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0065・レポートと新装備




 Side:イシス



 <カクルゴ魔物化レポート>に関しては、そこまでの物ではなかった。

 単に別の魔物の魔石を埋め込んだりしていたようだ。

 途中で死ぬというのが何度もあったそうだが当たり前だとしか思えない。


 そんな中、一匹がかろうじて生き残り取り込んだらしい。

 そこからそいつを生かしていく事で、徐々に魔物化が進んでいったそうだ。

 その果てがあの巨大Gのようだな。


 しかし大国に攻められるまでに完成できなかったとして、最後は研究室の外に出して終わったようだ。

 何故かあんなところで繁殖していたが、何か理由でもあるのかね?


 考えたって分からないし、思い出したくもないので忘れよう。

 それが一番良い。



 「それにしても、生命力や雑食性に繁殖力。それに目を着けるのは分かりますが、虫なんて言う事を聞きませんので、兵器としてはイマイチだと思いますけどね。むしろ良かったんじゃありませんか?」


 「どういう事だ? ヌン」


 「簡単な事ですよ。そもそも虫なんて都合よく利用は出来ません。いつ自分達に対して牙を剥いてくるか分からないのです。むしろ敵国で大繁殖したものが、自国に襲い掛かってくる可能性もありますよ?」


 「……あれー? もしかしてあの巨大Gは、第二の<ムンガ>になってた可能性もあるのか?」


 「十分にあり得ます。たまたま鉱山地下で大きくなってしまったので出られなくなったのでしょうが、それは惑星にとって非常に幸運だったという事です。アレは雑食性ですよ?」


 「つまり大繁殖した連中が、惑星を乗っ取ってた可能性すらあるのか。奴等の天敵はムカデとかだけど、連中は天敵でさえ食うからな。数に任せて攻められたら、ムカデでさえ勝てないかも」


 「そうなると、旅先の惑星は虫の天下になっていたでしょうね。とはいえ雑食性すぎて、最後には自然環境を破壊して滅びるでしょうが」


 「ああ、いなごじゃないが食い過ぎか。何でもかんでも食ってりゃ、自然も崩壊するわな。レポートに書いてある大国はともかく、この小国は色々な意味でダメすぎるだろ。どんだけだよ」


 「<窮鼠、猫を噛む>とも言いますし、追い詰められた側は何をし出すか分かりません。人間を狂気にいざなうのは、いつの世も恐怖ですよ。だからこそ追い詰めすぎてはいけないのです」


 「なんか昔の戦争っていうかいくさみたいだな。包囲陣には必ず隙間を開けろ、完全に囲むと死兵になる。なんて聞くし、大国は包囲に穴を開けなかったのかね?」


 「かもしれません。恐怖によるパニックは、人間を容易く狂人に変えます。その恐怖を上手くコントロールするのが天性の独裁者ですけどね」


 「ああ、成る程。パニックを利用して求心力を得る訳か。そしてその恐怖を利用して、国民を団結させて同じ方向を向かせる。独裁者と狂信者の完成だ」


 「ええ。その通りです」



 成る程ねえ。

 名前も分からない小国も、そうやって狂っていった可能性がある訳だ。

 そうなると誰かの所為とは言い辛いな。


 もちろん研究者どもが悪いんだが、科学者ってのは倫理に欠けてるのが多いし、研究を優先するヤツが多い。

 それが倫理的に問題だろうと、世の中の為になるとか妄信してたりするし。


 結果として人体実験なんて当たり前にするもんなー。

 そしてそのレポートが有用だから始末に負えない、そういう歴史的な事もあったと聞く。


 あー、やだやだ。

 とりあえず巨大Gはブッ殺したから、もうアレが地上を支配するなんて事は無い。

 とりあえず安堵はするが、他にも似たようなのが無いだろうな? いい加減にしてくれよ?



