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0044・大規模店の廃墟・探索 その2




 Side:イシス



 俺とバステトは新たな場所から侵入し、廊下から個々の部屋のゴブリンを殺して回収していく。

 当然だが部屋の中の物も出来得る限り回収し、壊さなければ回収できない物は後回しにする。


 廊下から繋がっている部屋は全て終わったので、次は左に曲がっている突き当りの先を調べるのだが、ホールに繋がっている可能性が高くて緊張している。

 もし出した顔が見られたら一発でバレるからな。


 曲がり角ギリギリで待機し、まずは魔力を薄く放射する。

 ホールに大量のゴブリンが居る事が分かるが、それ以外には分からない。

 多分だけどホールに居る奴等以外は一階に居ない気がするぞ?



 『バステト。ホールに居る大量のゴブリン以外の魔力を感じるか? 俺には感じないんだが……』


 『………そうね、私もここからでは感じないわ。そもそもゴブリンに魔力の放射なんていう高度な事は出来ないし、私達は魔力を励起れいきしない限りは魔力を発さないからバレないでしょうけど』


 『俺達と同じ事が出来るゴブリン……は、考えにくいな。可能性としては極めて低いし、どのみち魔石がある以上は絶対に反応する筈だからなぁ。なら隠れているヤツは居ないだろう。特殊な装備でも持ってなきゃ』


 『特殊な装備?』


 『こっちの探査というか、魔力の放射を妨害する装備が無いとは言えないだろ? かつては<憑依兵器ムンガ>を作った人間が居たんだ。どんなあり得ない装備を残しているかも分からん。もしかしたら危険な物もあるかもしれないしな』


 『それをゴブリンが使っている可能性があるって訳ね』


 『ああ。あの母犬が言ってたろ、振り回されたら殺されたって。それは俺達も知らない物の可能性がある。特にこんな建物が残っているぐらいだ、何が残されていたか分かったもんじゃない』


 『成る程、そう考えると危険ね。ゴブリンといえど、警戒しておくぐらいでちょうどいいか』


 『ああ』



 俺達はそんな話をしつつ緊張を緩和し、そして思い切って曲がり角の向こうを覗く。

 すると、真っ直ぐの通路がホールに通じているものの、その手前に上への階段を発見した。


 何てこったと思いつつ、俺達は顔を引っ込めて相談を始める。



 『廊下の途中に階段があるとはなー。さてどうしたもんか……。移動している最中に見られたら一発アウトだぞ』


 『そうだけど、あそこを進まないと二階に上がれないわよ? そして二階に上がれないと先に殲滅は無理ね。私は一気に行ってしまうべきだと思う。【身体強化】を使って』


 『しかしなぁ。俺はブーツを履いてるから、【身体強化】をすると音が響く可能性が高い。だが、ブーツを履いていないと高い確率で怪我しそうなんだよなー。下はゴミばっかだし』


 『怪我をするのと見つからないんじゃ、怪我をする方がマシでしょ。怪我したら、見つからないところまで行って<時空の狭間>に帰ればいいじゃない』


 『それしかないかー……』



 俺は溜息を吐いた後で、ブーツを脱ぎアイテムバッグに仕舞う。

 ついでに<魔力操作補佐杖>も仕舞い、バステトを抱えたら一気に走る。

 【身体強化】を足裏にのみ使い、上手く音を立てずに階段へと滑り込む事に成功。


 そのまま音を立てずに二階に上がった俺は、すぐに<時空の狭間>へと帰還する。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 「お帰りなさい、イシス、バステト」


