表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/26

0012・うり坊と魚の獲り方




 Side:イシス



 横に曲がってきたうり坊をジャンプしてかわす俺。うり坊はそのまま川に並行に走って行って止まり、後ろを向く為にちょこちょこと動く。その行動が妙に可愛いのが余計にムカツク!。



 「お前さぁ、さっきのはズルいだろ! 猪なんだから、真っ直ぐ行けよ!!」



 理不尽な怒りだというのは分かるが、それでも言わずにはいられない。猪突猛進という言葉は何処に行ったってくらいに綺麗に曲がりやがって……。


 しっかし、あんなに曲がって来るんじゃ、回避したって俺の方に突っ込んで来る。大きな猪なら真っ直ぐなのかもしれないが、うり坊レベルだと簡単に曲がってくるんだろう。


 本当にどうしたら良いんだ? そうやって悩んでる間にも、うり坊は再びこっちに突っ込んで来る気満々で地面を足で掻いている。とりあえずジャンプすれば回避できるんだから、追いかけるしかないか。



 「ブルッ!!」



 一声鳴くと、勢いよく突っ込んで来るうり坊。俺はそれを待ち構え、再びジャンプをしてかわす。うり坊はある程度通り過ぎると、再びちょこちょこ動いて振り向こうとする。


 俺はその隙を狙い一気に接近。振り向いている最中であり、横向きになっているうり坊の左足を突き刺す。



 「ピギッ!!?!」



 左足の根本を刺した俺はバックステップ後ろに跳ぶと、再びうり坊に対して正対する。槍の穂先をうり坊に向けていると、あからさまに動きが鈍っていた。


 体が大きくないからだろうか? 多少の怪我でも大きな怪我になるのかもしれない。そんな事を思いつつも、しっかり相手に対して正対している俺は、走れなくなっているらしいうり坊の左足を狙って槍を突き出す。


 左足の傷が大きいのか、うり坊は回避できずに再び左足を突き刺され、その傷が元で横倒しに倒れてしまう。俺はとどめを刺そうと近寄り、ふと気付く。そういえば武器に魔力を流してないなと。


 俺は狼の牙の槍に魔力を流し、それからうり坊の首に槍を突き刺した。すると篭めた力以上に突き刺さり、俺は慌てて槍を抜く。うり坊は派手に血を噴き出し、俺はその場からすぐに離れた。



 「それにしても、魔力を通すだけで妙に切れ味が鋭くなったな? ここでも魔力だし、どんだけ魔力って万能なんだよ……」



 【魔術】もそうだけど、俺はイシス神の名前を名乗ったから使えるようになったんであって、本当なら魔力を使う能力は無かった。これが使えないって、相当に不利だぞ。よくあの時にイシス神の名を名乗ろうと思ったもんだ。


 過去の俺を褒めてやりたいな。そうでなければ今ごろ何回殺されていたか分からない。それとも<生物修復装置>を使えば、魔力を持つ体に改造する事は出来るのか? ま、その辺りはヌンに聞けばいい事だな。


 それよりも魚を獲る方法だ。うり坊の血の噴出が収まるまで考え……いや、血も素材の可能性があるから、今の内に収納してしまうか。血が掛からない方からうり坊に近付き、アイテムバッグを地面に下ろして開ける。


 うり坊に触れて収納しようとしたが、何故か収納できなかった。……という事は、まだ生きてるのかコイツ。どんだけ生命力が高いのかは知らないが、意識は無いけど死んでないって状態か。厄介な……。


 俺はうり坊の体に触れ続け、収納しようと何度も繰り返す。すると10回を超えた辺りで、やっと収納する事が出来た。うり坊の大きさとはいえ、流石は猪。生命力が高くて簡単には死んでくれない。


 うり坊を収納した俺は、再び川の近くに寄って考える。いったいどうやって魚を!?。


 慌てて横っ飛びで回避したが、川の中から水の塊が飛んできた。おそらくは魚が撃ってきたんだろうが、水中からやってくるとは思わなかったな。俺は【ライト】を消して様子見をする。すると、水の塊を撃ってくる事は無かった。



