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REBORN

前回までのお話

主人公、三木結は15年後、32歳になった友人2人と共に未来の自分を助けることになった。

だが、なにも変わらない将来の結の様子に肩を落とす3人。

春は冬の雨の寒い中、屋上にいた。

春が屋上にいた理由とは……?

9


「春、これ……」


春が指さした先にあったもの。

それは、柵に結ばれたリボンであった。

黄色いリボンが3つ。

ほとんど均等な間隔で結ばれていた。


「結、REBORNって覚えてる?」

……春、それ3日前に聞いたよ?15年前の、私と同じ、まだ17歳の貴女から。

そう言いたくなったけど、また3日前と同じ反応をして見せた。

春の話をまた聞きたいと思ったから。

春はまた3日前と同じ話をした。懐かしそうに、嬉しそうに話していた。


「これは、幼い時のもの?」

私がそう聞くと春は首を横に振った。

「幼い時のは無かったの。確か結が言ったんだよ?高校生の頃だったと思うけど……」

「私?」

「うん。渡さなきゃいけない人がいる、って。

誰に渡すのか気になったんだけど、凄い勢いで言われたから、聞くのも忘れちゃって。結にその後、あのリボンどうした?って聞いたら、何のこと?って言われた。

最初はふざけてるのかなって思ったけど、あまりに真顔で聞くからびっくりして。だって、ほんの数日前だよ?

