表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/164

0093・ゴーレムとオーガの山




 Side:イシス



 ゴーレムを作製すると、出てきたのは身長150センチ程の木製の球体関節人形だった。

 形としては、球体関節人形そのもののような感じで、特に可も無く不可も無い感じだ。


 頭部もツルツルなので、どっちを向いているか分からないが、球体関節人形はこんなものだろう。

 床に倒れたままなのだが、どうやって使えばいいんだ?



 「イシス。まずはゴーレムに魔力を流して起動して下さい。最初に魔力を流した者がマスター登録されます。以降は変えられませんので、まずはイシスが流さなければいけません」


 「了解。流すのは胸の<ゴーレムコア>だな?」


 「ええ」



 俺はヌンの言う通りゴーレムに自分の魔力を流す。

 胴体の中にある<ゴーレムコア>に俺の魔力が届いたんだろう、心なしかゴーレムが起動したような感じがした。

 しかしそれだけで、ゴーレムには何の動きも無い。



 「魔力を流したんだが……特に動きが無いな? 本当にこれでいいのか?」


 「きちんと起動しています。そもそも今のゴーレムは起動しただけであり、人間で言えば赤ん坊と変わりありません。そこから様々な事を教えていかなければいけないのです」


 「言葉は悪いが、ゴーレムって面倒臭いんだな。そもそも立ち上がるとか歩くって、どうやって教えればいいんだ? 俺には教え方が分からないんだが……」


 「目の前で歩き方を見せたり、立ち上がり方を見せたりを繰り返すのですが、ここには私が居ますからね。さっさと教えていきますよ」



 ヌンがそう言うと、突然ゴーレムが立ち上がって体を動かし始めた。

 何と言うか、自分の体のスペックを確かめているような感じか。



 「見ててすぐに分かったが、ゴーレムを動かしているのはヌンだな? それがゴーレムの教育になっているのか?」


 「ええ。私のように乗り移った者が動かしても、ゴーレムはそれを学習します。学習量が増えすぎたら<生物修復装置>に入れて最適化すれば問題ありませんよ。そうすればまた学習できます」


 「要らない事を覚えてたら消すのか? それとも情報を圧縮する? または無駄を省いて整列させるのか……。いや、俺が気にする必要は無いな。そもそも知識が欲しい訳じゃないし」


 「この後はどうするのですか?」


 「えっ? ああ、ゴブリンの山はもう終わったんで、次は東の山に行ってオーガの殲滅だ。そっちに研究室がありそうなんで、調べておく必要がある」


 「では行きましょうか? 私も暇でなくなって助かります」


 「ああ、うん。了解だ」



 まあ、<時空の狭間>に居るだけじゃ暇だよなぁ。

 俺なら耐えられないわ。


 そんな事を思いつつ魔法陣の部屋に行くと、俺はヌンと共に惑星へと転移。

 ゴブリンの山に戻ってきた。



 『ほうほう。ゴブリンの山とはこういう場所だったのですね。階段があるという事は人工物ですし、ゴブリンが作ったとはとても思えませんね』


 「そうなんだよ。こんな物をゴブリンが作れる筈が無いんで、あからさまに人間の残した物だという事は分かる。それはともかく、まずは浄化道具を埋めないとな。<ムンガ>を倒した後の衝撃で忘れてた」



 俺は<瘴気発見器>を使って調べると、針がグルグルと動き始めた。

 という事は、今いるこの場所が正解って事か?



