第7話:異種融合進化!タカアシガニ、誕生
タカアシガニは深海にすんでるのですごく冷たい水の中に居ます。触るときは水の冷たさを覚悟しよう。
クロダイを――ついに仕留めた。
あのとき俺を呑み込み、流され、命の危機に晒したあいつを、だ。
「……はぁ、はぁっ。お前、どんだけ強化されてたんだよ……」
致命傷を与えるまでに、俺のハサミは何度も弾かれ、殻には無数の傷が走っていた。
けど、それでも倒した。俺は生き延びた。
そして、その直後――俺の体が、再び変化を始めたのだ。
「う、うおおっ!? な、なんだこの感覚は――また、来るのか……進化ッ!!」
クロダイの体から取り込んだ莫大な魔力と栄養素が、体中を駆け巡る。
その熱量は、まるで嵐のように、俺の細胞をかき回していく。
まず最初に感じたのは、脚の感覚だ。
どんどん、どんどん伸びていく。長く、力強く、まるで鋼のような硬さだ。
「……っ!? この長さ、まさか……タカアシガニ!?」
そう、俺の体は巨大な深海生物――タカアシガニへと進化しようとしていた。
だが、普通じゃない。俺の右のハサミが、明らかに――異常にでかい。
「こ、これは……シオマネキだった頃の俺の、ハサミだ……!」
でかい。無駄にでかい。けど、強い。
毒を塗れる器用さもそのまま、パワーは数段階上がってる。
しかも――背中に、懐かしい感触。
「この脚……ガザミ時代の遊泳脚も残ってるのか!?」
まさかの三種融合進化!?
シオマネキの片ハサミ、ガザミの遊泳脚、そしてタカアシガニの巨体と長脚!
「ふはははっ! なんだよこれ! 俺、完全にバグってんじゃねぇか!!」
水を蹴る力もすさまじい。泳ぎながら敵に毒ハサミをぶちかませる。
しかも、長脚で地形を無視して移動できる機動力まで備わってる。
これはもはや、甲殻類界の戦闘機だ――いや、甲殻兵器だ。
「おいおい、俺ってば強すぎじゃねぇの? どこまで行けるんだ、俺……!」
進化した体をぐるんと回しながら、俺は新たな感覚に酔いしれた。
視界も広がり、隠れていた小魚や岩陰のウツボまで見抜けるようになっている。
「見える……この俺には、すべてが見える……!」
強くなった。間違いなく、俺は今までで一番強い。
だが、ここはまだ海の一角に過ぎない。
きっと、この先もっとやばい連中が出てくるだろう。
でも俺は――もう、逃げない。
「よし、次の狩場へ行こうか。ハイブリッドクラブ・勝様の進軍だ!」
進化は止まらない。
この世界の頂点に立つその日まで、俺は何度でも脱皮する――!
勝もだいぶでっかくなりました。