 「ただいま、ヌン。予想以上に色々とあったが、現在は郊外型の大型店舗の廃墟を探索中だ。ゴブリンどもが根城にしてるんで、そこの二階に上がってすぐに帰ってきた」



 俺は<物品作製装置>の部屋に移動しながらヌンに答える。

 今だ素足だが、<時空の狭間>で怪我をする事は無いので問題は無い。


 <物品作製装置>の部屋に着いた俺は、手に入れた物を箱の中にどんどんと入れていき、それが終わったら何が作れるのかをチェックしていく。

 ゴブリンは使える部分が碌に無いのか、<ゴブリンの○○>という作製物が存在しない。


 ただし前々から出ていた<作物栄養剤>という物が沢山作れるようになっているので、その辺りの素材になっているんだろうと思う。

 ま、少しでも有効活用できるならそれでいい。


 他にないかと探していると、<ガラスの○○>などがあったので、やはりアレはガラスだったようだ。

 中には<ガラスの剣>とかあったんだが、ガラスで剣を作る意味があるのか? 壊れやす過ぎるだろうに。


 今のところは目ぼしい物が無いのでウィンドウを閉じ、寝室に移動して仮眠をとろう。

 何故か既にバステトが居て寝ているが、気にせず俺はベッドに横になり目を瞑る。


 そういや、バステトは蜘蛛糸の布にくるまって寝ているので、やはり相当に気に入ったらしい。

 ツッコむと反論が五月蝿そうなので、いちいち口にしたりはしないけどな。


 …

 ……

 ………


 スッキリした感じで目覚めた俺達は、少し食事をしてから魔法陣の部屋へ。

 そしてブーツを履いて準備完了。

 魔法陣に乗って再び建物の中へ。


 戻ってきた俺とバステトは、二階の探索を慎重に始める。

 一階の奴等が大した事がなかったとはいえ、それに二階の奴等も当てはまるかと言ったら別だ。

 普通は優秀なヤツを上に持ってくるだろう。


 となると、ここからは一階以上に慎重に進む事が要求される。

 俺達は静かに歩いていき、開いている場所を見つけたので魔力を放射して確認した後、中をそっと窺う。



 「ギャギャ? ギャギャギャーギャ!」


 「ギャ~ギャ~。ギャギャギャッギャ、ギャギ?」



 部屋の中にゴブリンが二体居るんだが、どう見ても雄と雌というか男と女だ。

 男の方が「いいだろ?」って感じで迫っていて、女の方が「や~だ~」って言いつつ誘う感じで断ってる。

 ……何か急にバカバカしくなってきたぞ?


 思わず脱力しそうになる光景だが、俺はナイフを浮かべて連中の頭の上にセット。

 そして【スロー】して突き刺してやった。

 深く脳を抉られたゴブリンは、それだけで即死。

 俺は素早く部屋に入って死体を回収する。


 何処からが死亡判定になるのかは知らないが、俺にとってはアイテムバッグに入れられる段階で死亡だ。

 精神とか魂とかの問答はどうでもよく、アイテムバッグに入る時点で死体を確保できるからな。


 俺にとって重要なのは死体であって、死亡という現象の定義じゃない。

 そんな事は学者か何かがすればいい事で、俺にとっては心底どうでもいい事だ。

 それはともかく、さっさと部屋の中の物を詰め込んでいこう。


 それなりに物を持っているヤツだったのか、思っている以上に多くの物が部屋にあった。

 ゴブリンにとっては何の価値も無いだろうと思うが、自分の部屋に物が沢山あるというのがゴブリン的ステータスなんだろう。


 現に雌を部屋に連れ込んでる訳だし、そういう意味でも二階を使えるのはエリートなのかね?

 その割にはこっちのナイフに全く気付いてもいないしなぁ……。


 ゴブリンの中〝では〟エリートと言ったらそれまでなんだろうが、かといって大柄のゴブリンの手下としては弱くね? とは思う。

 単に自分の部屋だから安心してたんだろう。という事にしておくか。


 下らない事をつらつらと考えつつも回収の終わった俺は、部屋の入り口から外を伺う。

 特に問題ない事を確認したら廊下に出て、次の部屋へと向かう俺達。


 ここまでは上手くいったが、この先どうなるかは分からない。

 正直に言って、上手く行き過ぎているという気はしている。

 ゴブリンがその程度という事を差し引いても、気を引き締め直すべきだろう。


 下らないミスで死ぬのとかゴメンだし、バステトとも話しておくか。


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