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0084・暗殺と咆哮




 Side:イシス



 俺とバステトはゴブリンを暗殺しつつ移動をしていく。

 とにかく見つからない事と確実に始末する事を徹底し、足下を確認しながら罠を探してもいる。

 俺の履いているブーツを貫ける程では無いが、迂闊に踏む訳にもいかないしな。


 今のところは斜めに切った木が地面に刺さっているだけだが、他にどんな罠があるかは分かっていない。

 なので一応は様々な罠を警戒しつつも、ゴブリンがどんな罠を使うか不明なので警戒のしようが無い状態でもある。


 ここまでに幾つかあった罠は、現在全て回収して二度と踏まないようにした。

 理由としてはゴブリンを探してウロウロする必要があるからだ。

 同じ場所を再度訪れた際に、また踏む可能性があるのは流石に面倒でしかない。


 それに土を柔らかくしたら簡単に抜く事が出来るので、そこまで回収するのに手間が掛かったりはしない。

 何度も何度も警戒し続けるよりは、回収しておいた方が安心できるというのも事実としてある。



 『実際ゴブリンが何処まで広がってるか分からないし、何度も同じ場所を移動する可能性がある以上は、撤去しておいた方が良いわよね。敵に吹き飛ばされたりして、その罠がある所に落ちたら体にグサッと刺さるもの』


 『流石にそれは笑えないからな。土を柔らかくするのは木を手に入れたりする際に散々やっているから大した手間でも無いし、この程度で後の安全が手に入るならやるさ。ゴブリンどもが地道に設置していったのか、結構な数があるけどな』


 『そこまでして設置しなければいけない敵とかが居るのかしら? 思っているより設置してある量が多いわよね? まるで、いつでも攻めて来いと言わんばかりだと思うわ』


 『確かに思っているよりは多いが、そもそもゴブリンどもがいつから山に篭もっているのか分からないからなぁ。何十年も山を拠点にしているなら、罠を大量に配置する事は十分に可能だ。それを考えると、攻めて来る敵を想定して設置しているだけだとも言える』


 『襲ってくるか分からない敵に対してねえ……。敵に対する警戒心の感じられない奴等と、それなりに警戒して歩いている奴等が居るけど、アレはどうなってるのかしら? 圧倒的に警戒していない奴の方が多いけど』


 『中には真面目なゴブリンも居るんじゃないか? 攻めて来る敵が居るのかは知らないが、そいつらが来るかもしれないと考えている奴と、どうせ来ないだろうと考えている奴。割合としては考えていない奴の方が多いんだろうさ』


 『成る程。ゴブリンだし、そういう危機感が無い奴の方が多そうね。それにここは結構な拠点だと思うもの。こういう場所に居れば安全だと思い込むだろうし、確かに見回りなんて面倒で、やる気にならないのかもしれない』


 『俺もそう思う。ゴブリンってそもそも頭があまり良くないし、楽観的というか深く考えないもんだ。その割に厄介なのは、数で押してくるからでしかないしな。数が居なければそこまで強い魔物じゃない。ただし器用なのをどう使ってくるかで変わるが』


 『今回のような罠とかを使ってくる場合は厄介よね。何と言っても結構な、また来たわ。今度は4体ね』



 罠を回収していた俺も魔力の放射をするが、確かに四体ほどこちらに来る。

 それ以外は居ないようなので、再び後ろから暗殺すれば済むだろう。


 ゴブリンどもは罠の近くには来ないので、罠を回収した場所などは隠れるのに最適だったりする。

 また、罠も隠れられそうな場所に設置してある事が多いので、俺達にとったら隠れやすい場所でもあった。



 「ギャギャ」 「ギャギャッギャ」


 「グ~~ギャ~」


 「ギャギャギャ!」 「グギャギャギャ!」


 「ギャギャッギャギャ!」 「ギャギャーギャ!」



 何を話しているのか意味が分からないが、俺達は隠れながらゴブリンを見送る。

 そして後ろからゆっくり静かに出ると、後頭部への【ヒートバレット】で殺害。

 すぐに死体をアイテムバッグに回収する。



 「………ふぅ」


 『お疲れさま。早く死体を収納して無くしておかないと、次の奴等がすぐに来る事があるものね。それが厄介というか面倒で仕方がないけど、ゴブリンどもにも都合があるから文句を言っても仕方がないか』


