勇者パーティーに入りたい
魔王。それは、人類を滅ぼさんとする邪悪な存在。
魔王は、30年後に人類を滅ぼすと全世界に宣戦布告した。
国々の重鎮が集まり、対策会議が行われた。そして、勇者パーティーを作ろうという結論に達した。
そして、10年の時が経った。各国の強者が集まり、幾度も勇者パーティーが結成され、壊滅した。
5年後、再び対策会議が行われ、勇者パーティー加入のための試験が行われることになった。
世界各地、100ヶ所で予選試験が行われ、各試験の1位が本試験へと進めると決まった。
本試験で選ばれる人数はたった3人。
そして今日、ロギア王国の首都ネイリムで剣士の予選試験が行われる。
◆◆◆
ネイリムは、ここ15年で一番の活気に満ちていた。
15年前に、世界を滅ぼすと宣戦布告した魔王。その魔王を討伐すために結成される勇者パーティーの一員である剣士になる者、今日ここで誕生するかもしれないのだ。
「おっちゃん、肉串2本ちょうだい」
「おうよ!」
「ねえ、今日はお祭りかなんかなの?」
「坊主、知らねえのか?今日は勇者パーティーのメンバーを決めるための予選試験がここネイリムで行われるんだよ」
「へぇ、勇者パーティーが。こんな大勢がその予選試験に参加するのかい?」
「いやいや、そんなわけないだろ?みんな、未来の英雄を一目見たいとやってきたのさ」
「英雄か……。俺も予選試験に出てみようかな」
「おいおい、命は無駄に捨てないほうがいいぜ。予選試験では、死者が出てもお構いなしって噂だ。それに、Sランク冒険者が分かってるだけで4人参加するらしい」
「おれの師匠がさ。人間、何かに命をかけるくらいしなきゃ、英雄にはなれねえって言うんだ。俺、英雄になりたいんだよ」
「……まあ好きにしな。応援するぜ」
そう言って、屋台の親父は肉串を3本渡した。
「お代はいらねえ。頑張れよ」
「ありがと、おっちゃん!顔怖いけど良い人だな!」
「一言よけいだ!あ、名前教えてくれよ」
「名前……。じゃあ、ななしで!」
「ななしだな!死ぬなよ!」
ななしは、肉串を咥えて走り出した。向かうのは、大勢の人が向かっている方向。闘技場の方向だった。
◆◆◆
いつもは奴隷たちが剣闘士として戦っている闘技場が、今日は別の目的で開かれていた。
いつもの何倍もの人が観客として訪れ、かつてないほどの賑わいを見せていた。
観客入り口とは別の場所に、参加者受付があった。受付をしているのは、王都内の冒険者ギルドの受付嬢たちだ。今日は王都の全ての冒険者ギルドが休みで、こちらに駆り出されていた。
「おねーさん、予選試験に参加したいんだケド」
「はい、お名前はなんですか?」
「ななし」
「ななし様ですね」
受付嬢が、名前を羊皮紙に書き込む。書き込まれた名前が一瞬光ったかと思うと、側の水晶玉へとその光が吸い込まれていった。
「それなに?」
「魔道具です。書いた名前が水晶玉に記憶されて、参加者登録が完了します」
「へぇ、すごいね」
「それでは、参加者登録完了です。この先を進んで闘技場内部の参加者控え室でお待ちください」
「はーい」
ななしは、そのまま闘技場内部へと入っていった。
参加者控え室は、広かった。人も大勢いた。見渡すだけでも、500名以上はいるだろうか。
「ねぇ、おじさん」
「あ?なんだ?」
「予選試験って何するの?」
「知らねえ。というより、知らされてねえ。だが、予測はついてる。おそらく、ここにいる全員がな」
