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0047・手に入った素材は?




 Side:イシス



 何故こんな結末になったのかは分からないが、いつまでも凹んでいたって結果が変わる事は無い。

 これが最初から決まっていたとしても、俺達は粛々と受け入れるしかないんだろう。

 過去が変わる事は無い……?


 そういえばヌンが時間を変えて惑星に下りられるとか言ってたか。

 今の気持ちは揺らいでいるが、しかしそれでも過去を変えるというのはやってはいけない事だろう。

 それを始めたら好き勝手をし始める。


 まるで俺こそが物語の中の魔王みたいになってしまう。

 それだけは駄目だし、許されていい事じゃない。

 過去の改変なんて、やったところで誰も得をしないしな。

 それに……おそらくどんな結末でも不満は出てくるもんだ。


 そして不満がある度に過去を変えるのか? って話になる。

 そんな事をし始めたら、おそらく自分の描く最高の結末に狂ってしまうだけだろう。

 そういう事も含めて空しくなり、前任者達も<時空の旅人>を辞めていくんだと思う。


 俺はまだ使えないけど、これから先も出来得る限り使いたくはないな、あの時間魔法陣。アレは駄目だ。


 …

 ……

 ………


 焼き終わった遺体を穴を掘って埋め、土を盛り上げて墓のようにして終わった。

 俺は最後にもう一度合掌して礼拝らいはいし、建物の方に戻る。



 『東の方って事は建物の方に戻るの?』


 「ああ。あそこには壊さないと手に入らなさそうな物もあったからさ、それも壊して手に入れて来ようかと思ってな。出来得る限り色々な物を手に入れておきたい」


 『そうね。そろそろ気持ちを切り替えましょうか。犬達は犬達のやりたいようにやったんだと思うようにするわ。それが良い事だとは思わないけど』


 「結果としたら良い事ではないんだろうけど、たとえそうだと分かっていても強行した可能性はあるしなぁ。こればっかりは何とも言えない。彼等が選んだ道だ」



 俺はそう言いつつ戻ってきた建物に正面入り口から入り、中へと進んで行く。

 色々とホールの中も調べていくが、碌な物が無かったので個別の部屋へ。


 そこで古くから使われていたのか、配管などが残っているので壊して入手していく。

 中には何も流れていないので壊しても問題なく、しかし露出している部分の物しか手に入れる事は出来ない。


 それでも未だに残っている金属である以上、腐食などに強い金属なのだろう。

 使い道は十分にある筈だ。それらを全て手に入れたら二階へ。

 二階の個別の部屋の中の配管なども壊して手に入れていく。


 ボスゴブリンの部屋も再度調べるが、既に何も無い部屋になっていたのでドアだけ頂いていく。

 ゴブリンが無理にくっ付けたドアだったのか簡単に外れたので仕舞い、これで終わりとして建物の外に出た。


 一度<時空の狭間>に戻った俺達は、<物品作製装置>の箱に入手した物を入れたら栄養剤を作って飲む。

 バステトも俺も嫌な顔をしながら飲んだら、狼のステーキと魚の塩焼きで口の中をリセットする。


 それが終わったら寝室へと移動して仮眠をとろう。

 もしかしたら眠れないかもしれないが、だからといって休まないという選択肢は無い。

 少しでも体力を回復して精神を休ませないとな。


 …

 ……

 ………


 ある程度は休めた俺達は<物品作製装置>の部屋に行き、新しく何かが作れないかと調べる。

 すると、<浄銀>と<清浄銀>という物が新たに追加されていた。

 もしかしたら配管とボスゴブリンが持っていた剣か?



