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0073・オークの集落・殲滅




 Side:イシス



 俺はバステトを首に巻き、梯子はしごを少しずつ慎重に登っていく。

 そして上にある金属のふたっぽい場所の近くまで登ったら、そこで魔力を薄く放射。

 周囲のオークであろう魔物を確認する。


 周囲に居る訳ではなく、それなりに離れた場所に魔物を感知。

 この金属のふたの近くには居ないようだ。

 となるとゆっくり出て行ったら大丈夫だろうか?

 上の事や周りが分からないのが恐いな。



 『バステト。この上の近くにはオークは居ないみたいだが、それでも離れた場所には居るようだ。このまま慎重に金属のふたを外して外に出ようかと思うが、もしオークに見つかったら、とりあえず逃げようと思う』


 『それで良いと思うわ。いきなり戦えっていうのも難しいし、まずは周辺の把握とかが先よ。それにオーク自体はそこまで強くないし、十分に勝てる相手だから問題ないでしょ。強さよりも上手く戦う事が重要だと思う』


 『よし。それじゃ慎重に金属のふたを外す』



 俺は右手でゆっくりと金属のふたを持ち上げていく。

 片側が開いていくのかと思ったらふた全部が動いたので、俺は金属のふたを持ち上げてスライドさせて開けた。


 その後、金属のふたを完全に外し、俺は少しだけ頭を出して周囲を確認。

 すると、脱出口の周囲は草や木だらけで、オークは全く見えなかった。

 どうやらバレずに済みそうである。


 俺はそーっと上へと上がり、見つからずに外へと出る事に成功。

 中腰のままで立ち上がらず、バステトをそっと地面に下ろす。

 そして金属のふたを慎重に戻した。

 開けたままにして落ちても困るしな。



 『バステト。運が良い事に周囲は草と木で俺達の体は隠れてる。その御蔭でまだオークどもには気付かれていない。今の内に周囲を観察。オークどもを殲滅する』


 『ええ。それが一番良いわ。私達にとったらオークなんてそこまで強い奴等でもないし、ここにはそこまで数が多くないみたいだもの。一気に倒して殲滅するべきね』


 『よし。それじゃ、ギリギリ近くまで接近するか。その後は一気に殲滅だ。出来る限り頭なんかを狙って一撃で仕留める。または足を潰して動けないようにしておく。その作戦で行こう』


