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0007・魔力の放射




 Side:イシス



 魔物に襲われる可能性があるので川まで退いたものの、いつまでもこんな事はしていられない。それに魔物が近くに寄ってきている訳でもないので、今はまだ余裕がある。今の内に敵の魔力を感じる訓練をしておこう。


 敵の魔力を感じる為には、それぞれにある魔力の濃淡を感じなければいけない。それには自分の外側に魔力を放射して調べるしかないんだけど、でもその放射方法も一種類だけじゃないんだよな。


 足下から地面を伝って放射する。これが一番簡単で魔力の消費が少ない方法だ。地面しか分からないが、だいたいの魔物は地に足を付けている訳で、その地面を伝って相手の魔力が分かる。


 しかし放射する魔力が多ければ多いほど相手に見つかってしまうので、出来得る限り少なくする必要がある。つまり僅かな量しか放射しないが、相手の魔力に気付く敏感さが必要という事だ。大変だけど頑張るしかない。


 次はドーム状に広げていく方法。これは地面だけとは違って、それなりの魔力を消費してしまう。とはいえ空を飛ぶ相手を調べる為には、どうしてもこの方法が必要になってくる。


 地面と空だけという方法も無い訳じゃないんだが、それをすると片方を調べている最中に、もう片方に襲われる可能性があり危険なんだ。だから出来れば両方一度に調べたい。そうなるとやはりドーム型を選択せざるを得ないんだよなぁ。


 最終的には自分の技量一つで変わってくるので、なるべく薄く放射するように特訓するしかない。あまり魔力が多いと、むしろ魔物に気付かれて集まってしまう。そうなると最悪だ。


 俺は恐る恐るとはいえ、なるべく薄くした魔力をドーム型に広げていく。出来るだけ一気に広げるものの、そこまでの距離には届かなかった。やはり初めてだとこんなものだし、精度も悪いな。もっと薄くしないと。


 多少の魔力を消費したものの、魔物が見つからなかったので、これで本当に合っているか分からない。仕方がないので俺は次の木を伐る事にし、森の木に近付く。木に鉄の斧を叩きつけつつ、何回かに一回、魔力を薄く放射する。


 なるべく薄く、しかし一気に放射しないと広がらない。そして広がらないと狭い範囲しか調べられない。しかも薄くし過ぎて感度が悪くなれば、魔物に気付かれるだけで俺は気付かない。なんて事が起こる可能性がある。


 少なくとも戦い方を知識でしか知らない奴なんて、こんなものなんだろう。どんな事でもそうだけど、慣れていかないと上手くならない。何事もひたすら練習だ。


 俺は斧を叩きつけつつ、何回かに一度ドーム型に放射して魔物が居るかどうかを調べる。高さで言うと7メートルから10メートルくらいまで放射しているので、おそらく鳥系の魔物も見つかると思う。


 そこまで上げて以降は並行に広がるようにしているんだけど、それは魔力の消耗が大き過ぎるからだ。高さ20メートルや30メートルまで広げられるけど、そんな事をしていたら、今の俺の魔力じゃすぐに枯渇する。


 なので広範囲を調べるのは難しい。もっと魔力が増えれば練習もしやすいんだけど、無い物ねだりをしても仕方ない。


 俺は木を伐り倒しつつ魔物を調べていく。すると、音をさせているからか何者かが近付いてきた。


 俺は慌てて川の方に行き、一度<時空の狭間>に戻ってアイテムバッグを置き、惑星に戻って魔物に備える。


 チキンと言うなかれ。もし死んでアイテムバッグが壊されたら、悔やんでも悔やみきれない。そんな事になるくらいならチキンな方がマシだ。


 俺は槍を構えつつドーム型に放射すると、やはり森の向こうに魔力反応があった。構えたまま待っていても来ないので、俺は足元の小石に干渉し、魔物の居る地点に【スロー】で投げつける。



