞくってことからかな。」

 と、ミケさんが言って来る。




「え…?

 ケビンさん以外、皆さん、

 おな故郷こきょうひとだったんス…?」

 と、たずねるオイラに、




「その上で、おっさんは、

 うちの母方ははかたの弟で、

 叔父おじやったりもするんや。」

 と、告げるミケさん。




「そ…そうだったんスか…。」

 と、とにかくうなずくオイラ、




「でや、うちが4歳の時に、



 幼馴染おさななじみの仲良し友達やった、

 ユリン、ロイド、

 リッド、セリアたちが3歳の時に、



 当時18歳やった、おっさんに、

 ピクニックに、

 はなれの山に連れて行ってもらってたんやけどな。



 ピクニックからリンガルむらに帰ってくると、

 むらの全員が暴れまわっている状態になってたんや。」




「え…?

 むらの全員が暴れまわってた…?」

 と、話に認識が追いつかず、

 言葉を復唱ふくしょうするオイラ。






「おっさんが、うちらを安全な場所に隠して、

 むらの人たちを、

 一人、一人、ふんじばってくれてな。



 何か、おっさんの話やと、むらの、みんなは、

 精神が赤ちゃんになってしまったみたいな感じで、

 もう、言動げんどうが、無茶苦茶むちゃくちゃやったらしくて、



 それでか、

 共謀きょうぼうするという事を、

 むらの人が考えられんかったみたいで、

 そこをいて、

 なんとか全員をしばって、

 無力化してつかまえれたらしい。」




「えぇぇぇ…ッ⁉」

 と、驚きの声を上げるオイラ、







「その後はな、むらの人たちを、

 おっさんが、一人一人、

 ベッドにしばけてくれてな。

 なんとか、沈静化ちんせいかできた。」




「おお、何とかなったんスね!」

 と、喜ぶオイラだったが、




「けどや、そこからが本当の問題点やった。

 むらの人々の生命維持の為に、うちらも頑張ったんやけど、

 幼児ようじやった、うちらが、はたらいて資金を稼げるはずもなく、

 おっさん1人でどうにかできるはずもなく、

 着実にむら備蓄びちくを消費してってもうた……。」




「え……?」

 と、目が点になるオイラ。




「そして、ゆるやかに飢餓状態きがじょうたいになって行ったところを、

 トドメで、15年前の痛み分けの終戦で、

 今まで使われていた紙幣しへい紙切かみきれになってもうてな…。



 今までかろうじて行商人から買う事が出来できていた食料を、

 まるで、買う事ができなくなってもうたんや…。」

 と、当時を思い出してか、

 苦々《にがにが》しい顔になるミケさんと、皆さん。







「そ…それは…厳し…過ぎる……。」

 皆さんの苦渋くじゅうの顔に、

 オイラも、痛々しい気分になる…。






「そしてや、食料の限界が来てな。



 本来なら身内の命の安全は最後にして、

 他人から救わなければならない…、

 っちゅうのが倫理りんりやと承知しょうちしつつ、



 でも、うちらは、それでもなお身内みうち……。

 つまり、うちらの家族たちだけに食料を供給し、

 うちらの家族以外の住民を切り捨てざるを得なかったんや…。」

 と、苦々《にがにが》しさきわまれりという、

 苦渋くじゅう表情ひょうじょうを、

 トロイメンカッツェの全メンバーが見せる……。




「……その……つらおもいをしたっスね……。」

 と、オイラも、その苦渋くじゅうの気持ちに心を痛めていると、




「でな。その時のにがい体験から、

 ミケは、金が無いと救えるはずの人を救えず、

 見殺しにせざるを得なくなると体験した事から、

 以後いご金関係かねかんけいはなし逆鱗げきりん禁句きんくとなってしまったのさ。」

 と、痛切つうせつ吐露とろを続けるミケさんに、

 見るに見かねてという感じで、バーダック艦長が話し出した。







「おっさん。無理に話さんで良い。

 うちが話すからな。」

 と、苦渋くじゅうの表情の中にも、

 りんとしたおもいをつのらせ、げるミケさん。







「でや、うちらの家族たちすらまかなえんのではと思い始めた頃に、

 あのカルマのおっさんが、うちらの前に現れ、

 リンガルむらの人々を助けたければ、

 うちらの未来を自分に買わせろと、アイツに言われたんや。」

 と、どこまでもおどろきがつづく、

 吐露とろが、さらながされる。








「おっさんは反対したんやけど、

 おっさんの他の、うちら全員が、

 未来を売るから助けてくれと言ってしまった為にな、

 『民主主義の結果だ』、とか言われて、

