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0085・ゴブリンとオーガの戦い




 Side:???



 あの咆哮は……!! またもや攻めて来たか、あの腐れオーガめ!

 これで何度目か分からんが、いったい何度攻めてきたら気が済むのだ!

 そこまでして我らの地を欲している理由は何なのだろうな?

 奴らはあまりにもしつこ過ぎる。



 『まずは第一防衛線でなるべく削れ。いつも通りに石を投げさせて、確実に敵を傷付けるのだ。オーガであろうがオークであろうが、傷付けば確実に力は減る。それで少しでも敵を弱める』


 『すぐに命令を伝えてまいります』


 『第一防衛線はいつも通り、無理に守らせる必要は無い。同胞の命の方が大事なのだからな。奴らが登ってきたら、すぐに第二防衛線へ引き上げさせろ。我らが使っている縄は細すぎて、奴らが使えば転落するだけだ』


 『はい!』



 さて、問題は第一防衛線でどこまで相手に傷を与えられるかだ。

 それによってどこまで食い込まれるかが決まってしまう。

 最初こそが肝要。

 そこで失敗すれば切り込みに出る必要すら出てくる。


 我らの祖がニンゲンから奪ったとはいえ、あまり武器も多く残っておらん。

 特に<剣>というのは使える者が限られておる。

 アレは正しく使えんと重いだけで意味が無い。

 それにケダモノのような連中では、とても使えん。


 ………もしかして、オーガどもは古のニンゲンどもの武器を求めておるのか?

 もしそうだとしたら、奴らが諦める事は絶対に無い筈だ。

 何故なら、我らの祖先がオーガどもの祖先の首を落としたのだからな。


 奴らにとっても屈辱以外の何ものでもなかろう。

 それ故に我らの武器を求めておるとなれば、気持ちは分からんでもない。

 とはいえ奴らの体には合わんのだから、手にしたところで意味は無かろうがな。


 しかしそれは持つ者の言い分であろう。

 持たぬ者からすれば殺してでも奪い取りたい物でしかあるまい。

 オーガどもとの骨肉の争いは祖先の頃からずっと続いておるが、そのこと自体が理由かもしれんとは……。


 過ぎたる戦果は禍根にしかならぬか。

 難儀な事よな。


 ドタドタドタドタドタドタ!!


 ぬ? 慌てたような足音だな。

 もしや想定外の事が起こったか?



 『申し上げます! 第一防衛線が突破されたと報告がありました! 大した手傷も与える事が出来なかったと、しかし何故かは分かっておりません!!』


 『チッ! 第一防衛線に何があったかは分からんが、大した手傷も負わせられなかったという事は、第二防衛線で出来るだけ相手に打撃を与えねばならんぞ。内に入り込まれたら、どこまで被害が出るか分からん。確実に敵に打撃を与えろと命じるのだ!』


 『はい!』



 マズイな……。

 おそらくケダモノが増えただけに、敵前逃亡が起きたのかもしれん。


 オーガの咆哮はケダモノにとっては恐怖だろう。

 我らのように賢き者であれば、あれは相手に恐怖を与えようとするものだと分かるが、ケダモノでは簡単に飲み込まれる。

 それでは敵前逃亡など当たり前に起きるぞ。


 クソッ! ここでもケダモノが増えた事が響いておる。

 かつての我らであれば余裕で守りきれたのかもしれんが、今の我らでは守りきれるかどうかすら分からん。

 ケダモノどもは状況が悪いとなると、すぐに逃亡しかねんのだ。


 本格的に雌達を逃がす用意をしておかねばならんかもしれん。

 そこまでになれば、せめても一矢報いてくれるわ。

 オーガの首を獲れば敵の勢いとて削がれよう。

 そうすれば雌達は十分に逃げられる筈だ。


 情けない事だが、祖先には陥落させてしまった愚か者としてそしられに行くしかあるまい。

 とはいえ、愚かな長として祖先の下に行く事すら許されんかもしれんがな。


 ドタドタドタドタドタドタドタドタ!!