「え?なんで?」
「なんでって、そりゃあここが闘技場だからだろ。闘技場といや、剣闘士が殺し合いをする場所だ。つまり、殺し合いが始まるんじゃねえかって思ってるわけよ」
「なるほど。だからみんなピリピリしてるのか」
「お前も、変に他の奴に話しかけないほうがいいぞ。ここにはやべえ奴も多いだろうから、話しかけるだけで殺してくる奴もいるだろう。実際、俺がここに来てから既に3人殺されるのを見てるしな」
「殺した人は捕まってないの?」
「なんのお咎めもねえ。死体は放置されてる。殺人を見逃すほど、お偉いさんも魔王の宣戦布告に焦ってんのさ」
「ふーん」
15分後。試験管が参加者控え室へと入ってきて、拡声魔法を使い始めた。
「今更、勇者決定予選試験を開始する!!闘技場で、観客の前で殺し合いをするのが試験内容だと思った者も多いだろう!だが、それは予選試験の2つ目だ!最初は、この場で殺し合いをしてもらう!」
ざわざわと、参加者たちが動揺の声が広がる。
「怖気ついた者は、今すぐに帰ってくれ!」
10分の1の参加者が、控室を出ていった。
「16人に絞られるまで殺し合いを続けてもらう!それでは始める!第一試験開始!」
その瞬間、怒号が沸いて、殺し合いが始まった。武器と武器がぶつかり合う音、肉が裂ける音。叫び、悲鳴。地獄のような光景だった。
「うーん、本当に殺し合いが始まっちゃったな。誰も殺したくないんだけど……」
「そんな甘ぇこと言ってる奴は死ね!」
「わわっと」
ななしは、斬りかかられた剣を避ける。第一試験開始からずっと、避け続けていた。10人以上の猛攻から、一度も攻撃を受けていなかった。
「くそ、なんでこいつ当たらねえんだ!」
「しかも、一切攻撃してこねえ!舐めてんのか?」
「いやー、舐めてるとかじゃなくて、殺したくないんだよ。お前ら罪人とかでもなんでもないじゃん」
「それが甘ぇっつってんだよ!殺す覚悟もねぇ奴は大人しく死ね!」
「同感よ」
白銀の、透き通った髪をした少女だった。長い髪を靡かせながら、レイピアを持って歩く様は、自然と周囲の目を集めていた。
「……雪姫だ。雪姫スノウだ」
スノウと呼ばれた少女は、怒りの表情でななしへと言葉を紡ぐ。
「殺す覚悟も持たない奴が、勇者になりたいとか腑抜けたことををほざくな」
「まあ、勇者を目指してるわけじゃないし。俺がなりたいのは英雄だ」
「話が通じない。馬鹿な人ね。すぐに殺してあげる」
喋り終えたと思った時には、目の前にレイピアの切先があった。
「うわっ」
ななしはすんでのところで避ける。
「せあああああぁぁ!!」
スノウの猛追。レイピアによる、高速の突き。
一つがななしの脇腹を掠り、血が吹き出す。
「てっ……」
脇腹を抑えながら、ななしが退く。
「おお!当たった!」
「やっちまえ雪姫!ってうわぁ!」
周りで囃していた男たちが、一瞬にしてスノウに貫かれて絶命した。
「自分で戦え、弱者め。それじゃあ、トドメをさそうか。臆病者」
そう言ってスノウが振り返った時には、ななしの姿はなかった。
「……」
5分後、16人が生き残って第一次試験が終了した。その中には、ななしとスノウもいた。
「諸君らが生き残りか。それでは、1時間後に第二次試験を始める。個人控室があるので、そこでそれまで過ごすといい」
「……酷い光景だ」
誰にも聞こえないくらいの小さな声で、ななしが呟いた。
◆◆◆
