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廃部になりそうです。

「はっはーん、さてはまだ私に勝てるつもりでいるな? お前はまだ気づいていないようだな、私の罠に引っかかったことを! ナイトをEの5! どうだ! チェック!」

「あ、ビショップをBの6で。チェックメイトですね」

「……まて、もう一回やろう」

「もうこれで5回目ですよ! 先輩何回負ければ気が済むんですか!」

「待ってくれ、頼むから待ってくれ……もう一回……」


 京香先輩、今日も見事な負けっぷりである。いったいどこの神経をどういじくればこんなにも綺麗に負けることができるのだろうか。もはやその負け方はみじめを通り越してあっぱれといった感じだ。


 京香先輩は俺の所属しているボードゲーム部のメンバーである。一応部長だ。なぜ絶望的に弱いこの先輩が部長になったかというとそれは簡単で、高3がこの人しかいないからである。

 そして、先ほど京香先輩とチェスで対局していた奴は、園田祐介。高校1年生だ。高校1年生も、彼一人しかこの部活に所属していない。

 ちなみに俺、橋本圭太は高校2年生だ。特徴のない名前というところは自分でもよく分かっている。ぜひ突っ込まないでいただきたい。そして、例に漏れず高校2年生も俺一人しかこの部活にはいない。


 つまり、だ。この部活には俺と園田と京香先輩の3人しかいないのである。

 もちろん3人では圧倒的に部員が少ない。部活の生徒会規約には、『部員が6名以上在籍しており、かつ顧問がいる』状態でなければ部活は廃部となる、と書かれている。

 ボードゲーム部に顧問はいない。部員は3人。

 どうなるか。決まっている。廃部である。つい先日、生徒会の方々から、「3か月後に開催される生徒総会の日までに部活の規定をクリアしてこなければ廃部にします」と言われたばかりだ。


 もちろん俺は焦って、しっかり部員集めをしましょうと二人に声をかけたわけだが、京香先輩は「そんなことよりチェスだチェス! おい園田! 勝負!」と俺の話に聞く耳一つ持ってくれることはなかった。そして、さっきの状況である。負けると分かってんなら初めから勝負しなければいいのに。


 まあ、というわけで、うちの部活は少々ヤバいことになっている。このままいくとあと3か月でこの部活は廃部になってしまうのだ。

 ここからは、部活を守ろうと必死に孤軍奮闘する俺のねっけt「やりたいことをただのほほんとやっていくだけのほのぼのコメディーが始まります! おら橋本! 部長が代わりに行ってあげたんだから喜べ!」


 ……俺と周りの奴らで繰り広げられるどうっでもいい日常がここから始まる。

 京香先輩、頼むから邪魔しないでくれます? 今俺が決めるところだったんで。

「うるさい! さあ、始まり始まり~」

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