0097・村と情報収集
申し訳ありませんが、本日から文章の書式を変更致します。
あしからずご了承下さい。
また、過去エピソードについても順次手直しをしていきます。
Side:イシス
バステトやヌンと一緒に村に入った俺は、色々と見て回る。
暇な人は表に出ているのだろうが、見た目はグレイに似ているので年寄りなのか若者なのかがサッパリ分からない。
グレイほど目が大きくなく、実際の目の大きさは人間と変わらない。
だから必ずしもグレイそのものとも言えない訳だ。
何で農業神はグレイそっくりに書いたんだろう?
そう思いながら歩いていると、年齢不詳のグレイから話しかけられた。
「お前さんは随分変わっとるが、何処の誰だ?」
「俺は田舎から出て来て、都会に行こうと思ってる者です。イシスと言います、よろしく」
「ああ、田舎からか。ここも十分に田舎だが、東は更に田舎というか開拓の地だからのう……。そこから来たのなら仕方あるまい。あそこにお前さんのような種族が居るのかは知らんが」
「それよりもちょっとお聞きしたいんですが、何かお金を稼げる仕事とかないですかね? 手持ちの食料が多くなくて、出来れば食料を補充したいんです」
「それなら開拓者になって村に貢献してくれ。そしたら村も助かるでな」
「開拓者……ですか? 村の入り口に居た門番の方にも、同じ事を言われましたが……」
「開拓の地だからか、開拓者の事を分かってないのか。あそこでは全て自前でせねばならんだろうからのう、大変じゃろうて。開拓者というのは、魔物を倒して持って帰ってきたり、素材を取ってきたりする者の事じゃよ」
「はあ……。そうすれば、お金が貰えるのですか?」
「うむ。依頼があって、それを斡旋しておる所じゃ。この村の中にもあるし、剣の看板を掲げておるから行けば分かろう。そこで開拓者として登録するがええ」
「登録って、もしかしてお金が掛かります? お金は全く持ってないんですが……」
「ああ、開拓地じゃ物々交換が当たり前だからな。……困ったの、何か売れる物とか持っとらんか? 何なら外で魔物を狩ってくると良い。それを持っていって売れば登録できるじゃろう」
「成る程。登録していなくても売る事は出来るんですね」
「うむ。ワシも詳しくなくておそらくじゃが、登録の為に売りたいと言えば認めてくれるじゃろう。もしくは何ぞ売れる物を持っとるかじゃ。……その腰のナイフなどは売れんのか?」
「ナイフですか? ……一本なら構いませんけど、売れますかね? こういう物ですけど」
「どれ………。魔物の牙か何かで出来ておるのかの? なかなかに切れ味が良さそうなナイフじゃ。これなら十分に売れると思うぞ。村の雑貨屋に行って売ればお金になるじゃろう」
「雑貨屋? 武具屋じゃなくてですか?」
「武具の専門である武具屋なんぞ町にしかないわい。話として聞いた事があるんじゃろうが、村には全部纏めて売っとる雑貨屋しかないの。それは何処の村も変わらんよ」
「そうなんですね。ありがとうございました。とりあえず雑貨屋という所を探してみます」
「ああ。雑貨屋は甕のマークの看板を掲げておるから、そこに行くようにの」
「重ね重ね、ありがとうございます。それじゃ俺達はこれで」
頭を下げてから、お年寄りらしきグレイの下を去る。
俺達は歩きだしつつ、先程聞いた話を含めて色々と【念話】で話し合う。
様々な事のヒントみたいなものはあった。
『先程のグレイは年寄りみたいだったが、なかなかに色々と話してくれたな。ここから東に開拓地があるとか、そこにはグレイ以外の種族も居るらしいな』
『ですね。あの農業神もイシスが言うグレイが最大の種族だと言っていました。逆に言えば、必ずしもグレイだけの星ではないという事です。他にどんな種族が居るのかは知りませんが』
