鳴いて鳴いて、そして泣いて
ぼくは鳴いた。
何回も、何回も鳴いていた。
ご主人様は目の前のベッドで毛布もかけずに横になっている。
――どうして?
毎朝、朝に弱いご主人様を起こすのがぼくの役目だった。
ご主人様は起きるとまだ眠そうに目をこすり、大きな欠伸を一つしてぼくを見る。
すると、朝の木漏れ日のような暖かな目になって
とても優しい手つきでぼくの頭を撫でてくれる。
ぼくはご主人様の温もりのある頬を舐めた。
するとご主人様はぼくを抱きしめて、おはようと言ってくれる。
それがぼくの朝の挨拶だ。
――なのに、どうして?
――どうして目を覚ましてくれないの?
こんなに鳴いてるのに、
毎日鳴いてるのに、
ねえご主人様……どうしてなの?
ぼくはベッドに飛び乗って、眠るご主人様の頬を舐めた。
その頬は、とても冷たかった。
いつものような温もりは、微塵も残っていなかった。
そのとき、ぼくは知ったのだ。
――あぁ、そうなんだね。ご主人様は、眠っているんだね。
ぼくはご主人様の隣に丸くなった。
やっぱり温もりはなかった。
最後にもう一度だけ、小さな、小さな声で鳴いて……。
ぼくは大きな声で泣きはじめた。
どもども〜ノシ
久々に短編の投稿ですね。
今回のこの詩は、主を失った犬のお話です。
詩を読んで、犬とまではいかなくとも、何かしらの動物の視点であることに気付いて下されば幸です。
家には猫がいるのですが自分が産まれる前から、要は17年も前からいます。
人間になおすと、80歳を越えているようです。
ペットには長生きしてほしいですね〜。
それでは今回はこの辺で失礼いたします。
他の作品も是非読んでくだされ〜。