若しかしたら、私の記憶違いかもしれないけど……」

春は懐かしそうな表情をしていた。


……そんなことあったかな……

思い返してみても思い当たる節はなかった。


「このリボンはこの会社に入る前、3人でお揃いで買ったの。

結がお父さんに許可もらって。私達はこの柵にリボンを結んだ。

結んだ当時はこんな穴あいてなかったんだけどね。」

春は柵に結ばれたリボンに手を触れるとニコリと微笑んだ。


「どんなに辛いことがあってもこのリボンを見るとあの日を思い出す。」

「あの日?」

「このリボンを結と春と結んだ日。仕事で上手くいかない時もこれを見て、また頑張ろうって思うの。」

「このリボン、すごいね。」

うん。春はとても嬉しそうに応えた。私まで笑顔がこぼれた。


「春、会議室に戻ろう。一緒にそういう思い出を将来の私に思い出させるの。きっと届くと思う。」

私がそう言うと春はまたリボンを見て、うん。と笑顔で応えた。





「でも、びっくりした。結、すごい勢いで言うんだもん。」

春は会議室に戻る途中、寒さに身震いする身体を手で擦りながら、私に話しかけた。

私が驚いた顔で自分の方に指を指すと、春は笑いながら頷いた。


「春、死んじゃダメだよ、って。私、全然死ぬ気なんて無かったのに。」

春は話しながらまた思い出したのか、ふふっと笑い出した。

「いや、あの状況が悪くない?それにあんな寒い所にいたら、死にたくなくても凍死するわ!!」

春は私の顔を見て、今度はお腹を抱えて笑い出した。

私が必死に熱弁しているのに……

そう思ったのに、なんだか急におかしくなって、気づくと私も一緒に笑っていた。





会議室に戻ると花は目をまん丸にして、私と春を見ていた。

それもそのはず、私達は真冬だというのに全身びちょ濡れだった。

私は花の指示で、春に連れられて工場の中にあるシャワー室に入った。

シャワー室に入る前、花に、猛スピードで、と言われたので、言われるがままに私は猛スピードで入った。





「あれ、春は?」

私が猛スピードであがったのに対し、春はマイペースにまだ入っていた。


「結、時間ないからもう片付けの準備しちゃいな。」

そう花に言われて時計を見ると針はもう19:30をさそうとしていた。

大した量でもなかったが、なんとなく私は急いで片付けた。

春は私が片付けを終えてもまだ戻ってこなかった。



「先に食べてようか。」

花は夜ご飯を作ってくれていた。

お味噌汁は身体の芯まで温まった。

春と何があってあんなにびしょ濡れだったのか、花は特に聞かなかったが、私は無性に話したくなった。

花は私の話を嬉しそうに、時折懐かしいと言いながら、聞いていた。




「あー、身体かゆい。え、あれ?ずるい。なんでご飯食べてるの!私もお腹空いたのにー……」

「はい、はい。春の分もちゃんとあるから。」

私たちが半分ほど食べ終わったくらいの時に春はやっとあがってきた。

花は手際良く料理を机に並べると、春の目はまるで餌を与えられた子犬のようにキラキラしていた。



「春、私シャワー室に入る前なんて言ったっけ?」

春がやっとご飯を食べ始めると、春の目を見つめながら少しおちゃらけた様子で花は聞いた。

「え?猛スピード?」

「全く春はマイペースなんだから。」

春の応えに少し溜息をつきながら花は箸を動かし始めた。


「え、待って。私、ちゃんと猛スピードであがったよね?」

……30分近くは入ってましたよ?

「だって、私普通に入ったら、1時間とか……長い時は2時間近く入るけど……花に猛スピードって言われたから、急ごうって思って。

身体だけサーッて流して、ちゃんと猛スピードであがったよ?

まぁ、家に帰ってから入ればいいやって思って……」

真顔で言う春に私と花は一瞬言葉を失ったが、すぐにハッとなった。


……そうだ、この人お風呂長いんだった……

前に春の家に泊まりに行った時も、2人で温泉に行った時も長くお風呂に入っていた。

私と花は顔を見合わせると頷いた。そして、ほぼ同時に吹き出した。

春はギョッとした顔でこちらを見ていた。


「結、帰る時間。」

花にそう言われて私はハッとした。

後10分程で20:00になろうとしていた。

私は1口程度のご飯をかきこんで、急いで外に出た。




外はちょうど雨が止んでいた。

いつものように春と花は私を見送ってくれた。

「じゃぁ、私は3人での思い出の写真、厳選しておくから。」

花にそう言われて私は獏良(バクラ)の存在を思い出した。

色々な事があって忘れかけていた。

「じゃぁ、私もどうしたら自然に夢の中に入れられるか考えてみる。明日、また相談しよう。」

春の言葉に私は笑顔で頷き、2人を後にしてfusyは出発した。





自然に夢の中に入れるか……

帰ってきた私はずっとその事を考えていた。

私、今までどんな夢見てたっけ……

そう思いながら私は今まで見た事のある朧気な夢達をノートにつらつらと書き始めた。

現実的に考えたら少しおかしい夢も、現実的過ぎて現実なのか夢なのか分からなくなってしまうような夢も、何ページかにわたって沢山の夢を書いてみた。

思いの外疲れていたのか、私はノートに書きながら何度も眠りかけた。

それでも、将来の自分のことだ、何か参考になるかもしれない……

そんな小さな希望を胸にひたすらノートに書いていた。


一通り夢を書き終わると、私はベッドに横たわった。

今日起きた様々な事を思い返しながら、私はふっと笑った。

色々な事があって、大変だったけど、今日もまた楽しかったな。

1日の終わりにそう思えた事がなんとなく嬉しくなった。


今日はどんな夢を見るかな……

現実的な夢?非現実的な夢?

まぁ、私が未来に行ってるって時点で、現実に起きていること自体がもう非現実的か……

時々、最近起きている事が本当に現実のものか、疑いたくなる時がある。

でも、1日の終わりには、やはり、どちらでもいいなと思う。

最近の私は毎日が充実して、楽しいし、今まで忘れかけていた大切なものをまた見つけられた気がするから。


しかし、進歩って凄いものですね……

今まで色々な未来の機械を見て、私はふと思った。

枕の中に獏良(バクラ)のシーツを……


バッ



先程まであんなに眠たかったのが、嘘みたいに目が覚めてしまった。

……やってしまった……

私は焦りと後悔と共に深い溜息をついた。

その夜はなかなか眠りにつくことが出来なかった。



10日間のうち4日目

未来 3日目

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