0063・鉱山内部・その8 巨大G2
Side:イシス
火炎瓶を用意したものの、一旦<時空の狭間>に戻った俺は、<物品作製装置>の部屋に行って瓶を作る。
しかし新たに作った瓶は火炎瓶ではなく、密閉型のガソリン入りのガラス瓶だ。
俺はそれを持って惑星へと戻り、準備を完了させる。
バステトも既に戻ったろうし、準備は万端の筈だ。
俺はガソリン入りの瓶を取り出すと、全ての火炎瓶に火を着けて最終準備を完了させた。
そして【身体強化】を行い、一気に部屋の中へと放り投げる。
結果などに見向きもせず次々に放り投げ、最後にガソリンの瓶を投げて逃走。
「ギィィィィィィィィィィィィィ!!?!?!!」
背後から凄まじいまでの絶叫が響き、俺はその音に押されて前につんのめる。
それでも必死に逃げて縦坑の下へと出ると、バステトは螺旋の道の始まり部分で待機していた。
『どうやら上手く投げ込めたみたいだけど、とんでもない絶叫だったわね。あんなバカデカい虫なんだから当然かもしれないけど』
『シャレにならない爆音だったぞ。冗談抜きで体が前に押されたからな。鳴き声だけであんな事になるとは思わなかったっての。とんでもなさ過ぎて、ここで殺しておかなきゃマズい』
『外に出られるとは思わないけど、外に出したらマズいなんてものじゃないわ。確実にここで命を絶っておかな「ドゴン!」いとね、ってなに!?』
ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!………。
そんな音が何度も何度も響いてくる。
もしかしたら巨大Gが無理矢理あそこから出ようとしているのかもしれない。
しかし坑道の大きさは大凡直径2メートル。
あのGは縦に10メートル以上、横幅だけでも8メートルくらいあるんだぞ。
出てくる事はどう足掻いても無理だ。
ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ………。
何かを削りとるような音がしている。
もしかしてあの巨大Gは穴を無理矢理広げてるんじゃ……。
恐くなった俺は<時空の狭間>に戻り、<物品作製装置>の部屋に行って火炎瓶を作る。
今回はガソリン入りの火炎瓶だ。
それを10本作った俺は戻り、縦坑の螺旋の道の近くから、南の坑道へと入る。
流石に気になったのかバステトも来たが、進んで行くと「ガリガリ」音がどんどん大きくなってきた。
そして【ライト】の明かりが照らしたのは、とんでもなく巨大なGの顔だった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 「ニャァァァァァァァァァ!!!!」
上からではなく正面から見た巨大Gは、あまりにもグロくてキモかった。
さすがに俺とバステトは声を抑えきれずに絶叫を上げてしまう。
しかし誰も俺達を責める事はできないだろう。
驚いて絶叫を上げた俺は、思わず持っていた火炎瓶を巨大Gの顔に投げつける。
しかし火を着けていなかったので意味は無く、それに気付いた俺は慌てて火炎瓶を取り出して火を着けた。
それを見た巨大Gは「ガチガチ」と顎を鳴らし、俺達に怒りを向けてくる。
しかしそんな事には構わず俺は火炎瓶を放り投げ、それは巨大Gの顔に直撃。
そしてその炎は一本目のガソリンにも引火して、坑道内に炎を広げる。
「ギジュイィィィィィィィィィィ!!?!?!」
「逃げろ、逃げろ!! 炎に巻き込まれるぞ!!」
俺とバステトは慌てて坑道から逃走。縦坑の下にまで戻る。
南の坑道の奥からは「ドスン!ドゴン!」という音が聞こえてくるので、あの巨大Gは炎に焼かれているらしい。
しかしアレだけ巨大なGだ、そう簡単には死なないだろう。
『何よあれ!? 気持ち悪すぎるでしょ!! あんなデカくて気持ち悪いの初めて見たわよ!!』
『俺は怒りを通り越して笑えてきたけどな。あんなデカいなんて、あり得ないだろうよ。ムチャクチャ過ぎて面白い』
何て事を笑いながら伝えると、怒って足をペシペシ叩いてくるバステト。
気持ちは分かるけど、事実として存在するんだからどうにもならないさ。
存在する以上は認めるしかない。あんな異常な生物だろうがな。
南の坑道から明らかに生物が焼ける臭い臭いが出てくるが、俺達は諦めて巨大Gが燃え尽きて死ぬまで待つ。
そもそもあの部屋に投げ込んだ火炎瓶で、酸素は殆ど無くなってると思うんだがな?