 『了解』



 俺はアイテムバッグから薙刀を取り出して準備し、バステトと共にギリギリまでオークに近付く。

 「ブルルル」「フゴフゴ」聞こえるが、連中も言葉か何かで意思疎通を図ってるっぽい。


 とはいえ気にする必要も無い為、猪顔で猿の手足を持つオークの殲滅を始める。

 俺達はオークが集まっている場所に対して一斉に【ヒートバレット】を撃ち込み、ヘッドショットを狙っていく。



 「フゴッ!?」 「フギッ!?」


 「ブルルルルル……」


 「ブルッ! ブルァ!!」


 「「「「「「「「「「ブルァ!!!」」」」」」」」」」



 俺達に気付いた一体が仲間に知らせたようだが遅い。

 その間にも多くを撃ち込み、数を少しでも減らす俺とバステト。


 オークどもは俺の事をターゲットにしたらしく、無事なヤツが接近してくるが、俺は近付いてきたオークの首を薙刀で切り裂く。

 魔力を通した薙刀で切れたので、オーク相手でも十分な切れ味があるらしい。


 【ヒートバレット】を撃ち込んで攻撃しつつ、接近されたら薙刀で首を切り裂き出血多量に追い込む。

 その繰り返しを行いつつも回避を優先し、絶対に攻撃を受けないように立ち回る。


 俺が無理をせずとも、草の陰に隠れているバステトが確実に数を減らしてくれている。

 俺はオークどもを引き付ける囮の役目だし、それで実際に上手く戦えているのだから、俺は俺の役目を果たす。



 「ブルルルルルァ!!」


 「ブルァ! ブルァ!!」


 「ブラァァァァァァッ!!!」


 「よく聞けば、それぞれに個性があると思わなくもないなー。ま、オークの個性なんて、どうでもいいと言えばどうでもいいんだけど」


 「ブルァ! ……ガッ!?」



 またも接近してきたヤツの首を切り裂き、そいつは血を派手に噴出しながら倒れた。

 その隙に攻撃しようとしてくるオークには、顔面に【ヒートバレット】を御見舞いし、近寄れないようにしておく。


 そうする事によって攻撃時の隙を無くし、確実に危険な状態に陥らないようにしている。

 おそらくは30体くらい居たであろうオークも今や4体ほどしか残っておらず、大した危険も無く勝利は目前だ。


 こういう時に油断してやられるなんて事があるので、キッチリと最後まで緊張感を維持したまま全てを倒した。

 ちなみに最後はバステトが魔力を篭めて、最後のオークの額を撃ち抜いている。


 戦いが終了したので、すぐに倒したオークを全て収納していき、死体を残さずに全てアイテムバッグの中に収めた。

 「ホッ」と一息吐いて安堵し、バステトと今後を話そうと思ったら、新たなオークの声がしてきた。


 いったい何なのかと思いつつ身構えていると、ここに犬が突っ込んできた。

 …………犬?



 『クソッ! 大丈夫か、お前ら!? 頑張れよ、こんな所で死ぬんじゃねえぞ! オレ達はこんな所で死んじゃいけねえ!!』


 『分かってるっての!! こんな所で死んでたまるかよ!!』


 『ああ! オレ達は死なねえ!! 何があったって死なねえんだ!!』


 『死ぬなら奴等であってオレ達じゃねえ!! オレ達は絶対に死なねえんだよ!!!』



 何だこいつら【念波】を撒き散らしやがって? と思うも、オークが来たので【ヒートバレット】のヘッドショットで殺していく。

 すると、犬達も俺達に気付いたのか、俺達を盾にするような位置に行って立ち止まる。


 俺達は気にせずに犬達を追いかけてきたオークとの戦いを始めた。

 それなりの数に追い掛け回されていたらしく、10体ほど居たものの俺達の相手にはならず、さっさとブチ殺した俺とバステトは犬達から話を聞く。



 『俺の声が聞こえるか? 聞こえていたら答えろ。オークの集落に駆け込んできたが、何でお前達はオークに追い掛け回されていたんだ? それと何故オークの集落に駆け込んできた? 逃げ込む場所としてはおかしいだろう』


 『すまねえが、少し息を整えさせてくれ。正直に言って限界に近い』


 「「「「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ………」」」」



 口から「ハァハァ」息を吐きつつ、何とか呼吸を整えようとする犬達。

 そこまでしてオークに追いかけられるというのもよく分からないな?


 俺はオークの死体を回収しながら、犬達が息を整えるのを待つ。

 ここは瘴気が溜まっている場所だから、放っておくとアンデッドになりかねない。

 なので早めに死体を回収しておく必要がある。


 アイテムバッグに驚きつつも、必死になって呼吸を整える犬達。

 バステトは近くに居るけど、犬達に然したる興味は無いようだ。

 話が聞きたいだけって感じ。



 『すまねえ、大分マシになってきた。オレ達は町と西の犬の集落の間で、オークに追っかけられている阿呆に遭った。どうもそいつはここでオークに手を出したらしく、30体ぐらいのオークに追いかけられてたんだ』


 『そのバカは追いかけられていたオークをオレ達に擦りつけようとしたんだが、オレ達は今は西の集落に所属してる。で、西の集落にオークを連れて行ける訳も無いんで、町の方へと走って行った』


 『当然そいつはオレ達の後を追ってきたんだが、途中で力尽きてオークに食われたんだ。それでもオークが何処に行くか分からねえんで、オレ達はオークに追いかけさせつつ町まで引っ張って行った』


 『町までって、それは町が危険になるって事じゃない?』


 『そうだが、元々は町の奴等が起こしちまった事だ。他の集落に押し付けるなんて間違ってる。……まあ、途中で町の狩猟班が合流して、町からは距離があるその場で戦い始めたがな』


 『オレ達に偉そうにホザいていた奴等は何の役にも立たないどころか、休んでいたオレ達の方に向かってきて、オークを押し付けてきやがった。ふざけんなってんだ!』



 そりゃ怒って当然だし、こいつらがあんなに疲れていた理由も分かる。

 しかし、もうちょっと話を聞く必要があるな。


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