 「それにしても、猫と犬が住んでる町の長老からは、巨大Gの話なんて聞かなかったがな? もしかしたら人間が残した物だから、同じ人間に渡せば良いとか思ったんじゃ……」


 「可能性はありそうですね。中身を知らなければ、そう考えたとしても不思議じゃありません。それに<ムンガ>の事を知っていた者が残した言葉みたいですしね」


 「そういえばそうだ。言葉を残した古い時代の犬か猫は、どうやって<ムンガ>の事を知ったんだ? もしかしてあの星の犬猫は、古くから【念波】で意思疎通を人間としていた?」


 「可能性としては、無くはないと思います。バステトは何故か使えませんでしたが、崩壊した後に伝わっていなければ使い方を知らないでしょうからね」


 「成る程、バステトが居た猫の里には伝わっていなかったって事か。なら使えなかったのも納得だ」



 俺は立ち上がり、レポートを<物品作製装置>の箱の中に放り込む。

 紙だってリサイクルした方がいいからな。

 レポートなんて一度読めば済むし、もう一度作る事は可能なんで捨てても問題は無い。


 他にも何か作れるようになってないかと探すと、どうやら<清浄銀>で作れる物が随分と増えているようだ。

 ついでに<清浄銀>も作れるようになっているが、何だか嫌な予感がするぞ?



 「<清浄銀>が作製可能になってるんだが、これってもしかして巨大Gの素材の御蔭か? 聞いた事も無い素材が必要だったんだが、それが巨大Gに含まれていた?」


 「可能性はあるでしょうね。イシスが取ってきたという扉が<清浄銀>だったのでしょうし、となると研究室の中の物か巨大な虫か、そのどちらかしかありません」


 「だよなー……。まあ、素材の出元は忘れよう。思い出しても得なんて何も無い。有効に使えるなら何だっていいさ」



 俺はウィンドウをスクロールして更にじっくりと調べる。

 色々と探したら、<エンシア銅>という物も作製可能になっていた。

 鉄や銀に金は置いておきたいので、とりあえず<エンシア銅>の棒を作る


 次に<フェルート銅>の棒を作って調べると、<エンシア銅>の方が魔力の通りも良く、操作も楽になるのが分かった。


 なので俺は棒二本と<フェルート銅>の<魔力操作補佐杖>を放り込み、新たに<エンシア銅>で<魔力操作補佐杖>を作製。


 出てきた<魔力操作補佐杖>の先には、異様に大きい魔石が付いていた。

 コレってもしかして……。



 「………呪いとか瘴気とか、そういうのは無さそうだな。これだけ大きい魔石なら、間違いなく巨大Gの物だろう。元々は埋め込まれた物だそうだし、そこから大きくなったんだとしたら嫌な物とか付いてそう」


 「もしそんな物が付いていたのだとしたら、そういう部分は<時空間のひずみ>に捨てられたと思いますよ。ですから残っているという事は安全です」


 「そういえば<時空の狭間>に持ち込まれた有害な物って、全て<時空間のひずみ>に捨てられて消滅するんだっけ? だったら安全な部分しか残らないって事でもある訳かー」


 「ええ、その通りですよ。<物品作製装置>に入れられた物も同じく、不要な物や有害な物があれば処分されます。なので残ったという事は有害ではないという事になりますね」


 「ならこれは問題なく使えるな。いや、そもそも問題は無いんだけど、単に俺の気持ち的な問題だけか。有用なら何でも使えば良いんだし、本当にアレは忘れよう」


 「それはともかくとして、次は東にあるという建物ですか?」


 「そうだな。東にある閉じられた建物ってヤツだ。こっちは鉱山と違ってそこまで時間は掛からないだろう。そもそも閉じられてるって事は、魔物も入れないだろうし」


 「確かにそうですね。わざわざ閉じられていると言うくらいです。入る所が見つからなかったのでしょう。だからこそ人間を待っていた?」


 「かもな。色々と考える事は出来るが、とにかく行ってみるしかない。色々と考えるのは現地に行ってからだ」



 バステトは寝室だろうし、俺も少しだけ休憩をとるか。

 惑星に行くのは、せめて回復してからにしよう。


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