 『それで正しいのですが、出来るだけ低い所が良いので、階段を下って下に行きましょう。そこで穴を掘れば問題ありませんよ』



 ヌンの指示に従って階段を下り、その階段脇の隙間に穴を掘っていく。

 既に一度行っているので慣れたものだし、ヌンも手伝ってくれたので簡単に終わった。


 5メートルの穴を掘ったら<時空の狭間>に戻り、<魔鋼>の箱と<浄銀の輪>を五個作製。

 詰めて蓋をしたら戻り、穴の一番下に箱を置く。

 後は穴を埋め戻せば終了だ。


 終わったのでゴブリンの山をさっさと出よう。

 ここにいつまでも居ても意味は無い。


 俺とヌンは<ムンガ>を倒した方向から外に出ると、石垣を二段下りて山を下った。

 その後は東へと進んで行き、オーガの山を目指す。

 あくまでも東としか聞いていないので、何処にあるかは分からない。



 『まあ、そこまで迷うという事も無いと思います。東の山と聞いている以上は、確実に山なのですからね。手掛かりとしては大きいですよ』


 「それはそうだが、今は夜中だから探すのが難しいんだよなぁ。それでも移動はしておいた方がいいからするんだが……」


 『それなりに移動しなければいけないでしょうが、攻めて来るのですから、そこまで離れてはいないでしょう。オーガとやらが数十キロも移動してきたとは思えません』


 「それはな、俺もそう思う。流石に戦国時代とかじゃないんだから、数十キロもの行軍なんてしないだろ。ゴブリンの山に行くまでに何回野営をするんだって話だし、疲れきってしまうだろうからな」


 『その言い方ですと、攻めて来たオーガとやらは元気だったのですね。となると離れていても数キロというところでしょう。おそらくは結構近い筈』


 「まあ、夜中だから分かり難いし、ウロウロしながらアイテムバッグに色々と回収していくか。何か有用な物があればいいけどな」


 『草は生えていますが、少ないですしね。無理に手に入れる必要も無いでしょう。それに、そろそろ山が近付いてきましたよ』


 「えっ? 山が近付いてきたって………もしかしてヌンってかなり遠くまで見えてる?」


 『遠くというより、数キロは普通に見えていますよ。私には光の有無は関わりありませんので』


 「わーお、流石は知性体というべきか。見えてたのなら、そりゃズンズン移動するわな。それはともかく、たとえオーガの山でなくとも色々な物は手に入るだろうから悪くないな。それにゴーレム修復用に木が欲しいし」


 『そうですね。手に入れておいて損は無いので、禿山にするぐらい持っていきましょう。どうせ自然の力で回復しますし』


 「いやいや、流石に禿山は駄目だろう。間伐する感じで持っては行くが、禿山にはしないよ」



 本気か冗談か分からない事は止めてもらいたいが、とにかく山の麓に着いたので、俺とヌンは木々をどんどんと倒していく。


 俺は途中からアイテムバッグに回収するだけになり、ヌンが異様な速さで木を押し倒しては次に移動する。

 どうも獣道っぽい場所を選んで進んでいるらしく、オーガが作った道っぽい。


 なので微妙に文句も言い辛く、俺はヌンの後ろをついていく形となった。

 何をやってるんだと思うも、【ライト】を使っている俺よりも見えているので、ヌンの方が正しいルートを進んでいる可能性が高い。


 こういう時は邪魔をしない方が良いに決まっているので、俺は木々を回収したり草を回収したりしながら進んでいる。

 すると、ヌンが急に足を止めた。



 「どうしたんだ、ヌン?」


 『イシス。どうやら上の方に10体程度の魔力反応があります。その10体は近くに固まっている為、おそらくオーガの可能性が高いでしょう。ここからは音をさせないようにして進みます』


 「了解」



 そう言ってヌンは静かに移動を開始した。

 先程まで木を倒していたのはヌンなんだが……。

 そう言いたかったが、俺は口をつぐむ。

 何故ならヌンの足音が殆どしないからだ。


 むしろ俺の方が足音をさせてしまっているぐらいで、ヌンは球体関節人形も上手く扱っているのか、体を動かしても音がしていない。

 とんでもないなと思いつつ、俺はなるべく音をさせないようについていく。


 ある程度登ってみると分かったが、高さが4メートル程のトンネルがあり、そこがオーガどものねぐらだと判明。

 俺も魔力を薄く放射してみたが、中に魔力反応があるのが分かった。


 というか、ヌンは大分前から気付いてたって事は、それほど遠くから魔力を放射して探り当てたって事だよな?


 …………もう、ヌンだけでよくない? なんかそんな気がしてきたぞ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