 どうやら碌でもない報告が来るようだな。

 これまでか……。



 『報告! 第二防衛線が突破されました! 殆ど傷を与える事が出来ておりません! それと、警戒の者達の姿が殆ど見当たらず、殺されたのかどうかすら不明です!!』


 『相分かった。雌達を全員逃がせ!! 我らは最後までここで戦うぞ。そして我も出る! 腐れオーガどもに目にもの見せてくれるわ!!!』


 『ハッ!!』



 覚悟しておけよ、腐れオーガどもめ! 我の手で貴様らだけは必ず殺してやるぞ!!



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:イシス



 ゴブリンどもが慌ててるうえに、俺達が殺したからか簡単に敵が登ってきたな。

 それにしても、まさか、なぁ……?



 『石だ! とにかく石を持って来い!! 出来るだけ沢山だ! ひたすら敵に投げろ! 少しでも敵を攻撃せねば殺されるぞ!!』



 ゴブリンが【念波】を使って指示を出してやがる。

 今までのゴブリンにこんな奴は居なかったぞ。

 なんでここのゴブリンはまともな理性を持っているんだ?

 何だか嫌な予感がしないでも無いな。



 『イシス、あのゴブリンの事をどう思う?』


 『どうって言われてもな。【念波】の使い方が下手で、俺達にまで聞こえてるぞってくらいか? ……まあ、そんな事が聞きたい訳じゃないのは分かっているが、現時点では不明としか言えないな』


 『不明?』


 『何故ゴブリンが普通に【念波】で会話が出来ているのかとか、何故ゴブリンの中には「ギャアギャア」言っている普通のゴブリンも居るのかとか、詳しい事はサッパリだ。分からない事が多すぎる』


 『そういえばそうね。私も知っている普通のゴブリンも多く居たもの。もしかしたら考える事が出来るのは、一部のゴブリンだけ? そう考えると、しっかり見回ってたのと適当だったのが居たのは分かるわね』


 『確かに足音がしっかりしている連中と、バラバラで適当な連中が居たな。足音がしっかりしている連中は、まともに物事が考えられる連中だったのかもしれん。まあ、だからといって容赦はせんが』


 『それはしないでしょ。どのみち話が出来ても、連中が埋めた浄化道具を掘り起こさない保障が無いし、余計な事をされると浄化が上手くいかないわ』


 『本当にな。ゴブリンが余計な事をしない保障は何処にも無い。残念……ではないか。俺達は俺達のやるべき事をやるだけだ』



 俺とバステトは未だに隠れているだけで動いてはいない。

 結構な数のオークどもが上がって来ようとしているらしく、ゴブリンがそいつら目掛けて攻撃しているからだ。

 流石にゴブリンの数も多いので、そんな所に乱入する訳にはいかない。


 なので隠れてジッとしている訳だが、いつでも逃げられるようにバステトを抱いた状態を維持している。

 逃げる場合は全力で逃げるので、俺がバステトを抱いていた方が早い。



 『何としてもここで傷を与えろ! いや、出来るなら殺してしまえ!! このままではお前達も殺されかねんのだぞ!!』


 「ギャギャーー!!」 「ギッギー!!」


 「ギャギャッギャ、ギャア!!」 「ギャギャ!」


 「ギャアギャギャ!!」 「ギャアーギギ!!」


 『クソッ! 頭の悪いケダモノどもめ! まったくこちらの言う事を聞かん! こんな奴らを使って、どうやって守れというのだ!!』



 ケダモノどもねえ……。

 自分達と同じゴブリン相手にそれを言うって事は、物事が考えられる奴らは違うのか?



 『どうして先祖はニンゲンとやらを殺したのだ! こんなケダモノばかりが生まれるなら、ニンゲンとやらを生き残らせておいた方が良かったではないか!!』



 成る程。

 おそらくだが、こいつらは人間によって改造されたんだろう。

 それも知恵が付くように改造されたんだと思う。


 しかし、それの効果が弱まるか、それとも自然の回復力か、元のゴブリンに戻ってしまっているんだろう。


 となると、こいつらは知恵のある最後の世代なのかもな。


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