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0046・ホールのゴブリン達は?




 Side:バステト



 私とイシスは建物の一階に下りて、階段からギリギリ体を出さずに確認する。

 魔力を放射して調べると、なんとホールからは全く反応が無かった。


 私とイシスは慌ててホールに進むと、そこにはゴブリンは全くらず、ガランとした広い空間だけが広がっている。

 それでもゴブリン達が寝泊りしていただけあってくさく、顔をしかめるにおいが残っていた。


 私とイシスは進んで行き、入り口近くまで行ってようやく理解する。

 何故なら入り口のすぐ外には、ゴブリンと犬の死体があったからだ。

 イシスはゴブリンの死体を回収し、犬の死体は回収しないみたい。



 「犬の遺体はどうやって弔うかを知らないから手を出せないんだよ。猫の里の時もそうだったが、それぞれにおいて弔いの形があるかもしれないから、迂闊に手を出すと争いになる可能性も無い訳じゃないし」


 『それは、まあ……分かるけどね。私達の里には無かったけど、確かに他の猫の里なら弔い方が決まってる場合もあるかもしれない』


 「それにしても、犬の遺体が思ってるよりも少ないな。ゴブリン相手に善戦してるんじゃないか? コレ」


 『確かにそうかも。ゴブリンが結構殺されているみたいだし、何であんな卑屈な感じで居たのかしら? そうじゃなきゃ負け犬とか思ったりしなかったのにね』


 「もしかしたら反抗の時まで、ワザと卑屈になって油断させようとしていたのかもな。だったらあの態度も分からなくはないし」


 『ああ、そういう事? 確かにそれなら分からなくもないわね。ついでに私達みたいなのには教えられないでしょうし、余計な事をしやがってと思われるのも分かるわ。反抗作戦があったのならね』


 「とはいえ俺達が彼らの反抗作戦に協力する義理も無いんだよなぁ。俺達は俺達でやるし、そもそも最終的には俺達だけで殲滅する気だったしさ」


 『殲滅する気というか、出来るからやるって感じ? それにしても、思っているよりゴブリンの死体が散乱してるわね? おかげでイシスが拾うのに苦労してるけど』


 「争ったから仕方ないんだろうけど、確かに思ってる以上に散乱してるんだよな。ゴブリンと犬達が一斉にぶつかったのか、それとも何がしかのイレギュラーでもあったのかねえ?」



 思っているよりもゴブリンの死体が散らばっているので、イシスが回収に苦労してるわ。

 散らばっていると言っても死体が散らばっているのであって、手足が散らばっている訳じゃないけど。


 どんな戦いになったら、あっちこっちに死体が散らばるのかよく分からないわね。

 ある程度まとまってたりするものじゃないの普通? 犬達は何かの作戦でも行ったのかしら? 生きてるゴブリンも犬も居ないし。


 全てのゴブリンの死体を回収したイシスと共に、私達は建物の敷地内を出る。

 すると外にもゴブリンの死体や犬の死体があった。

 いったいどこまで続いているのかしらね、これは。


 イシスがゴブリンの死体を回収するのを見ながら、私達は死体が続いているままに歩いていく。

 方向は犬の里の方向ね? 犬達はあの里の方向に引き込んでいったという事?

 ……何故そんな事をしたのやら。


 あそこは四方の壁が崩れていて、守る事なんて碌に出来ないじゃないの。

 そう思いながらも進んで行くと、犬の里の中から「ギャアギャア」という声が聞こえてきた。


 イシスと顔を見合わせ、私達は一気に走って犬の里の中に入る。

 すると、中には30体程度のゴブリンがり、中央では私達が助けた母犬と子犬が食われていた。



 「てめぇら何やってやがる!! ふざけんじゃねえぞ!!!」


 「シャーーーッ!!!(貴様らぁぁぁぁぁっ!!!)」



 それを見た私とイシスは怒りのままに【ヒートバレット】を乱射。

 ゴブリンどもの頭を撃ち抜き皆殺しにしてやった。

 それでも怒りが治まらないが、私達にはこれ以上何もする事は出来ない。



 『ねえ、イシス。何でこんな事になったのかしら?』


 「……さあな。俺達が、と言いたいのかもしれないが、犬達が反抗作戦をするなんて俺達は知らなかった。知ってたら最初から乱戦を選んでいたんだが……」


 『そう……でもあるか。私達が関わった所為かとも思ってたんだけど、犬達が反抗作戦をしなかったら、私達が殲滅して終わってたのよね。何故ここの犬達は反抗をしたのかしら?』


