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0045・大規模店の廃墟・探索 その3




 Side:イシス



 『バステト。幾ら相手がゴブリンだからといって、ちょっと上手く行き過ぎている。ここは一度、緊張感を持ち直した方が良い。さっきのはアレ過ぎるけど、そんな連中ばっかりじゃないだろうしな』


 『まあねえ。さっきのは私も見てたけど、「何やってんの、このバカども」としか思わなかったわよ。侵入者にも気付かずに下らない事をしてるとは……こいつらには危機感というものが無いみたいね。私達にとっては都合が良いけど』


 『もしかしたら、自分達に勝てる者は居ないとでも思ってるんじゃないか? 犬の里を自分達の支配下に置いているから、余計にそう思い込んでいる可能性もある。……でも、その場合は食料を献上させたりするよな?』


 『そうでしょうね。従えているなら食料を寄越せと言うでしょうし……なら犬達は自分で食料を獲ってる? そうなんだとしたら、余計にゴブリンに従ってる理由が分からないわね?』


 『本当にな。ま、そこの考察は止めて先に進むか。ここからも俺達は暗殺を続けるぞ。なるべく数を減らしたいしな』


 『当然よ。特に二階に居る奴等は強いんでしょうしね。そういう奴等を先に殺しておくべきだし、殺せば後は雑魚の群れだけ。そこまでになれば殲滅は難しくないわ』



 俺達は気合を入れ直し、緊張感を持って進む。

 次の部屋はゴブリンが寝ていたのでナイフを浮かべ、二本とも頭に刺して殺してやった。


 簡単に殺せて助かるが、思っているよりも上手くいっているのは<魔力操作補佐杖>のおかげだ。


 それに感謝しつつ、部屋の中に入った俺は死体を回収。

 そして部屋の中の物も全てアイテムバッグに入れて次の部屋へ。

 どんどんと殺しては入れてを繰り返し、俺達はようやく最後の部屋の一つ手前まで来た。



 「………!?」



 寝ていたゴブリンの頭にナイフを突き刺して殺害。

 すぐに死体を回収する。

 そして部屋の中の物を物色して全て回収し、バステトと二人で安堵の息を吐く。



 『やれやれ。これでやっと残る部屋は一つだ。ここまで随分と緊張したが、後一つの部屋で終わる。とはいえ、なあ……』


 『何で最後の部屋だけドアがあるのかしら? もしかして他の部屋のドアはワザと破壊されてる? 何の為かは知らないけど』


 『どうだろうな? その可能性もあるし、何かの盾にでも使ったのかもしれん。ドアだってそれなりには耐久力があるしな。何かの為に使ったか、それとも自分の力を誇示する為に自分の部屋だけ特別にしたか』


 『トップだから部屋も特別? 分かりやすいけど、それで誇示できるものって何かしらね?』


 『さあ? 問題はここから先は絶対にバレるって事だ。俺としては一度<時空の狭間>に帰還して、ナイフを新しいのに交換したい。流石に魔力の紐を含めて魔力を何度も通しているからな。そろそろ壊れるかもしれん』


 『それはマズいわね。なら一旦帰りま……何か聞こえる?』


 『本当だ。何か聞こえるぞ? いったい何だ?』



 遠くから犬の遠吠えみたいな音が聞こえる気がするが、もしそうだとすると……。



 『犬の遠吠えみたいなものが聞こえる気がするんだが、もしかして犬の里の連中が攻めてきたのか?』


 『イシス。一階が騒がしくなってるから、その予想は当たってると思うわ。なら私達がやる事は一つでしょう』


 『部屋から出てくるであろうボスゴブリンをここで殺す』


 『ええ。それが一番犬の連中にとっても良い筈よ。犬の里の奴等もボスゴブリンには怯えてた感じだし、それでも勇気を出して来たなら、私達が先に始末しておいてやるべきでしょ』