その割にはまだ生きて……そうだ! アレだけの大きさのGなんだし、魔物なのは確実だろう。
生きてるか死んでるかは魔力で分かるじゃんか。
そう思った俺は魔力を放射し、そして魔力反応を発見。
やっぱり巨大Gは魔物だったか。
魔力が関係して生き永らえてるのかは知らないが、思っている以上にしぶといな。
普通ならとっくに焼け死んでないとおかしいぞ。
『バステト。俺はもう一度行って、生きていたら焼き殺してくる。とりあえず、ここで待っててくれ』
『了解。もう終わるまで待ってるわ。あんなのもう見たくない』
俺も見たくないけど、殺さないと終わらないんだよ。
奴等の居る場所にも金属があるかもしれないしさ。
ゲームみたいに、そこにこそ重要な金属があったらどうすんだって話だ。
再び慎重な足取りで俺は南の坑道に踏み込む。
生き物が焼けた不快な臭いがするが、それを我慢して進む。
ガソリンは鎮火しておらずまだ燃えているが、巨大Gの姿は無い。
俺は魔力を放射して確認しつつ慎重に進んでいく。
巨大Gの居場所は掴んでいるので、見えなくても奇襲は受けない。
もしかしたら俺達を引き込んで殺そうとしているのかもしれないな。
さっき火炎瓶を投げた所を見ると、坑道の穴が拡張されているのが分かった。
やはり穴を広げて逃げようとしていたらしい。
俺はその穴が見える場所に留まり、そこから火炎瓶に火を着けて投げ込む。
巨大Gの場所は確認しているので、俺が投げ込む場所を間違ったりはしない。
縦穴に落ちた火炎瓶は巨大Gに当たったんだろう、再び気持ち悪い鳴き声が聞こえてきた。
俺はアイテムバッグから次の火炎瓶を出すと、火を着けて用意をする。
巨大Gは「ドスン!ドゴン!」と暴れているので、必死になって火を消そうとしているのかもしれない。
当然俺はそんな事を許す気などなく、更に火炎瓶を放り込んで燃やしていく。
流石に体が大きいと体積も大きいので、自分の体液で火を消してるんだろうか?
なかなか焼け死なないので火炎瓶の消費が結構重い。
それとこれだけ燃やしているにも関わらず、酸素がなくならないのは何故だ?
奇妙な状況に疑問を覚えたものの、窒息しないならいいかと放り投げる。
そして新たな火炎瓶を投げ込むと「ギジュィィィィ!!」という鳴き声と共に「ドスーーン!」と何かが落ちたような音がした。
俺はもしかしたらと思い、火炎瓶を新たに出して火を着けた後、ゆっくりと穴の入り口に近付く。
そして穴の縁から【ライト】を下ろして確認すると、巨大Gが仰向けで倒れていた。
予想した通りの格好だ。
俺は容赦する事無く、仰向けの巨大Gに火炎瓶を放り投げて腹側を焼いてやる。
「ギィィィィィィィィィ!!?!?!?!!」
足をシャカシャカ動かして醜く暴れるものの、俺は残りの火炎瓶を取り出し、火を着けたら容赦なく全て放り込む。
更に燃え広がって暴れるものの、なかなか死なないタフさを発揮する巨大G。
ここから【魔術】で攻撃してやろうかと思っていると、隣から【魔術】が発射されて驚く。
慌てて隣を見るとバステトが居り、巨大Gにどんどん撃ち込んでいく。
『イシスもさっさと撃ち込みなさいよ。ここで殺しておかないと、いつまで経っても終わらないじゃない! そろそろコイツとの戦いも終わらせるわよ!!』
『そうだな。あれだけ火炎瓶を喰らったのにも関わらず、まだ生きてるんだ。ここでキッチリ止めを刺しておかないと、いつ終わるか分かったもんじゃない』
巨大生物って本当に生命力が高くて嫌になる。
とっくに小さい普通のGは死んでるっていうのに、この巨大Gはいつまで粘るんだよ。
さっさと死んでくれ。
そう思いながら、バステトと共に【ヒートバレット】を撃ち込むのだった。




