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0036・蜘蛛の繊維と薙刀と夜明け




 Side:バステト



 大きな蜘蛛の魔物を倒した私達は、一旦<時空の狭間>に戻って休む。

 結構な魔力を消費したものの、なかなかの成果だったと思う。

 特に魚の魔物が多いし、これで<魚の塩焼き>に困る事は当分は無いだろう。



 「いや、塩が無いからそこまで塩焼きは作れないぞ? 焼き魚なら作れるだろうけど、どこかで岩塩を手に入れるか、それとも海まで行かないと塩の確保は難しいな。今は魔物を狩って、その死体から塩を抽出してるけど、そこまでの量は手に入らないんだよ」


 「塩は生物が生きていく為に絶対に必要なものですが、手に入りにくい事もあるものです。塩を吸い上げて育つ植物もありますが、そこは調べてみないと分かりませんね。当分は魔物の死体から入手するしかないでしょう」


 『それだと大量に手に入らないから困るんじゃないの? 私達は岩塩? とかいうのの場所なんて知らないし、そういうのを見た事も無い。普通に生活してても、問題は無かったけど……』


 「先程も言いましたが、生物が生きていくには絶対に必要なものですので、誰の体にも含まれています。生で食べていれば血も摂るでしょうし、血の中に塩分は含まれていますからね。その量で生きてこれたのでしょう」


 『成る程ねー。でも料理を作るには足りないと』


 「ゴブリンどもで多少は増えたけど、そこまで多くはないな。って、着いたんで早速放り込んでいくか」



 イシスが<物品作製装置>の箱の中に、獲物をどんどんと入れていく。

 途中で採っていた草なんかも入れてるけど、あれ恐ろしい程に不味いのよ。

 体の為には飲まなきゃ仕方ないらしいんだけど、飲みたくないわー……。



 「さーて、何か作れるようになってますかー………。おん? 蜘蛛糸の服? ……これって高級品じゃねえか。確か蜘蛛の糸って、自然界の中でも相当に強靭な繊維じゃなかったっけ? それで服が作れるのかー……。あいつら乱獲するぞ」


 『ちょっと待って、何でわざわざそんな事を?』


 「蜘蛛の糸は高級品なんだ。肌触りはシルクと変わらず、しかも繊維は強靭で汚れは付きにくいときてる。服にするにも布にするにも優秀な素材なんだよ。今は布一枚ぐらいなら作れるから、先にバステトの分を作ってやるよ」



 そう言ってイシスは大きな布を作って渡してきた。

 私はソレを手で触ったりしてるけど、確かに驚くほど感触が良い。

 これで強い布って言うなら、確かに素晴らしい素材なんだと思う。

 思うんだけど……。



 『イシスが言う程なのかな? 確かに良い物だと思うけど、乱獲するほど欲しがるもの?』


 「俺は服を着るんでな、肌触りとか耐久とかは考えなきゃいけないんだよ。だから感触が良くて強靭で汚れも付きにくいとなれば、文句無しで集めとかなきゃいけない素材って事になる」