 「ギャウン!?」



 投げた小石は上手く命中したみたいだが、どうやら隠れていたのは狼のようだ。小石をぶつけられた狼は川の方まで姿を現し、俺に対して姿勢を低くして唸ってくる。俺は槍を構えながら、足元の小石に魔力で干渉し準備を終えた。


 目に【身体強化】をして相手の動き出しを把握。狼は左に動いたので、俺は足元の小石を【スロー】で投げつける。今回の狼も、いきなり小石が顔面に飛んできたので目を瞑ってしまった。やっぱり、そうなるよな?。


 俺はそう思いつつも、槍で口内を狙って突き刺す。今回も口を開けている狼の口の中に見事に刺さり、体重を掛けて地面に縫い付ける。狼は激しく暴れるものの、俺は腰元の杭に干渉して浮かせ、隙を狙って狼の喉元に突き刺す。


 魔力を多く篭めたからか、杭はかなりの速さで飛翔し、狼の喉元に深く突き刺さった。となると魔力を沢山篭めた方が威力は上がる訳で、ここも魔力の運用の仕方一つで変わるなぁ。やはり魔力が多くないと色々難しいか。


 杭が喉に突き刺さって暴れる狼と、それを縫い止める俺。その軍配は当然俺に上がり、呼吸が出来なくなった狼は死亡した。俺はそれを見届けてから、狼をアイテムバッグに入れる。


 俺の勝利ではあるんだが、狼一頭倒すのすら本当に大変だ。もうちょっと楽に倒す方法は無いもんだろうか? リーチのある武器が良いと言っていたけど、もしかしたら盾とか持った方が良いのかもしれないな。


 俺は一度<時空の狭間>に戻り、武器を変えてみる事にした。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 「お帰りなさい、イシス。今度は何ですか?」


 「いや、何か狼が倒しにくくってさ。槍だと口の中を狙って刺すしかないんだよ。だから盾とか持った方が良いのかと思って」


 「ああ。どちらも一長一短ですね。盾で相手を弾くのは有効ですが、そもそも狼の体は大きいのでし掛かられると抵抗は難しいですよ?」


 「うーん……それがあったか。今のところはし掛かられる事は無いけど、盾を持つとどうしても防ぎそうなんだよな。でも大型犬ばりに大きい狼じゃ、し掛かられたら食い千切られるしかないか」


 「ですね。魔物は凶暴ですし強いです。今のイシスでは肉体のみで戦うというのは止めた方が良いでしょう。<肉体増強薬>や<肉体改造薬>が作れてからでしょうね」


 「何その危険そうな薬。俺を改造人間にしようって事か? 特殊なベルトで変身するのか、俺?」


 「何を言っているのか分かりませんが、<肉体改造薬>は肉体を強化する為の物ですよ? 元々の肉体にプラスする事で強化するというものです。当たり前ですが限度はありますし、魔物とのハイブリッドになんてなりません」


 「じゃあ、どうなるんだ?」


 「あくまでも<生物修復装置>に可能な事、その範囲内の事しか出来ません」


 「アレが十二分にトンデモ装置なんだが……。まあ、いいや。とにかく強くなれる物があるなら利用しない手は無いか。そもそも今の俺が弱過ぎるしな」


 「そうですね。行かされる星の中には、尋常ではない強さの者も居るかもしれません。世界の中には無限とも言える程の惑星がありますし、その中にはイシスが信じられないような惑星もあります。そんな所へ行かされるかもしれませんしね」


 「………」



 そんな言葉は聞きとうなかった。ウサギや狼の魔物ですら必死なのに、今では考えもつかないようなクリーチャーの居る星に行かされるのかよ! 勘弁してくれ……と思っても行かなきゃいけないんだよなぁ。


 前任者も含めて、今までの全ての<時空の旅人>が嫌になって止めた理由が良く分かる。流石に精神が破壊されるような星には行きたくない。それだけは切に願う。


 とりあえず<時空の狭間>で休憩してから戻るか。それなりに魔力も消費したしな。


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