0054・鉱山内部
Side:イシス
俺達はそれなりに進んでいるものの、警戒していたコウモリは未だに出てきていない。
洞窟だからコウモリが出るというのは安直だが、そういう事も多いんだと思っていたが違うのかな?
俺の知識の中には洞窟はコウモリの出る場所っていうイメージがあるんだが……。
これはアレか、そういうアニメとか漫画の所為か? 何だかそんな気がしない「ニャァッ!?」でも無い。
「どうしたバステト、何があった!?」
「ニャア!? ニャーーーッ!!!」
バステトがメチャクチャに暴れるが、よくよく見るとムカデがバステトに襲い掛かっていた。
大きさとしては普通の蛇ぐらいなので大きいし、思っているよりも遥かにキモいな。
それでもGよりはマシだが。
俺は少し深呼吸した後、【ヒートバレット】を頭に連射して倒した。
ただしオーバーキルと言えるぐらいには連射したので、俺も思ってるより慌てていたらしい。
深呼吸しても駄目だったとは。
「フーーーッ!!! フーーーッ!!!」
「殺したからもう大丈夫だぞ。……あーあー、毛が逆立ってるじゃないか。落ち着け、落ち着け。確かにキモかったけど、そこまでか?」
「ニャニャニャーッ!! ニャニャンニャン!!」
「すまん。何言ってるかサッパリ分からんから、【念話】か【念波】で喋ってくれ。まるで理解できん」
『私は蛇が嫌いなのよ! いえ、そもそも猫族に蛇が好きなヤツなんて居ないの! それと似たような、しかもあんな大きなムカデが居るなんておかしい!! 普通はムカデってもっとちっちゃいものでしょうが!!』
「ああ、そういうムカデが普通なのか。それは俺の記憶と同じだな。しかし鉱山の中に居るのはコレかー……デカいなぁ」
『ギャーー! 持ち上げなくていいから!! そんなのさっさと燃やしなさいよ!!』
「いや、何かに使えるかもしれないし、アイテムバッグに回収するよ。これだけ大きなムカデの甲殻なら、何かに使えるかもしれないしさ。それにムカデの肉って食えるんじゃなかったっけ?」
『そんなの食べなくてもいいって! もし食べるならイシスだけが食べなさい、絶対に私に出すんじゃないわよ!!』
「いや、俺も食わないけどな。でも十分な火を通せば安全に食えるとか知識の中にあるんだけど、あくまでも食う物が無い時の事みたいだし、今は十分に食う物があるんだから食べないよ」
『あーもう! あーーーもう!! 何でニョロニョロしたヤツが出てくんのよ、まったく!!』
「相当に怒ってるなぁ。まあ、気持ちは分からなくもないけど。それはともかく、地面が恐いなら左手で抱いててやろうか?」
『お願い!』
そこまで嫌だったのか? そうか……まあ、それなら構わないけどさ。
予想以上にバステトがムカデを嫌がってるが、蛇と同じぐらいに嫌悪感があるのかね?
