0064・鉱山内部・その9
Side:イシス
仰向けになった巨大Gに【ヒートバレット】を撃ち込むこと数十回。
ようやく息の根を止める事が出来た。
途中でGって腹側に空気を吸う為の穴があるんだよなと思い出してからは、徹底的に絨毯爆撃のように【ヒートバレット】を撃ち込んでやったんだ。
その御蔭もあって倒せたんだと思う。
何故なら途中で猛烈に暴れるような動きを始めたから、おそらくあの時に気門という空気を吸う穴が全て塞がったんだろうな。
【ヒートバレット】は火傷も発生させる。
つまり抉った穴が火傷で塞がるので、当然ながら気門も塞がった筈だ。
生命力の高い巨大Gとはいえ、窒息すれば死ぬしかない。
『成る程、それで途中から仰向けのまま暴れ始めたのね。それにしても生命力が強すぎない? あれだけやっても簡単には終わらなかったし、魔物化しているとはいえ、色々とおかしなところが多すぎる』
『それは仕方ないんじゃないか。全てが全て、想定の範囲内になったりはしないだろ。そもそも巨大Gという時点で想定外だし、そもそもGの大群の時点で想定外だよ』
『それはね。あれほどの数の虫が、こんな洞窟というか地下に居るという時点であり得ないというのは分かる。正直に言って色々とおかしいと思うし、この虫そもそも何処から入ってきたのかしら?』
『そりゃあ最初は外からだろうが……。入ってきてもムカデとかに食われて死にそうだな? 何で生き残って巨大Gになれたんだ? そこは確かに不思議なところではある』
『でしょ。まずあの大きさがあり得ないけど、それ以上にどうやって魔物化したのか不思議で仕方がないのよ』
俺とバステトは縦穴の中に入って進む。
よく考えればここも螺旋の形で下に下りる為の道がついている。
いったいどういう事なのだろうか? 巨大Gは居たものの、元々はここも採掘していた場所なのだろうが……。
そんな場所を巨大Gが占拠しているというのも不思議だ。
俺は疑問を持ちつつも下におりると、巨大Gをアイテムバッグに収納した。
本当は触りたくなかったんだが、背に腹は代えられない。
とにかく巨大Gがデカ過ぎて邪魔すぎるんだ。
その所為で他のGの死骸もどうにも出来ない。
だからこそアイテムバッグに入れてでも無くしてしまう必要があった。
俺は念入りに【クリーン】で綺麗にした後、下に穴を掘ってその中にGの大群を放り込む。
バステトも手伝ってくれたが途中で魔力が切れ、俺とバステトは一度<時空の狭間>に戻る。
<物品作製装置>に巨大Gをブチ込み、栄養剤を飲んで食事を済ませた俺達は寝室で爆睡。
たっぷりと寝たら起きて再び惑星へ。
戻ってきた俺とバステトは再びGの死骸を穴の中に入れていき、足りなかったのでもう一度深く掘る。
後は<金属探知機>に反応しない土で埋めれば終了だ。
「やっと終わったな。本当に長かったが、これでGに悩まされずに済む。ムカデとネズミには申し訳無いが、奴等を生き残らせる気は無い」
『まあ、流石にあの量は駄目ね。川のように見えるくらいの数は酷すぎるわ。むしろよく勝てたなというぐらいよ。あの虫が燃えやすかったのが勝因かしら?』
「だな。アブラムシはアブラムシってところだろう。本当はアブラムシっていう虫は別にいるんだけどな。奴等は古い時代にアブラムシと呼ばれてただけだから」
『ふーん……』
「まあ、それはいいとして。あの怪しい横穴に行こうか? アレこそが本命だ」
そう、実は死骸を放り込んでいる最中から見えてたんだよ、横穴が。
つまり行く場所がまだあるって事でさ、どうにもこの鉱山が怪しく感じて来てる。
本当にここは鉱山か? ってな。
俺とバステトは横穴に入り、更に進んで行く。
<毒を喰らわば皿まで>と言わんばかりに進んで行き、そして行き止まりに扉を発見した。
