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0096・バステトへの説明と新たな惑星




 Side:イシス



 俺が既に終わっている事を話すと、バステトはジト目で睨んできた。


 どうやら自分が居ない間に勝手に終わらせたのが納得できないようだ。

 とはいえ、そこに関しては素直に謝った。


 バステトも途中で怒っても仕方ないと思ったのか溜息を吐き、「仕方ない」の一言で終わらせてくれたようだ。



 「すまん。とはいえ俺も活躍するところは無くて、殆どはヌン任せになったんだけどな」


 『えっ? それってどういう事?』



 俺は持って帰ってきた物で<ゴーレムコア>が作れた事と、ゴーレムに乗り移るとヌンも惑星に行く事が出来る事を説明する。


 そして暗闇の中を普通に歩き、強襲出来るのはヌンだけだったと話すと納得した。



 『それはイシスには無理でしょうね。っていうか、明かりが一切無いのに見えてるって時点で色々おかしいでしょ。流石にイシスもついて行っただけなのが分かるわ』


 「そうなんだよ。で、全て終わったから次の惑星なんだけど……バステトはどうする? あの星に戻るか?」


 『今さら戻る訳ないでしょ。戻るところも無いし、今さらあの星の犬や猫と生きていけるとは思わないわよ。色々と知りすぎたし変わりすぎたもの。魔力も豊富だし、オークも簡単に倒せる。他の猫や犬に擦り寄られて利用されるだけよ』


 「まあ、確かにすり寄ってくる奴等は多いだろうなぁ。筆頭はあの町の猫どもだが、あんな連中に使われるのもゴメンだろうし、そりゃ戻る気にもならないか」


 『当然よ』


 「なら次の星に行くんだが、ヌンも含めて魔法陣の部屋に集まるか」



 そう言って<生物修復装置>の部屋を出ると、<物品作製装置>の部屋から木製ゴーレムが出てきた。

 それを見てビックリするバステト。

 顔がツルツルだからだろう。



 「バステト。これがヌンが乗り移ってるゴーレムだ」


 『それは分かるけど、顔が無いのが恐いんだけど!?』


 「そうは言いますが、そもそも私に顔など必要ありませんからね。360度、全てが見えていますし」


 「おおぅ、そこまで見えてるのかよ。色々とえげつない性能だな。それはともかくとして、次はどんな星だろうな? ちょっと楽しみだが、次はせめて多少の文明があってほしい。じゃないと食べ物が貧しすぎる」


 「ああ。人間であるイシスは色々と大変でしょうね。今までは栄養剤と適当な肉や魚ですし」


 『それじゃ駄目なの?』


 「駄目っていうか、そろそろ穀物が食いたいんだよ。米でなくとも小麦を食いたい。いや、贅沢は言わずに大麦で構わない。せめて穀物をくれ」



 俺はそんな愚痴を言いつつ魔法陣部屋に入り、再び一番手前の魔法陣に乗る。

 その魔法陣が光り輝くと、目の前の景色が歪んだ。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 俺達が現れたのは鬱蒼とした森の中だった。

 「またもや森かい」と思うが、いきなり人が現れるところなど見せられないのだから、森の中なのは仕方ないのだろう。



 『ゼンス王国の野望を打ち砕け。それをもって指令の完了とする』



 ……ゼンス王国ねえ。

 しかも野望と来たもんだ。

 とはいえ、少なくとも国があるって事は、生きている人か何かが居るって事だよな。

 それなら多少の食い物はあるだろう。



 『ゼンス王国ですか。しかも野望という事は覇権でも狙っているのでしょうかね? それとも何かの人体実験でもしているのかもしれません。例えば、不老不死とか』


 「その果てに手を出したのが【死霊術】とかで、神様が激怒したとか? はははははは、漫画やラノベじゃあるまいし、そりゃ無いか」


 「いや、間違っておらんぞ」


 「は?」 「ニャ?」 「………」



 高い声が聞こえたと思ったら、俺達の前に少年がいきなり現れた。

 ビックリしたものの、向こうは気さくに話し掛けてくる。



 「ワシはこの星の神である一柱。名は明かせんが農業を管理しておる。そなたが<時空の旅人>だな? すまぬがゼンス王国の愚か者どもをどうにかしてほしい」


 「それは指令ですからやりますけど、何故ゼンス王国とやらが問題なんです?」


 「あの愚か者どもは、先程そなたが言うた通り【死霊術】を悪用しておる。ただしその目的は不老不死などではなく、敵国を攻め滅ぼす為と農業に使う為じゃ」


 『敵国を滅ぼすのは分かるけど、農業ってなに?』


 『おそらくスケルトンか何かを農業にて使役し、他の国を攻める際には敵国の民を殺してアンデッドとして使役しているのでしょう』


 「うげっ!? 碌な事をしないヤツが、この惑星にも居るのかよ。人間が居るかは知らないが、碌なもんじゃねえな」


 「人間というのは居らぬの。遥か宇宙の彼方には人間という生き物が居るのは知っておるが、この星の者達はそうではない。一番多いのは、このような姿の者達じゃ」



 そう言うと農業神は地面に絵を描き始めたんだが………これってグレイじゃねーか!!

