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0032・新たな装備




 Side:イシス



 「あー、くっそ! アイツどうなってんだ? あんな攻撃ありかよと思うも、喰らったら死ぬか乗っ取られるかしかないぞ。あのまま怒り狂ってりゃいいものを、冷静になりやがって!」


 「お帰りなさい、イシス、バステト。随分と怒っているようですが、何があったのです?」


 『<ムンガ>とかいうヤツは【黒の力】そのものだったんだけど、そいつを怒らせている隙に浄化してたのよ』


 「ええ。それは前回戻ってきた時も変わらない筈では?」


 「いや、挨拶もそこそこに寝転んで回復したら、すぐに出ただろ? ヤツは怒り狂ってたが、今は冷静? になって黒いナニカを放出し続けるという策に出てきた」


 『その所為で回避するしかない状態になってる。黒いナニカを浄化しても浄化しても放出し続けてくるから、浄化が追いつかない。多分だけどイシスが言う通り、あの黒いのに覆われたら死ぬか乗っ取られると思う』


 「ふむ。自分の力であり、自分自身でもある黒いナニカを放出ですか。それで包んで乗っ取ろうか殺そうとしてきたと。で、イシスとバステトはそれに追い掛け回されてる訳ですね?」


 「そうだ。逃げ続けるにも限度があるし、ヤツは放出し続ければ良いだけだ。逆に言えば<ムンガ>を削り続けられるんで、浄化がはかどってるとも言えるがなぁ……。追っかけ回される方の身にもなってほしいところだ」


 『最後には回避できなくなる可能性が高いわ。向こうがどれ程の量か分からないし、それを浄化し切るのにどれ程の時間と魔力が掛かるか……』


 「成る程。流石に物量で攻められると厳しいでしょうね。今の状態で作れる物は多くないですが、<物品作製装置>で浄化の手助けが出来るモノを作るのが一番でしょう。ただし問題は素材が足りるのかと、作製できるのかという事ですね」


 「そうか。そういう物があるんだな。とりあえず<物品作製装置>の部屋に行って、色々と調べるかね。何か役に立つ物が作れれば良いんだが、前に見た時にそんな物は無かったような……」


 「いつ内容が更新されているか、いつ作製できる物が増えているかは私も知りませんので、イシスが自分で確認するしかありませんよ」



 そういえばヌンは管轄外だったんだっけ。

 すっかり忘れていたが、<生物修復装置>と<物品作製装置>はヌンも預かり知らない装置なんだよ。


 神様か誰かが設置したんだろうけど、前任者の時にはどんな物が作れたのやら。

 絶対に俺が<時空の旅人>になった時に、作れる物のリストはリセットされてるよな?


 もし続いてるなら、歴代の<時空の旅人>があんなショボイ装備で戦ってた事になる。

 流石にそれはあり得ないので、あのリストは絶対にリセットされているだろう。


 そもそも個々の<時空の旅人>によって、行ける惑星が違うんだ。

 ならば作れる物も変わって当然。

 なら当たり前ながらリストも違うだろう。


 っと、着いたので早速パネルを触って起動。

 そしてウィンドウをスクロールしていき、何か役に立ちそうな物を探す。


 すると、多少なりとも役に立ちそうな物があった。



 「<魔力操作補佐杖>、<魔操の首輪>、<清浄のネックレス>、<聖水>、<聖なる印>、<浄化のリボン>。……こんなところではあるんだが、まさか思っているよりも作れるとは」


 『私にも何か使える物があると助かる。流石にアレは捌けない』


 「分かってる。でも、これはあくまでもリストに出ている物だけだ。作製出来る物じゃない。今すぐ作れるのは<魔力操作補佐杖>と<魔操の首輪>だけだ。他のは材料が足りない」


 『それでも無いよりはマシじゃないの? <魔操の首輪>って、魔力の扱いが楽になりそうね?』


 「そうだな。<魔力操作補正杖>も同じだろう。とりあえず両方とも作ってみるか」



 <物品作製装置>を使って両方を作ると、杖の方は先に赤い玉が付いている杖。

 首輪の方は、赤い玉が付いている首輪だった。

 杖の方の玉の方が大きいが、あの赤い玉って何だろう?