 「<浄銀>と<清浄銀>が新たに素材として入ったみたいだ。おそらくは配管の金属とボスゴブリンが持っていた剣の素材だと思う。問題はコレを何に使うかだが……」


 「多分ですが、瘴気を浄化し続けるだけなら<浄銀>で良いと思いますよ。効果は<清浄銀>に比べて低いでしょうが、個数を増やせば良いだけです。銀さえ手に入れば作れるのですから、<清浄銀>よりは使いやすいでしょう」


 『それはそうかもしれないけど、でも<清浄銀>の方が効果は高いんでしょう?』


 「そうですが、幾ら効果が高くても手に入らないならば意味がありません。少なくとも銀さえあれば作れるというのは大きいのですよ。何処かに鉱山跡などがあるかもしれませんし、銀を掘る事も考えた方が良いでしょう」


 「そもそも掘れそうな場所が分からないっての」


 「【魔術】を使えば分かりますよ? 地中に対して魔力を放射すれば、金属反応は捕捉できます。後はそれが何の金属かが分かるようになれば、銀だけを狙って採掘出来るでしょう」


 『何だか大変そうね。私がする訳じゃないからいいけど』


 「まあ、とりあえずそれっぽい所が見つかってからだな。でないと闇雲に地中を調べても意味が無い。それと、<浄銀>で作れる物は色々とあるが、何が最も瘴気に効果があるんだろう?」


 「お薦めは<浄銀の輪>ですね。輪というのは終端が存在しませんので、古くから永遠を意味するとされています。瘴気の集まる場所に埋めるのであれば、それが一番ふさわしいと思いますよ?」


 「そうか。なら<浄化の輪>を2つ作っておこう。一つじゃ足りない可能性もあるからな」


 「それと<清浄のスカラベ>も作っておきましょう。瘴気の集まる場所へ行く際に持っておいた方が良いです」


 「………フンコロガシの像を持つのか? まあ、それだけ効果があるんだろうとは思うけど。それでも、なぁ……」


 『そんなに嫌なの? そのフンコロガシって?』


 「フンコロガシのフンは糞の事だ。つまり糞を転がす虫だから、フンコロガシっていうんだよ」


 『なにそれ………そんな虫が存在するの?』


 「エジプト神話では、スカラベは再生や復活を象徴する神聖な虫ですよ? 実態を知っていれば神聖と考えた意味がイマイチ分かりませんが」


 『どういう事?』


 「確かフンコロガシが転がしている糞は球体だから、それは太陽の進行と似ているって事で神聖視されていた筈。……いや、そんな顔をされても困るんだが? 古代エジプト人がそう信仰していただけだし」


 「そうです。とはいえそういう信仰があったので、スカラベという形状そのものが神聖さを持つのも事実なんですけどね」


 「えっ!?」 「ニャッ!?」


 「何でもそうですが、信仰として捧げられた思いが力となるという事はあるのです。それ故に私は<清浄のスカラベ>を作るべきだと言っているのですよ。他の形よりも浄化の効果は高いのです」


 「おぉぅ、マジかー……」


 「マジですから諦めて下さい」



 俺は仕方なく<清浄のスカラベ>を作ったものの、そこまで大きな物では無かったのでアイテムバッグに付ける事にした。

 <浄銀>で作った細いワイヤーで括りつけたのだが、もう一個作れるだけの素材はあったので作った。


 それをバステトの首輪に付けようとしたら激しく嫌がったので、仕方なく服の胸ポケットに仕舞う事にした。

 皮のジャケットには幾つかポケットがあるので、その内の一つである胸ポケットの中だ。


 骨で出来たボタンが付いているし留めている為、ポケットの中でも落ちることは無いので大丈夫だろう。

 無くしたら凹むだろうから、ちゃんと無くさない所に入れておく。

 流石にバカみたいな失敗をする気は無い。


 他に作れる物を探したら、<清浄銀>を編みこんだ<清浄のリボン>があったので、これをバステトの首輪の上から結んでおいた。

 スカラベより効果は落ちるけど、それでも浄化効果は十分にあるだろう。


 今のところはそれで終わり、俺達は魔法陣で惑星に降り立つ。

 まだ夕方にすらなっていない時間なんだよなぁ……。

 本当、濃密な時間を過ごしていると思うよ。


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