 『ああ、服っていうのを着なきゃいけないのよねえ。人間って不便だと思うわ』


 「いや、別に不便って訳じゃないんだがな? 有史以来、毛皮とか羽織って生きてきた歴史があるしさ。服の歴史なんてさかのぼれば、そんな物に行き着く物だからなぁ」


 『ふーん……』



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:イシス



 他にはフクロウの羽の矢羽根とかも出来るみたいだが、俺は弓矢が使えないのでパス。

 しかし槍を見つつちょっと迷う。

 何故なら魔力で強化する事を考えた場合、切り裂く武器の方が優秀だからだ。


 突き刺す武器と切り裂く武器では、一度に傷を与える範囲が違う。

 範囲的に傷を与えるなら、圧倒的に切り裂く武器なんだよ。

 突き刺すと深く傷を与えられるが、そこまでの深さが必要だったためしが無い。


 槍は深い代わりに傷の面積が小さい。

 人間相手ならそれでも十分致命傷になったりするんだが、魔物相手だとなぁ……足りない。

 特に大きな相手だと圧倒的に足りないんで、槍だと不利な事も多い。


 ただし切り裂く武器で思いつくのは剣だけど、アレだと今までよりも接近しなきゃならない。

 デカい魔物相手に近付くとか自殺行為でしかないしな。

 となると………。


 ウィンドウをスクロールしている際に目に留まる物があった。それは薙刀だ。

 魔力を篭めれば十分に切り裂けるだろうし、薙刀なら柄も長い。

 元々は武将が使ってた武器だって聞くし、これなら魔物相手でも使えるだろ。


 俺は槍を箱の中に入れると、熊の牙製の薙刀を選択して作製。

 出てきたのは俺が頭の中で想像した通りの物だった。と言っても、刃は思っているよりも細い。

 何か太いのと細いのとあったと思うが、コレは細い物らしい。


 振ってみても問題ないので、この細さでも使えるのだろう。

 どっちかって言うと、柄の先に刀が付いているみたいだ。

 それに………柄の形が丸くないな?


 改めて確認して分かったが、柄が楕円形をしていた。

 薙刀ってこういう物なんだろうか? 俺は詳しくないから知らないが、持った感じがしっくり来る。

 おそらく突く武器である槍とは違うからだろう。


 薙刀だから振って切らなきゃいけないが、おそらく何とかなる。

 大事なのは練習と慣れだし、それはこれからだ。


 作り終わった俺達は寝室でベッドに寝転がり、寝ないまでも目を瞑ってゆっくりと休憩する。

 魔力の回復と共に疲れをとる為だが、誰かさんは蜘蛛糸の布に包まって寝ているみたいだ。寝息が聞こえる。


 俺は適当に思考しつつ、夜の狩りの事を考えていく。

 そこまで深く考えている訳じゃないが、蜘蛛なども倒すべき相手ではある。

 もちろん蜘蛛糸の為だが、糸というのは使い道が多いからな。


 色々な物をこれから作製していく事を考えても、やはり糸、それも強靭な糸というのは重要だ。

 本格的に山の中を徘徊して、蜘蛛などを倒していく必要がある。

 素材という意味でも、乱獲は避けられないだろう。


 まあ、他の魔物も殺すので許してほしいところだ。

 近くのゴブリン集落は殲滅したし、猫の里は壊滅してしまった。

 なので乱獲しても怒られはしないだろうし、そもそも猫は蜘蛛は食べたりしない。……多分だが。


 狼や熊には諦めてもらって、俺達は俺達のやるべき事をやらないとな。


 …

 ……

 ………


 休憩も終わり、十分に回復した俺達は出発。

 再び夜の森に降り立った。


 魔力を放射して魔物を探しつつ、こちらに向かってくるヤツは薙刀で頭をカチ割る。

 いやー、コレの威力が凄いわ。今まで如何いかに狭い範囲に攻撃していたかが分かる。


 襲ってきた熊の頭を真っ二つにした時には、思わず叫びたくなった程だ。

 もちろん魔力で強化しているので劣化しただろうが、それでもこの威力を見ると凄いと心から思う。


 その反面、槍の突きとは違って攻撃の速度が遅い。

 腕の【身体強化】をしないと避けられる事が多少ある。

 仕方がないけど、俺自身は唯の人間だからな。こればっかりはどうしようも無い。


 それでも多くの魔物を倒しながら、俺とバステトは夜の森を徘徊し続ける。


 最早どの方角に進んでいるのかは俺達にも分からないが、夜の魔物を狩りつつウロウロとし続け、多くの獲物をゲットしていると夜が明けてきた。

 遠くに朝日が見える以上は、そろそろ夜の狩りも終わりとなる。


 暗い中で戦っているからか、日中とは比較にならないほど没頭してしまうんだよな。集中力が高まるというかさ。


 とりあえず一旦<時空の狭間>に戻って色々とするか。

 獲物を<物品作製装置>に放り込まないといけないし、栄養剤を飲んで食事もしなきゃいけないしな。

 その後は仮眠だ。


 俺とバステトは<時空の狭間>に戻ると、やるべき事をさっさと終え、寝室のベッドにバステトを寝かせる。

 俺は<生物修復装置>で武器の使い方などを自分にブチ込む。


 薙刀の使い方はなんとなく分かるが、知識として頭に有るのと無いのでは大違いだからな。

 できれば今の内に入れておきたい。必要になった時じゃ遅いし。


 服を脱いで【クリーン】を使って綺麗にし、再度服を着たら<生物修復装置>の中へ。

 後は自動で為されるので、任せるだけだ。


 それじゃ、おやすみ。


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