「みなさん!今日は、勇者パーティー予選試験です!選ばれし勇者パーティーになれるのは誰なのか!選手表を見て、予想してみてください!第一試合の賭けの締め切りは10分後なので、まだの方はお急ぎを!」
拡声魔法での審判の言葉に、観客が沸く。
その光景を、ななしは壁にもたれかかりながら見ていた。
「ねぇ。あなた、ななしっていうのね」
「……君は」
スノウが、ななしの元へと近づいた。
「臆病者は私が殺したかったのだけれど、トーナメント表では私たちがぶつかるのは決勝ね。あなたの相手には、優勝候補のSランク冒険者、ジルームもいることだし、当たることはなさそうね」
「君は、殺すことが強さとでも思っているのか?」
「はぁ?それってどういう意味……」
「大変長らくお待たせいたしました!!今から第一試合、ななしvsニルドが始まります!!」
ななしは、スノウの問いには答えずに闘技場のリングへと歩き出した。
「ちょっ、答えなさいよ!」
スノウの声が、虚しく通路に響いた。
「ニルドは、この国最大のギルド、青龍のAランク冒険者です。次のSランクはニルドで確実という声も多数あります。ななしは、放浪の旅をしていたという浪人です」
審判の声が響く。
「今オッズが出ました!!ニルド1.2倍、ななし13倍です!!」
誰も知らない浪人ななしと、有名冒険者ニルドのオッズ差は圧倒的だった。
「試合開始!!」
観客席が沸く。
スノウは、通路からリングの方を見ていた。
(ニルドは、うちのギルドでも私と団長の次に強い実力者。殺す覚悟もない臆病者が、勝てるはずもないわ)
「運良く二次試験まで生き残ったみたいだが、あそこで死んでたほうが良かったかもな?恥をかくだけだぞ」
「うるさい。俺は今、怒ってるんだ」
「はぁ?怒ってる?そんなに煽られるのが嫌だったか?ガキかよ」
「違う」
ななしが歩き出す。空気が変わる。
ただ歩いているだけなのに、威圧感があった。
その一瞬で、ニルドは自分に勝ち目がないことがわかってしまう。
「い、いったい何者なんだお前は!」
「お前らは人を殺しておいて、何で何もなかったような顔をしてるんだ!!」
一次試験で一度も抜かなかった、ななしの剣。それが初めて抜かれた。そう思った瞬間、剣が再び鞘に仕舞われた。
ななしはそのまま振り返り、リングの外へ向かって歩き出した。
「あの、試合は……。って、はぁ!?」
その瞬間、ニルドは倒れた。審判が急いで駆け寄ると、脈はあったが、意識はなかった。
「しょ、勝者ななし!!」
一瞬静寂があった。その後、観客席が爆発したように沸いた。
「すげえ、一体何が起きたんだ!!」
「何も見えなかった……」
「俺の金が……」
ななしは無言でリングから降り、通路を歩く。
「ちょ、ちょっとあなた!何をしたの!?」
「……気絶させただけだ」
スノウは、息を呑んで呆然とする。その間に、ななしは個人控室の方まで帰ってしまう。
(……嘘でしょ。本当に、あいつは速く動いて気絶させただけだっていうの)
スノウは、かろうじてななしの動きが見えていた。残像のように朧げだったが。
ななしは剣を抜いたかと思うと、一瞬で間合いを詰めて剣の腹をニルドに当て、そのまま戻って剣をは鞘にしまった。
見間違えでなければ、県には刃が無かった。
「……舐めてるの」
拳を振るわせ、怒りに満ちた声で呟く。
◆◆◆
試合は進んだ。だいたいが、オッズ通りの結果となっていった。
オッズ通りでなかったのは、ななしの試合だけだった。
