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リバプールの空白  作者: 水前寺鯉太郎


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202X年 10月 12日(たぶん、火曜日)

「※本作には医学的な描写が含まれますが、あくまで物語上の演出であり、実在の症例、治療法、医療機関を推奨・否定するものではありません。専門的な判断については必ず医師の診察を仰いでください。」



鏡の中に知らない男が立っていた。

驚いて声を上げそうになったが、男も同じように口を開けたので、それが「ぼく」なのだと気づいた。

ぼくの名前はコーディー・トーマス・スチュアート。

この名前だけは、まだぼくの喉の奥にしっかりと張り付いて離れない。

ペンを握る感触が少しずつ頼りなくなっている。

でも、このインクが乾くまでは、ぼくはまだ「ぼく」でいられるはずだ。

リバプールの鈍色の空からは、今にも雨が降り出しそうだった。

重いカーテンを閉めようとして、ふと、机の隅に置かれた一枚の写真に目が止まる。

セピア色に褪せかけた、古い写真。

そこには、リバプールの海風に髪をなびかせ、眩しそうに笑う一人の女性が写っていた。

「……だれ、だろう」

指先でその表面をなぞってみる。

不思議だ。ぼくの記憶のどこを探しても、彼女の街も、彼女の笑い声も、名前さえも見つからない。

それなのに、写真を見つめるぼくの胸の奥が、夕立の前のマージー川のように、ひどく、ひどく波立っている。

ぼくはこの人を、知っている。

忘れてはいけない人を、ぼくはもう、忘れてしまっている。

震える手で、日記の余白にこう書き加えた。

『この女性ひとを、探さなければならない』

アルツハイマーの主人公のお話が書きたくて今回書いてみました。

記憶の空白シリーズ第1弾です。舞台はイギリスです。

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