 MIBに何とかしてくれって言ってくれよ!

 俺達じゃ畑違いだろうに!



 「何か言いたい事がありそうじゃの?」


 「その姿は俺がかつて居た星ではグレイって呼ばれてて、確認された事は無いんですが異星人の姿だと言われてたんですよ。まさかここに来てグレイを見る事になるとは……」


 「よく分からんが、見た目がそなたらと違うから分かりやすかろう。ワシはあまり長く下界に顕現できん。他の神もそうだが己の管理領域の維持で忙しい。すまぬが宜しく頼む。ではな」



 そう言って農業神は消えたが、おそらく神の領域とやらに帰ったのだろう。

 俺達は顔を付き合わせて考える。



 「まずはゼンス王国とやらに行ってみるしかないが、そもそもここは何処なのかを知る事から始めるしかないな。しかし……原住民がグレイとは、参ったなぁ……」


 『何か厄介な事でもあるの?』


 「コミュケーションは……まあ【念波】でいいだろうけど、喋れるなら喋れた方が良いとは思う。しかしグレイの言葉が全く分からんぞ」


 『イシスは改造されていますから、コミュニケーションに関しては特に問題ありませんよ。すぐに相手の言葉を学んで使える様になります』


 「そんな改造がされてたのか! そういえば、バステトも何故か俺が言っている事は分かってたもんな。あれも不思議だったんだ」


 『あれは最初にイシスが<生物修復装置>で治療をしたからです。その時にイシスの言語体は理解されるように変えられていると思いますよ。たとえ治療だけといっても』


 『そういえば<生物修復装置>から出た後の時点で、既にイシスが何を言っているかは分かったわね? あまり気にも留めてなかったけど』


 「バステトさんよ。せめて少しぐらい気にしようぜ……」



 そんな会話をしながらも歩き始めた俺達。

 何処へ行けばいいのか分からないので真っ直ぐ歩いていくと、すぐに森のような場所は無くなり平地が見えた。

 どうやら森といっても小さかったようだ。


 そして見える範囲の遠くに村らしきものが見える。

 俺達はそちらに行く事に決めた。


 …

 ……

 ………


 一時間ほど歩いたら到着したが、村といってもそれなりには大きく、門番が一人立っていてこっちを見ている。


 ジロジロとは見られてはいないが、グレイにしたらデカ過ぎないか?

 おそらくだけど身長は180センチぐらいあるぞ。

 更には服を着て靴を履き、革鎧を装備して槍も持ってる。


 ファンタジーなラノベの門番をグレイにしたらこんな感じか?

 ……本当に登場人物をグレイに変えただけに思えてきたぞ。


 俺はそんな門番に【念話】で話し掛けて、とりあえずコンタクトをとる事にした。



 『すまない。ここで休む事は出来るだろうか? 俺達は旅をしているんだが……』


 「あをうぇいれ……。かねいうあじゅりゅこ?『旅をしている……。なら開拓者か?』」


 『いや、開拓者じゃなくて唯の旅人だ。というか開拓者ってなに?』


 「かいじぇるまない? なんだいくじゅらだな?『開拓者が分からない? 何だかあやしい奴等だな?』」


 『俺達の住んでいたところじゃ、開拓者なんて聞いた事が無いんだ。俺達は旅をして都会に行こうと思ってるんだが……』


 「見た目が変な奴等ふむるうじゅ、田舎者かよ。まあ入るのはタダだからいいが、でぃじゃんぎゃこの辺の村だけだからな? 気をういれぶよ」


 『この辺だけ?』


 「そうだ。この辺りを治める領主様はマシな方だから税は取らねえが、中には悪質な領地があるからな」


 『成る程。ありがとう』



 そう言って、俺達は門番の前を通り村へと入る。

 それっぽく口をパクパクしながら【念話】で会話したが、案外と上手くいくもんだ。

 ちょっと驚いたな。


 しかも途中から相手が何を言っているか分かったし、いったい俺はどういう改造を受けたんだ?


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