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0015・多数との戦闘の難しさ




 Side:イシス



 目の【身体強化】をしている俺は、狼の動き出しを待ち構える。片方の狼が吠えるものの、倒れ伏している狼はピクリともしない。


 業を煮やしたのか、遂に動き出す左の狼。しかし見えていた俺は腕と足に【身体強化】を使い、更に薄く武器に魔力を通す。


 そして相手がこちらに走り出した際の頭を狙って、一気に接近して槍を突き出した。それは見事に脳にまで達し、その一撃で狼は死亡。俺は少し押されたものの、それは動き出しの際の力でしかなかった。



 「ふぅ。遂に初めて武器のみで勝利したぞ。【身体強化】は使ったが【魔術】は使っていない。一対一の勝負としては十分だったんじゃないか?」



 口に出してみると、改めて上手くいったのが分かる。二頭同時に戦うのなんて初めてだからな。上手く散らす事も出来たが、二頭以上となるとキツいのは間違い無い。ナイフ一本で確実に仕留めるとしても三頭が限度か。


 刺してしまうと動かせなくなるから、理想は切って倒す事なんだが……。そうそう上手く切って倒せる訳が無い。特に三頭に相対しながら弱点を上手く切って攻撃など、簡単に出来たら戦う者は誰も苦労せず簡単に勝つだろう。


 そんな事はあり得ないし不可能な以上、やはり今のところは刺し込んで殺すしかないな。それ以上は【魔術】で牽制しつつ槍で倒すしか考え付かない。あまり使用していないが、【ウィンドボール】なら上手く牽制できるだろう。


 狼からナイフを抜き、アイテムバッグに二頭の狼を回収したら、再び少々森の中に踏み込む。そして魔力を放射したが、魔物は発見できなかった。なので槍の柄で近くの木を叩いてみる。


 ゴン! ゴン! ゴン! ゴン! ゴン!


 叩いて少ししてから魔力を放射。しかし反応が無かったので再び木を叩く。


 ゴン! ゴン! ゴン! ゴン! ゴン!


 そして少ししてから再び魔力を放射。すると、3つの気配がこちらに近付いてきた。俺はすぐに森を脱出し、河原で森に向かって槍を構える。そのまま待っていると、今度はウサギが三羽現れた。


 久しぶりのウサギだが、俺はすぐに魔力で干渉してナイフを浮かせる。一本は右のウサギに、もう一本は左のウサギの前に浮かべた。明らかに刃物が自分達に向いているという事で、左右のウサギは動き難そうにしている。


 俺は目に【身体強化】を使って相手の動き出すタイミングをジッと待つ。残念ながら、こっちから動いたところで回避されるだけであり、ジッと待ってのカウンターしか道が無い。


 そもそも三羽いるウサギの方が有利であり、一人しか居ない俺は明らかに不利だ。そのうえコイツら普通に人を食い殺すような連中だしな。


 それに俺から攻められても、ナイフでの攻撃だけだ。自分から攻めたら三方向から攻撃されて、捌く事も出来ずに噛み千切られる。流石にあの痛みはもう受けたくないんで、俺はコイツらを唯のウサギとは思っていない。ウサギ型クリーチャーだ。


 相変わらず口を開いて牙を見せつつ、俺にプレッシャーを与えようとしている。本当にクリーチャーというのが相応しい奴等だ。


 相手が動き出すのを待っているのだが、それはウサギ側も同じらしい。困った事に睨み合いの状態に陥ったので、俺はナイフを維持しつつ【ウィンドボール】を発射。方向は前のヤツだ。


 いきなり攻撃を受けたからだろう、驚いた前のヤツはまともに受けてしまい仰け反る。それに驚いた左右のウサギは驚いて真ん中のウサギの方を向く。その瞬間。俺は右のウサギの喉元にナイフを【スロー】。



 「ギュビッ!?!?」



 それは見事に直撃し、喉を潰されたウサギは苦しんで暴れる。慌てた真ん中のウサギは俺を見るが、既に俺は左のウサギにナイフを発射した後だった。



 「ギュブッ!!?!?!」



 左のウサギも喉を潰され、無事なのは真ん中のウサギだけになった。既に自分しか居ない事を理解した真ん中のウサギは、今さらながらに動き始めるが、それは既に遅い行動でしかない。