猫の後ろに胡瓜をそっと置いて驚かせるなんていう動画があったが、それと同じで蛇に見えるものには相当の嫌悪感が出るのかもしれない。
人間にとってのGみたいなものだと考えたら、そこまで嫌がる気持ちも分かる。
猫は普通にGに噛み付いたりするからな。
人間からしたら信じられないし、あんな雑菌の温床を噛むなんてあり得ないんだが、猫にとっては普通の事なんだろう。
飼い猫がGを噛んでいて、そこから何かの病気に感染したとかいうニュースを見た記憶もある。
猫と鼻チューとかキスとかって危険なんだよなー……。
ま、俺はそういう事をバステトとしないし、そもそもバステトは綺麗だしGを噛んだりしないと思う。
一応危険だから注意してるけど。
『本当に碌でもないわね! 別に鉱山の中を行くのはいいのよ? でも何であんな大きいムカデとか居るのよ、絶対におかしいでしょう! あり得ないのよ、あんなの!!』
「まあ、言いたい事は分かる。流石にあの大きさは俺もビックリしたからな。それでも動けない訳じゃないけどさ」
『動ける、動けないじゃないの! 何であんなヤツが居るのかって事よ!!』
「文句を言っても仕方がないし、居るものは居るで諦めるしかないんじゃないか? 文句を言えば居なくなるなら幾らでも言うけどな、居なくならないなら言っても仕方ないだろう?」
『そりゃそうだけど……』
俺が左手で抱えてるし地面から離れたからか、興奮は徐々に治まってきたようだ。
まあ、普通の蛇の大きさをしたムカデじゃ、流石にビビるのも仕方ないか。
そんなバステトを抱いて進んで行くと、右と左に分かれている道に出た。
俺達は迷ったものの、結局どちらにも行ってみるしかないと思い右を選択。
そのまま進んでいく。
その後も二度ムカデを倒し、三度ネズミを殺したものの、着いた先は行き止まりだった。
俺は土壁の先に魔力を放出してみるが、そもそも金属の反応がイマイチ分からない。
なので仕方なく【魔術】で土を掘っていき、その崩した壁を次々にアイテムバッグへ回収。
十分に溜まったら、一度<時空の狭間>に戻った。
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「お帰りなさい、イシス、バステト」
「ただいまだ、ヌン。「ニャー」。俺達は現在鉱山だった所に入ってるんだが、金属の反応がサッパリ分からないので戻ってきた。一応行き止まりの土壁を壊して持って帰ってきたんだが、この中に含まれてるかどうかは分からん」
『土の壁を見たって分からないし、いったいどうやったら銀っていうのが手に入るのかしら? 一回一回こうやって土を<物品作製装置>に入れるしかないのかな?』
俺は<物品作製装置>の部屋に着いたので、箱の中に獲物や土を入れていく。
全て入れたらパネルから起動してウィンドウをスクロール。新しく作れるようになった物はないかと探す。
すると、一番下に<金属探知機>というのが追加されていた。
………本当にいったい誰が見てるんだろうな? 必要な物が追加されているのが不思議で仕方がない。
「<金属探知機>が追加されているうえ、しかもちゃんと作れるし。いったいどうなってるんだ?」
「何処かから追加されているのでしょうね。前任者の時にはそういう事もなかなか無かったので、やはり時空間固定能力が高いとそれだけ優遇されるのではないでしょうか」
「……そうなのか。これは優遇された結果だったんだな。まあ、それならそうと受け取っておこう。考えても無駄なんだろうしな、気になるけど」
<金属探知機>にはあのムカデの甲殻が必要だったみたいだ。
あのムカデの甲殻が本当に必要だったのか、それとも使い勝手が良い素材だから認められたのか。
おそらくは後者だと思う。
<魔力操作補佐杖>だって色々な素材の物があるんだし、これもそのパターンだ。
それは良いんだが、他には全く増えてはいないな。
となるとネズミの素材はやっぱり使えないらしい。
俺は<金属探知機>の作製ボタンを押して実行。
左から出てきたのは細い棒だった。
「何だこの細い棒? <金属探知機>って円盤型の物じゃないのか? 地雷とか探してるアレだろ?」
何か想像してたものと違うんだが、これは本当に<金属探知機>か?
棒の柄は茶色いんだが、先が青い色の物で出来ている。
必要な素材は見たが、その素材にこんな青い物があったか?
とりあえず疑問は横に放り投げて、使えるかの確認をするか。
そう思い<清浄のスカラベ>に近づけると、先がピカピカ光った。
どうやら音で知らせる訳ではないらしい。
「ピカピカ光ったら金属かー。鉱山の中では分かりやすいからいいけど、外で日中だったら分かりにくいだろうな。外で使う事があるかは知らないが」
とりあえず<金属探知機>を手に入れたので、これで銀を見つけられるだろう。
向こうに行く前に少し休んで行くか。
バステトが近くに居ないって事は、たぶん寝室だろう。




