目覚めてみると
気が付くと俺は柔らかい寝床の上に寝ていた。わざわざ寝床と言ったのはベットではないからだ。体を包み込むように柔らかく、それでいて首や腰に負担がかからない某寝具を超える感覚。
草の蔓を編んだ寝具に見える。エルフの寝具だろうか?
「?」
「目が覚めた様じゃな」
頭の横、言葉が発せられた方を見るとまだ頭がぼけているのか、ロリ巨乳のエルフが椅子に座っていた。
俺は体をゆっくり起こすと、まじまじとロリ巨乳を見る。
”巨乳+エルフ”はあっても良い、と言うか有ってくれ。”ロリ+エルフ”あっても良い。
だがその二つを混ぜるのはダメだ。
混ぜるな危険だ。
「……」
俺がこの世の者ではないモノを見る目をしていると当のロリエルフは少し不機嫌になった。
「熱病で倒れたのを看病していたのにその眼は……やはり人間は失礼な奴じゃな。」
話からするとどうやら俺は熱を出して倒れたらしい。色々な事がありすぎて体力を消耗したからだろうか?
「それはすまない。えーっとお詫びに……?俺の背嚢は?」
「お主のすぐ横にかかっておるよ。」
ロリエルフが指さす先、俺のすぐ横、ロリエルフの向かい側に背嚢がかかっていた。
背嚢を手に取り中からチョコレートの入った保温箱を取り出しロリエルフに差し出す。保温箱に中には保冷剤とともに手作りのチョコレートが三枚入っていた。
「一つどうぞ。失礼な事を言ったお詫びだ。青い保冷材は食べられないぞ。」
ロリエルフは差し出された黒い物体をいぶかしげに眺め匂いをかいでいる。
「黒い物じゃな。何かを焙煎したような香りじゃ。それに蜜の様な甘い匂いもする。」
意を決したかのようにチョコレートの一枚を取り実際に食べてみる。
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ロリエルフは目を大きく見開いて驚いていた。
「甘い!苦い!でもおいしいのじゃ!このような物は食べた事が無いのじゃ!」
「お気に召した様で何よりです。」
うむ。どの様な種族でも子供にはチョコレートは効果が高い様だな。
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「ふむ、顔色も良くなっている。マナの循環放出もちゃんとできている様じゃな。」
?
俺を診察していたロリエルフは気になる事を言った。
「マナの循環放出?」
「左様、時々赤子の中に循環放出が上手く出来ない者がいて高熱を発するのじゃが、お主のような年齢でそうなるのは初めて見たぞ。今までマナの極めて少ない所にいたのじゃな。」
何か今すごく問題になるようなことを聞いた気がする。もう少し詳しく聞くべきだろう。
そもそもマナとは何だ?
「マナ?」
「世界に満ちている魔法の源じゃ。お主も知らぬわけではないじゃろう?」
初めて聞いた……。そうか、エルフがいるため薄々あるかもしれないと思っていたが、魔法があるのか。
だが今気になる事はそこではない。
”循環放出が上手く出来ない者がいて高熱を発する”と言っていた。これはどうやって治療したのだろうか?
「相手のマナの循環を感じ取れるものが適切に誘導してやることで治療するのじゃ。そしてその治療のエキスパートがこのわし、ルシェンなのじゃ。」
ふむ、このロリ巨乳はルシェンと言うのか。
おっと、話がそれる。
「その治療をしないとどうなる?」
「扱えるマナの量にもよるが、多くの者は衰弱死する。運が良ければ、そうじゃな扱えるマナが極めて少なければ助かるのじゃ。中にはマナを扱えない者もいるからな。後はマナの薄い場所では起こりにくい。逆にここは濃い場所じゃな。」
マナは世界に存在する物らしい。ただその密度は濃い薄いがあるようだ。
そしてこのマナ循環不全症と言うべきか?それに対処できる者が近くにいない場合、死亡すると言う事だ。
それを考えると、どうやら俺は運が良かったらしい。
だが、多くの人々、世界に暮らす人類はどうなのだろうか?