remaining days
1.始まりの朝
-朝だ…。
カーテンを開けると 曇り空。
雪が綺麗に降っていた。今年初めての雪だ。
もう地面には5cmほど積もっていて、昨晩から降っていたと思われる。
…ふと時計に目をやると
「8時半…」
急いで学校に向かう支度をしようとしたが、今日は日曜日であることを思い出した。
俺は私立の高校に通っている。
家から歩いて20分ってとこだ。
もうすぐ卒業だが、大学には行かず、就職を決めている。
寝癖がついた髪をぐしゃぐしゃ掻きながら PCの電源を入れる。
…メールが1件届いていた。
携帯を持つようになってからは、PCは週に1回ほどしか確認していないが1件は珍しい。
見たことがないアドレスだが、どこかの会社のようだ。
「なにかの勧誘か…。」
開いてみる。
「…?」
メールは黒い背景に、白い文字でこう書かれていた。
-あなたの寿命診断します。-
よくある占いのサイトにも思えるが、不気味な雰囲気が気になったので削除した。
そのとき、またメールが1通届いた。
開いてみると…
-あなたの寿命診断します。-
…同じメールだ…。
先のメールでは気づかなかったが本文の下の方には「RDJ」の文字があった。
何を意味するのかは分からないが、メールアドレスにも使われているようだ。
流石に不気味に思った俺は 迷惑メールに設定した。
「聖ーー。」
そんなとき、1階から母の呼ぶ声が聞こえた。
その日は、母が就職する際に住むアパートを一緒に探しに行くことになっていた。
支度をして、出かける頃になると
メールのことは すっかり忘れてしまっていた。
町へ出ると、周りはもう ほとんどクリスマスムードだ。
今は12月初め。
去年より遅い初雪だった。山の方では、とうに降っていたらしいが。
俺が住んでいるところは盆地になっている。言われてみれば、左右前後どこを見てもある山は
上の方からグラデーションがかかったように白くなっている。
…今年のクリスマスは どうして過ごそうか…。
沙夜と付き合って1年と…8ヶ月か。初めの頃は、人生初の彼女に浮かれていた。
成績も少し落ちてしまったほどだが、努力した甲斐があり 今は前以上の成績になった。
沙夜は同じ高校に通っている。成績は学年トップで俺なんかが付き合っているのは不思議なくらいだ。
可愛いこともあり、ほかの男子にも人気がある。沙夜のファンクラブも存在するほど。
そいつらからすると勿論、俺は邪魔な存在なようだ。だが、告白してくれたのは沙夜。
憧れていたのは嘘ではない。学校中のアイドル的存在の彼女からの突然の告白は流石に驚いた。
初めの頃は、秘密で付き合っていたが、さすがは沙夜。そうはいかなかった。
1人に伝わると次の日には全校中が知っていた。
だが俺にとっては自慢できる彼女。本当は仲のいい友達には話したかったのだ。
「聖…。良かったなぁっ…。」
その日、朝一番に半泣きで話しかけてくれたのは、親友の賢人。
賢人は彼女がいる。生まれて昨日まで彼女がいなかった俺を可哀想だと思っていたらしい。
「余計なお世話だって!お前は佳奈と仲良くしてればいいだろっ。」
なんて笑いながら教室に向かった。
○●○●○●○●
「……り…。」
「聖っ!!」
「え?あぁ、ごめん。」
「さっきから 何ぼうっとしてるの!部屋、どこにする?」
「あぁ…。えーと。この南側の部屋かな。」
昔のことを思い出しているうちに、安くて住みやすそうなアパートが決まった。
徒歩5分のところにコンビニもあり、俺も気に入った。今の家からは1時間半くらいだ。
帰る途中、また昔のことを思い出しながら帰った。
母は、決まって良かったね。と笑っているが少し寂しそうだ。
マザコンではないが、俺だって本当は寂しい。母は優しくて立派な人だ。
俺を大切に育ててくれて感謝しているのだ。勿論、父もそうだが。
両親共に、勉強熱心。
沙夜と付き合っていることが分かったときは怒られるかと思ったが沙夜をも娘のように大事にしている。
そんな俺の両親を沙夜も気に入っているようだ。
家に帰ってからアパートの周辺地図を見てみた。
先ほどは気づかなかったが、徒歩15分ほどの場所に「RDJ」と書かれた小さな会社を見つけた。
「…RDJ…。どこかで…?」
「…っ。」
今朝のメールだ。
驚いて立ち上がると、地図を落としてしまい、会社を見失ってしまった。
もう一度探してみたが、不思議なことに地図上にはどこにも見あたらなかったのだ。
だが、そこまで気にすることでもないだろう。
なんだか長く感じた今日だったが 1日が終わった。
初めての小説投稿で読みにくいかもしれません。
これから、ゆっくり投稿していくので宜しくお願いします。