0060・鉱山内部・その5 Gの大群
この話を含めて5話ほどGの話が続きます。苦手な方は読まないようにしてください。
Side:イシス
俺達は再び鉱山内部に戻ってきたが、さっさとバステトを拾い上げて分かれ道まで戻っていく。
既に隠し部屋の中も掘りつくしたし、もう碌に残っていないと思う。
散々もう無いよな? と思いながら余計に掘ったしな。
あれ以上は掘っても無駄だと思うし、切り上げた方がいい。
あんまり掘りすぎると崩落する恐れもあるし危険だ。
流石に生き埋めは宜しくない。
という事で、現在分かれ道まで戻ってきた。
常に分かれ道は右に進んでいるので、次は左へと進む。
バステトを未だに抱いたままだが、本人? 本猫? は気にしていないようだ。
コウモリの糞地帯は抱き上げるが、もう関係無いんだがな? ムカデを警戒してるのか?
まあ、バズテトが下ろせと言うまで抱いているのは問題ないんだが、戦いになっても下りない気じゃないだろうな?
何だかそんな気がする。
そんな事を考えつつも緊張感を持ちながら進むと、なんと左に曲がる道になっていた。
それもただ左に曲がるんじゃなく、下の方に下って行っている。
鉱山に到着する前に見つけた深さの空洞はここから伸びている坑道なんだろう。
左へと曲がりながら下っていく道は予想以上に大回りだったが、それでも曲がって下りたら真っ直ぐに進む。
下に下りた事で坑道が更に狭くなったが、それでも幅2メートルに高さ2メートルはある。
だが鉱山としては小さい気がするんだが気のせいだろうか?
憑依兵器なんてものが作れるだけの技術力があるのに、何故か鉱山は小さい。
でも入り口は異様に広かった。アレはどういう事なんだろうか?
もしかしたら元々広い穴が空いていた所を掘り進めた? だから奥に行くほど狭くなっているのかも。
それか、もしかしたら昔にはアイテムバッグがあったかだ。
大量の土砂を簡単に持ち運べるなら、坑道を大きくする理由は無い。
むしろ坑道を小さくする事で崩落を防ぐ事の方が重要だろう。
そう考えると小さい坑道なのは正しい事になる。
ただそれでも何処まで続いているのかは気になるけどな。
それとも昔の鉱山は山としてもっと大きかったかだ。
つまりあの大きな穴は鉱山の中だった部分で、山が崩落したか地滑りしたかで削られて出てきたのかも。
何百年も前に人間が絶滅したのなら、その間に地震などがあった可能性は十分にある。
なので予想としては変じゃない。
「ニャッ!!」
おっと、考え事をしていたらムカデへ対処していなかったようだ。
バステトがムカデを発見して【ヒートバレット】を撃ち込んだが、割と容赦なく死ぬまで連打してるな。
気持ちは分かるけど。
「確実に始末するまで、容赦なく撃ちまくったな。ま、倒せればいいんだけどさ。それにしても天井に引っ付いているとか、こっちを襲う気満々だ」
『ここまで来てもムカデが居るって事は、何がしかのエサがあるって事よね? とてもそうは思えないんだけど、こいつらは何を食べているのかしら? あのネズミも体は大きいしさ』
「どうなんだろうな? 俺も疑問だが、かといって何か考え付くものはあるかと聞かれると無い。いったいこの鉱山の魔物は何を食って生き長らえてるのやら」
『本当に不思議よねえ、食べる物が無ければ生きられないっていうのに……。いったいどうやって生きているのかしら?』
俺だって分からないが、何かを食って生きているのだけは間違い無い。
そう思いつつもネズミやムカデを殺しながら先へと進む。
今は右手で<金属探知機>を使っているので<魔力操作補佐杖>は持っていない。
左手でバステトを抱いているのが理由だが、下ろすと五月蝿そうなのでまだ抱えたままだ。
とはいえ下ろすタイミングも失っているので、何とも言えない感じではある。
本猫は尻尾を振っているので機嫌は良いのだろう。
進んでいくと驚く事に、下が見えない縦坑に出た。
まるで大きなトンネルを縦に掘ったかのような巨大な穴が空いている。
その端に螺旋を描く様に道がついているが、その道の幅が非常に狭い。
あれ大丈夫か?