 「それも含めて分からん。とりあえずゴブリンの死体を回収した後、一度<時空の狭間>に戻る。その後は犬達の遺体を回収して焼こう。瘴気があるって事はアンデッドになるかもしれないし」


 『そうね……』



 イシスがゴブリンの死体の回収を終えたら、目の前の景色が歪み始めた。

 何故こんな結末になったのか分からないまま、私達は<時空の狭間>へと戻る。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 「お帰りなさい、イシス、バステト。何か表情が良くないですね」


 「ただいま、ヌン。何と言うか……何と言うかな事が起きたんだよ」


 『私達は東に進んだの。理由は私が聞いた事のあった、大きな体のゴブリンの事。そいつが<ムンガ>を宿してるんじゃないかと思えてね。で、そいつの元に向かってたんだけど……』


 「思ってたけど、何かあったのですか?」


 「その手前に犬の里があってな。で、ゴブリンに好き放題やられていた。そこで蹴られていた母犬を助けた俺達は、その後さらに東に進んでゴブリン達が根城にしている建物に侵入。暗殺しながら内部を探索していった」


 『そして上の階に上がる階段を発見した私達は、ゴブリンの中でも偉い奴等、または力のある奴等を殺害。最後のボスゴブリンを残すところだったんだけど、そのタイミングで外から犬の鳴き声が聞こえてきたの』


 「犬の鳴き声……。つまり犬達が攻めて来た、と?」


 「そうだ。俺達はボスゴブリンが部屋から出てくる可能性が高いと思い、先にボスゴブリンを殺す事にした。そしてドアを開けて出てきたボスゴブリンを始末したのは良かったんだが……」


 『その後に下りて調べてみると、建物一階のホールに沢山居たゴブリンが居なくなっていた。で、イシスがゴブリンの死体を回収しながら進むと、ゴブリンの死体と犬の死体が点々と落ちていてね。犬の里まで繋がってた』


 「俺達が着いた時には遅くてな。生き残りのゴブリンに母犬と子犬が食われていた。ま、それを見た瞬間に激怒して皆殺しにしてやったが……」


 「そういう事ですか。それはイシスやバステトの所為ではありませんよ。そもそも犬達が手を出さなければ、そんな事にはなっていないのです。ゴブリンを攻めた以上は、そうなるのは仕方のない事。その犬達が選んだ結末です」


 「まあ、それはそうなんだけどな。っと、<物品作製装置>の部屋に着いたか」



 私もイシスも足取りは重い。

 というより、そもそも犬達を戦わせる気なんて無かった。

 もしかしたら犬達にも矜持があったのかもしれないけど、私の里の戦士達と同じで、その矜持に意味はあったのかしら?

 全滅という結果になっているのに。


 イシスは箱の中にゴブリンの死体や手に入れてきた物を全部入れ、それが終わったら魔法陣の部屋まで戻る。

 何だか遣る瀬無いと言うか、何でこんな結末になったのかしらね。


 魔法陣から惑星に戻った私達は犬の死体を集めていく。

 建物の方にも戻ってボスゴブリンの部屋の皮も含めて全て集めたら、犬の里に戻って中央に全ての死体を出し、イシスと共に遺体を燃やしていく。


 里の中央で燃えていく遺体を見ながら、何故こんな事になったのかの答えが未だに出ない。

 私達はこんな結末の為にゴブリンを倒しに行った訳じゃないのに。


 イシスも一言も発さないけど、多分同じ事を考えている筈。

 私達は私達のするべき事をしようとしただけだし、何か間違ってる事をした訳でもない。

 そもそもゴブリンに蹴られていたのを助けたんだしね。


 それとも助けたのが間違いだったのかしら?


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