 『ああ。少なくとも奴等の行動で俺達の行動も変わる。出来るだけ隠れ続けて暗殺する以上は、こっちの都合では行動できないな。向こうに合わせなきゃいけないのは面倒だが、隠れ続ける間は仕方ない。見つからない事が先だ』


 『見つかったら余計な事になるもの。なるべく見つからないようにし続ける必要があるし、見つかったらすぐに下りて撤退ね。そうしないと数で潰されるわ』


 『どこまで居るのかは分からないが、ここまでに俺達が殺したのが30ほど。まだまだ残っていそうなんだよなー、ここのゴブリン。もしかしたら思っていたよりも数が多いかもしれん』


 「オォォォォォォォォーーーーーーッ!!!!!」


 「「「「「「「「「「ブルァーーーーッ!!!」」」」」」」」」」



 俺とバステトが話していると、突然大きな咆哮と共にオークの声が聞こえた。

 最初の咆哮の声は聞いた事が無く分からないが、魔物の種類を考えるとオーガかもしれないな。



 『最初の声は多分だけどオーガじゃないかと思う。私自身は一度も会った事が無いけど、里で聞いた古い時代の話から考えると多分そうよ。とても大きな体をしていて、赤い肌で皮膚も凄く硬かったらしいわ』


 『【魔術】が効きにくそうな相手だなぁ、それに皮膚も頑丈なんだろう。総じてオークよりも上だと考えて間違い無いな。しかし、問題はそんな奴が攻めてきたって事だ』


 『つまり罠とかはそいつら向けに作ってたって事かしら? それを私達が解除した?』


 『俺達にとっても邪魔なんだから排除するのは普通の事だ。問題はこれから起こるだろう混乱で、俺達がどう動くかだな。間違いなく攻めて来ている奴等とゴブリンとの戦いになる』


 『それはね。………確かに私達はどうにでも動けるし、私達がそう動くかで戦い自体が変わりそう。その場合はどうしたら良いのかしら?』


 『出来れば双方を全滅させたいな。この山か、その上の山が瘴気の集まっている地点だ。出来れば浄化道具が掘り起こされる事が無いようにしたい。それにはどちらも邪魔だ』


 『そういえば私達の目的って、瘴気の浄化だったのよね。すっかり忘れてたわ。暗殺ばかりしてたし、ゴブリンを全滅させるのが目的だと勘違いしてた』


 『後々の事を考えたら全滅させておきたいのは事実だ。しかし双方の戦いが激化している間は、俺達はお休みって感じだな。もしくは戦いの間は双方の数を削るか』


 『でも積極的には無理よね? そんな事をしていたら確実に見つかるわよ』


 『分かってる。だからこそ一部の連中だけを始末していく。どうせ戦いになっても、この広い山だ。はぐれている奴等なんてのは必ず居る。そういう少数の奴等を始末していけばいい』


 「オオオオォォォォォォォォッ!!!!」


 『咆哮が近いな。どうやら一番下の石垣は登ったんじゃないか? 俺達がゴブリンを殺したからか、防衛に間に合ってない気がするぞ?』


 『私達にとっては都合が良いけどね』


 『そうだな。俺達にとってはなるべく混乱してくれる方が都合が良い。すぐに追い返されたりしたら、警戒レベルが上がるだけで得が何も無いからな』



 そのパターンだけは止めてほしいので、出来得る限りゴブリン側が混乱する事を望む。

 当然、最後には俺達が勝つんだけどな。

 そうしないと浄化道具を設置できないし。


 でもゴブリン側が簡単に負けるのも困るんだよなー。

 オーガかどうかは分からないが、攻め込んできた奴等の戦力が不明だから迂闊には動けない。


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