車の不調
「マチャアキ、暇だ相手しろ」
キャンピングカーを修理している俺の隣で長耳の金髪ロリ巨乳の幼女が叫ぶ。俺は某番組の校長ではない。
”千貫 真彰”と言うちゃんとした名前があるのだ。
「だれが金髪ロリ巨乳だ!」
ピコ
金髪ロリ巨乳がピコピコハンマーで俺の頭を叩く。
バカな!奴は俺の心が読めるのか?ニュータイプか?!
「読めるも何も、先ほどからブツブツ言ってるではないか。」
どうやら口に出してしまっていたらしい。だが金髪ロリ巨乳で間違いはない。
「だれがロリだ!だ・れ・が!こう見えても114才、誇り高いエルフ族だぞ。わたしにもルシェンと言う名前があるわ。」
ロリ巨乳のルシェンが胸を揺らしながらそう主張する。
だが俺は巨乳エルフと言う物は認めていない。エルフはもっとスレンダーであるべきだ。もっとも某ダークエルフと言う例外は存在する。
そんな俺にルシェンはため息をつきながら訪ねる。
「で、どうだ?直るのか?」
「うむーむむむむむ」
「むむむむ?」
「無理だ。なぜエンジンが動かないのか判らない。」
俺はキャンピングカーの前でお手上げの格好をした。
つい少し前まで機嫌よくエンジンは回っていたのだが、突然動かなくなってしまった。
燃料の軽油は問題なくあるし、エンジンの電装部分にも問題はない。スターターも問題なく動く。
燃料パイプにも異常はない。後はエンジン自体の異常だが、さすがにこの場所で分解するわけにはいかない。
「何で初爆が起こらないかなぁ?」
と俺が声に出すと、その言葉に首をかしげながらルシェンは尋ねてきた。
「初……爆?爆というから爆発、火を使う物か?」
「ああ、燃料の軽油を爆発させるんだ。その爆発を利用して回転運動を作り出すんだ。」
俺の解説でルシェンは納得したように声を上げた。
「なるほど、爆発か。それならこいつがいる限り爆発は起こらぬ。」
ルシェンはそう言いながらエンジンの影から何かをつまみ上げた。
青白い子供のような姿をしている。妖精か?
「こいつはニンフ。水の妖精だ。これがいる限り火の精霊や火に関することは起こらない。」
どうやらエンジンを止めた犯人は水の妖精だった様だ。だが、この妖精は何処からやって来た?
「手持ちの妖精から居なくなったと思ったらこんな所に。見つかってよかった。」
「お前が犯人か!」
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原因と思われる物を取り除くとエンジンは問題なく動いた。
だが、いなくなった妖精が水の妖精だったため幸運だったのかもしれない。
これが火の妖精や風の妖精だったらエンジンは爆発していた危険性がある。
土の妖精でも何が起こるか判らない。
「ルシェン、妖精は二度とエンジンに近づけないでくれよ。」
「ふむ、そうなのか。なら妖精除けの付与をしておいてやろう。どの範囲がいいのだ?」
「そうだな。このエンジンルーム全体に妖精が入り込まなければとりあえずの問題はないと思う。」
「とりあえず?」
「いや、魔法がな。どんな影響を及ぼすか判らないからな。」
「お前さんの科学も魔法の前になすすべも無しか?」
「まぁ、その魔法の影響を調べるために旅をしているのだけどね。」