表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
階段の司書室  作者: いす
57/84

ジーッ

57話目です

誤字・脱字があったら申し訳ありません

「ジーッ」

「………」

「ジーッ!」

「………」  

見られている。

いつも通りに階段を上っているのだが、彼女は何故かこちらから視線を外さずに『ジーッ』という効果音と共にこちらを見つめ続けている。

これは…こちらから触れなければいけないだろうか。

「ジーッ」

「…………」

「ジーッ」

「なぁ」

「…!あ、ジーッ」

足を止めて話しかけると一言だけ言葉を漏らすが、直ぐにまた元に戻る。

目線が合うがそのままで、彼女が折れて話しかけるまでこちらもそのままにして見つめることにする。

「…………」

「ジーッ」

「…………」

「ジーッ」

…見つめ合うこと数分。

彼女の頬が赤くなる。

「………」

「ユ…ユキったらワタシを見つめすぎです…もう…恥ずかしいですよぉ…」

「…最初はお前からでしょ…。何がしたかったんだ」

「えっと…あの本読んでたら見たんですけど…、見つめ合った時間の長さが、あの…その人に対する好意と関係があるらしくて」

「ほー」

もじもじしながらも、彼女はその話の続きを言う。

「それで…長ければ長いほど…その人の事が好き…みたいな…えへへ…」

「え、じゃあ」

「はい。あんなに見つめ合ったワタシ達は…あの…相思相愛…ですね?」

問うように彼女が聞いてきて、一度反れた視線を覗くようにまた戻してくる。

「…………」

「て、なんで目線反らすんですか!もっと見つめ合いましょうよっ!」

「嫌なこと知ったなぁ…」

「い、嫌って!嫌ってなんですかユキィ!」

「あ、おい頭掴むな、離せ」

「嫌です!もっとワタシを見てください!」

無理矢理に彼女の方に頭を向かせられる。

病院に連れていかれるのに気づいて逃げようとする犬に対する飼い主みたいな扱いのしかた。

必死の抵抗で全力で視線をあちらこちらへと動かすと彼女の手がむぎゅっとして、俺の口を尖らせる。

「うぐっ、おい」

「あはは。ユキ、可愛いらしいですよ?」

「はな…ぶぐっ…だから」

くちぱっちみたいな口の状態でなんとか言葉を発する。

「ほらほら~♪むにむに~♪」

「……………」

「睨み付けてもその口じゃあ、逆効果ですね。なんかゆるキャラみたいですよ」

北海道の熊とメロンを合体させた子供から泣かれるぐらい怖いあいつが脳をよぎる。

…一向に離してくれる気配がない。

「帰りたいんだけど」

変わらずむにむにしてくる彼女にそう言葉をかける。

が、離してくれる気配はやっぱりない。

「ユキ、ぽっぺぷにぷにですね。ぷにぷに~」

ついには頬の軟らかさについて語り出し始めた。

「帰りたいんですけどー」

「んふふ~♪」

「ねー帰りたいんだけどもー」

「むー、そんなにこの幸せタイムをやめてまで帰りたいんですか」

「俺幸せじゃないんだけど」

「仕方ないです…今日はもうここまでですかね。帰りましょうか」

スッと柔い指が頬から外れる。

彼女の暖かさが、じんわりと残っているような気がした。

「…ていうかなんだよ『今日は』って『今日は』」

「それはもちろん明日もするからですよ。ほら、だから早く帰りましょ?明日もぷにぷにしたいんですから」

「…そんな俺の頬いいもんじゃないからな」

「いや、でも結構中毒性高いですよ?ユキの頬」

「中毒性って… 」

自分の頬に手を伸ばし、ちょっとだけ引っ張る。

中毒性…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