横穴は途中から大きくなり、扉は高さ3メートルの幅4メートルほどもある。
当然通路も同じだけの大きさに変わっているんだが、何故か総金属製の扉で全く錆びていない。
「何でこんな所に錆びてもいない金属製の扉があるんだ? 明らかにおかしいし、わざわざ封印する為に設置されているような感じだぞ」
『確かに変ね? どう考えてもこんな所に設置するような扉じゃないでしょ。<時空の狭間>の扉だって木製なのに』
「いや、それを言われると耳が痛いんだが……」
『?』
まるで貧乏みたいに言うのは止めてほしいが、それはともかくとして扉を開けよう。
そう思って取っ手に手を掛けたんだが、【身体強化】をしても開ける事は出来なかった。
もしかしたら長年の何かで歪んでしまっているのかもしれない。
困った俺は、仕方なく最終手段に打って出る。
まあ、そこまで大袈裟なものでは無いが、周りの土を柔らかくして扉を外す。
後はアイテムバッグに仕舞えば扉は無くせるだろう。
既に人間なんて誰も生きていないし、この扉をここに付けておく必要も無い筈だ。
なら壊してしまっても誰も文句は言わないというか言えないしな。
俺は周囲の土を強引に崩して扉を外し、アイテムバッグに強制的に入れる。
扉が無くなって見えた中には、またもや透明な筒などの実験器具が大量にある場所だった。
何かの管も大量にあるので、ここも何かの実験室だったようだ。
もしかして<ムンガ>以外にも似たような研究をしていたんじゃなかろうな?
俺とバステトは部屋の中に入り、それぞれを見回る事にした。
俺はテーブルの上を見に行ったんだが、案の定、前の研究室と同じく紙のレポートを発見。
紙というアナログな物の御蔭で、数百年経っても情報が残っているのは助かる。
それらを慎重にアイテムバッグに詰めていき、テーブルなども含めて全て回収。
更に管も切り裂いて回収し、透明の容器も全て回収した。
バステトも色々と見回っていたが、気になる物は無かったようだ。
『前に見た<ムンガ>を作ってた所と変わらない感じね。気になる物は無かったから、イシスが回収したレポート? とやらを読むしかないんじゃない?』
「だな。とりあえず鉱山はこれで終わりだが、まさか最奥に研究室があるなんて思わなかったぞ。鉱石を掘ったり金属を掘り出すものだとばかり思ってた」
『本当にね。私だって予想外だし、ここまでメチャクチャな事ばかりだとは思わなかったわよ。何ていうか、色々とおかしい気がする。私達が生きている場所って、こんなおかしい事だらけだったかしら?』
疑問に思うのはよく分かる。
知らなかったら何も思わなかったんだろうが、知れば知るほど奇妙だもんな?
何かおかしいというか、ズレた感じがするのは俺だけじゃないみたいだ。
未開の原野が広がっているだけの星かと思ったら、過去に人体実験を経ておかしな兵器を作ってたりするしな。
明らかに色々と見えているものとは違う何かがある。
俺とバステトは一旦<時空の狭間>に戻り、<物品作製装置>の中に手に入れた物を放り込んでいく。
全て出したらパネルから起動して確認。
一番下に<カクルゴ魔物化レポート>があった。
それを作製した俺は、<物品作製装置>の部屋の椅子に腰掛け、じっくりとレポートを読んでいく。
まず第一に、カクルゴというのはGの事だった。
つまりあの巨大Gを作っていた研究室だったらしい。
<ムンガ>の事といい、本っ当に碌な事をしない国だな。名前も知らないが。
………成る程。
Gの生命力と雑食性と繁殖力に目をつけたようで、敵国の首都に放り込む兵器として開発したらしい。
ここでもそうだが、やっぱり兵器化なんだな。
追い詰められたら何でもするとは言うが、本当に何でもするなよなー。
まったく、これだから研究者ってヤツは……。