 (という事は奴等、少なくとも川の近くに俺が立っているのは見えている訳だよな。となると【ライト】は使えないぞ)



 月明かりっぽいものはあるので、完全に真っ暗ではない。その割には夜空に月っぽいものは見えないのだが、何かしらの衛星に反射してるんだろう。それはともかく、強引に引き寄せる事は可能だろうか?。


 ちょっと思いついたので、俺は一旦<時空の狭間>に戻る事にした。おっと、ウサギのナイフを回収しておこう。うり坊が曲がってきた時に驚いて、干渉を止めた所為で落としてしまってたんだよな。


 流石に【ライト】を点けて調べればすぐに分かる。魔物ならともかく、人間の目なら見分けは簡単につく。……よし、さっさと戻ろう。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 「お帰りなさい、イシス」


 「ただいま、ヌン。ちょっと聞きたいんだが、ナイフか何かに縄を縛りつけ、それを【スロー】で魚に突き刺す事は可能だと思うか?」


 「やろうと思えば可能でしょうが……そんな方法で魚を獲るので?」


 「ああ。魚のヤツは俺が使える【ウォーターボール】みたいに、水の塊を撃ってくるんだよ。だから大きな網とかで捕らえたら、一斉に撃ち込まれて死ぬかもしれん。流石にそれは勘弁してほしい」


 「確かにその可能性はある、というより、むしろ高いでしょう。そうなると大量に一気に手に入れる事は出来ませんね。川に雷でも流せばあっと言う間ですが、イシスにはまだ出来ませんし」


 「そうなんだよなー。流石に出来ない事を考えてもしかたないし、そうなると地道に何とかするしかない。だから【スロー】で突き刺して、後は縄で引っ張って引き上げればいいと思ったんだよ」


 「どういう形のナイフにするんですか? 縄を括りつけられる物でないといけませんよ?」


 「それは…………苦無か?」


 「くない?」


 「えーっと、両刃の剣身を持ってて、持ち手の先が輪っかになってるヤツだ。そこに縄とか紐を結んで投げていたらしい。元々は刃物として使ったり地面を掘ったりと、色々な事に使われていたっていう物だ」


 「ふむ。もしかしたら<物品作製装置>にあるかもしれませんし、追加されているかしれません」


 「追加されているかも〝しれない〟?」


 「ええ。私はあくまでも管理とサポートです。それ以外に出来る事はありませんよ? 特に<生物修復装置>と<物品作製装置>は管轄外です」


 「………」



 って事は、ここにはヌン以外にも誰か居る? もしくは神様か何かが見てるのか?。


 前任者も、その前のヤツから神だとか聞いてたって言うし、益々その線が濃厚になってきたな。……多分だが、悪い事をしなきゃ大丈夫だろう。


 そう考え、後は横に放り投げた俺は、<物品作製装置>の部屋へ行き、箱にうり坊を入れるとパネルで起動する。作製できる物を調べると、何と苦無があった。小苦無、苦無、大苦無とある。何でキッチリ取り揃えてるんだ?。


 俺は首を傾げつつも、魚に見つからない物が良いと思い小苦無を作る事にした。それともう一つ、銛も作っておく。もしかしたらコレが必要になるかもしれないしな。


 小苦無はうり坊の牙で作り、銛は石で作った。本命は小苦無だから、銛の方はそこまで良い素材でなくていい。それと植物の繊維で細めの縄を作っておき、全てをアイテムバッグに入れて魔法陣の部屋へ。


 全ての準備が整ったので、小苦無の輪の部分に縄を括りつけ、一度【スロー】で投げてみる。石と同じくらいの干渉度だったので、ウサギや狼の牙よりは干渉し辛いな? 触った感じはその二つより頑丈そうだったけど。


 投げて問題の無い事を確認した俺は、再び魔法陣に乗って惑星へと移動した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