『でも少なくとも人間は居ないんじゃない? あの農業神も宇宙の彼方に人間が居るとか言ってたもの。人間に近い者は居るかもしれないけど、それも何処まで似てるかは不明ね』
『確かにな。それでも似てる種族が居れば、それを騙ればいいだけだ。無ければ適当に名乗るか、もしくは分からないって言えば済むだろ。文明度は低そうだし、分からないは通じる筈だ』
『実際に分からないっていう者は居そうですし、開拓地だと血が混じる可能性も否定は出来ないでしょう。雑多な者達が暮らす場所はそんなものですよ。例えばスラムも、そういう事が起こりやすい場所です』
『確かにな。そうやって集まって、種族が不明な子供が生まれるんだろう。それはそうと、雑貨屋の看板ってあれじゃないか?』
俺は左の方に甕が描かれた看板を発見。その向かいに剣が描かれた看板も発見した。
まさか雑貨屋の向かいが開拓者の建物だとは思わなかったな。
それなら教えてくれればよかったのに。
とりあえず雑貨屋に行き、扉を開けて中に入る。
扉自体はノブを回して開けるという普通の扉なので、迷う事も無かった。
どうやら扉なんていう物は、惑星が変わっても大して変わらないようだ。
扉を開けると「カランカラン」と鳴り、中へと入ると雑多な物が大量に並べられた店内が見える。
一応通路はあるので進み、店員が居る場所へと進む。
店員も当たり前だがグレイで、年齢も不明なのでさっさと話しかける事にした。
「すみません。ここで売る事が出来ると聞いたんですが……」
「はいはい。買い取りはしてるけど、何が売りたいんだい?」
「このナイフを売りたいんですが、これを売ってお金を得て、開拓者として登録するといいと教えてもらったもので……」
「ああ、もしかして開拓地から出てきたの? それじゃお金は持ってないよねえ。とりあえず見せてもらうけど……何かの牙で出来ているのかな? ………意外に切れ味が鋭いな。これなら100ルルかな」
「100ルル?」
「そう。小銀貨1枚だね。1ルルが小銅貨1枚。10ルルが銅貨1枚。25ルルが大銅貨1枚だ。で100ルルが小銀貨1枚。250ルルが銀貨1枚。1000ルルが小金貨1枚。5000ルルが金貨1枚だよ」
「成る程、そうなんですね。100ルルあれば開拓者として登録できるんですか?」
「そうだね。登録料は一人100ルルだからギリギリだけど登録できるよ。それで、どうする?」
「お願いします」
「じゃあ、100ルルね」
俺は小銀貨とやらを1枚貰うと雑貨屋を出た。
あれが買い叩いた金額なのかは判然としないが、オーガの牙はまだまだ余っているので特に問題は無かったりする。
なので買い叩かれていても、俺は特に気にしていない。
だがヌンは気に掛かるようだった。
『流石に先に色々と相手に情報を与えすぎていたのではありませんか? あれでは買い叩かれても文句は言えませんよ?』
『買い叩かれていても特に問題は無いさ。そもそも俺達はこの星の価値観を知らないんだ、根本的な部分では騙されても仕方ない。それに、騙されたって事は学べるって事でもある』
『どうやって騙してきたとか、何を騙してきたかとか?』
『そうだ。田舎者と思われてるんだから騙そうとするに決まってる。ただし田舎者の方はそれで学ぶ訳さ。つまり必要経費だとも言えるな。別名で<都会の洗礼>とも言うが』
『まあ、そういう事にしておきましょう。確かに情報の無い中では、騙されるしかありませんしね』
『そうそう』
俺は開拓者の建物の扉を開けて中に入る。
すると、中はガランとしていて、碌に誰も居ない感じだった。
さっきの雑貨屋もそうだったが、何故か室内が明るいんだよな。
天井に明かりが付いているんだが、アレは何なんだろうか?
あまり見ると不審がられるので見ずに、堂々と受付っぽい所へ歩いていく。
そこに居るのは受付嬢じゃなくてグレイなんだけどね。
とりあえず話し掛けてみるか。