ななしは、全ての試合で一瞬で勝利していた。試合が開始したかと思うと、ななしは剣を抜き、その次の瞬間には剣を鞘に戻し、相手は気絶していた。
準決勝で、Sランク冒険者であり、この国最強の冒険者ともいわれるジルームでさえ、同じ方法で決着がついた。
決勝は、ななしvsスノウだった。オッズは、ななしが1.6倍、スノウが1.9倍だった。ななしのオッズがスノウを上回った。
「試合開始!!」
審判の声に、観客席が沸く。だが、リングの上はとてつもなく静かだった。
ななしが、剣を抜いた。刃の無い、人を殺す気が一切ない剣。
それに対し、スノウはレイピアを抜いていなかった。
目にも止まらぬ速さで、ななしがスノウとの距離を詰めて剣の腹で首元を狙う。
スノウは、その攻撃をギリギリで回避した。
観客席が沸いた。今日一度も避けられなかったななしの攻撃を、スノウが回避したのだ。
「……認めない。認めないわ!!」
「何がだ?」
「殺す覚悟もない弱者が、最強と言われる冒険者まで倒した。そんなこと、あっていいはずがない!」
「なんで、人を殺さなかったら弱者なんだ?」
「魔王を殺すのなら、殺すことに躊躇いなんて持ったら負けるに決まってるでしょ!!」
「魔王を殺さなければいけないのは何故だ?何故殺す?」
「そんなの、殺さないと世界が滅ぼされるから……」
「そうだ。つまり、守るためだ。大勢の人たちを」
スノウの目が揺れる。
「強さは、誰かを殺すためにあるんじゃない。誰かを守るためにあるんだ。力の使い方を間違えたら、魔王と同じだ」
「同じって。同じなわけないでしょ!!魔王を殺すために、そのために私は……」
「何が違う?魔王は、世界を滅ぼすため。人を殺すために力を使っている。そして、君も殺すために力を使っている。魔王と君の力の使い方に、一体何の違いがあるんだ?」
◆◆◆
15年前、魔王が宣戦布告をしたとき。私はまだ3歳の少女だった。私は、病弱な母親を守りたかった。父親に相談すると、父親は、私に鍛錬をさせた。
強くなるのは楽しかった。母親は、そんな私を優しく見守り、応援してくれていた。
毎日毎日、鍛錬を欠かさなかった。母親が病気で亡くなっても、鍛錬を続けた。父親が母を失ったショックとストレスでおかしくなっても、鍛錬をやめなかった。
そんな折、冒険者ギルドに入った。強くなるために、剣を、装備を買うお金を貯めたかった。
人を初めて殺したのは、8歳の時。
冒険者仕事の依頼で、護衛任務についていた時。盗賊に襲われた。奇襲だった。
そして、最も仲の良かった仲間を殺された。怒りのまま、剣を振るった。盗賊を皆殺しにした。
それから、犯罪者を何人も殺した。殺すことに、何も思わなくなった。
ギルドに、新人が入ってきた。その新人は、受付嬢をしつこくナンパする奴だった。
注意しても、それは治らなかった。その受付嬢から、何とかしてほしいと依頼されて、団長に相談した。
殺せと言われた。それが一番手っ取り早いからと。
だから殺した。殺したことに対し、何も思わなかった。それどころか、受付嬢から解決したお礼を言われ、気を良くしていた。
いつから、人を殺す剣になったのだろうか。
私が強さを欲したのは、病弱な母親を守るためだったはずだ。守るための剣を目指したはずだ。
◆◆◆
(この人は、ななしは、覚悟がないんじゃない。人を守るための覚悟があるんだ。……寧ろ、私の持っていたものは覚悟だったのか?)