 『ああ。っと、出てくるぞ! 準備開始!』


 『了解!』



 俺達は部屋の入り口の傍に待機。息を殺す。


 俺は最小の魔力でナイフを浮かべ、準備を終わらせた。

 バステトも【ヒートバレット】の用意を終えており、いつでも発射できる準備は済んでいる。

 後はボスゴブリンにコレをブチ込むだけだ。


 俺達が息を殺して待っていると、遂にドアが開く音と足音が聞こえてきた。

 間違いなくボスゴブリンが部屋を出た音だ。


 ジッと待ち音をさせないようにしていたが、ボスゴブリンは俺達が居る部屋に顔を出して俺の方を向く。


 おそらく部下に声を掛ける気だったのだろう。

 俺はその瞬間にボスゴブリンの目に目掛けてナイフを発射。

 それは両目に直撃した。


 その痛みはあまりにも強くいきなりだったからか、パニックになるボスゴブリン。

 持っていた何かを床に落とすと、正面を向いて大きく口を開け絶叫を上げようとする。



 「アガ、オゴゥ!?」



 その口の中へバステトが【ヒートバレット】をブチ込んだ為、絶叫を上げるどころか口の中が火傷と傷で酷い事になったボスゴブリン。

 今度は倒れて口を開けながら悶え苦しむ。


 俺達はそこからも容赦せず、ボスゴブリンの頭に【ヒートバレット】を連射して殺害。

 死体になったと判断したらすぐにアイテムバッグに回収した。

 それを見たバステトもようやく緊張感を解く。



 『あー、終わった!! さっさと歩いて行けば後ろからナイフで刺し殺してやったのに、何でワザワザ部屋の中に声を掛けようとするんだよ! お前一人で行け!』


 『本当にね。イシスが咄嗟に両目にナイフを刺してくれなかったらどうなってたか。アレでその後の流れが決まったから、上手くいってなかったら面倒な事になってたかも』


 『マジで、本当に危なかった。完全にアドリブ状態だったし、事前に何も決めてなかったからなぁ。そもそも犬達が攻めて来る事そのものが予想外だし、俺達にとってはイレギュラーだ。先に教えておいてくれとしか思わんわ』


 『ま、とりあえず犬達が戦ってるっぽいから、私達はボスの部屋を探索よ。それと、この落ちてるヤツも回収』


 『ああ、そうだな。……っていうか、やっぱり剣かよ。それにしても緑がかった色の金属って何だ? よく分からない素材で出来てそうだが、それは後にするか』



 俺はボスゴブリンが落とした剣を回収して部屋を出ると、すぐにボスゴブリンが居た部屋へとドアを開けて入る。


 中は非常に広い部屋だが、雑多な訳の分からない物が積まれており、奥からは腐敗臭が漂ってきていた。

 俺はすぐに色々な物を回収していき、どんどんとアイテムバッグに詰めていく。


 においの元は気にせず詰めていき、残すは腐敗臭の辺りだけになったのだが、そこにバステトが居て「ジッ」と何かを見ていた。



 『バステト、どうした? そこでジッとしているが……』


 『いえ、あのボスゴブリンが、とてつもないクズだという事が分かるだけよ。ほら』



 そう言ってバステトが何かに爪を立てて引っ張る。

 出てきた物を確認すると、それは犬の皮だった。


 どうやらボスゴブリンは自分が殺した犬の皮を剥ぎ、ここに積んでいたらしい。

 通りで腐敗臭がキツい筈だ。



 『それだけじゃない。犬達の皮を剥いだ後、それに向かって精を出してる。そのにおいも合わさってるのが分かるわ。つまり自分が殺した相手に興奮する性癖だったみたいね』


 『成る程。通りでボスの部屋に雌が居ない筈だし、この部屋にだけドアがある筈だ。ゴブリンにとってすら腐敗臭は悪臭だったらしいな。その部屋で寝泊りしているボスゴブリンの異常さよ……』


 『しかしコレどうする? 犬達にとったら形見でしょうけど、ボスゴブリンの所為で汚されてるわよ。……いえ、穢されていると言うべきね。コレを見たら犬達はブチギレるんじゃない?』


 『とはいえ、俺に何とかしろと言われても困るぞ。綺麗にしたところで、彼らにとっては家族そのものと言えるんだ。俺達がどれだけ説明しても、持ってたら敵認定してくるのは確実だろう』


 『だったらここに置いていきましょうか。私達だって関わりたくないし、さっさと一階に下りるべ……音がしない?』


 『確かに音がしないな? 下の争いはいったいどうなったんだ?』



 俺達は顔を見合わせると、犬の皮以外には何も無いボスゴブリンの部屋を出て、下の階へと下りてみる事にした。


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