『まさか、こんな大きな縦坑があるとは思わなかったぞ。通りで今までの道が狭かった筈だ。ここでこれだけ巨大になるんだからな。おそらくここが鉱脈か何かだったんだろう。だからこそコレだけ掘ったんだろうし』
俺は歩きながら螺旋の道を下っていく。
正直に行って恐いものの、そんな事は言っていられない。
ここが鉱脈だったのなら下にはまだ残されている物があるかもしれないんだ。
なら出来得る限り手に入れておかないといけない。
『こんな大きい穴は初めてよ。おまけに歩く所が狭すぎるでしょ。落ちたらどうすんのよ、落ちたら。何で広く作らないの!?』
『それは当時ここを掘っていた奴らに言ってくれ。俺に言われても困る。それに、ここが鉱脈だったなら、なるべく多く掘り出したかったんだろうさ。それなら歩くだけの道が狭いのも分かる』
『それでも限度があると思うけどね。さっきまでの坑道より狭いっていうのもおかしいでしょうに。せめてもアレぐらいの幅は確保しなさいとしか思わないわ。だって半分ぐらいじゃない』
『ああ。正直に言ってここまで狭いというのは恐いが、それでも下りるには進むしかないからなぁ。帰りは歩いて登らなきゃいけないが、それもそれで大変そうだ』
『でしょうね。とはいえ、下まで下りれば一段落なんだから良いじゃない。結構下りて来たみたいだし、底の方が見えてきたわよ。ようやくね』
バステトが言う様に、確かに底の方が見えてきた。
下には何があるんだろうかと覗いていると、下が急に黒くなり始めた。
いったい何だと思い、俺は目に【身体強化】を使って調べる。
そして底に目を凝らして確認すると、それが大量のGの群れである事が分かった。
その瞬間、俺は足に【身体強化】を使って一気に道を駆け上がり、縦坑の入り口まで戻る。
そしてすぐに<時空の狭間>へと帰還を願い、目の前が歪む事に安堵した。
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「お帰りなさい、イシス、バステト」
「ヌン!! 今俺が持っている物の中で、可燃性の物質は作れるか!?」
「<物品作製装置>で確認すればおそらくあると思いますよ。バイオエタノールくらいは見つかるでしょうが、それがどうかしましたか?」
「Gだ! Gの群れが縦坑の底から大量に出やがった! 何だよアレ!? 今ごろ生理的嫌悪感がメッチャ出てきたぞ、シャレにならん。あいつら絶対に燃やし尽くしてやる!!」
俺は<物品作製装置>の部屋に行き、パネルから起動してウィンドウから調べる。
するとバイオエタノールを発見したので、それを見て武器を決める。
まずは手に入れていたガラスで薄いガラス瓶を作製。
その後は柔らかいティッシュのような紙を作り出し、それらを纏めて<火炎瓶>を作り出す。
試しに10本作った俺は、それらをアイテムバッグに入れて魔法陣の部屋へ。
そこから惑星に転移し、再び縦坑の入り口に出現。
俺は【ライト】を使って縦坑を覗くと、下から上がってくるGが見えた。
なのですぐに火炎瓶の紙に【魔術】で火を着けて燃やし、斜め下の通路へと放り投げる。
腕に【身体強化】をした火炎瓶は綺麗に飛んでいき、上がってきていたGの群れに直撃した。
その瞬間派手に燃え上がるGの群れ。アブラムシの名の如く、一気に燃え広がり縦坑を照らす。
それでも登ってくるGが居る為、バステトはGに向かって【ヒートバレット】を発射している。
それでも俺の足下に居るのは、おそらく近付きたくないのだろう。
Gを噛んだりする猫でも駄目なようだ。
とはいえ黒い川みたいに大量なのはバステトも駄目なんだろう。
ここが縦坑で助かったぐらいだ。
ここでひたすら火炎瓶を投げ込み、確実にGを全滅させてやる。