 うちらはアイツに未来を買われたんや。」

 と、ムチャな話が流されて行く…ッ⁉




「み…未来を売る…ッ⁉

 民主主義の結果…ッ⁉」

 なおも、

 おどろきをかくせないオイラに、









「そして、うちらは、

 アイツの忠実な私兵となるように、

 英才教育をほどこされたんや。



 うちは壮者適正パイロットてきせいと、

 リーダー適正てきせいを見いだされ、



 おっさんが艦長適正かんちょうてきせい



 ユリンは支援行動機しえんこうどうきと、

 砲撃機ほうげきき壮者適正パイロットてきせい



 リッドは操舵手適正そうだしゅてきせいと、

 艦長適正かんちょうてきせい



 セリアはオペレーター適正てきせいと、

 医師適正いしてきせいを見いだされた。



 マカロニは、

 壮者適正パイロットてきせいと、

 メカニック適性てきせいを見いだされたんやけど。



 カルマの奴、いまだに、

 ようからんやつやけど、

 普段ふだんは、メカニックが専門のやつらしくてな。

 そやから、マカロニは、アイツに直接メカニックの教育を受けたんや。



 そやから、マカロニだけはカルマを先生と呼んどるんや。」

 と、マカロニさんが、

 カルマさんを先生と呼んでた謎が、

 ここに来て、急に明かされて、

 『そう言う事か!』とオイラが思っていると、











「ほんで、2年前に、

 空母GS(ギアシップ)ソルファージュと、

 タイニーダンサーたちKG(ナイトギア)を与えられてな、



 TSトレジャースティーラーチームとなる、

 トロイメンカッツェの名も与えられて、



 アイツの私兵となって、

『リンガルむらの人々の、

 生命維持の為に仕事をして貰う。

 おこたれば彼らの命は無いと思え』

 と言われたんや。



 そして、最初に出された命令が、

出来得できうかぎり、

 最大限さいだいげんに、

 TSトレジャースティーラー稼業かぎょうをして、

 機体を強奪し続けろ。

 奪った機体を、どうするかはまかせる』

 という、みょうな命令やった。」

 と、ここまで、無茶苦茶だった話が、

 さらに、ここに来て、

 もっと無茶苦茶になって来た…ッ⁉







「え…ッ⁉ えぇぇぇぇ……ッ⁉」

 おののくオイラ。




「でや、マカロニだけが、別途べっと

KG(ナイトギア)の、タイニーダンサーと、

 エンジェルシードと、フェストゥングを与える。



 欲しいパーツは、

 出来得できえかぎ供給きょうきゅうする。



 だから搭乗者個々とうじょうしゃここじんわせ、

 最大限に効率良く稼働かどうするようにカスタマイズせよ。』

 とかいうワケワカな命令を受けて、

 ソルファージュとガルガンチュアを往復おうふくして、



 主にソルファージュ内での、

 KG(ナイトギア)たちの改修作業かいしゅうさぎょうに、

 従事じゅうじしたんや。」

 と、聞けば聞くほど

 からないカルマさんの意図いと







「でね、そのさいに、

 マカロニが先天的にメカニック作業に愉悦ゆえつを感じる体質で、



 改修作業かいしゅうさぎょうがあるからと、

 自分はTSトレジャースティーラー稼業かぎょうの、

 戦線せんせんには全然出なくなって、

 仕事という事を忘れた様な、

 改修作業かいしゅうさぎょうへの、

 楽しそうな没頭具合ぼっとうぐあいだったから、

 私が、

『まるで、カレって、ロイドっていうより、ニートよね』

 って言っちゃって、



 その発言した言葉の頭文字を取ると、

 マカロニとなる事をセリアが発見してね、



 で、バーダック艦長が、

『じゃあ、これからは、

 ロイドの事を愛称としてマカロニと呼ぶか?』

 って言い出しちゃってね。



 で、本人のあずかりらぬうちに、

 マカロニという愛称が定着ていちゃくしてったのよね。」

 と、ここまで、

 ミケさんを見守ってたユリンさんが、

 ここだけはと、あかるめの、

 マカロニさんの秘話を披露ひろうしてくれる…!




「あ~。それ、地味に気になってたんスよね。

 何で、マカロニなのかと。

 でも、すご理由りゆうで、ぎゃくにビックリしたっス…!」

 と、久しぶりに出た笑顔で、オイラが答えると、








あとで、愛称あいしょう由来ゆらいを聞いて、

 そのトンデモな由来ゆらいあきれましたがね」

 と、かたすぼめるマカロニさん。




「『みんながボクをボクと、

 認識にんしきできる名前なら何でも良いですよ。』

 とか言って、

 『マカロニ』って愛称あいしょうを、すんなり受け入れるんだもんな!