 「イシスが首を傾げていますが、その赤い玉は魔石ですよ。魔物や魔獣には魔石というものがあり、それがある事によって魔力を扱えるのです。いわば魔力制御ユニットみたいな物と言えば分かるでしょうか。当然魔力も含んでいますよ」


 「へー……。もしかして俺にもあるの?」


 「ありません。イシスは私が魔力回路を肉体に付与していますので、そのような物は必要ありませんよ。ちなみにバステトの体の中にはありますが、取り除く事は可能です。<生物修復装置>を使って下さい」


 「取り除く意味があるとは思えないんだが……?」


 「いえ、ありますよ。魔石があるから魔力の反応で相手の位置が分かるのです。魔力回路は励起れいきするまで魔力反応はありません。言い換えれば魔力を使おうとしない限り、魔力反応がしないのです」


 「つまり魔力で位置がバレない?」


 「はい。魔石を元に魔力回路を構築すれば、他の物は必要ありませんよ。ただし、旅先の星で使われている魔法は使えなくなりますがね。とはいえ【魔術】は問題なく使えるので、魔力回路にした方が良いと思います」


 「………バステト、どうする?」


 『できればだけど、お願いするわ。流石に相手に位置がバレる可能性を常に抱えるのはね……。それに、【魔術】が使えるから、魔法が使えなくなっても問題無いし』


 「じゃあ、魔石を魔力回路に変えよう」



 決まったので<生物修復装置>にバステトを入れ、ウィンドウを操作していると発見。

 <魔石・魔力回路変換>を指定して、後は<生物修復装置>に任せる。


 時間が掛かりそうなので、俺は<物品作製装置>のリストを再確認。

 <ムンガ>との戦闘を多少でも優位に進められる物はないかと探す。

 すると、アクセサリーの所に<魔操の指環>というのを発見した。


 この指環もしないよりはマシだろうと思い、2つ作って両手の中指に着ける。

 そして更に調べて行くと、<瘴気集積装置>という物も発見。

 しかし素材が無い所為で、文字がグレーアウトしていた。


 俺は残念に思いつつも、他にも調べていく。

 置物として<清浄のスカラベ>というのがあったが、フンコロガシの像なんて要らないよ。

 せめて、もうちょっとマシな物にしてもらいたい。


 他にも調べて行くが、今のところは他に無さそうだ。

 未だバステトの方は終わっていないので、俺はベッドで寝転がる事にした。

 バステトが起きてきても、俺が回復していなかったら意味無いしな。


 寝室まで行くと、俺は服を脱いで【クリーン】を使う。

 その際、明らかに魔力の制御が楽だった。

 まだ杖は持っていないが、指環だけでも結構違うと判明、これは期待が出来るな。


 そう思いながら綺麗になった服を着ると、ベッドで横になる。

 とにかくバステトの方が終わるまではゆっくりしよう。


 …

 ……

 ………


 気付いたら寝てしまっていたようだが、バステトの魔力回路付与が終了したらしいので起きる。


 <生物修復装置>のある部屋に行って蓋を開け、バステトを確認すると寝ていたらしく欠伸をしていた。

 持ち上げて中から取り出し、床に置いてやるとフラフラ歩き出す。

 まだ微妙に眠たいらしい。


 俺はバステトと話しつつ<物品作製装置>の部屋に行き、まずは栄養剤を飲む。

 バステトも嫌そうな顔をしながら飲み、その後の魚は美味しそうに食べていた。


 俺は熊肉のステーキを食べ、十分に満足したら魔法陣の部屋へ。

 そこでバステトに<魔操の首輪>をすると、少し窮屈そうにしている。



 「すまないが、魔力の扱いが楽になるんで我慢してくれ。指環を2つ作ったが、それでも効果はしっかり出ていたからな。俺はこの<魔力操作補佐杖>も使うが」


 『アレに勝てるなら我慢もする。ここで確実に勝って、ヤツを減らさないといけないしね。まさか倒しても終わらないなんて思ってもいなかったけど』



 バステトの言いたい事も分かる。

 俺だって倒せば終わりだと思っていたよ。


一日遅れですが評価ありがとうございます。

それとブックマーク及びリアクションもありがとうございます。

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