「……すまなかった。私が間違っていた」
「……」
「人を殺すことを、覚悟や強さという言葉で誤魔化していただけだ。……私も、守るために剣士になったというのに」
「……そっか。わかってくれたなら良かった」
険しかったななしの表情が緩んだ。
「なら、勇者は君に任せるよ。俺は英雄になりたいのであって、勇者になりたいんじゃないしな」
そう言ってななしは剣を鞘に戻す。
「いや、君が勇者になるべきだ。真の強さを持つ君が。私は、道を踏み違えた軟弱者だからな」
スノウの剣を鞘に戻す。
「いや、君は勇者になりたいんだろ?俺は勇者なんて正直どうでもいいし。君がなってくれ」
「いや、今の私は相応しくない。でも、いつか勇者に相応しくなれるように、努力を続ける。だから今回は君がなってくれ」
「いやいや」
「いやいや」
二人が押し問答を続けていると、空から何かが降ってきた。
「良いものを見せてもらった!!お主たち二人とも、本試験に出場してよいぞ!!」
「あ、貴方様は……」
「し、師匠!?」
「え?」
「え?」
降ってきたのは、人類最強と呼ばれる、エルフの魔法使い。勇者パーティーは、魔法使いを募集してない。彼女が勇者パーティーの魔法使いだと決定しているからだ。
その名を、リーゼフ・アイリス。
今回の勇者パーティーを決める試験の最高責任者で、発案者だ。
「えーと、今はななしじゃったか?お主、我が修行から逃げ出したばかりか、説教じみたことまでしおって。いつからそんな偉くなったんじゃ?ん?」
「うるせぇババア!!あんたの修行は、修行というより拷問なんだよ!!」
「バ、ババアではない!!我はまだ300歳で……」
「ババアだろ」
「はぁ!?もうブチギレた!!殺す!殺してやる!」
アイリスが魔力を練り始める。
「あ、あのー。アイリス様ですよね?」
「ゴ、ゴホン。そうじゃ」
アイリスの練った魔力が霧散する。
「二人とも本試験に行っていいって、本当ですか?」
「本当じゃ。お主たち2人には、本試験に行くレベルの強さがある。肉体的にも、精神的にもな」
「勝手に決めちゃってもいいんですか?」
「我は最高責任者じゃからな。問題ない。せいぜい、助手に怒られるぐらいじゃろて」
「怒られはするんだ……」
「それはそうと、試合はちゃんと続行せい。こんなに観客がいるんじゃぞ」
「「あ」」
ななしとスノウは、剣を抜く。
「負けても泣くなよ?」
「こっちのセリフよ」
そして、戦いが始まった。
スノウの剣は、どこまでもまっすぐで、強い剣だった。
◆◆◆
本試験の試験会場は、別の大陸の国らしい。本試験は1年後なので、それまでに会場まで辿り着かなければならない。
馬車等を使うのは禁止らしい。辿り着けないようなら、勇者パーティーには相応しくないということなのだろう。
ななしは、荷物をまとめて王都を出る。英雄になりたいという目的は変わらない。勇者になれば、英雄になることができるだろう。
勇者は英雄になるための手段の一つでしかないとはいえ、本試験まで行けるのなら行かない理由はない。
「ちょ、ちょっと待ちなさい!」
振り返ると、スノウがいた。同じく、旅の荷物を持っている。
「二人で一緒に向かった方が、本試験会場へ行ける可能性が高くなると思わない?」
「いや、別に……。俺今まで一人で旅してきたし……」
「あ、あんたが本試験会場に辿り着かなかったら、リベンジできなくなるじゃない!」
「旅慣れてるから辿り着けるって」
「こんなに可愛い美少女と二人きりで旅できるのよ?」
「いや別にどうでもい」
「いいから、一緒に行くわよ!!」
スノウがななしの両頬を引っ張る。
「ひゃ、ひゃい」
「よし、それじゃあ出発するわ!」
(まあたまにはこんな賑やかな旅もいいか)
「あ、そういえば。あんた、本当の名前はなんていうのよ」
「いや、本名がななしだって」
「嘘。アイリス様が教えてくれたわ。ななしは偽名だって」
「あんのクソババア。今度会ったら絶対一発殴ってやる」
「それで、名前は?」
「……ナ」
「え?」
「セレナだ」
「何というか……可愛い名前ね」
「だから嫌だったんだよ。男っぽくないだろ」
「まあ、うん。でも、いい名前だと思うわよ」
「そ、そっか」
「ええ」
少し気まずい空気が流れる。
「そ、それじゃあ行きましょうか」
「あ、ああ。出発しよう」
晴れ渡った空の下、二人の剣士が歩き出した。目指すは、本試験会場。目的は、英雄になることと、魔王を倒すこと。
目的は違えど、やることは同じだ。
『人々を守るために』