 そこは、流石さすがだと思うぜ、兄弟!」

 と、ケビンさんも、話に乗っかかって来る。




「まあや、せっかくマカロニの話で明るくなったのに、

 また暗い話に戻ってまうけどな、



 リンガルむらの人々の生命維持の為に、

 アイツの命令を、うちらは実行し続けて、

 ガムシャラにTSトレジャースティーラーをし続けてな、

 結果的に世間せけんに、

 アヴァドンのミケいう悪名がとどろようになってしもうてな。」

 と、かたすぼめるミケさん。




 その厳しい状況におもいをせ、

 渋面じゅうめんを作り直すオイラに、




「でや、その途中でな、

 ソロでのTSトレジャースティーラーを、

 生業なりわいとして生きて来た孤児こじのケビンが、

 G(ギア)の強奪に失敗して自警団に捕まりそうになってな。



 そこに偶然、

 うちらトロイメンカッツェメンバーが、

 G(ギア)の強奪にバッティングし、

 G(ギア)強奪の次いででケビンを助けてな、

 そこからケビンがトロイメンカッツェメンバーの一員になったんや」

 と、ケビンさんの、

 入隊秘話にゅうたいひわかたられた!







「あの頃は、ホント、駆け出しでしたからね。

(あね)さんにも、兄弟たちにも、迷惑、掛けっ放しでしたね。」

 と、鼻をすすり、

 こそばゆそうにするケビンさん。




「でや、新たな仲間となったケビン用に、

 アイツから、ラーゼンレーヴァがわたされたんやが、

 ラーゼンレーヴェが当初とうしょ汎用型はんようがたでな。

 ケビンと相性あいしょうわるうてな、

 運用うんように問題が有っりまくったんや。」

 と、おどろきの秘話が語られる。




「え…?