 俺は動き出した真ん中のウサギに対し、腕と足を【身体強化】し、武器に魔力を薄く篭めて突き刺す。それは酷くあっさりウサギの頭を貫き、その一撃で真ん中のウサギは死亡。俺は槍を抜いて、他のウサギにとどめを刺す。


 喉にナイフが刺さって苦しんでいた2羽も、頭を槍で突かれて死亡し、俺はさっさとアイテムバッグへと入れた。何とか一度に三羽出てきても勝利できたが、やはりこれ以上になると難しいな。一人じゃ限界に近い。


 もう一本ナイフを増やす事も出来なくはないが、それよりは【魔術】を活用する事を考えた方が良いだろう。【ウィンドボール】よりも強力なものなら役に立つと思うが……。


 こういう時には、やはり小型に圧縮して強力にする事を考えた方が良いのか? でも空気の圧縮という事自体、今の魔力で出来るのかも分からない。それに無理にやってみて魔力が底を突いたら、戻って回復するしかなくなるし……。


 もうちょっと何かないか? 【ウィンドボール】を【スロー】で投げる……それ【ウィンドボール】を発射するのと何処が違うんだよ。って、投げる?。



 「確かジャイロボールとかいうのがあって、それだと速く投げられるんだっけ? それに銃弾って螺旋回転して飛ぶんだよな? だったら【ウィンドボール】を銃弾みたいな形にして、それを回転させて飛ばせば良くない?」



 俺は空気に干渉し、魔力を使って先の尖った銃弾のような形にする。それを回転させて木に向かって発射。


 ドスッ!!


 ……それなりに抉れてるな? 深さで言うと2センチくらいは掘れてるぞ。あんまり魔力を篭めずに撃ってこれか……。となると弾く場合は【ウィンドボール】、攻撃する場合には今回の【ウィンドバレット】にしよう。


 魔物だって生き物だ、怪我をすればそれだけ戦闘力が落ちる。よしよし、少しは戦いやすくなった筈だ。


 俺は気分良く木の近くに行き、地面の土を柔らかくして押し倒す。アイテムバッグに入れてから周囲を調べると、またもや何かの魔力がこちらに接近してきた。


 俺はすぐに河原へと移動し、そこで森に向かって構えて敵を待つ。すると、現れたのは蛇が2匹だった。何故こいつらが来たのか知らないが、ナイフを使って倒せば良いだけだ。


 俺は2本のナイフを浮かせると、素早く右の蛇の前に出す。左の蛇に向けて槍を構えつつ、一本のナイフを操って蛇に刺そうとする。当然ながら蛇はそれを避けるが、次の一本が再び右の蛇を強襲する。


 それも右の蛇は避けたが、俺は【スロー】で投げずに操ったままだ。一本目のナイフを上から蛇の胴体に発射し、それは見事に刺さった。そして蛇が身をくねらせている間に2本目のナイフも胴に発射。こちらも突き刺さった。



 「シャ!? シャーーーーッ!?!?」



 痛みに悶えている右の蛇を無視し、俺は左の蛇に【ウィンドバレット】を発射。ちょうど首下、地面に接地している所を狙ったんだが、見事に直撃してダメージを与えた。



 「ギシャッ!?!」



 痛みで驚いた瞬間に【身体強化】で前に出た俺は、蛇の胴体を突き刺して貫く。そして上に持ち上げれば、後はくねって悶えるだけだ。俺は槍を地面に立てて左手で支え、右手で短刀を抜く。


 蛇はいまだに暴れているが、目に【身体強化】を使って見切り、右手の短刀で首を落とした。そして槍を地面に置いたらナイフが刺さっている方に近付き、そいつも同じ要領で首を落とす。これでようやく終わった。


 俺はナイフを蛇から抜いたら、もう片方からは槍を抜く。そしてアイテムバッグを下ろしたら収納し、ナイフと槍を【クリーン】で綺麗にしたら、【時空の狭間】に帰還する事を念じる。


 魔力もそうだが疲れたので、一旦帰って休もう。心を落ち着けたい。


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