 ラーゼンレーヴェって、もとは、

 汎用型はんようがたの機体だったんすか?」

 と、聞くオイラに、




「そうやねんけどな、

 ケビンの意向いこうを聞いて、

 ラーゼンレーヴェをマカロニが改修かいしゅうしてな、

 今のような強襲型きょうしゅうがたKG(ナイトギア)になって、

 ケビンとラーゼンレーヴェの性能が、

 120%で発揮されるようになったんや!」

 と、力いっぱい、

 ケビンさんとラーゼンレーヴェがマッチするようになった事に、

 喜びの声を出すミケさん。




「今でこそ、

 『ケビンは、強襲型専門きょうしゅうがたせんもん!』って、

 感じになってるけど、

 当時は、色々と、

 マカロニ君が、ためしにためして、

 色々と大変だったらしいよ?」

 と、久しぶりに会話に参加してくれるリッドさん。




「マカロニ君も、

 強襲型きょうしゅうがたにする前は、

 狙撃型そげきがたとか、重装甲型じゅうそうこうがたとか、

 色々いろいろためして、ケビンが大変たいへんでもあったけどね。」

 と、当時を思い出して、笑い話にしてくれるセリアさん。




「でや、そういう、

 機体の改修かいしゅうとかもしてったうえで、

 G(ギア)強奪する事を、

 ひらなおようになってってな、



 うばうだけうばったFG(ファイターギア)とかを、

 うばったあときにしていとのことやから、

 換金かんきんして、トロイメンカッツェの運営の為の最低限の資金以外を、

 カルマとの定期会合ていきかいごうの時に、

 リンガルむらの人々の生命維持の預貯金として、

 カルマに渡す様になったんや。



 さっきの金袋かねぶくろには、

 ロクスリー君も疑問があったやろうけど、

 あの金袋かねぶくろは、そういう事やねん…。」

 と、さっきの金袋かねぶくろ真相しんそうを、

 説明せつめいしてくれるミケさん。







「なるほど…。」

 と、とても重い話に、頷くしかできないオイラ。




「でや、カルマが、2週間ほど前。

 つまり、うちとロクスリー君が初めて会った辺り。



 その時に、今まで無差別大量強奪を命令して来たカルマから、

 ファトス村のシュタイガーンバオアー限定での強奪命令がりたんや。」

 と、神妙な顔でげるミケさん。




「そういえば、あの機体、

 カルマさんの注文の機体なんスよね。

 他は、無差別強奪依頼むさべつごうだついらいなのに、

 アレだけ特別注文って、

 やっぱし、あの機体、相当なレア品なんスね?」

 と、聞くオイラに、




「やろうな。

 しかもや、その成功報酬として、

 今まで定期的に報酬としてやってもらってた、

 リンガルむらの人々の生命維持だけやのうて、

 症状の解析もすると初めて言い出したんや。



 そやから、シュタイガーンバオアーの強奪に、

 うちらは心血を注がざるをようになってな、

 スナッチャーザインに狙われた時にも、

 絶対にあらがわざるをんかったから、

 あんだけあの機体にこだわったんや。」

 と、ミケさんが、あの時の必死さを思い出してか、目をキッと結ぶ。




「あの時も、ホント、死ぬかと思ったっスけど、

 レナスさんや、皆さんのお陰で、ホント、助かったっス!」

 と、感謝のねんめるオイラに、




「まあ、あの時は、ロクスリー君も、

 いつもの、あの既視感デジャヴュで、助けてくれたし、

 ホンマ、ロクスリー君にも、みんなにも、感謝やで!」

 と、ミケさんも感謝を伝えると、




「そんなの水臭いですぜ、(あね)さん!」

 と、笑顔でケビンさんが言い、




「そうよ、そうよ。こういうのは持ちつ持たれつだしね!」

 と、ユリンさんも、乗って来て、




「そうですよ、ボクたちは、チームなんですから、

 協力するのは当たり前ですよ!」

 と、マカロニさんも笑顔ではなち、




「そうそう、チーム一丸で、

 これからも頑張ろうよ!」

 と、リッドさんが入って来て、




「うんうん。

 新統合しんとうごうは強敵でしょうけど、

 私たちなら、きっと、頑張れますよ!」

 と、セリアさんも笑顔でげ、




「まあ、新統合しんとうごうにも、

 スナッチャーザインも、ザ・パーフェクトも破って来た、

 オレたち、無敵のトロイメンカッツェの力って奴を見せつけてやって、

 リンガルむらの、みんなを、早く助けてやろうな。

 な、オマエら。」

 と、めくくるバーダック艦長。




「うんうん! そうっスよ!

 皆さんは、無敵なんスから!

 オイラがどれだけダメでも、

 全然、新統合しんとうごうにでも勝てるっスよ!」

 と、オイラも笑顔で告げてみる!




「いや、オマエも頑張れよ…ッ⁉

 適性の合う機体に乗る様になったんだろうがよ…ッ⁉」

 と、ケビンさんがツッコミを入れ、




「まあ、このくらい弱気な方が、慎重しんちょうになって、

 戦果せんかも、じつげやすいのかもですけどね、

 ロクスリー君は。」

 と、メガネをうえげながらげるマカロニさんと、






「そうだよ! そう…ゥ‼

 このくらい弱気な方が、

 総受そううけな感じが存分ぞんぶんに出てて、

 マカロニや、ケビンや、リッドや、艦長とのコラボで、

 アゲな事や、ソゲな事をしちゃったりで、

 もう、私、たまらんですよーーーッ‼」

 と、ハァハァと、

 語気ごきあらぶってるユリンさん…ッ⁉




 で…出ちゃうぞ…アレが⁉

 三倍さんばいあかやつ…、

 なく…またちゃう…ッ‼








 ブバ…ッ‼




「ちょ…ッ⁉」

 ハイ、ユリンさんの真正面にたオイラ、

 また、あのあかほとばしりに、

 おかされました…ッ‼








「ええい‼

 オマエは、ホンマ!

 こんな、みんなで一致団結いっちだんけつしようってときにも、

 持病じびょうしおって!」

 と、またも、どこから出したのかからないハリセンで、

 ユリンさんの後頭部を強打するミケさん…ッ‼




「はわっ⁉」

 ミケさんのハリセンの一撃で、

 頭に上った血の循環が正常に戻ったのか、

 ピタッとユリンさんの鼻からの飛沫しぶきが止まった。




「ハッ⁉ 出してない! 出してないよ⁉

 花も恥らう純情乙女のユリンちゃんが、

 鼻血なんて出してないよッ⁉」

 と、相変わらず、どうして、これで、

 鼻血が出てるのを隠せていると思えるのか謎で仕方がない…ッ⁉






「まあ、ユリンの病気は置いといて、

 さっきの奴さんの命令の通り、

 オレたちのこれからの相手は新統合しんとうごう



 生半可なまはんかな相手じゃないが、

 リンガルむらの人々を救うためには、

 その新統合しんとうごうに、

 自分たちから喧嘩を売らざるをん。



 すまんが、オマエたちの力を、無理にでもりるぞ…。

 たのむぞ、みんな…。」

 と、めの言葉をげるバーダック艦長。




 そして、

『ハイ…ッ!』

 トロイメンカッツェのみんなの声が重なり、

 新統合しんとうごうへの激戦への決意は高まった…ッ!


































 天国の……父さん…、母さん…、

 新統合しんとうごうに、

 えて弓引ゆみひことになるのはこわいですが、

 どこまでもダメなオイラでも、ここまでの話を聞いたら、

 ミケさんたちのために頑張ろうと…、

 気持ちを新たに…できました…ッ‼

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